1999年7月下旬の日記
■7月21日(水)
今朝は息子は熱はない。だが、やはり元気がない。いつもなら居間に下りてからは、そのあたりを歩き回っているのだが、今朝は床の上に座り込んでいる。かなり汗をかいているはずなのでお茶を飲ませる。1杯以上飲んだ。私も身体が重い。早くも夏バテか。体力が落ちてるからなあ。
今日は昼休みに「仮想空間計画」(J・P・ホーガン/大島豊 訳:創元SF文庫)を買った。ホーガンの新作はまあ、デフォルトで「買い」でしょう。
今日、通勤時に「E.G.コンバット」(秋山瑞人:電撃文庫)を読み終えた。なかなか面白かった。いやあ、若いってのはいいねえ。筆致も話の内容も。続いて「雨の檻」(菅浩江:ハヤカワ文庫)を読み始めた。まずタイトル作……ありゃ、これは読んだことがあるぞ。どこで読んだんだったっけ。
今夜も午前様であった。昨日出勤しなかったからね。家に着くと妻子は眠っていた。私はその辺のものをかき集めて食ったのだった。
■7月22日(木)
昨夜は午前様だったうえに2日分の日記を書いたので、床に入ったのは4時すぎになってしまった。一昨日の日記はちょっと書きすぎだったな。
寝室に上がり、息子の額に手を当てる。熱はない。私も横になる。息子は暑いのか、布団の上を転がり回る。ときどき私の方に転がってきて脚をドスンと乗せられる。うう、眠れんじゃないか。熱を出して汗をかいていた時期は、彼が転がったあとはグッショリと濡れていたのだが、今はそういうこともない。
今朝も妻子は先に起きていた。朝食後、カミさんに抱かれていた息子が頭を彼女の頬にぶっつけた。ごつ、と鈍い音がする。即座に彼の頭部に平手打ちが飛ぶ。「もー、キライ。今はキライ!」と言って彼は突き放される。彼はまた泣くことになるのである。
母親に嫌われたせいか、今日は私に懐いてくる。「とーちゃん、だっこぉ」と私の脚にしがみついてくる。抱き上げると「じどーしゃ」と叫ぶ。台所の窓から隣の駐車場の車が見えるのだ。「いちに、さん、し…」と言うが、数えているわけではない。同じものがたくさんあるとそう言うものだと思っているのである。
今日は通勤時に「雨の檻」の続きを読む。ひょっとして、この本は以前に買っていたのではないかと非常に不安だったのだが、そういうことはなかったようだ。よかった。往路で「カーマイン・レッド」を読む。語り口に独特の雰囲気がありますね。このムードは好きだな。でもこの作品、カミさんが読むとヤオイにされてしまうんだろうな。帰路は「セピアの迷彩」……う〜ん、ややこしい話だな。私なんか馬鹿だから「俺は俺だ」の一言で終わってしまうんだけどね(苦笑)
「iBook」がついに発表されたようですね。でも、Appleはもう軽いノートは作ってくれないのね。PB2400を中古で買うか、悩むところだなあ。ゔ、6.5ポンド≒3kgだってぇ。この半分以下じゃないと私は買えないな。Windowsのサブノートを買ってFusionを入れるか…
■7月23日(金)
今朝、私が起きていくと息子は食卓でコーンフレークを食べていた。彼は最近、私が横で納豆を食べていても欲しがらないのだ。何でだろう。先々週は行きつけのスーパーにいつも買っているブランドが無かったので、別の製品を買ったのである。いちおう「無農薬大豆」と書いてあるものを選んだのだが、やはりいつも食べているものより美味しくない。先週食べていた挽き割り納豆なんて、苦いような雑味を感じてしまうくらいだったからな。それで納豆嫌いになられたら、ちょっと悲しい。
朝食後、着替えさせる前に「トイレ行くか?」と訊いたのだが、息子は「といれ、いかへん」と応える。しかし、着替えさせるためにズボンとパンツを脱がせると「といれ、いこなー」と言いだした。「よし、行こう」と言うと、彼は先にトイレに走っていった。便器に乗せると、さっそくオシッコが出る。「ウンチするか?」と訊くと「んっ!」と気張りはじめた。ミシミシと音がしはじめる。おう、出たじゃないか。
