1998年12月の日記

1998年

12月13日(日)
先週末よりカミさんが風邪を引いて寝込んでいる。カミさんが昨日、月曜日から彼女の実家に息子を預かってもらうよう依頼していたのだが、明日連れていく自信が無いということで、今夜から預かってもらえないかとお願いする。

お義母さんに電話をかけていると、昼食中の息子が電話に出たそうにしていたらしく、カミさんに許されてこちらにやって来た。横で何やら喋っているので、受話器を耳に当ててやる。すると、すぐに「ばぁっちゃ!」と叫んだ。もう、声で相手が誰だかわかるのね。お義母さんが「こんにちは」というと「わっ!」と応える。電話の向こうで「ばいばい」と言うと「ぅわっわ」と応じる。むむ、何だか会話になっているではないか。

お義母さんは出先から我が家の近くを通って帰るということなので、最寄り駅まで息子を連れて行く。駅に着いたときに、ちょうど電車が踏切を通っていくところだった。息子は「でんしゃ!でんしゃ!」と大騒ぎである。だが、次の電車が来ているのに、彼は駅への地下道にどんどん降りてゆく。下りると改札のところにお義母さんが待っていた。踏切のところから改札の中は見えないはずなんだがなぁ。

総菜を買って帰って、息子のいない夕食である。なんだか、肩の荷がずいぶん重かったんだなぁ、と実感してしまう。こんなこと考えちゃいけないんだけどね。

12月20日
息子は近ごろ、絵を描くのがマイブームである。両親がこたつの上で字を書いていたりすると、「じじ、じじ」(「字」のこと。とうぜん彼にはまだ「字」と「絵」の区別はない)と言いながら、自分にも書かせろとせがむ。広告の裏に書かせてみると、紙からはみ出さずに書いているのはなかなか偉いものである。ただ、紙からはみ出さんばかりに大きく表現する子供のほうが伸びるという話も聞くのだが…
最近は二語文が出るようになってきた。「でんしゃ、きた」「とーちゃん、おきた」「かーちゃん、ねんね」などである。食卓の下でボールを見つけると「ぼーる、きた」、紙にサインペンで絵を書いては「じじ、きた」と言う 。彼にとって、自分の意識の中に新たに現れたものは全て「きた」なのである。

12月21日
いま、
小松左京先生の時の顔を読んでいるのですが、いやあ、何か泣けます。「痩せがまんの系譜」のような作品を読んでさえ、泣けて泣けて仕方がない。むかし読んだときも泣ける作品はあったけど…歳を取ったせいかなぁ。
まあ、記憶力がないというのも良い点もあるのですよね。記憶にないから、まるで新作のように楽しんで読める。ただ「地には平和を」などは、エピローグだけが頭の片隅に残ってたので、途中でもうウルウルでしたが…(^^;)

12月22日
昨日、
Ruputerを買ってしまった。たぶん、あんまり役に立たないだろうとは思うけれど、わかっていながら買ってしまうところが病が重いと自分でも思う。でも、なんだかワクワクするんですよね。腕時計型のコンピュータなんて…子供の頃に夢見たものが手に入るなんて、いい時代に生まれたもんだと思うのはこういうときだな。まあ、夢見たものとはかなり違うものなんだけど、それでも買わないと世の中進んでいかないからね(だったら中古なんか買うなよって)
この文章も、会社から帰る電車の中でCASSIOPEIAで打っている。キーボードが小さくてタッチタイプできないので、もう少し大きなマシンを買う人が多いようだが、私はもともとタッチタイプできないので、これで充分なのだ(爆)。それでもけっこう早いんだよ。まあ、10分くらいでここまで入力できたから。考えながらだし。

12月23日
息子も所有格の表現ができるようになってきた。今朝も、起きると枕元に置いてあった私のジーンズを指さして「とーちゃんの」と言う。また別に「ずぼん」と言ったので、指差しながら「とーちゃんの・ずぼん」と言ってみせるが、うまく通じなかったようで、彼はジーンズを拾いあげてこっちに持ってきた。持ってくるように言ったと思ったらしい。

12月24日
お茶漬けの味」の冒頭に出てくる棋譜は間違っている。ただそれだけ(笑)

12月25日
(昨日は遠方で会議が遅くなったので、ほとんど午前様であった。日記も、帰りの電車の中で1行しか書けなかった。今、行きの電車の中でこの作品を読み終えた。で、続きである)
まあ、本当に旧い作品だから、今から見ればおかしいところもいっぱいあるけれど、今読んでもやっぱり名作だ。よかった。

今朝も、遠方の客先に行かなければならないので、いつもより1時間早く起きた。カミさんと着替えていると、息子がグズグズ言いだした。寝そうにないので、一緒に起こしたが、ずっとウエンウエン泣いている。朝食も嫌がってあまり食べない。私が背広に着替えてバイバイをすると、また泣きだした。居間の戸を閉めると、向こうで「とーぢゃーん」と呼ぶ声が聞こえる。不憫だが仕方がない。仕事なのだ。泣き声を遠くで聞きながら出発の用意をする。カミさんが彼を抱いて玄関まで下りてきた。そういうことをすると、一緒に連れていってもらえると誤解すると思うんだがなぁ。しばらく抱きしめてやる。靴を履くと、やはりついて来ようとする。こういう状態のときは言い聞かせても無理だし。けっきょく、カミさんも彼を抱いて外に出て見送ることになった。見えなくなっても、しばらくは息子が私を呼ぶ声が聞こえていた。

12月27日
今日、
Ruputerの設定をした。カレンダーつきの時計(これがあるからこの製品を買ったのだ)も見やすいし、漢字の時計もエヴァみたいでなかなかよろしい。CSVファイルのビューアも、Excelでもらったウチの会社の住所録をCSVに変換して転送してみるとキレイに表示できた。リバーシもなかなか強い。最初に戦ったとき負けてしまった。
しかし、ほぼ十年前に電子手帳を秋葉原で買って、帰りの新幹線の中でシコシコと入力していた住所録のデータが、何台もの機械を経由して、いまこの腕時計型のコンピュータの中に入っている、というのは、なかなか感慨深いものがありますな。データのデジタル化というのは素晴らしいものであります。

12月28日
今日、家に帰ると妻子が「頭文字D」のビデオを観ていた。カミさんは息子に「あれが『りょうちゃん』」、「あれが『けいちゃん』」などと教えながら観ている。おいおい、まだ何も知らない子供にそんなことを教えていいのか? 父はちょっと悲しいぞ。
挙げ句の果てに息子は車が走っている絵を見て「けーちゃんの」などと言い出した。ううっ、ヘタをすると彼の原風景は母と観たイニDのビデオ、ってことに……(泣)



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