1999年5月上旬の日記

■5月1日(土)
息子は、私の実家に来てからなかなかウンチをしない。昨日も、何度も「うんこ」とか言って。そのたびにトイレに連れて行って座らせるのだが、出ないのである。オマルはかさ張るので持ってきていないのだ。まあ、我が家のトイレでもできていないんだから無理もないか。大人でも慣れないところでは出にくかったりするものだったりするからね。彼はお腹がパンパンに膨れている。食事も、食べたいのになかなか食べられないようだ。今日は、おむつのままでやらせたらしい。すると、午前中に3度も出した。さらに、夕食後にも1回出た。それでもまだ腹が出てるなあ。

今日は、カミさんが東京に行ってしまうのである。息子を連れて見送りに行く。彼に新幹線を見せてやるのである。息子は、家を出て100mも歩かないうちに私の前に回って下から顔を見上げて「おんぶ」と言う。だが、明後日には一人でコイツを連れて帰らねばならないので、甘えさせてはいけない。無視するのである。先に歩いていくと、べそをかきながらついてくる。泣いている子供の手を引いて歩くのは、なんだか人さらいみたいだな。途中でカミさんが抱いて少し歩いたが、泣きながらも駅まで歩いてくれた。でも、踏切が見えると、とたんに元気になるのである。現金なものだ。

新幹線のホームに入場券で入って、息子に「しんかんせん」を見せてやったのだが、列車がものすごく長いことにも、猛スピードで通過していくことにも、彼はあまり反応しない。彼にとっては通常の電車と同じなんだろうかと思ったが、後で「しんかんせん、みた」とか「びゅーん」とか言っていたので、多少は感じるものがあったのかな。で、カミさんが列車に乗ると、やはり泣き出すのである。扉が閉まり、動き出す。もう、彼はメロメロである。「かーちゃん、かえってくる」と言いながら泣く。駅にくる前に本屋に寄って買った絵本を読んでやると、泣き止んだ。毎日保育所に行っているので鍛えられているということか。

最寄りの駅から私の実家に帰るときにも、息子は愚図りながら歩く。受け入れられないのがわかっているのか、抱くように要求はしないが、べそをかきながらとぼとぼ歩く。頑張れ。少しでも長く歩いてくれ。途中で気分転換に公園に入る。息子はベンチに座り込んでしまった。しばらく座って休む。木陰の風が気持ちいい。また歩き出すが、ついに耐え切れなくなったのか、泣きながら私の前に出てしがみついてきた。よしよし、だったらおんぶしてやろう。私も荷物を持っているから、あまり長距離は歩いてやれないけどな。見捨てられていないことを確認したためか、彼は嬉しそうである。すぐに降ろしたが、少し歩くと実家の隣の理髪店を見つけて「ぐるぐる」「さんぱつやさん」とか言いながら歩き通したのであった。

実家に帰って昼食を食べさせ、昼寝をさせようとするが、これも嫌がる。押さえつけて彼の好きな絵本を読んでやると、抵抗しなくなった。読み終えて抱き寄せ、背中をぽんぽん叩く。疲れているのでそのまま寝てくれた。こちらも疲れて…

夕食時にも、なんだか様子がおかしい。祖父の顔を見てぼんやりしている。食べることに集中していない。テレビをつけているせいじゃないかと思って消してもらうが、テレビが消えると彼は小声で「かあちゃ…」と言い出した。すぐに「かあちゃん、かえってくる」と繰り返して泣き出す。慌ててテレビをまたつけたのであった。

ということで、今日もNIFTY巡回用のソフトの設定ができなかった。まだメールが読めない。また、今日から5月なので日記は別のページにすべきなのだが、
Librettoではそこまでできないので、帰省中は4月下旬のページの後ろに追加させていただきます。重くなりますが、ご了承をお願いします。

