1999年7月中旬の日記
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■7月11日(日)
昨日トキワ荘実録の感想で「幸せなことでしょうね」と書いたが、もちろん編集者というの大変な仕事なんですね。特に手塚先生の担当は大変だったようで、アシさんまがいのこともやったと書いてありました。そういえば、私も妹がマンガを描いていたときに似たようなことをやっていたのを思い出した。たしか最初は枠線を引かされたんだよな。彼女の見本に従って引いたら太くなり過ぎちゃって、後で「これは効果ですか」ときかれたらしい。たしかに暗い作品で、太い枠線は重苦しく見えたのだけどね(苦笑)。ベタも塗ろうとしたのだが、薄く均等に塗れなかったので却下されたのだった。

昨夜も午前様だった。今朝は、息子の前の保育所で作業があって行く予定だったのだが、体調不良につき勘弁してもらった。夕方にはカミさんのご家族と心斎橋でお食事の予定があるのである。保育所の作業に出てしまうと、土日はまったく休みなしになってしまうのだ。というわけで、今日は昼過ぎまで寝ていた。起きようとしていると妻子が上がってきた。今から昼寝をするようである。入れ違いですか。

妻子が寝ている間に買い物に行き、帰ってくると出発すべき時刻であった。駅まで自転車で行き、電車に乗る。息子はゴキゲンである。シートの上に立って外を見ていた。地下鉄に乗り換えて心斎橋に出る。少し時間があったので、料亭の階下の本屋に行ったのだが、息子はエスカレータに乗りたかったのに本屋に引っ張って行かれたのでゴネる。

食事が終わって料亭の外でお義母さんを待っていたら、息子はまたエスカレータの方に行こうとする。上りなので「下りられへんで」と制止した。しかし彼の願望にもかかわらず、我々はエレベータで降りたのである。このビルのエレベータは外が見えるのだ。19時過ぎで、ちょうど蒼い薄明の中にビルの明かりが灯りはじめた時分で、いい感じである。こういう風景、好きなんだな。息子を窓枠の上に乗せて、外を見せてやる。エレベータが動きはじめると、私の手をギュッと握る。怖いらしい。まあ、外を見ているところで下へ動き出すと、落ちたんじゃないかと思っちゃうよねえ。大人は頭で納得しているというか、そういう感覚が麻痺しているのか。そのうちに見るのを嫌がりはじめた。床の上に下ろすと、窓と反対の方を向いて外を見ようとしない。よっぽど怖かったんだな。

帰りの地下鉄から降りると息子は「また、ちかてつ、のろな」と繰り返す。そんなに嬉しかったのか。地下鉄から降りてから難波の本屋を回って「E.G.コンバット」(秋山瑞人:電撃文庫)を買った。某所で薦められていたので探していたのである。しかしこの表紙…ちょっと買うのが恥ずかしいな。しかも原作とイラストが同じということは…ノベライズですか。これは、他人の推薦がなければ絶対に買わなかった本だな。

今夜は私が息子を寝かした。彼は寝る前に何度も「おりられへんで」と繰り返す。うう、そんなにエスカレータで下りたかったのか。

例の東芝の件だが、ウチでは今朝の朝刊に載っていた。しかし『いきなりビデオデッキを社長あてに送るなど、普通の顧客の取る行動からは逸脱していたが、あの応対の言葉遣いは確かに不適切だった』って…あの人の今までのやり方を見ていて、そういうことをしたとは考えられないんだがな。これが嘘だったらどうするんだろう。でも、『あの応対』をしたことは公式に認めたわけだな。



■7月12日(月)
昨夜は私が息子を寝かせて一緒に寝てしまった。明け方に小用を足しに起きたのだが、昨夜ネットサーフィンできなかったので、パソコンを立ち上げて通信する。今日は遠方の客先に行くので早起きしなければならない。今から寝たら起きられないと判断したので、そのまま起きていることにする。日記を書いていたら、けっきょく起きるべき時刻を過ぎてしまった。カミさんはまだ起きてこない。今日は早起きしないといけないと言っていたはずなんだがなあ。仕方がないので、インスタントのソバを作って食べる。家を出るべき時刻になっても起きてこないので不安になって寝室の扉を開けたら目を覚ましたのだった。

