1999年4月下旬の日記

■4月21日(水)
今朝は少し寝坊してしまった。おかげで、息子は機嫌よく目覚めてくれた。私を指差して「め」「おっき、はな」「ぱじゃま」「ずぼん」などと言う。知ってるものは全部名前を言おうとしているようである。さらには、私が毎朝起きると半纏を羽織るのを知っているので、「ちょーだーい」と言いながら半纏を持ってくる。彼は、他人に何かを持っていくときにこう言うのである。まだ渡す側と受け取る側の「立場」というものが理解できていないのだろう。

彼は居間に下りて「おーっりーゆうーきゃー」などと歌っている。そう
宇多田ヒカルの「Movin'on without you」である。最初に聴いたときから気に入っていたようだが、カミさんもカーステレオで頻繁にかけたりしているので、マイブームの曲になっているのである。Chorusの部分を歌ってやると、「ああ、ああ…」と続けている。さすがにあの早口の歌詞は歌えない。まあ、あれは私も歌えないんだけどね。

今日は、家を出るときカミさんに「『コドモ界の人』読み終わったら読ませてね」と言われたので、通勤時に読むのである。ウチと同じ年代から少し先までの時期について書いてあるので、「そうそうそう」「ふ〜ん、そういう考え方もあるのね」などと思いながら読んでいる。家族の性格もウチに似ているみたいだし、リクオ君もウチの息子に似ているような気がするんだな。まあ、ウチには下の子はできてないんだけどね。エッセイだし字も大きいので速く読める。うまくいけば今日中にでも読んでしまえるかなと思ったのだが、帰りには仕事が遅くなってしまってタクシーに乗ったので、読めなかったのだ。

今日、若島津さんが「対なる者の証」のイラストを描き終えたそうである。ご苦労様でした。来週には文庫の見本ができるそうな。



■4月22日(木)
いやあ、勝っちゃいましたね。ワールドユース選手権なんですけど。これは凄いことだと思います。世界でいちばん盛んなスポーツで決勝進出ですからね。それも、貧しい国で盛んなスポーツですから。我々よりはるかに肉体を酷使する環境で育った人間が、「のし上がるにはこれしかない」と思って競い合って生き残ってきたような連中と互角以上に戦っているわけなんですからねえ。

いままででサッカーの国際的な大会での成績というと、メキシコオリンピックでの銅メダルが最高だったんじゃないでしょうか。あれはアマチュアの大会でしたし。まあ、今回もユースなんですけどね。これがワールドカップになっても世界のトップレベルで戦えるかというと、また難しい問題もあるんでしょうが。やはり、レベルの高いところで揉まれないと、なかなか高いところには行けませんから。

そういう意味では「キャプテン翼」を読んだ世代が大挙してサッカーを始めて層が厚くなり、その中で揉まれて育った選手たちの背中を見ながら走ってきた世代になってようやく世界と対等に戦えるようになったということでしょうかね。そういう意味では、ようやく高橋陽一氏が蒔いた種が実を結んだというところでしょうか。ご本人は意識されていたかどうかは知りませんが。

私は日本人だし、親父が草野球のエースだったくらいの野球好きだったんで、子供の頃は野球が世界でいちばん盛んなスポーツに違いないと思っていましたね。でも実際は、北米、中米と極東でしか行われていなかったんですよね。最近はオリンピックの種目にもなって、ヨーロッパなどでも行われるようになってきたようですけど。まあ、道具に金がかかりますから、貧しい国ではなかなか難しいでしょうね。そういえば、子供の頃に「なんで日本の国技がジュードーじゃなくて相撲なんだろう?」とか思っていたような記憶もあるなあ。

今日はなんとか電車に乗って帰宅することができた(最終電車だったけど)。おかげで
「コドモ界の人」を読み終えることができた。カミさんにバトンタッチである。読み終えた感想としては、なかなか良い本であった。まあ、私が子供を持つ前であれば、そうは思わなかったかもしれないが。なんたって、最後まで読んでから朝日新聞に連載していたのを知って「ああ、そういえば」と思い出したくらいですからねえ。あの頃はまだ新婚時代で、子供の話を読んでもまったく実感がわかなかったですからね。石坂啓さんは漫画家として注目はしていたんですが。「安穏族」の母子家庭の話とか好きだったんだな。(タイトルを確かめようとして本の山から発掘しようとしたら書籍流を起こしそうになったんで断念した(笑))しかし、やはりB型ですか。なんだかすごく納得できてしまった。