今日も、街に出て新幹線の駅に行く前に本屋に寄って「対なる者の証」を探した。ジュニア向けの本は3階にある。階段しかないので、子連れでは大変だ。まあ、若い人しか行かないところだからねぇ。上がってみたが、そこにはまだ並べられていなかった。今日出ていなかったら、連休明けになってしまうな。いや、まだ結論を出すのは早い。街には何軒も本屋はあるのだ。店を出て「さあ、次の店行ってみよう」と言う。まるで酔っ払いのオヤジである。カミさんは「ここに無かったら出てないんじゃないの」と言うが、まだ出発までは時間があるのでついてくる。2軒目の本屋も3階まで上らねばならない。上っていくと、ついに平積みになっているのを発見したのであった。10冊近く積んである。こういう本は、無いところと置いてあるところの差が激しいな。店作りのコンセプトにかなり影響されるのはわかるような気がする。しかし……長かったね。この物語を最初に書いていたときには、息子はまだ君のお腹の中にいたんだよな。大きなお腹をしてワープロに向かっていたのを覚えている。今は、その息子が私の横で絵本を読んでくれとせがんでいる。ずいぶん、いろんなことがあったからね。これが、君の最初の本だ。編集さんや、いっしょに設定を考えてくれた人や、イラストを書いてくれた人々の助力があったとはいえ、この物語の文章はすべて、君の指が紡ぎ出したものだ。誇ってもいいことだと思うよ。

おめでとう。



■5月2日(日)
昨夜は、日記を上げて風呂に入ろうとしたところで階上から泣き声が聞こえてきた。息子が起きたのだ。階段を上がって彼が寝ている部屋に入り、添い寝をしようとしたが、彼は「とーちゃん、ばいばい」と私を押しのける。仕方がないので、部屋の外に出て扉の外から室内をうかがう。しばらくすると静かになった。しかし、これだと風呂に入れないな。家族はもうすでに全員寝てるし、泣き出しても誰も対応できない。慣れない家で階段を下りようとして、また転落されても困るし。歯を磨いて再度部屋に入っていくと、またグズグズいいだしたので、そのまま彼と一緒に寝たのだった。

今朝も私は遅くまで寝ていたのだが、あまり遅いので私の母親が様子を見にきたときに息子が目を覚ましていたので、連れて下りてくれた。彼は目が覚めても両親が眠っていると大人しくしているのである。出来た息子だよ、ホントに。

祖父母は、孫とコミュニケーションをとるのに苦労しているようである。2歳半の子供の言うことはなかなか理解しがたいのだ。今日も「でっかいちょーでー」とか歌い出したりするのだが、何を言っているのかわからない。実はこれは
プラレールに付属していたビデオで歌われている曲で「でっかい超デカ500系のぞみ号」という歌詞なのだが、その断片なのですな。その他にもそのビデオに出てくるものがアトランダムに出てくる。彼が吸収したものが彼の内面世界の中でバラバラになって、その断片がプカリプカリと浮かび上がってきて彼の口から出てくるわけで、元ネタを知っていないとどうにも翻訳不可能なのである。

今日、息子は祖母から1mくらいの鯉のぼりをもらった。気に入ったようで、ずっと持って振り回している。危ないなあ、とは思ってはいたのだけどね…夕食後にも振り回しながら走り回っていたのだが、祖父の膝の上から跳ぼうとして祖父の服に足を引っかけて顔から畳の上に落っこちた。鼻血がドロッと出てきた。まあ、これは鯉のぼりを持っていたせいではないのだが、両手が空いていれば受け身もとりやすかったかもしれないなどと思うのだった。その後にも、座っている私の上に乗って逆さまになり、私と壁の間に挟まってジタバタしていたと思ったら、また鼻血を出していた。まったく懲りないヤツである。2歳だから仕方ないんだけどね。

今夜は息子を寝かせるのに苦労した。今日はあまり外に出ていないので疲れていないし、昼寝も遅くまでしていたからねぇ。なかなか寝るためのポジションが見つからないようで、その辺を転がり回る。私の胸に顔を埋めると落ち着くようなので、腹の上に乗せて背中をポンポンする。いわゆるひとつのトトロの体勢である。だが、顔の位置が決まらないようだ。けっきょく、最初に寝ていた位置から私を乗り越えて反対側に行き、もう一度私の上に乗ってから元の位置に戻って寝付いたのであった。



■5月3日(祝)
昨夜インターネットしていたら、突然
Librettoがリセットしてしまった。再起動後につなぎ直そうとしたのだが、以下のようなエラーが出てつながらない。ダイヤルさえしようとしない。