今日は遠方の客先に行くので、長時間電車に乗るのである。腰を据えて本を読めるのである。満を持して
クロノス・ジョウンターの伝説を読むのである。期待は大きいのである。まず「吹原和彦の軌跡」であるが……ううっ、よかった〜。これが梶尾SFの真髄であります。しかし、この結末はあまりに切ない。最後にキスくらい、できたのかな。
次に「布川輝良の軌跡」ですが、いやあ、いいっすねえ。途中でこの結末は予想してましたけど、やっぱりいいっす。ワタクシ的には、最後をもう少しドラマチックに盛り上げてほしかったりするのですが。
往路でちょうど上記2作品を読み終わった。帰りに最後の「鈴谷樹里の軌跡」を読む。これもいがったっす。時間SFは切ない。この甘酸っぱさがラヴストーリーと合うんだな。ブレンドのしかたも絶妙だし。「泣けるSF」が好きな私の涙腺をビシバシと刺激してくれるのです(電車の中なので泣きはしませんでしたが)。解説にも書いてあるけど、確かに小松左京先生の「果しなき流れの果に」もそうだよな。この作品も私にとっては至高のラヴストーリーなのだ。
やはり、何年かに一作は梶尾さんのこういう作品を読みたいものであります。

時間が余ったので訊く中島らも:講談社文庫)を読む。今回は「ゲイパワーの達人」ですか……ううむ。

最近、ファントム・メナスという看板や広告をよく目にする。それを見て「硬式ペナス」というAVのタイトルを思い出してしまう私はヘンなのでしょうか?



■7月13日(火)
昨夜も、帰宅すると真夜中であった。食事をして日記を書いてシャワーを浴びていると3時を過ぎてしまった。今朝、カミさんが起こしに来たが、起きられない。1時間遅くまで寝て遅れて出社することにする。重い資料をもって長距離を移動したので疲れたようだ。1年近く作ってきた資料の中から必要なものが即座に取り出せないと「誠意がない」と言われてしまう相手と仕事をしているからね。

今日から通勤時に「クリス・クロス」(高畑京一郎:電撃文庫)を読んでいる。いや、やっぱ巧いわ、この人。今日は疲れているはずなのに「文字を読んでいる」という抵抗感をまったく感じさせないし、ゲームをやらない私のような人間にもRPGの楽しさというのがダイレクトに伝わってくる。「
異形コレクション」なんかで巧いと感じる人は何人かいたけど、それよりは明らかに頭一つ抜けてますね。最近は義務感で本を読んでいるようなところもあったので、続きが読みたくてしかたがないと思ったのは久々のことのような気がする。

昨夜、カウンタが2100を超えた。まあ、100上がるのにだいたい一週間というところですな。

例の東芝の件週刊朝日にも載りましたね。なかなかよくまとまっていると思います。読んでみると、デッキを直接社長宛に送りつけたのは事実のようですね。「暴力団対策に警察から天下りを受け入れた」というようなことが書いてあったけど(記憶モード)、ひょっとしてあの担当者は警察から頭を下げて来てもらった人なので社内でも何も言えないんじゃないかと邪推してしまった。しかしあのページに同様の体験をした人のメールとかも転載されていたけど、ああいうのを読むとしつこい客や痛いところをついてくる客にはああいう対応をして黙らせるのがあそこの常套手段なんじゃないかと思えてしまいますね。

昨夜、私が食事をしていると、横でネットサーフィンしているカミさんが言った。
「ねえねえ、Windowsのゲームで『エヴァと愉快な仲間たち』というのが出たらしいんだけど…」
「それ、SATURNでも出てなかったっけ?」
「そうなの? で、それ脱衣マージャンができるらしいんだけど、男の子でも脱がせたりお触りできたりするんだって」
「そ、それで?」
「だんなさん、Windowsのパソコン持ってたわよね」
「…う、うん」
「私、マージャン知らないんだけど、ちゃんとできるかしら」
……神よ、私はどうすればいいのでしょうか?

