おちゃ

7月12日(日) 曇
昨夜は居間で寝てしまっていた。気がつくと階上でドンドン音がする。
息子が起きたらしい。上がって行く。今日もカミさんが私を指差して
「この人、誰?」と息子に問う。しばらく答えなかった息子であったが
ややあって「てって」と答えた。辛うじて忘れられてはいないようだ。

息子を居間まで下ろす。なんだか細くなったような気がするな。抱き
上げてみると、やっぱり軽くなったような気がする。以前は、もっと
ずっしり重かったような気がするのだが。(あとで聞いたが、やはり
こういう時期はストレスで体重が落ちるものらしい)

居間に下りると、「おちゃ」と言う。おお、また語彙が増えたな。
カップに注いでやると、自分で持ってコクコク飲む。まだいっぱい注ぐと
こぼしそうなので、少しずつ足しながら飲ませる。

カミさんが息子に薄い煎餅を食べさせている。その色は、一目で着色料が
入っているとわかる色だな。そういうのは、なるべく食べさせたくないん
だけどねぇ。息子はすでに、楽に端から囓れるようになっている。

しかし眠い。今月はずっと働き詰めだったからなぁ。朝食を食べたら
また寝室に行って寝る。気がつくと息子が横で寝ていた。押し入れの
戸が開いている。息子が開けたのだ。最近、扉の開け閉めができる
ようになって、開けると別の世界が開けるのが楽しいようだ。何度か
閉めた記憶があるが……う〜、もう夕方じゃないか。選挙に行かなきゃ。

今日はカミさんは機嫌の悪い日なので、息子が泣いてるときにモノに
当たって、彼を脅えさせていたらしい。私が起きていくと、休日には
昼間起きて息子の相手をするよう言われる。え〜、夜に遊んでたから
昼間寝ているわけじゃないんですけど…息子を保育所に預けるように
なってから、カミさんの負担はかなり軽くなっていると思うんだがなぁ。

まあ、こういう日に私がいなかったら、息子にはさらに辛いことに
なっていたんだろう…

カミさんの機嫌が悪いので、投票には息子を連れて行くことにする。
夕食は19時頃からと言われていたので、それまで外でいっしょに時間を
潰すことにしようか。

投票所に行く。息子の手を引いて投票する。ここでは、参院選の地方区・
比例区に加えて市長選と市議の補欠選挙まであるので、何枚も書く必要が
ある。息子は投票の順路と関係なく歩こうとするので、ずっと手を握って
いなければならない。片手で書かねばならないので、なかなかうまく書け
ない。投票用紙をたたむこともできない。誰に投票したか見えちゃったか
な。

投票所では靴を脱がねばならないので、息子の靴を脱がせたり履かせたり
するのに手間取る。ちょっと他の人の迷惑になってしまった。

投票を終えると、私の持病に効くといわれている漢方薬を買いに薬屋へ
行く。最近、仕事でストレスが溜まっているので、飲んでおいたほうが
いいだろう。移動の途中で踏み切りに捕まった。同じ方向の電車を3台
見送る。近鉄電車の踏み切りは、やはりトロい。よく、イラチな河内の
人間が暴動を起こさないもんだ。息子は電車を間近で見れてよかったの
かもしれないが。

薬屋でも息子は例によって勝手に歩き回る。色とりどりの小物がたくさん
あるのが嬉しいようだ。洗剤が気に入ったようで触ろうとする。支払いを
している間も、私の手を振りきって歩いて行ってしまう。混んでいるので
追いかけられない。店の外には出なかったので助かった。

商店街を歩いて近くの電気屋に行く。息子は、途中にある焼肉屋の看板に
心を惹かれたようである。どうやら、回転すべきものだと判断したようで、
手で回そうとする。うわっ、回るじゃないか。危ないからやめなさい。
彼は焼肉屋の電光掲示板にも興味を示す。赤い文字が派手に動くからねえ。

電気屋に着いた。息子の手を引いていろいろ見て回ろうかと思ったのだが
彼はまず階段を上りはじめた。上ったと思ったら、今度は下り……2往復
して脚がもつれだしても、さらに上り下りしようとする。けっきょく、
階段を往復しただけで出てきたのだった。

まだ時間があるので、別の店に行くことにする。こちらではエスカレータ
で2階に上がると、そのへんを歩き回りはじめた。光るものや音楽が鳴る
ものや、ボタンをカチカチ触れるものがいっぱいあるので、飽きずに歩き
回る。彼はこういったモノが大好きなのだ。大きくなったら、いっしょに
日本橋に行こうな。

家に帰って夕食である。息子はサツマイモの天ぷらが気に入ったようだ。
自分で、大きな固まりを口に入れる。おいおい、それはちょっと大きすぎる
んじゃないか? 口が閉じるか閉じないか微妙なところである。頬っぺたを
いっぱいに膨らませながらもモゴモゴ食べている。大丈夫か?

食事が終わると眠くなったようだ。両親に寄りかかり、服に顔を埋める。
そのうちに機嫌が悪くなってきた。手近なものを放り投げて大声を出して
怒る。物を投げようとして、思うように投げられないのでまた怒る。この
感情を自分でもどうしてよいかわからないようである。

風呂に入れて歯を磨く。もう、いつ寝てもよい状態である。カミさんが
寝室に連れて行こうとするが、ついていかない。私の脚にしがみついて
くる。ん? とーちゃんと寝たいのか? よしよし、可愛いヤツ。じゃあ、
寝室に行こう。

彼は、風呂に入る前には疲れていたはずなのだが、寝室に入るとなかなか
寝つかない。横にはなるが、もぞもぞ動いている。なんだか不安なようで
ある。身体を一部接触させていると、少しは安心するようだ。そうこう
しているうちに、こちらが寝てしまったようだ。気がつくと、息子は畳の
上で大の字になって寝ていた。そして私は、明日からまた我が家を離れる
準備をするために階下に降りたのだった。



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