カミさんは今、「対なる者の証」の続きの「対なる者のさだめ」を書き直している。イアのキャラクターをかなり変えるようで、シンとの出会いのシーンをどうしようかで詰まっているようだ。だから、雑誌掲載時のイラストは文庫では使えないんだな。また若島津さんに苦労をかけることになっちゃうか。すみませんねえ。そういえば、今日「小説Dear+」に載っている「美貌の食卓」の原稿料が入っていたと言ってたな。予想よりも早かったし、思っていたよりも多かったらしい。駆け出しなので単価は安いものだが、カミさんはゴキゲンである。



■4月23日(金)
今朝は朝から雨が降っていたので、カミさんに息子といっしょに車で送ってもらう。カミさんは昨日「保育所にだいぶ慣れてきたので今日はバイバイしてくれた」という意味のことを言っていたのだが、今朝は両親と来ているので状況が違う。両親が出ていきそうな気配を察知すると、私に向かって「だっかぉ」(抱っこ)と言ってきたのだった。久しく絶えて無かったことである。

今日から
SFバカ本<たいやき篇プラス>を読んでいるのである。前回の「だるま篇」が面白かったので、期待大なのである。まず、大原まり子氏「オは愚か者のオ」であるが……やはり私とは相性が悪いんでしょうかねえ。12人のいかれた男たちを読んだ後だとぜんぜん笑えないなあ。編纂者あとがきにおいて、身内で「文句なしの傑作」などと言ってるのも、ちょっと私の感性では違和感がある。まあ私も将来、同じようなことをやりかねんけど(笑)

次の伏見憲明氏「デブの惑星」も、編纂者あとがきで「傑作」とか書いてあったけど、私にはあまり面白くなかった。しかしこの方、肩書きが「ゲイ・ライター」なんですか…ちょっと私には想像のつかない世界だな。

逆に、編纂者あとがきで上記2作に比べて誉め方が少なかった東野司氏「攻防、一〇〇キログラム!」の方が、私には楽しめた。文章もテンポがよくて読みやすい。ちょっと設定に説得力がないけど(笑)

今日、仕事で移動中に淀屋橋の上を歩いたのだが、花壇に色とりどりの花が咲いていた。もうそろそろ初夏だもんね。これを見ると「大阪市は自然を愛しているんだなあ」と思うかもしれないが、その花の季節が過ぎてしまうと、根こそぎにして次の花を持ってくるのだ。そういうのを見ていると、あまり「自然を愛している」態度とはいえないのであるまいかと思ってしまうのですね。



■4月24日(土)
息子は、木曜日に母親に風呂場で髪を切ってもらっている。髪が短くなると、ずいぶん大人っぽい感じになるねえ。

息子が昨夜寝てから咳がひどかったので医者に連れていく。呼吸音はずいぶんよくなっているがまだ呼吸器に炎症が残っているということで、吸入して飲み薬をもらう。医者を辞して、親子三人で先日ウチの近所に開店した古本と中古CDとゲームソフトの大型店に行った。カミさんの誕生日プレゼントに
「幻想水滸伝」を買うのも目的の一つである。2枚買う予定だったのだが、IIは保留ということになった。時間が経てば安くなるものだし。まだやるかどうかもわからないしね。息子は「スーパーマリオ64」のデモ映像を流しているのに夢中である。退屈してゴネないので、親はラクである。カミさんは「絶版だった田中光二の文庫本が2冊もあった」と言って喜んでいた。