…ということで、調べてみたんですが(爆)
脱衣モードがあるのはWindows版だけのようですね。考えてみれば、家庭用ゲーム機にそういうモードをつけられるはずがないですからね。しかし、世間では脱税ネタでいっぱいだな。



■7月14日(水)
昨夜は、疲れていたので早めに帰宅した。玄関の前に立つと、家の中でバタバタと音がした。22時前だったのだが、まだ息子は起きていたのだ。2階の階段の踊り場まで出てきて「おとーちゃーん」と呼ぶ。「はーいー」と応えると「あかえんなさいっ!」と叫ぶ。ちょうど寝室に行くところだったらしい。着替えるため、いっしょに3階まで上がる。息子は跳ねるようにして階段を上っていく。嬉しそうだ。最後の三段くらいは一歩で一段ずつ上った。ウチのような急な階段でもそういうことができるようになっているんだねえ。着替えていると、彼が笑いながらやってくる。いっしょに寝室に行く。彼は、私の布団の上に横になった。絵本を読んでくれと言う。じゃ、父ちゃんが読んでやろうか。カミさんはそれを見て階下に下りていった。むむ、このままでは私も眠って…

けっきょく昨夜は息子といっしょに眠ってしまった。朝方、早く起きなきゃ…でも身体が動かない…と悶々としていたら目覚まし時計が鳴った。カミさんがそれを止めたが起きる気配がない。私はようやく起きて寝室を抜け出した。急いで日記を書く。しばらくすると階上から息子の泣き声が聞こえてきた。なんだか、いつもより泣き声が弱々しいような気がする。上がっていくと、「いる・いらんモード」に入ってしまっているらしい。「かーちゃん、ばいばい」とか言いながら、それで母親が洗面所に行ってしまうと泣く。私も「ばいばい」されてしまったので、自室に戻って日記の続きを書いて上げたのだった。

今日も引き続き通勤中に「クリス・クロス」を読んでいるのだが……うおお、面白い面白い。疾風のように読めてしまう。このままでは、すぐに読み終わってしまうぞ。読み終わりたくない。だが、読まずにはいられない。どうすればいいのだ。がああ。

今日は昼休みに
BRUTUSを買った。この号は「少年マンガクロニクル」「あの名作、名シーンをもう一度」なんだそうである。数十作品のハイライトシーンが収録されている。パラパラっと見て、何だかすごく懐かしかったのだ。これはカミさんにも受けるんじゃないだろうか、と思ったのもある。家に帰って渡すと、「ほとんど読んでるわ」などと言いながら食い入るように読んでいる。
「あ、『きみはどこにおちたい?』だ!」
「うう、私ゃ小学生の時に少年マガジンで読んで感動したのに……それを…」
「私だって最初に読んだときはそんな妄想しなかったわよ。 ……ちょっと、ときめいたけど
「……」
会話の少ない夫婦の方、一冊いかがでしょうか(笑)。これ一冊あれば話題は尽きませんぜ。

例の件だが、今週の週刊アスキーにも載っていた。いままで複数のマスコミに載ったのを読むと、新聞はメーカー寄り、雑誌はユーザー寄りの記事が多いような気がする。



■7月15日(木)
今朝、私が起きていくと、息子がパンを囓っている横でカミさんは「BRUTUS」をむさぼり読んでいる。私の食事の用意はまだできていない。私は「ねえ、ボクのご飯は?」と心の中で呟きながら食事の準備を始めた。しかし、幸いなことにしばらくするとカミさんがやってきたのだった。息子は、今日は機嫌がよい。食事を終えると抱きついてくる。私の両手を握り、私の脚に足をかけてでんぐり返りをする。こういう運動はけっこう好きなんである。

カミさんは商業誌の原稿を送って同人誌モードに入っているようだ。若島津さんのところのゲスト原稿は、うまくいけば今週中にできるのではないかと言っていた。

今日、出勤時に「クリス・クロス」を読み終えた。感想は一言おっもしれぇぇーである。感性が鈍ってきたのか、最近何を読んでも面白く感じる本が少なかった私をここまで夢中にさせるとは、高畑京一郎おそるべし。公共の場に書き込むので、
SFバカ本などに載っている作品なんかは相当気を遣って感想を書いていたのだが(気を遣ってあれかい)、この作品にはそういう気遣いはまったく必要なかった。この本を読まずに死んだら大損するところだった。