インターネットサイト
http://www.asahi.com/
を開けません。
サイトが見つかりませんでした。アドレスを確かめ
てから、やり直してください。

アドレスは正しいんだよ! テメエの探し方がおかしいんじゃねえか! などと怒りながら、モデムカードを抜き差ししたり、コントロールパネルをいじったり、再起動したりしたが、ぜんぜんダイアルしようとせずに「見つからない」というのを繰り返す。いろいろやっているうちに、偶然に無理矢理ダイヤルさせる方法を見つけたから復旧したが、初心者だったらどうしようもないだろうな。ったく、Windowsというヤツは……1時間も貴重な時間を無駄にしちまったぜ。

今朝は息子が起きたのがわかったので、階下に連れていって祖父母にお願いしてまた寝た。昼頃に起き出す。昼食を食べたら我が家に帰るのだ。息子は、私が鞄に荷物を詰めはじめると、不安げな顔になって私から離れようとしない。母に置いていかれたと思っているので、父に置いていかれたら終わりだと思っているのであろう。祖父母が着替えさせると、靴を履いて玄関に立って待っている。キミを置いて行ったりしないからさあ。

実家の家族も出かけるというので、駅までは一緒にタクシーで移動する。私が切符を買って、私の母が買っているときに私と息子が乗るべき電車が来た。慌てて自動改札を通り、息子を呼び寄せ手を引いて階段を上って列車に飛び乗る。祖父母とは別れを惜しむ暇もなかったな。情緒のないことではある。

今日も息子はいろいろな電車を見ることができた。山陽、阪神、地下鉄。途中ではJRや阪急の車両も見ることができたし、今日も新幹線が走っているのを見ることができた。両数が少なかったからこだまだと思うんだけどね。最後に乗った電車はOTSの車両だったんだが、息子には地下鉄と同じだろう。

息子は移動中には素直についてきてくれた。長い階段も手を引いて「うんしょ、うんしょ」と上ってくれるし、精算するときに「待っててな」と言うと大人しく待っていてくれる。ただ、最後の地下鉄駅から地上に出るときは、かなりの段数を上ったので疲れたのか出てから何度かつまずいた。カミさんと古本屋で待ち合わせたのだが、なかなか来なかったので息子は飽きて出ようとする。しばらく外を歩き回るしかないか…と思って店外に出たところでカミさんの車がやってきたのだった。

家に帰って夕食を食べる。今日は刺身だったのだが、息子に甘エビを醤油だけつけて食べさせてみた。こういう味は好きだろう。そのときにはそれほど大きな反応はしなかったのだが、私がワサビ醤油をつけて食べようとしたのを欲しがる。ワサビ付きは子供には辛いので、醤油で洗って食べさせたのだが、「からいー」と言って泣きだした。昨夜顔から落下したときに口の中も切ったようだったからねえ。でも、私がキムチを食べていると欲しがるのだ。これも食べさせると顔をしかめて「もういらん」と言ったが、しばらくするとまた欲しがるのである。

息子は昼寝もさせずに移動させたせいか、食べているうちに機嫌が悪くなってきた。最後には「とーちゃん、じぶんで」と言いながらご飯の入った茶碗を私に渡す。両親とも何をしてほしいのかわからない。何度も繰り返すが、思うとおりにしてくれないので泣き出した。処置なしである。最終的には泣きながら「とーちゃん、だっこ」と言って椅子から立ち上がる。胸を合わせて抱いてやると、私の胸に顔を埋めて泣いていたが、いつしか眠ってしまった。眠りが落ち着いた頃合いを見計らって寝室に移動させる。家に帰って安心したのかな。ご苦労さん。

そろそろ、子供を抱くと暑い季節になってきた。



■5月4日(祝)
昨夜は、久しぶりの
テレホーダイなので、調子に乗ってネットサーフィンしていて気がついたら朝になっていた。寝室に入ると、息子とカミさんが同じ布団で寝ている。珍しいことである。ここ数日息子を放っておいたので、母としては大サービスなのであろう。でも、そう言いながらも昨夜は息子が夜中に起きて、寝かしつけるときになかなか大人しくならないというので怒ってたりしていたのではあるが。

それで私は、今日は昼近くまで寝ていた。今日から木根さんと若島津さんが泊まりに来られるので、カミさんが車で迎えに行くのである。そのため、息子はまた今日から明日までカミさんの実家に預けられてしまうのだ。朝から預かってもらう予定だったのだが、近所で葬式が出たとかで夕方からになったそうである。カミさんは息子を連れて二人を迎えに行った。