カミさんは昨日、宇多田ヒカルのファーストアルバム「First Love」を買ってきた。今日、カーステレオで聞かされていたのだが、ちょっと息切れしている曲がありますなあ。スタジオ録音でこれだとライヴではキツいかもしれない。カミさんが最初のシングル「Automatic」を聴いて私に「いいでしょ」と言ったときに「歌唱についてはゴマカシの効く造りをしてるから、もうちょっと聴いてみないと…」と評価を保留していたのだが、それが悪い方に当たっちゃったかな。本当は、最初に聴いたときに「ちょっと簡単にファルセットに移行しすぎかな」という気はしていたのだ。今ごろ言ったって自慢にはならんけどね。でも、シングルとはミキシングを変えているのか、「Movin'on without you」でのバスドラとエレキベースの動きが気持ちいい。やっぱり良いスタッフが揃ってるんだろうなぁ。カミさんもヴォーカルにはちょっと欲求不満のようである。アルバムタイトルの曲を聴きながら「この曲、露崎春女とかサーカスとかEVEに歌ってほしいわ。ドラマのタイアップ曲だから、またヒットしてヒッパレで演るんじゃないかしら。大橋純子でも渡辺真知子でもいい。あ、高橋真梨子でも…」と言ったときに息子が「たかはし…」と反応した。そう、「イニD」のキャラである。よりによって、そんなところに反応しなくても…何て不憫なことであろうか。そういえば、彼は「Movin'on without you」を「おりゆきゃ」と呼んでいるのである。イントロを聞いただけで「おりゆきゃ!」と叫ぶ。よっぽど気に入ってるんだな。

帰りにマクドナルドで現在ディスカウントしているカレーバーガーを買って、家で食べる。付け合わせはカミさんが揚げた細切りのポテト。揚げたてなので旨い。野菜ジュースが無くなったので、雨が止んでいる隙に息子を連れて自転車でアッキャロを買いに行く。息子は途中でアーバンライナーが見れたので満足したようである。

夕方から親子三人で昼寝をした。気がつくと、寝室の外、階段の踊り場で息子が泣いている。カミさんはいない。「かーちゃーん」とか呼んでいるが、階下では宇多田ヒカルのアルバムを大音量で聴いているので聞こえないようである。起き抜けに階段を下りられると危ないので、起き上がって息子を連れて下りる。かなり寝汗をかいている。我ながらずいぶん疲れているようだな。下りている途中に息子が「おりゆきゃ!」と叫んだ。そう、「Movin'on without you」がかかっていたのである。



■4月25日(日)
今朝も息子が寝室の中で最初にゴソゴソと動き出した。カミさんは昨夜遅くまで(というより今朝早くまで、だろう)
「幻想水滸伝」をやっていたので、まったく起きる気配がない。見ていると息子と目が合ってしまった。ニッコリ笑う。それじゃ、下りて朝ご飯を食べようか。

居間に下り、食間の水薬を飲ませて昨夜の残りの炊き込みご飯とお吸い物を与える。炊き込みご飯は「おいしい」と言いながら食べる。半分くらい食べると飽きてきたのか「なっとぅ、ほしい」と言いだした。はいはい、私もそのつもりですよ。いつもは納豆を混ぜてそのまま食べさせてやっているのだが、これだとご飯が食べられないので、ご飯に乗せて食べさせてやろうとすると「じぶんで」食べると言う。スプーンですくって食べるのだが、納豆しかすくわない。納豆が少なくなってくると、納豆を右手で摘んで左手に持ったスプーンに乗せて食べる。もう、手はヌルヌルである。最終的には私が納豆とご飯を混ぜてフォークですくって食べさせた。

食後の薬を飲ませて手を洗わせた後、「プリン要るか?」と訊くと「ぷりん、いらん」と応える。そうか、ということで私が食べるために冷蔵庫から出してくると「ぷりん、ほしい」と言いだす。まったく、コイツは…

プリンを食べ終え、私が食事の後片づけをしていると、息子が歩いてきたときに、かぐわしき香りが漂ってきた。ぬぬっ。「ウンコ出たんか?」と訊くと、彼は「うんこ、でたねぇ」と応えた。コラぁ! 他人事みたいなことぬかしやがって。

ズボンと紙パンツを脱がせて、お尻拭きで拭く。お尻の両側にベットリとついている。お尻を拭いて、パンツの中のウンチをトイレに流し、汚れたお尻拭きとパンツをポリ袋に入れて洗面所に捨てて居間に戻ってくると、息子はフリチンで走り回っている。おや、私が洗面所に下りるときには自分でズボンを穿いていたから、上がってきたらまたパンツを穿かさないといけないなと思っていたのだが…ズボンを脱いだのか? 落ちているズボンを見つけて持ってみるとグッショリ濡れていた。どうやら、ズボンを穿いてオシッコをしたらしい。まあ、直接オシッコをしなかったから偉いと言うべきか。