ゲームといえばブックオヴウォーターマークス」というゲームが出るらしいが、グラフィックの写真を見ると、何だか凄そうですね。あとは、この中でどれだけ動けるかですけど。

地下鉄の駅構内に同じポスターが何枚もベタベタ貼ってある。見てみると「L'Arc-en-Cielの野外ツアー記念レインボーカード発行」なんだそうな。カードの値段は変わらないだろうに、そんなにポスターを刷って大丈夫なんかいな。

ついに東芝が「法的措置」を執ったようですね。「自分に都合のいい事実のみ取り上げて書いている」ということで「一部削除を求める仮処分を福岡地裁に申請した」らしいですけど、事実は事実だからなあ。事実の「一部削除を求める」というのが通るんだろうか。そんなことをするよりは、「自分に都合のいい事実」以外の事実を自分のところで発信して対抗するべきだと思うんだけれども…あんな官僚の作文みたいな文章しか書けないんじゃ、無理か?

19:26地震。職場のビル(11階)にいたのだが、まず小刻みな縦揺れが来て、それから長周期の横揺れが来た。これは、けっこう遠くで大きな地震が起こったのかもしれない…と思ったら震源は大阪湾だったようですな。大阪北部は震度1ですか。やはりビルの上だと揺れを大きく感じるんですね。



■7月16日(金)
今朝、朝食を食べた後に背広に着替えて居間に下りていくと、息子は「とーちゃん、おしごと」「おわったら、かえってくる」と言う。そうだな、いつも母ちゃんにそう言われてるんだな。でも、父ちゃんが帰ってきたときにはキミはたぶんもう寝てるんだろうね。しかし、人間というのは言葉を覚えはじめるのは遅いけど、ある程度情報が貯まってくると早いですね。今の機械だったら、情報が貯まるにしたがって動きが取れなくなってしまうのだが。このあたりが根本的に仕組みが違うんだろうな。

今日から通勤中に「E.G.コンバット」(秋山瑞人:電撃文庫)を読んでいる。なかなか読みやすい。お客様に快適に読んでいただく技術というのはライトノベルがいちばん進んでいるのかもしれないな。

今夜も遅くなってしまった。これで3日続けてオフィスの戸締まりをしたことになるな。家に帰り着くと翌日になっていた。居間に上がっていくと、カミさんが食卓の上に
PowerBookワープロを並べてネットサーフィンしていた。重いページを開いている間に原稿を書いたりするようなのである。ときには、両方とも電源を入れたまま膝の上で本を読んでいたりする。このながら族ぶりは私には真似ができないですな。

3階に上がり、寝室の隣で息子を起こさないよう電気を消したままで着替える。パジャマを着て寝室に入り、息子の様子を確認する。今夜は自分の布団で眠っているようだ。ん? なんだか、ずいぶん小さくなったような気がするぞ。手足はどこに行った? ……あ、これは毛布か。んじゃ、ヤツはどこに行ったんだ? …寝息をたよりに探すと、彼は布団と壁の間の隙間にはまりこんで寝息を立てていたのであった。



■7月17日(土)
起きられない。どうにも起きられない。食事をしてシャワーを浴びてからカイロに行かなければならないのだが、どうにも間に合わない。電話をしてカイロに行くのを1時間遅くしてもらった。

息子は私が起きてきたときには朝食を終えていたのだが、私が食べ出すと膝の上に乗ってきて納豆と味噌汁を食べたのであった。

カイロでは、もう腰にはあまり強い衝撃を加えない。微調整になっているのだろうか…と思っていたら背中上部を捻られる。土台が治ったので、そろそろ猫背の矯正に入ったらしい。

家に帰って昼寝をしていたカミさんを起こし、
日本橋に行く。カミさんがセリエの最新機種を買いたいらしいのである。今使ってる機種(WD-A770だったっけ)は、結婚直後に買ったもので6年以上前の機種だからね。それを現在でもそれほど不自由なく使っているということは、当時こういう専用機はパソコンよりも先を行っていたんだな。