一人になったので、久しぶりに柿木将棋IIをやっていたら、車が帰ってきた。ここ数日は睡眠不足から脱しているので、けっこういい勝負であった。コイツと互角以上に戦うには、体調を整えて毎日やらなきゃダメだな。で、息子であるが、久しぶりのお二人にもそれほど緊張した様子はない。「きつねしゃん」「しゃりちゃん」と呼んで、もたれたり膝の上に乗ったりしている。覚えているのかねえ。カミさんは、以前からお二人が来ることを言い聞かせていたようではあるが。

お二人は荷物を置いて一息ついたら、また出かけて行かれた。イベント前後というのは、何かとやることが多いようである。前後して我々もカミさんの実家に行く。実家では、私がお義母さんにいろいろと食物をすすめられて遅くなってしまったので、カミさんはちょっと不満げである。息子は上機嫌でご飯を食べていたのだが、両親が別れを切り出すと、とたんに表情が変わる。すまないなあ、連休だから本来なら家族はキミを中心に行動すべきなのだが、我が家はそうではないのだよ。だからといって、連休以外にちゃんと相手をしてやっているかというと、そうでなかったりするのが辛いところなのだが。

カミさんの実家からの帰りに、周辺の書店を巡って「対なる者の証」の動向を調査した。未入荷の本屋もあったが、入荷済のところにはけっこう多めに並べられていた。カミさんはそれを見て安心したようである。並べてもらっていれば、あとは本自体の持つの問題だからね。でも、あまり売れている様子ではなかったな。まあ、告知されている発売予定日が「10日ごろ」だから……だと思っておこう。



■5月5日(祝)
今日は、息子はカミさんの実家だし、カミさんはお客様方といっしょにイベントに行っているので一人なのである。自由ではあるのだが、明日からまた仕事だと思うと気が重い。今までは、あまりこういうことは無かったのだがなあ。それに、昼前に起きて身体のメンテナンスをしていたらカミさんたちが帰ってきた。この時点で日記に書くべきことは何もないのである。家族がいなければ何も書けない……私は空っぽの人間なのだあ。

夕方から、カミさんの友人達とお食事に行く。
枯れ草の4人と大清水さちさん&北条風奈さんwith売り子さん、そして私というメンバーである。私は、いわゆる黒一点である。まあ、話をお聞きしてて思ったのは、若い人に受けている作品を創っているということは何かと大変だなあということですな。うちのカミさんの作品は、そんなに若い人には受けないと思うけどね(苦笑)。けっきょく、終電近くまで話していたのであった。薄々の一般人である私は、皆様の濃ゆい話についていけなくて大変であった。



■5月6日(木)
今朝、息子はカミさんの実家から直接保育所に「登校」である。母親が迎えに来て家に帰れると思ったらしいが、家を通り過ぎて保育所に行きつつあることがわかってベソをかいたらしい。不憫なヤツよのう。

今日、家に帰ると階上から息子の泣き声が聞こえていた。ずいぶん激しく泣いている。取るものも取りあえず寝室に上がる(でも、パソコンの電源は入れてからなのだった)。息子が、カミさんに抱かれて泣いていた。寝室に入ってから「まっくす」(
プラレール付属のビデオ)を観るといってゴネていたらしい。カミさんは、家に帰って安心したんじゃないかと言う。彼はカミさんの実家では、何でも素直にやるすごく良い子だったそうなのである。彼なりに緊張してたんだろうねえ。その反動だとしたら……少し心が痛むなあ。両親二人がかりでなだめる。ようやく笑顔が出た。絵本を読み、抱きしめて寝かせる。かなり時間がかかった。やはり、こちらも寝てしまっていいくらいの心持ちでないと、子供も寝てくれないものである。

そういえば、大清水さちさんによると、カミさんはいままでネットで見たヤオラーの中でいちばんゲヒンだという評価なんだそうである。本人以外は全員納得してしまったところがねえ……でも、私も「噂の人」だったそうですからね。やはり、ゲヒン度ナンバーワンとつきあっていられる人、ということなんだろうか。