食後には例によってプラレールに付属していたビデオを見せてから、昨夜のヒッパレを見る。長与千種もんたよしのりですけど、前回も思ったんですが、この二人、合ってますね。男女なのにキーが同じくらいなんですもの。声質も似てるし。ハモると非常にいい感じです。男が上ハモってるのもスゴイっすね。以前、村田和人氏のアルバムで竹内まりやさんとパートを入れ替えながら歌ってたことがあったのを思い出してしまいました。

そして、トリは庄野真代布施明ですか。いやあ、お互い相手に遠慮せずに自分の実力を出せるのっていいですねえ。

昼過ぎになってカミさんが起きてきた。私は息子を連れて漢方薬を買いに行く。近所の安い薬屋が新装開店して、今なら購入額の1割の金券をもらえるのだ。最近、仕事でストレスが溜まっているので、漢方薬でも飲んでいないと非常にヤバい感じがしているのである。店のレイアウトが変わっているので、目的の商品を探すのに時間がかかる。カミさんに頼まれていたお茶を含め、いくつかの商品は無くなっていた。息子は店の入り口のところから駅が見えるので「でんしゃ」を見に行きたがる。店の外には出ようとしないので助かっているが。買い物に時間がかかって息子を退屈させたので、帰りは線路に沿って帰る。線路から離れるところで警報機が鳴っていたので、しばらく停まって電車が通るのを見せてやった。

帰りにパンを買って親子三人で食う。ここのパンは美味いので、息子はお腹がパンパンになってしまった。「もう少し安ければ文句ないんだけど」とカミさんは言うが、美味いんだからしかたないですね。コストをかけてるのはわかるし、親子三人が腹一杯になるだけ食って千円以下なんですから。

カミさんが色つきの粘着テープを買いにデパートに行くというのでついていく。息子は文房具と同じフロアのレコード屋でだんご3兄弟プロモーションビデオを見せていればゴキゲンである。見ながら音楽に合わせてピョンピョン跳ねる。今日はずいぶんと跳ねてたねえ。駐車場に車を停めたので、二千円分のレシートが必要なのである。カミさんは息子の絵本を買ったが、もう200円ほど不足しているらしい。私も本を探したが、買いたい本は見たらすぐ買うようにしているので見つからない。息子にトミカの安いのを買ってやることにする。オモチャ売場に行ってショウウインドウを見せるが、ギッシリとトミカが並んでいるのを見て、息子は興奮状態に陥ってしまった。もう、どれを選んでいいやら判断できない。あちこち指差して、おうおう言うだけである。結局パトカーを買ってやったが、店の人が彼の興奮ぶりを見て、トミーのパンフレットをくれた。プラレールに付属していたのが彼のお気に入りなのだが、もうボロボロになっているのでラッキーである。オモチャ売場を後にして手をつないで歩いているときに、彼の頬が真っ赤に上気していた。可愛いヤツ。

家に帰って親子三人でお昼寝である。気持ちよくまどろみかけているところに、カミさんの怒鳴り声が聞こえてきて目が覚めてしまった。どうやら、息子が「だっこ」と言って抱っこしてやると「だっこ、いらん」と言うのを繰り返すので怒っているらしい。うにゃー、聞いているだけでストレスが溜まるなあ。そのうちに仕事での嫌なことまで思い出してきた。ううっ、ツラいっ。息子は何度も怒鳴られて、「いらん」と言わないように学習したようだが、しばらくして今度は布団の中で大人しくしていないというのでまた怒っているようである。ついには息子は母親の布団から突き出されてしまった。息子はわんわん泣く。これじゃ、こっちも寝られない。私も泣きたいくらいである。仕方がない、こっちに来なさい。私の布団に引きずり込み、抱きしめて背中をポンポンする。しかし、彼はうえんうえん泣き続ける。ずいぶん長い間泣いていたが、泣き疲れたのか私の腕の中で眠ってしまった。



■4月26日(月)
今日は遠方の客先で打合せなのである。いつもより早く家を出た。移動時間中に
SFバカ本<たいやき篇プラス>を読むのである。軽い内容なので、1時間ちょっとの移動時間で残りを読み終えてしまった。

