7月26日(日) 雨時々曇
どうやら朝のようである。カミさんと息子が起きたようだ。恒例のカミさんによる
「この人、誰?」が聞こえる。今日は息子は「でゃぢ」と答えている。それを聞いて
私はまた深い眠りに落ちた。
目が覚めたのは、けっきょく昼過ぎであった。階下よりカミさんの怒鳴り声が聞こ
える。靴を履いたまま玄関に上がるなと言っているようだ。どうやら、外から帰って
きたところらしい。
2階に下りると妻子が上がってきたところだった。顔を洗って居間に行くと、息子は
食事中であった。片手にドーナツ、片手に子供用のカップを持って、牛乳を飲んで
いる。器用なもんだな。もう片手で飲めるのか。もともと片手で飲みたがる横着な
ヤツだったが……メニューはドーナツとそうめんですか。ちょっとは野菜がほしい
かな。
昼食後は、息子がお昼寝タイムなので寝室に行く。だが、両親がいるせいか、息子は
なかなか寝ない。両親が眠ってからも、ふすまを開けたり隣の部屋から着替えを
入れる籠を引きずってきたりして遊んでいたようだ。冷房してるんだがなあ。
妻子が寝た後、しばらくして起き出した。外はすごい雨である。さっき雷が鳴って
いたような気がしたが、こういうことだったのね。干してある洗濯物がグチョグチョ
になっている。1階に下りてデスクトップを立ち上げて通信する。実家にいる間、
無限壁しか巡回していないのでかなり時間がかかる。通信していると階上から息子の
泣き声が聞こえてきた。どうやら起きたようである。寝室に入ると、なんだか臭い。
キミ、やったのか。昨日も出してないって言ってたからなぁ。しかし……なんで
こんなときに。でも、パンツ型のオムツはどう替えればいいんだろう。寝ている
カミさんに聞くと「風呂で洗い流して」と言われた。ふにゅー、そんなことして
いいんでしょうか。
息子は火がついたように泣いている。抱き上げても身を反らして泣く。脱衣場で服を
脱がすのにも苦労した。風呂場に入れてシャワーの水温が安定するまでの間にも泣き
続ける。しかし、汚物が尻の間にべっとりと付着している。シャワーのお湯をかける
だけでは落とせるはずがないな。手に石鹸をつけ、意を決してお尻の割れ目に
突っ込む。ぬるっとしたのがいっぱい出てきた。もうヤケだ。股間の隅々まで
キレイにしてやるぜ。脚を開け、この野郎!……洗い終わる頃には、彼は泣きやんで
いた。やはり気持ちが悪かったのね。
息子を風呂場から出し、身体を拭いて階段を上らせている途中で、私の足も
洗わねばならないことを思い出した。汚物が流れていく中に立っていたからなぁ。
彼を階段から持ち上げ、脱衣場に戻す。また泣き出す。すまんなあ、ちょっと
待ってくれ。
居間に戻ると、寝る気はなさそうなので、遊ばせる。例によって「本を読め」攻撃。
しばらく本を読む。最近は、ある程度読んでやると自分でページをめくりだすから
楽だ。しかし、しばらくすると、どこからか帽子を出してきて自分で被った。
どうやら外に行きたいらしい。さらには、カミさんが保育所に持っていくカバン
からズボンを引きずり出してきて、穿かせろと要求する。(室内ではオムツに
Tシャツ1枚なのだ)外は雨なんだがなあ。
息子の気を紛らわせる方法を思いついた。階段をいっしょに下りる。玄関まで来て、
息子が外に出ようとするところで私の部屋のドアを開ける。この部屋の中は、彼に
とっては未知の領域なのである。そして、ワケの判らないガラクタや本がいっぱい
詰まっている。案の定、彼は私の後について部屋に入ってきた。
パソコンの前に座って息子を膝の上に乗せる。エディタでログファイルを開いて、
通信が正常に終わったことを確認する。このツリーもちゃんと繋がったようだ。
よかった。大丈夫だとは思っていたが、やはり不安はあったのである。それでも、
あと100発言でサイクリックか。けっこうヤバかったのね。切れていたら削除して
手近な枝に繋げ直さないといけないところだった。長い発言だし、発言してかなり
時間が経っているので、その間に通信した人に迷惑をかけてしまいかねない。