今日から通勤中に「異形コレクションX 時間怪談」を読んでいる。まず、恩田陸氏「春よ、こい」と西澤保彦氏「家の中」を読んだ。

春よ、こい」は、すごくいい雰囲気の作品ですね。この甘酸っぱいような雰囲気が好きだなぁ。こういうのが「時間モノ」の醍醐味の一つでしょうか。なんでこういう結末になるのか、イマイチ納得できない部分もあるんですけど、この雰囲気ですべて許してしまおう。でも「こういう枚数の稼ぎ方もあるのね」と思ってしまったのは秘密である。

家の中」もすごい話ですね。ただ、この作品も結末がよくわからなかったんですけどね。編者の方も書いておられますが、読者の予測を外すためにこういうふうにしたのかもしれませんけど。…でも、2作とも結末に納得できないってのは、やはり私が馬鹿だからかな。

ただ、これは以前から思っていたのだが、各作品の冒頭にああいう黒ベタのイラストを配置するのはやめてほしい。読んでいて「この作品はあと何ページ」というのがわかってしまうじゃないか! 小説というのは、なるべく先が見えない状態で読みたいのである。

先日書いたウイルスですが、中国解放軍や公安当局のコンピューターも被害に遭って、警戒態勢に入る騒ぎになっているらしいっすね。こりゃ、じゅうぶん兵器として使えますなあ。しかも、造った人間が台湾で現在軍人をしているというんだから、ヘタすりゃ外交問題ですな。



■5月7日(金)
今日も通勤時に「異形コレクションX 
時間怪談」を読むのである。まず山下定氏「石女の母」…これは、重い。どう表現すればいいのだろう。この「無言の迫力」とでもいうべきものを。この臨場感、私の両親も九州出身だということもあるのかな。この作品中に使われている方言、普通の読者にニュアンスまで伝わっているだろうか。

そういえば、ウチの父親も長崎のキノコ雲を見たって言ってたなあ。当時、今でいう中学生だったはずだ。彼は熊本に住んでいたのだが、木に登って見たとか言っていた。有明海越しに見えたのか。本当かなあ。

帰りには倉阪鬼一郎氏「墓碑銘」と早見裕司氏「後生車」を読んだ。やっぱり私はホラーはダメだわ。これはもう、個人の好みなのでどうしようもない。「墓碑銘」の最後の1行には意表をつかれたんですけどね。でも、これもやっぱり意味がよくわからない。裏側から見てるらしいというのはわかるんだけど、「それがどうしたの」としか思えないのですね。「後生車」もラストがよく解らない。う〜ん、やっぱり私がバカだということか。

しかし、何と言いますか、こういう時間モノの短編を続けて読んでいますと、なんだか昔のことを思い出してしまいますね。子供の頃のこととか、学生時代のこととか。でもこの本、暗い話ばかりなんで、自分の記憶もずいぶんくすんだセピア色に見えちゃうんですけど(笑)

昼休みに「笑うカイチュウ」を買った。文庫になったんだな。話題になっていた本だと思うんだが、今ごろ買うとは、ずいぶん流行から後れてるよなぁ。まあ、流行に乗る気はぜんぜん無いヒトなんですけどね。

家への帰路、自転車を漕ぎながら、ふいに肩に力が入っていることに気づく。ああ、力を抜かなきゃ……ふう。肩を落とすと、首の後ろがラクになった。やっぱり緊張してたんだなあ。息子のことは言えないな。この土日は息子にサービスしてやらなきゃね。ここんところ、家庭内は親の都合で動いてたんだから。

肩に力、入ってませんか?



■5月8日(土)
今日、息子は両親の調子が悪いため保育所に行くことになる。カミさんは昨夜から鼻水と咳が出ているようなのだ。数日前からノドの調子は悪そうだったが…イベントが終わるとコレだ。息子が浮かばれんなぁ。午後に前の保育所の行事もあったのだが、これもキャンセルである。

カミさんの調子が悪いので、今朝は私が息子を保育所に送って行く。着いたときに女の子が全裸になって着替えをしていた。カミさんは「女の子が裸だと保育所の子でもドキッとする」というようなことを言っていたような気がするが、この年代はいくらロリコンとはいえ私にはそういう目では見れないなあ(見てたら困るって)。着いてからやるべきことをカミさんに確かめてから行ったのだが、初めてなので時間がかかった。着替えを篭に入れたり、手拭きを用意したり、単純なことばかりなんだけど。でも、忘れると大変だから。息子が自分で対処できるわけじゃないからね。作業を終えて、すべり台で遊んでいた息子に「ほな、行くで」と声をかけると、たちまち顔がこわばる。今日も、泣きながら保母さんに抱かれて別れたのであった。