山藍紫姫子氏「願い石」は…文体が好みじゃないな。内容もアレだし(笑)。まあ、オチは効いていたんだけどね。

森奈津子氏「西城英樹のおかげです」。これは、SF流の諸行無常というヤツでしょうか(ちょっと違う)。しかし、同性愛ネタが多いなあ。私なんか、流行ってくると、それをやるのはSF的じゃなく思えてくるんだよな。ほら、SFのヒトってひねくれてるから(爆笑)。まだタブーであるときにやるのはすごくSFスピリットを感じるのだけれども。まあ、料理の仕方にもよるんですけどね。

岡崎弘明氏「ぎゅうぎゅう」ですが、この異世界は気に入りました。あり得ない設定にもかかわらず、適度に現実感がある。やっぱり、あんまりハチャメチャなのは、あんまり好きじゃないみたいです、私は。しかし、息子の名前を考えるときに「岡崎一号」などというのを考えてしまうというのは…SF者の鑑ですな。とうてい私などの及ぶところではございません。

麻城ゆう氏「今日の出来事」…う〜ん、スゴイ話だ。でも、SFって、そういうモノなんでしょうか?

続いて、岬兄悟氏「テレストーカー」である。やはり私はこの人の作品とは相性がいいようだ。今まで読んだ中での水準よりは下だったけど。

弾射音氏「夢の有機生命体」の世界もけっこう好きだな。わざわざこういう結末をつけなくても良かったんじゃないかと思ったりもするんですけどね。

最後は笹山量子氏「液体の悪魔」ですが、この方はけっこう上手い人だと思いますね。

これを書いてて思ったんですけど、この本、作者のHPのURLも載ってるんですね。そういう時代になってきてるんですねえ。編纂者がそっち方面にススんだヒトだというのもあるんでしょうけど。でも、URLを知らせるのに紙というのはあまり向いた媒体じゃないなあ。

砲弾コレクターがコレクションをいじってて爆死したというニュースを見ましたが……オタクもここまでいけば立派だというか、本望だというか(おい)。私が集めてるモノは爆発しないから大丈夫だな。でも、これが警官だというのがねえ。上司は頭を抱えているんじゃないでしょうか。

今日は、打合せが延びて家に帰れなくなってしまった。「終電なんですけど…」と言ってもこえないフリして無視するんだもんなあ。あー、やだやだ。

んで、今日はLibrettoは持ってきていたのにモデムカードを持ってきていなかったのだ。まさか、こういうことになるとは思わなかったからなぁ。だからインターネットできない。一生の不覚である。

すぐ喧嘩腰になる相手と朝の10時から夜中の24時までほとんど休み無しで会議をするのは疲れる。ホテルに入って弁当を食べると、どっと疲れが背中にのしかかってきた。「風呂に入る前にちょっとだけ休もう」と下着姿でベッドにもぐり込む。そんなことをすれば、どうなるかはわかっているのだが…



■4月27日(火)
けっきょく、昨夜はシャワーも浴びずに眠ってしまった。浴衣も使っていない。掃除する人は楽だろうな。ホテルから直接駅に行き、大阪に移動する。移動中に「宇宙への帰還」(
KSS出版)を読んだ。

横山信義氏「星喰い鬼」は、SFの王道を行かんとする作品ですが……あまりにSFらしい作品は、逆にそのことによってすでにSFではなくなってしまうのかもしれない、などとこの作品を読んで考えさせられてしまった。難しいことである。

吉岡平氏「ハウザーモンキー」…こういうタイプの作品は私の好みではない。パス!

森岡浩之氏「A Boy Meets A Girl」…おおっ、センス・オヴ・ワンダーである。SFってえのは、こうでなくっちゃね。

早狩武志氏「輝ける閉じた未来」ですが…この人、巧い。文章の細かいところまで神経が行き届いているのがわかる。いい作品です。私が「泣けるSF」が好きなせいだけではなく。もうちょっとラストがわかりやすい方がいいんじゃないかとは思ったりするんですけどね。