まずは、難波にブックオフが開店したらしいので、行ってみる。本も多いし、なかなかの盛況である。カミさんが腹が減ったと言いだしたので、凶暴にならないうちに昼飯を食えるところを探す。和食が食べたいそうなので、丼物屋に入る。日本橋にも食い物屋が増えたな。これだけ人が来るんだから、食い物屋を出せば流行るというのは当然だと思うのだが、なぜか最近まではあまり見なかったのだ。私が知らなかっただけかもしれないが。

食事を終え、私が先に一人で日本橋を巡回することにする。カミさんはブックオフで待っている予定だったのだが、日本橋から遠いので私が自由になる時間が少なくなるためマンガ図書館で待っていてもらうことにする。17時に息子を保育所に迎えに行くことになっているので、あまり長居はできないのである。カミさんも座って読めるのでその方がいいようだし。利用料金も30分180円だから、それほどかからない。後でカミさんが「あんな値段でテナント代払えるのかしら」と心配していたくらいである。あと「私以外、男ばっかりだったわ。少しは女の子と付き合えばいいのに」とも言っていた。まあ、余計なお世話だと思うんですけど。モテなかった男の立場から言うとね。男女ほぼ同数なんだから行くところに行けば女ばかりのところもあるんでしょうし。

200LX生産終了に反対する署名運動をやっていた。ここまで想われるキカイというのも幸せなことですなあ。あの馬鹿遅いWindowsCE機に移行しろなんて、そりゃ無茶な話ですがな。秋葉原では「買い置き」の動きが出ているようですね。中には「一生分」と称して6台も買っていった客もいるとか。そういえば、私のところにも200LX生産終了撤回署名運動のお願いというメールが来ていたなあ。

けっきょく、回れる時間が1時間もなかったので、ほとんど何もできなかった。SILVAの「HONEYFLASH」を買ったくらいかな。あと、行きつけのAV(アダルトビデオではない)専門店でAVシステムのデモをやっていたのだが、凄い音を出してましたね。たぶんDVDで映画の再生をしてたと思うんだが、そのへんの映画館の10倍くらい音が良かった。低音も高音も伸びてるし、音に包まれるような感覚が臨場感を盛り上げている。まあ、私の部屋のシステムよりも音がいいと思った映画館もあんまりないんだけどね。こんなことじゃ、みんな映画館に行かなくなるのも当然だよな。

カミさんを迎えに行ったら、ちょうど出てきたところだった。いいタイミングである。SAURUSを見て「ここ、ゲーム屋さん?」と訊かれたので、1階はゲーム売場でサターンのソフトを投げ売りしていると応えると興味を示したので入店した。彼女はワゴンからPSのソフトを1枚、SATURNを2枚買った。3枚買って税込み5000円未満だったから安いものである。

そして、セリエを買うために目星をつけていた店に直行する。前回来たときに16万円だと聞いたと思ったのだが、16万4千円だと言われてしまった。カミさんもそうとう長く交渉していたようだが、200円しか安くならなかったようだ。彼女が店員に二段打ちの段組ができるかどうかを確認している間に私はザウルスカラーポケットを見ていた。カラーは必要ないのだが、処理速度が速いらしいからね。現在の機種がデータが増えてかなり遅くなってきたので、かなり惹かれるものがあるのである。7万3千円まで行ったのだが、まだ買えない。コンシューマーポータブルが発表されるまでは、まだ動けないのだ。

かなり遅くなってしまった。重い荷物を持っていることもあり、カミさんはタクシーで帰ると言う。だが、道が混んでいてなかなか進まない。気がついたら眠ってしまっていた。かなり冷房がキツいので、風邪を引いてしまったかもしれない。けっきょく間に合わないので保育所で息子を拾ってから家に帰った。5000円以上かかったようである。これだったら200円値切る間に地下鉄で帰った方が良かったかもね。