私も激しくノドが腫れていたので午前中に医者に行くつもりだったのだが、洗濯物を干し終えて昼寝をするカミさんについて寝室に行き、彼女の背中や首などをマッサージしてイチャイチャしていたら私も寝てしまっていた。気がついたら午後である。行くつもりだった耳鼻科の医者は受付時間外だ。眠ったら症状も軽快したので、まぁいっかぁ。

夕方、息子を迎えに行く。昨夜で、くしゃみ・鼻水用の漢方薬が切れたので薬局に寄る。ついでに2軒ほど本屋に入ったが、「対なる者の証」は入荷していなかった。夕食を買いに行ったときにも別の店に寄ったが入荷していなかった。3連敗である(こらこら)。編集さんの話によると、ウィングス文庫は創刊(という言い方でいいのだろうか)したところなので、多めに刷っているそうなんだけどね。だから、置いてある本屋には多めに入荷しているんだな。そういうわけで、カミさんの印税も少し多めである。彼女は気分が大きくなって「
専用線を引こうか」などと言いだしたが、昼間でも必要なときにアクセスするだけでも数万円にはなかなかならないと思うんだけどね。気分的には常時接続というのは魅力だけれど、「テレホーダイしなかった場合の金額」も我が家では1万円を少し超えるくらいですから(これが1万円を超えないと悔しい (^^;)。そのくらいのお金は油断してるとすぐに無くなっちゃうんだから、有効に使いましょうね。

ここしばらく息子にしんどい思いをさせているので、薬局からの帰りにサービスで電車の線路沿いに帰る。何台か電車が見れて「とっきゅーでんしゃ」の車両も含まれていたので、彼は「たのしかった」と言ってくれた。そう言ってくれると、父ちゃんも嬉しいぞ。

そういえば、息子は保育所に迎えにいったときには家にいるときよりもよく喋るようになっているような気がした。保育所ではよく話を聞いてもらっているのかなあ。それとも同年代の子供たちと一緒にいたからだろうか。私が迎えに行ったときにも、いろいろと説明してくれる(帰路の自転車に乗っているときにも何かと喋っていた)。保育所では各人の下駄箱や着替えの篭、汚れ物入れなどに各々のシンボルマークのシールが貼ってある。息子のはリスである。いわゆるGUIになっているんですな(笑)。そのアイコンを一つ一つ指差しては「まーく」と教えてくれる。そうかそうか、これが自分のマークだということがわかっているんだな。保育所に着いたときにも、一人で靴を脱いで自分の下駄箱に入れていたしな。帰るときにも自分で靴を履く。かなり時間はかかったが、気長に見ているとかかとを踏んだ形になっていたのも自分で直していた。自分の家では履かないんだけどね。板の間と土間の段差が大きいせいかな。

カミさんの体調が悪いので、今夜はファーストフードなのである。車でハンバーガーを買いに行った。家に帰って、息子にも自分で持たせて食わせるが、自分の手前にある底のパンしか囓らない。カミさんが「いちばん美味しいとこ食べてないじゃない」と言うんだけどね。彼が「じゅーす」を要求して渡しかけたときに彼の手が汚れていたので拭こうとしてコップを置いたら、それが気に入らなかったようでゴネだした。「いる・いらん病」が発病してしまったのである。「じゅーす、いる」とか言いながら、「ホンマに要るんか?」と訊くと「いらん」と応える。ハンバーガーも同様である。何度やっても同じなので、カミさんがハンバーガーを持ち去ると、さらに火がついたように泣き出した。でもなあ、それはけっきょく自分のためにならないということを学習してもらわないと困るんだよ。

疲れているようなので、少し早いが寝かせることにする。カミさんも一緒に寝室に入ったのだが、辛そうなので私が寝かせることにする。息子は「だっこ」と言ってカミさんの方へ行くが、彼女が動かないので私が「こっちへ来い」というと素直にやってくる。昨日までだったら確実に「ばいばい」されてたな。今日は一緒に過ごした時間が長かったからね。胸の上に乗っけて寝かせる。しかし、ゴロゴロ動き回ってなかなか寝ない。22時までには寝てくれると思ったのだが、けっきょく23時近くになってしまった。「ヒッパレ」が見れなかったじゃないか (;_;)