ちょっと時間が余ったので「パソコンは猿仕事」を読む。なかなかうがった見方が面白い。コンピュータ初心者は一読の価値あり、ですな。

帰りに佐藤大輔氏「晴れた日はイーグルにのって」を読んだ。なんでこんなに回りくどい文体を使うんでしょうかね。しかし、竜と「竜士」ですか(苦笑)。以下省略。

なんだか感想文ばかりで面白くないので、別の話題でも…
ソニーが開発したテレビ番組録画ソフト、凄いっすね。インターネットで番組表を見て、録画したい番組をクリックするだけで予約できるなんて。これぞ、究極の予約方式ではなかろうか? これで、録画開始時にインターネットにつないで時間変更にも対応してくれれば完璧だな。通信費用はかかりますけど、将来的には安くなるでしょうし。ハードディスク録画だからランダムアクセスできるし、その番組に関する情報も自動的に取り込んでくれるらしい。そうすると、後で「●●●●が出てるドラマ」などという条件を指定して検索し、選択してそのまま再生できたりするようになるんだろうな。でも、1分録画するために最高画質で60MB必要だってのは、まだまだ実用的じゃないですな。最低画質の1分10MBがギリギリ実用範囲か。まあ、もう少しすれば、リムーヴァブルな記憶媒体も安くなるんでしょうけど。

今日も帰りは真夜中であった。夜空を見上げると、月と並んでオレンジ色のひときわ明るい星が輝いていた。この季節にあれだけ明るい赤い星というと…火星かな。調べてみると、一週間も経たないうちに衝になるんだそうである。

今日、「対なる者の証」の見本が家に届いた。今月中には店頭に並ぶのだろうか。しかし、ずいぶんと渋い本になりましたな。で、税抜きで640円ですか。消費税を足すと半端な値段になっちゃいますね。



■4月28日(水)
今朝は久しぶりに息子に会えた。彼は
「おーりーゆーきゃー、すとっ、みぃい」まで歌えるようになっている。また少し進歩したな。歌いながら踊る。こっちが歌っても踊る。「だんご3兄弟」を歌ってやっても踊る。踊るといっても、手を動かしながら跳ねているだけなのだが。

出勤時に谷甲州氏「繁殖」を読む。やはり、この人の宇宙モノの短編はいいよなあ。細かい描写にやたら説得力がある。職場の最寄りの駅に着いたとき、もう少しで終わりだったので、思わず駅のベンチに座って残りを読んでしまった。これで「宇宙への帰還」は読了である。

昼休みに職場の近くの書店には「対なる者の証」はまだ入荷してなかった。これだと、早くても30日かな。

韓国とトルコで流行っているコンピューターウイルスがあるそうですが…韓国ではこいつのせいで最高裁でコンピュータに保存した証拠物件が消失しちゃったという話ですな。大変ですねえ。で、なぜ韓国やトルコで流行っているかというと、海賊版のソフトにウイルスが混入していたせいじゃないかという…恥ずかしい話だな。日本じゃなくてよかった、というべきか。まあ、日本での被害も皆無ではないようですが。別のニュースソースでは、シンガポールや中国でも大量に被害がでているらしいですね。

家に帰ってみると、カミさんの髪が……フワフワになって色が変わっている。ううぬ、私は女性の容姿に関しては右翼なのである。緑の黒髪がいちばんだと思っているのに……しかし、すごい臭いだな。まるで化学工場にでもいるみたいだ。身体に悪くないの、それ?

連休前半は、電車を乗り継いで3時間くらいの距離にある私の実家に泊まりに行くのだが、カミさんはそこから東京のイベントに行くつもりらしいのである。だから、実家から帰ってくるときには私が一人で息子を連れて帰ってこい、ということなのだ。ツライねえ。まあ、イベント帰りで疲れて気が荒くなってるカミさんと一緒というのも、なかなか辛いものではあるのだが。



■4月29日(祝)
今日は昼過ぎまで寝ていた。カミさんがイベントのパンフレットを買うために
アニメイトに行くというので、あわてて食事を済ませてついていく。

出がけに息子を玄関に下ろして見ていたのだが、彼は私の部屋の扉をノブを回して開けられるようになっている。最近、ときどき扉が開いていたのは彼のせいだったのか。これは鍵をつけなくてはならないかな。ただでさえ本の地層が不安定になっていて書籍流が起きやすくなっているのだ。