息子は、私がパソコンを操作しているのを膝の上でおとなしく見ている。やはり、
慣れないことはしたがらないようである。
ログをカットしているとカミさんが起きてきた。息子を散歩に連れていくように
言われる。雨が降っていてもレインコートを着せて散歩させるものなんだそうである。
私が階上で寝間着から外出着に着替えてる間に、息子も黄色いレインコートと
真っ赤な帽子を着せられていた。雨の中を歩く。ふだんと様子が違うせいか、
彼はおとなしく私の手を握って歩く。あんまり早く帰ると、かーちゃんに怒られる
から、ちょっと遠いけど電器屋に行こうか。
歩いていると、雨が激しくなってきた。息子の手を握り、彼に傘を差しかけて
いるので私の左半身はベチョベチョである。搾れば水が出るだろう。道路の上も
水が溜まっていないところを探すのが難しいくらいになってきた。電器屋の前の
駐車場などは大きな水たまりになっている。なるべく水の少ないところを探して
通るのだが、息子は水たまりでステップを踏むのを楽しむ。親の心子知らずとは
このことか。
電器屋に入ると、例によって1階を一周し、階段を上って2階に上がり、
エレベータに一直線。下りのボタンを触る。ただ、今回は押し方が弱いので
反応しない。しばらくすると諦めて2階を巡回しはじめた。パソコンの
キーボードをガチャガチャ触る。それだけで嬉しいようである。まあ、我が家では
両親が触っているのを見てるだけで、自分では触らせてもらえないからな。
ここのパソコンなら大丈夫だから、心ゆくまで触りなさい(おいっ!)まだ、
キータッチに応じて画面が変化するということは理解できていない。
ワードパッドを立ち上げてフォントを最大にしてみたが、やはり同じであった。
冷房で私の身体が冷えてきた。息子は大丈夫だろうか。手を触ってみたが、暖かい
ので大丈夫かな。レインコートを着て私が傘を差しかけていたから身体は濡れて
いないのだろう。外を見ると雨はまだまだ勢いよく降っている。店員さんも
手持ちぶさたなようである。息子は黄色いレインコートを着て、一見可愛い格好を
しているので、女性の店員さんは彼を見ると笑ってくれる。彼は光っているものも
好きなようで、展示してある大きな電灯が白く輝いているのをバンバン触る。
息子はまだまだ遊びたいようだが、そろそろ寒くなってきたので帰ることにする。
彼の手を引っ張って店外に出る。帰りは車の通りの少ない道を通る。民家のガレージ
の前の段差を埋めるための剏^(機種依存文字だな。横から見ると直角三角形に
なっているんです)の器具の上に乗ると足音が違うので、ゴンゴン鳴らす。
これこれ、早く来なさい。行程の半分くらいまで来たところで、彼は私の脚に
しがみついてきた。さすがに疲れたか。背中に負ぶう。彼はちゃんと背中に
しがみついてはいるが、やはりまだ1歳8ヶ月なので不安があるため片手で支えて
少し前屈みになる。傘を持っているのでちょっとキツイ。
我が家に着いた。カミさんを呼び出して、背中にくっついているのを受け取って
もらう。彼女はそのまま風呂に直行した。しばらくして息子を洗い終えて呼ばれた
ので脱衣所まで受け取りに行く。息子の身体を拭こうとしたら、バスタオルを
かいくぐって脚にしがみつかれてしまった。おーい、まだ濡れてるだろうが。
居間に上がるが、どうも機嫌が悪い。疲れている様子なので寝室に連れていく。
泣きやまない。私の方が寝てしまいそうだ。泣きやまないのでカミさんが見に
来た。ああ、おふとんさんが気持ちいい…
…眠ってしまっていた。息子を連れてスーパーに買い物に行くつもりだったのだが、
もう閉店時刻だな。居間に下りるが、妻子ともいない。風呂場からカミさんの
呼ぶ声が聞こえる。何だろう?
風呂場をのぞくと、息子がNERVの洗面器にお尻を突っ込んで座っていた。
カミさんが「面白いわ。カメラ持ってきてもらったらよかった」という。
私が風呂場の扉を閉めると、彼が泣きだした。私が迎えに来たものだと
思ったらしい。後でホントに迎えに行くと、またもや濡れたまましがみ
つかれてしまったのだった。