カミさんに高校の同窓会から手紙が来ていた。「雲組」…ですか。なんだか宝塚みたいだな、女子校の感性って。



■5月9日(日)
ありゃ〜、カウンタが1000超えちゃったよ。今朝の4時過ぎであった。やはり、
無限壁URLを書き込んだせいだろうな。今までは100増えるのに半月くらいかかってたのが、3日でいっちゃいましたから、5倍になったことになりますか。まあ、今まではろくに宣伝もしてなかったですからね。数えてみると、ほとんど身内しか読んでなかったことになっちゃうわけで。まあ、大半は一回どんなものか見に来た人なんでしょうけど、そこから何パーセントのリピーターを確保できるかが問題なんですがね。ここの内容は万人に面白いものではないですから。NIFTYでの実績を利用するのは反則のような気もしますけど、ネット人脈は大事にしなくちゃね。でも、もともとはカウンタを増やすために始めたものではないのですが、作ってみるとカウンタが増えるのが楽しみになってしまうという話は我が身で実感してしまいましたな。

今朝は、昨夜から無限壁のログを読み書きして日記を書いてたら明け方になってしまった。やはり両方というのは無理だな。ちょっとセーブしよう。だが、いま寝てしまうと息子が起きてきたときに対応できないな。昨日の調子だとカミさんも朝からは起きられないだろうし。ということで、徹夜することに決定する。大丈夫かいな。新聞社のサイトから朝刊の記事を落として読んでいると、階上でドンドンという音が聞こえてきた。寝室に上がるが、息子はまだ寝ていた。寝返りをしただけらしい。しばらくして、平日なら保育所に行く時間になっても寝室は静かなままである。あまり遅くまで寝かせていると生活のリズムが乱れるので、息子を起こすことにする。早起きさせないと徹夜した意味がないしね。寝室に入り、息子のアゴの下をくすぐる。彼はケラケラ笑って「まっかい」(もう一回)と言う。イヤじゃないのかね。いきなり「さんよーでんしゃ、のった」とか「しんかんせん、みた」とか言うので、実家に帰省するときにたくさんの電車を見たというのは、彼の中に強烈な印象を残しているようである。

二人で居間に下りたが、食べるものがない。パンもないし、炊飯器の中を覗いてみると米は研いであるが炊けていない。見ると、電源コードが抜かれている。今から炊いていたのでは息子が耐えられないだろうから、コンビニに朝食を買いに行くことにする。昨日1人で靴を履いているのを見たので「靴を履いときな」と言って自転車を出しに行く。玄関に戻ってみると、息子は靴を掃き終えていた。おお、できるじゃないか。でも、よく見ると左右が反対なんだな。「反対やで」と言うと、彼は「はんたい…」と言いながら靴を脱いだのだった。

コンビニに着いて食べるものを選んでいると、息子は「イニD」のコミックスを指差して「いにしゃるびぃ」と言った。さらに人物を指差して「たくちゃん」、車を指差して「はちろく」と言うのである。そして、「シンちゃん(仮名)、えらい〜」とか言っている。いったいどういう教育してるんだ、母親は?

サンドイッチとアップルパイを買う。息子はレジのねーちゃんに向かって、カウンタに貼ってある団子のディスプレイを指差し「だんごさんきょうだい」とか言っている。他に客もいないし幼児の言うことなので相手をしてもらっている。いいなあ……いや、ナンパはいいから早く帰ろうぜ。

家に帰って食事をしていると息子は「うんこ」とか言いだした。慌ててトイレに走る。オマルを使うのは面倒臭いので、しばらく前から彼が排便を訴えたときに私1人であればトイレに連れ込むことにしているのである。ズボンとパンツを脱がせて便座の上に乗っける。彼はしばらくウンウン言っていたが、何も出ない。かなり長いあいだ彼の上体を支え、顔を見合わせて相手をしていたが、けっきょく何も出なかった。便座から下ろしてパンツとズボンを穿かせ、手を洗わせてまた食事を再開する。しばらくするとまた「うんこ」と言いだした。また彼を連れてトイレに走る。子育ては根気である。最初にウンウン言って何も出なかったが、しばらく座らせていると今度は本格的に身をよじってウンウン言いだした。ちゃぽん、と水音がする。おお、やったじゃないか。少し間をおき「もう出えへんか?」と確かめて便座から下ろす。たくさん出ている。偉いぞ。トイレットペーパーで拭いたが、肛門もほとんど汚れていなかった。食事に戻って、もう一度排便を訴えたが、三度目は何も出なかった。