私の実家に送る荷物を宅急便のステーションに出して、アニメイトに向かう。近くに来て車をどこに停めようか検討していたら、車の列がまったく動かなくなってしまった。信号が赤から変わらない。これは何かの催事が行われているのだろうか。そのうちにお囃子の音が聞こえてきた。どうやら祭りらしい。山車が交差点を通っていく。交通規制もあるようなので、私は息子を連れて先に降りて歩くことにする。息子は山車から聞こえる大きな音に目を丸くして見ながら歩いている。途中で本屋に入ってヤオイ系の文庫のコーナーを探すが「対なる者の証」はまだ入荷していなかった。まあ、昨日出てなくて今日は休日なんだから当たり前なんだけれども。

パンフレットは売り切れだったようである。帰りに、家の近くにあるスーパーのビルの階上にある遊技場に寄る。息子はまずのぞみ号の乗り物(お金を入れると揺れるヤツね)を見つけて乗り込む。まだ金を入れなくても、ディスプレイに映るデモ映像を見てレバーやボタンをいじっているだけで満足なのである。フロアの奥の方が工事中だったのだが、新しい施設ができている。中にロングサイズのすべり台やフリークライミングなどの遊具があって、入っていた時間により課金されるようだ。保護者は無料だというのがニクイね。入場して、まずはすべり台に登る。パイプ式なので摩擦は少ない。次は「空気圧トランポリン」である。母親と一緒に、かなり長い間入っていた。続いて、ビニール製のボールで満たされた「池」に入って転がる。(どうも、遊具を文章で説明するのは難しいな。特に私は文章力がないから)「池」の中にもすべり台があるのだが、登るところが急斜面に突起がついた形になっているので、幼児には登るのが難しい。息子は裸足になっていたこともあり、足をかけるところを指示してやると何とか登ることができた。登れたのが嬉しかったようで、何度も登っては滑る。最初は毎回同じことを指示してやらねばならなかったのだが、そのうちに一人で登れるようになった。まるで猿の子だな。かなり疲れてきたようである。動きが大儀そうになってきた。さらに三輪車に乗せる。まだペダルを踏めば進むということがわからないようで、身体を揺らして動かそうとする。そしてまたすべり台…

気がつけば1時間以上過ぎていた。息子はもうヘロヘロである。家に帰ろうというが、嫌がる。まあ当然の反応でしょうな。そのうちに、例によって「かーちゃん、ばいばい」「とーちゃん、ばいばい」をやりだした。彼を置いて歩いてゆくと嫌々ながらもついてくるが、下りのエスカレーターに乗る段になって、ついに足が止まってしまった。これに乗ってしまうと、もう遊技場からはサヨナラだからね。カミさんは先に降りていってしまった。続いて私がステップに乗って下りはじめた瞬間、彼は火がついたように泣き出した。でも、下りようとはしない。ステップの手前で泣いている。カミさんが彼のところに行くために反対側のエスカレーターに向かって彼の視界から消えると、さらに激しく泣く。ついに転がるようにしてエスカレーターに乗った。へたりこんで下りてくる。疲れもあるようだ。車に乗ってもかなりグズっていたが「でんしゃ」を見れたこともあり、しばらく走っていると機嫌もなおったようである。

家から帰って玄関に入ると、息子は「のぞみ、のったねえ」「ぼーる、はいったねえ」などと喋る。お出かけ中に見聞したことを話しているのだ。最近は記憶力も発達してきて、何かと報告してくれるのである。これを聞いてやるのを鬱陶しがると、子供が親と会話をしなくなるという話なんだな。

夕食を食べて息子を風呂に入れ、寝かしつけてからカミさんとカウボーイビバップの最終回ザ・リアル・フォークブルース(後編)を観た。いや、やはり凄いですねえ。この密度、そしてトータルの品質の高さ。音楽を一つの主要なテーマにしているこの作品、菅野よう子さんの才能がいかんなく発揮されています。また、ヴォーカルに山根麻衣さんを起用しているのがまた渋い。あれだけの実力を持ちながら、曲に恵まれずに消えてしまったんじゃないかと失礼ながら思っていたんですけど、地道に活動を続けていらっしゃったんですねえ。最初にエンディングテーマで声を聞いた瞬間、彼女だとわかったんですが、それだけでもこのアニメは凄いと思いましたね。その期待は、まったく裏切られなかったのですけれども。