今夜は息子が行っている保育所で夏祭りがあるのである。カミさんは運営に参加しているので先に出ていった。私は早売りの「ヤンマガ」を買ってから息子を連れて行くことになる。息子を甚兵衛に着替えさせて来いということだったので、着替えさせようとすると彼は嫌がる。服を脱がせるまではできたが、パンツを穿こうとしない。「穿け!」「はかへん!」で押し問答となる。彼は無理矢理穿かせようとしたパンツをタンスの中にしまおうとする。そこは紙のパンツを入れるところじゃないんだぞ。「とーちゃん、ばいばい」と言うので、彼を置いて出ていこうとするとギャーッと泣いて追いすがり、ズボンの裾を掴む。居間に戻ってパンツを穿くように言うと、また「とーちゃん、ばいばい」である。それを繰り返しているときに、玄関のベルが鳴った。小包だそうである。階段を下りて玄関の扉を開け、受け取りに出る。彼は絞め殺されそうな声で大泣きしながら、全裸で階段を下りてくる。焦って階段から落ちるなよ。居間に戻ってまた強く言うと、懲りたのか泣きながらパンツを穿いた。涙とヨダレと鼻水でビショビショであるな。ズボンを穿かせたところで「おしっこ、でる」と言った。トイレに連れて行き、座らせるとオシッコが出た。こういうときでも教えてくれるのか、偉いな、おまえ。彼はトイレから出ると今度は素直にパンツとズボンを穿いたのだった。

今日、先週録っていたヒッパレを観たが…先週は不作でしたな。ただそれだけ。



■7月18日(日)
昨夜は私が息子を寝かせたのだが、二人とも眠ってから彼がくっついてくると妙に熱いのである。カミさんが上がってきたときにもそう思ったようで、熱を計って38度台あると言っているのを眠りながら聞いていたのだった。

今朝、起きたのは7時過ぎであった。さすがに朝日の朝刊のページはすでに更新されている。ふにゃ、また昨日の朝刊のデータを落としそこなったぜ。とりあえず1時間足らずの間に落としてきたテキストを読んでいると、階上で息子の泣き声が聞こえてきた。寝室に上がっていくと、かなりしんどそうである。
C.C.Lemonを飲ませる。こういう酸味が強く糖分が多いものを飲んで寝ると歯に悪いのだが、仕方ないか。

また泣き出した。熱は39度以上になっている。グッタリしている。かなり汗をかいている。お茶も「すっぱいの」(C.C.Lemonのこと)も飲みたがらない。水分を摂らないといけないんだけどね。起き上がるのがしんどいようである。寝ていても水分が摂れるもの…ということでチューペット(とカミさんは呼んでいた。ジュースを合成樹脂のチューブに入れて凍らせたもの)を持って上がっていく。すると、彼は起き上がって食べたのであった。

昼過ぎに居間に下ろして彼に問う。
「ゼリー、食べへんか?」
「いらん」
「『すっぱいの』は?」
「いらん」
「ヨーグルトは?」
「…」
ということで、ヨーグルトを食べさせる。それで勢いがついたのか、ゼリーもお粥も食べた。食欲があるなら一安心だな。

カミさんは、休日診療所に連れて行かなくていいか心配しているが、大丈夫でしょう。吐いたり下したりしていないし、熱があるだけでどこも痛がっていないしね。まあ、鼻水も咳も出ていないのに熱だけ高いというのも多少は気になるのだが。

息子は横にはなっているが、ずっと目を開けている。眠ってはいないようである。カミさんと交代で息子の横で寝る。夕方になって私が買い物に行こうかという話をしていると、彼は起き上がって「かいもの、いく」と言いだす。そりゃ無理だよ、キミ。買い物から帰ってくると、もういつものように迎えてくれる。階上から「とーちゃん、おかえりなさい」と声をかけてくる。上がっていくと、私の両手を持って後方に回転。元気になったようだな。まだ37度ちょっとの熱があるが。

今日はカミさんが息子を寝かせてくれた。昨日買ってきたセリエで新聞記事を読み込んで活字文字認識させてみた。思ったより正確に認識してくれるが、それでも認識ミスはかなりあるので、けっきょく自分で入力するのと時間的には変わらないかもしれない。機械まかせだから精神的にはかなりラクなんですけどね。あと、誤認識したときの他の候補の数が少ないな。その文字を含めて3文字くらいしか出てこない。ほとんど無意味である。ZAURUSの手書き文字認識だって、もっと候補は出てくるぞ。それに、誤認識するパターンというのがあるのだが、それを学習させることで認識率を上げられないようなのもツライね。