例によって、食後は絵本を読んでやる。眠い。読んでいると何度も気を失い、息子に促されて目が覚めることを繰り返す。もうどうしようもないので、テレビをつけて「まっくす」(プラレール付属のビデオ)を見せる。私が座椅子にもたれて目を閉じていると、息子は「おきてー」と言うが、父ちゃんは眠いのだよ。眠りながら、彼がビデオを見ながら何か言うのに相槌を打っていたが、そのうちに意識がブラックアウトしてしまった。今日くらいはちゃんと息子の相手をしてやろうと思っていたんだけどねえ。悪い父親である。そうこうしていると、昼近くになってカミさんが起きてきた。私の醜態を見て「寝たら?」と言ってくれる。言葉に甘えて歯を磨き、絵本を読んでノドが痛いのでイソジンでウガイをして寝室に向かったのであった。

眠っていると、息子がやってきた。カミさんが彼を連れて昼寝に来たようである。起きて相手をしろと言っているようだが、反応できない。その後も、上に乗られたり、踏まれたり、引っ張られたり、上を歩かれたりしたような記憶が……けっきょく息子は眠らずにずっと寝室内で遊んでいたらしい。

4時間ほど寝て目を覚ます。息子は起きている。カミさんもすぐに起きてきた。カミさんが夕食の用意をしている間に息子を連れて買い物に行く。夕方だったので、踏切で「でんしゃ」がいっぱい見れた。

今夜のメインメニューは八宝菜である。見ると、ウズラ卵が大量に入っている。カミさんが大好物なのだが、息子も彼女に似たのか大好きなので、以前は壮烈な取り合いを演じていたという経緯があるのである。「これじゃ『八宝卵』だな」というと、息子が「はっぽーらん」と言いだした。おいおい、そういうことを覚えちゃイカンぞ。そういえば、卵を「たまご」と言えるようになっているな。



■5月10日(月)
昨夜はカミさんが電話回線を占有していて時間がかかりそうだったので、先に寝て今朝早起きする。
無限壁に発言を上げてここの日記を更新し、カミさんのお知り合い関係のサイトを覗いていたら、妻子が起きてきたようである。息子は少し眠そうだが、機嫌は良い。おにぎりを食べているが、最後の一個がなかなか無くならない。私がご飯を食べ終えて野菜ジュースを飲んでいると「じゅーす、ほしい」と言うが、「おにぎり食べや」と言っても少し囓るだけである。何度かそういうやり取りを繰り返して、もう食べないと判断したのでジュースを飲ませる。だが、カミさんが「食べへんのやったら母ちゃんにちょうだい」と言うと、「たべるの」と言うのである。挙げ句の果ては口いっぱいに詰め込んでしまい、吐き出してしまった。あ〜あ、吐いちゃったよ。ジュースまで吐きやがった。また母親に怒られるのである。

今日も通勤中に「異形コレクションX 時間怪談」を読むのである。まず北原尚彦氏「血脈」を読んだ。これはなかなか面白かったですね。最初は古臭い文体に違和感があったんですけど、読んでいるとぜんぜん気にならなくなったし。あの「世界」の雰囲気にリアリティがあって、読んでいて心地いい。きちんと取材されているのを感じますね。件の「本」の存在以外は、きちんと「世界」の整合性がとれていて違和感を感じないし。

帰りには速瀬れい氏「カフェ「水族館」」を読んだのだが…う〜む、もう少し「芸」を見せてほしいなぁ。私が見ることができないだけなのかもしれないけど。

今夜も遅かったので、家に帰ると息子は寝ていた。今日も寝るのに時間がかかったようである。カミさんが「今日は私の気が急いてなかったから怒らなかったけど……最近、私が大声を出すとシンジ(仮名)を怒ってるんじゃなくてもこっちを見るのよね」と言っていた。まあねえ、子供というのは気長に見守ってやらなきゃいけないとは思うのですけどね。現代は時間に追われる生活になっていますから、そういう中で育てられる子供は大変だなとは思います。お母さんが子供にかける言葉で多いのが「早くしなさい」だという話だし。



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