最後に、ちょっと広告を入れてみました(笑)。画像じゃないのでそれほど重くはならないと思うのですが、目障りだと思われる方にはすみません。あと、テーブルを見れないブラウザをお使いの方も、いらっしゃいましたら申し訳ないことです。あ、それから、若島津さんと木根さんのお名前も入れようとしたのですが、どうもうまくまとまらないので断念しました。お許しを。暇があれば、またいろいろとやってみるつもりですけど。



■4月30日(金)
今日は休みを取って実家に帰るのである。家を出て最寄りの駅に家族3人で歩いていると、美味いのでいつも買っているケーキ屋でウインドウにステッカーを貼ってあるのが目に入った。曰く「ケーキで景気回復」……おい、それってイメージダウンにならないかい? ケーキ屋というのは高級なイメージを演出すべきものだと思うのだが、それがこんなオヤジギャグなステッカーを…

電車を乗り継いで移動するのである。近鉄、地下鉄、阪神、山陽。途中ではJRの車両も見れる。とうぜん息子は興奮しっぱなしである。難波では近鉄の「とっきゅーでんしゃ」と「あーばんらいな」が並んで停まっているのを見て立ち止まってしまった。キミ、今日はツイてるねえ。短い新幹線との並走区間でも300系のぞみが走っているのが見えたし。これで逆方向に500系が走ってるのが見れれば完璧だなと思ったが、世の中それほど甘くはなかった。しかし、のぞみが見えたときには、両親の方が「ほら、のぞみ、のぞみ!」と大騒ぎしてしまった。息子は、のぞみが見えなくなってから「のぞみ、みた」と実感がわいてきたようであった。ナマの新幹線を見たのは初めてだろう?

実家に帰る。短い期間に息子がずいぶん喋るようになっているので驚かれる。毎日見ている私でもここ数週間でずいぶん喋るようになったと思うくらいだからねえ。

弟の部屋で読む本を探す。「電脳炎」が「ウィン版」「マック版」の両方があった。唐沢兄弟の本をすべて買っているのは知っていたが、まさか2冊とも買ってしまうとは…まるでオタクじゃないか。薄々の一般人たる私の弟だとは思えないな。(真剣に違いを探してて途中で飽きたらしい)

実家から帰るときには一人で息子を連れて移動しなければならないので、3kgを超すカミさんのPowerBookを持って行く自信がない。Librettoを持って帰省することにする。しかし、Librettoのキーボードは小さい。それに、パームレストがないので手首を上に向けた形でタイピングしなければならないので、腕が疲れる。小さいマシンは、小さいなりの不便さがあるのであるなあ。

実家は宅急便の取次をしているので、祖父母が販促用のクール宅急便のミニカーを息子にくれた。扉も開くし(スライドドアだったりする)、車内もけっこう精巧な造りである。これは将来プレミアがつくかも(ぉぃぉぃ)。息子は大喜びである。そのあたりを走り回らせる。昼寝後にも起きてきて「たっきゅーびん、どこかな」と言ってくる。覚えているんだねえ。

ウチの実家は零細なペットショップを営んでいるのだが、夜になって手乗りにするためのセキセイインコのヒナがやってきた。私の父が餌をやるときには怒った声を出していたのだが、私が掌の上に乗せておとなしくさせたのをカミさんに感心された。鳥でも猫でも人間でも、気持ち良いポイントを探し当ててそこを優しく刺激してやればおとなしくなるだけのことなんだけどね。まあ、手乗りの鳥は何百羽と世話してきたからねえ。身体が覚えているのだろう。息子はというと、鳥を触りたくてしかたがないのだが、掌の上に乗せてやろうとすると逃げる。こちらの掌の上に乗せているのを撫でさせてやると大声を上げて喜ぶ。こらこら、そんなに大きな声を出すと鳥が脅えるじゃないか。撫でるときにも、どうしても逆撫でしてしまう。毛並みに沿って撫でなきゃだめだぞ…と言っても無理だしなあ。

今日は実家で通信するので、テレホーダイが使えないのである。だから、リンク先を探すために時間をかけられないので、帰省中は日記からリンクが張れません。また、NIFTYの通信ソフトも使える状態になっていないので、メールも見れない可能性があります。ご了承を。



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