■7月19日(月)
昨夜から2日分の日記を書いていたら、明け方になってしまった。この2日間はいろいろ書くことがあったからな。昨日の夏祭りのことなんか省略しちまったし。今日は遠方の客先に行くので早起きしなければならないのだが、このまま寝たら起きる自信がない。どうしようかなあ、などと思いながらログを読んだりしていたらほとんど起きるべき時間になってしまった。

カミさんが起きたようなので寝室に上がる。息子の熱がまた上がったそうである。昨夜、元気になったので安心したんだがなあ。原因は何なんだろう。心配だが、今日は遠方に行かねばならないのである。お客様に時間を取ってもらっているので子供が熱を出したぐらいで休むわけにはいかない。雨が降っているので医者に連れていくのも大変だろうと思うんだけどね。カミさんにたしなめられて、ギリギリまで30分眠る。

カミさんは息子についているので、私は独りで朝食を食べた。食べ終えて、着替えて出発するため3階に上がったら、妻子は並んで眠っていた。息子は顔一面を冷却シートで覆われている。露出している部分の方が少ない。私は、二人を起こさないようにして家を出たのであった。

電車で移動中に本を読もうとするが、やはり睡眠時間30分では眠い。だが、座席で座っている状態では頭部が安定しないので安眠できない。ツライ。

今日は客先なので気軽に電話するわけにいかない。工場なので公衆電話も見つからなかったのだが、昼休みに探して一台見つけた。だが、テレホンカードが使えないタイプである。来場者が帰りにタクシーを呼ぶためのものらしい。財布の中には…10円玉は1枚だけ。なけなしの1枚で家に電話する。留守電だった。下手をするとメッセージを聞いているだけで終わりかもしれないな…などと思っていたが、メッセージの終わりまで保った。でも、ほんの数秒喋っただけで切れてしまった。息子の状態を確かめたいだけなので別に言うべきこともないのだけどね。

今日は打ち合わせが早く終わったので、22時前に帰宅できた。息子はまだ起きている。今日も「とーちゃん、おかえり」と呼ぶ声が聞こえる。母親に「とーちゃん、かえってきた」と言っているのが聞こえる。薬を飲んで症状は落ち着いているそうだ。扁桃が腫れていたそうである。まあ原因が分かれば一安心だな。

カミさんは土曜日に買ってきた
I.Q.FINALをやっている。画面が暗いので、息子は怖がっているそうだ。他のゲームなら彼女の横に自分で座布団を持ってきて、その上に座って見ているそうだが、これをやっているときは彼女の膝の上に乗ってくるらしい。でも、こんな年齢のときからこういう画像が動いているのを見て育ったら、我々とはかなり感性が違ってくるんじゃないだろうか。



■7月20日(祝)
昨夜はカミさんが息子を寝かせてくれた。だが、私は結局その後すぐに寝てしまったのである。ビールを飲んでしまったのだ。我が家でビールを飲むなんて年間に何日もないのだが。元はというと、カミさんのところに売り子さんからお中元でビールが届いたのである。カミさんにはけっこう酒の差し入れが多い。作風から作者も飲みそうだと思われているのだろうな。本人は「去年のビール、冷蔵庫にまだ残ってるのにねえ」などと言っている。私はそれを聞いて、去年のビールは始末しなきゃいけないかな、と思ったのである。昨夜はけっこういい気分になった。やはり、アルコールもドラッグと同じで肯定的な気分で飲まないとバッドトリップしてしまうんだろうか(おいおい)。で、私は酔うとすぐに眠くなってしまうのである。睡眠不足だし…

昨夜は早く寝たにもかかわらず、今朝は平日よりも遅くまで寝ていた。息子も同じである。いっしょに起きる。朝食はパンだったのだが、彼はあまり食べない。

カミさんは昨日
ジャンプが読めなかったので、読みに行くという。どうやら、最近の封神演義にときめくものを感じているらしい。「そこのコンビニだから30分もすれば帰ってくるから」と家で待っているように言う。だったら、カミさんが出かけている間に息子を連れて買い物に行くことにしようか。すると「じゃあ、ブックプラザ(近所の本屋)に行くわ」と言われてしまったのであった。けっきょくカミさんが帰ってきたのは、我々が帰ってきてしばらく後のことであった。

昼食後、息子は台所でズルッと足をすべらせた。珍しいなと思いながら見ていたのだが、彼は自分のオシッコで滑ったのだった。カミさんは「さっき『オシッコは?』って訊いたじゃない!」と言いながら床を拭いている。私は、カミさんの若島津さんのところへのゲスト原稿を読んでいる。感想を聞かれた。
「ずいぶん力を抜いて書いてるね」
「うーん、私もまだ全体が見えてないから…」などと言い訳をしていたが、本人にもその自覚はあったようで、書き直すようである。

雷が鳴り出した。カミさんが慌てて3階のベランダに上がっていく。そうか、布団が干してあるのね。こういうところは主婦の感覚だな。私だったら、下手をしたら雨が降り出しても気がつかないかもしれない。普段からそういうところには神経を使ってないからなあ。やはり雨が降り出した。うーむ、今日は午後からでも出勤しようかと思っていたのだが、気勢をそがれてしまったな。体調も悪いし。昨日も重い荷物を持って長距離を移動したからねえ。

息子は「ちんちん、いたい」などと言っている。熱もないようなので、カミさんが息子にシャワーを浴びさせることにする。二人が浴室に行った後、居間で本を読んでいると脱衣所から息子が私を呼ぶ声が聞こえる。下りていくと、彼は頭まで濡れていた。ありゃりゃ、頭まで洗ったのか。病み上がりなんだけどね。頭まで汗をかいているのはわかるが。

そして、そのまま昼寝をする。寝室は、干した布団が熱いからというので、冷房がかかっている。息子は自分で絵本を取り上げて一人で読みはじめた。ちゃんと声を出して読んでいる。もう全てのページに何が書いてあるか覚えてるんだな。カミさんは「こういうのを見て、みんな我が子が天才だと思っちゃうのよね」などと言っている。

ふと気がつくと、息子がまた熱い。発熱したようである。やはり、頭を洗って冷房した部屋で寝かせたのがいけなかったか。薬も飲ませてなかったしなあ。

私が起きると、妻子はすでにいなかった。居間に下りていくと、カミさんがちょうど「あー、こんなところにウンチついてる〜! 私、ウンチつけて料理してたのぉ!?」などと叫んでいる。ううっ、これから食事なのにそんなこと言われちゃ……

カミさんは息子の熱が39度あるので座薬を入れると言っている。解熱剤はあんまり安易に使うべきではないとは思うが、グッタリしてるからねえ。夕食にしようとするが、息子には食欲がない。彼が「よーぐると、たべたい」と言ったので、私が買ってくることにする。帰ると、息子はいつものように階段の踊り場まで出迎えに来た。私がアイスクリームを買ってくると言ったら、ご飯も食べて薬も飲んだらしい。「あいすくり−む」「あいすくり−む」と繰り返す。もう待ちきれない様子である。

しかし暑い。息子などは水分を摂ると、とたんに汗が噴き出してくる。今夜は私が息子を寝かせた。さすがに昼間も息子と一緒にゴロゴロしていたので、いっしょに寝ずにすんだ。カミさんは若島津さんのところのゲスト原稿を書き直している。なんでも、書き直す前は20枚だったのが28枚になってしまったそうな。

私が通信を終えると、カミさんはI.Q.FINALをやっていた。息子が寝る前にずいぶん汗をかいていたので、寝室に上がって様子を見る。パジャマの上着がビショビショである。上着を脱がせる。上半身を裸にすると、うつ伏せになって丸くなってしまった。起きない。着替えのTシャツを頭に通すと、眠りながらも起き上がって自分で袖を通したのであった。もう身体が覚えているのね。

狼谷辰之  新書館ウィングス文庫
なる
¥640+税  ISBN4-403-54008-2



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