今日も引き続き、通勤時に「雨の檻」を読んでいる。今日の往路は「そばかすのフィギュア」である。うむ、少女マンガみたいですね。私ゃ、けっこうこういう少女趣味な話は好きなのである。それでSFなんだから言うことはない。帰路は「カトレアの真実」を読んだ。これもまた心理描写が複雑な話ですね。私みたいに単純な人間には、こういう話にはついていけない……だから、女性にモテなかったのだという話もある。
ジャンボ機がハイジャックされて機長が犯人と揉み合い、刺されて死亡。「お客さまの中にお医者様か看護婦の方はいらっしゃいますか」と流れるアナウンス。そして、そこには医者が乗り合わせている。ううむ、何だか映画みたいだな(死者が出ているのに不謹慎だが)。セラミックの包丁は金属探知器に反応しなかったんでしょうね。しかし、医者が操縦室の方に歩いていったときに拍手するかね?
クローン技術でマンモスを復活させるんだそうである。前々からそういう構想があるのは聞いていたが、やはりやるのか。こういう話を聞くとワクワクしてしまうのがSF者のSF者たるところだな。羊でクローンを作れたんだから、理論的には問題ないような気がする。あとは、細胞核がどれだけちゃんと保存されているかですね。でもねえ、生まれてきたマンモス君には気の毒な気がするなあ。世界中に同類は自分だけなのである。それに、人間にちゃんと飼えるんだろうか。
■7月24日(土)
昨夜、家に帰るとカミさんは電話中であった。会話のノリと内容から相手を推定すると長電話になると予測されたので、自分の部屋に下りて日記を書く。日記を書き終えて居間に上がっていっても案の定まだ電話をしている。横でクンクン鳴くと、やっと終わってくれた。夕食後に「何の話してたの?」と話を振っても、取り付く島がない。不機嫌である。お義母さんと、先週の土曜日に息子を遅くまで保育所に預けていたことに関して親子喧嘩をしたらしい。カミさんは若島津さんへのゲスト原稿をメールで送ろうとしている。セリエからフロッピーにテキストデータを落としてMacに入れ、圧縮して添付すればいいんじゃないかと言ったのだが、カミさんのPowerBookにはCD-ROMドライブを装着しているのでFDDがついてないのである。FDDもしばらくは箱に入れて居間の入り口のところに置いておいたのだが、「邪魔だ」というのでガレージに放り込んでしまっているようなのだ。「ガレージから取ってきたら」などと言うとまた怒りだすのが容易に予測されるので、セリエで送ることを提案する。圧縮できないから受信に時間がかかって相手には迷惑だろうけど、私の身の安全には代えられない(ああ、なんて自己中心的な人間なのだろう、私は)。こんな不機嫌な人間相手に物を教えるのは嫌なので、自分で操作するにまかせる。明日は早起きしてカイロに行き、仕事にも行かねばならないので今夜は早く寝ようかと思っていたのだが、ここで見捨てると後でどういう仕打ちを受けるかわからないので側で待機している。ユーザIDとパスワードを入れて接続しようとしているようだが、それだけの情報でインターネットに接続できるとは思えないんだけどね。何度やっても繋がらないので、諦めたようである。私にお鉢が回ってきた。必要な情報をすべて入力したら、とりあえずインターネットには繋がった。メールを送ろうとすると「接続を切りますか」というような意味のメッセージが出てくる。「え、ホストには繋いだままでいいじゃないか」と思うのだが、ブラウザとメールは別機能になっていて、それぞれを終わるときには接続を切るような仕様になっているようだ。パソコンみたいにマルチタスクになってないせいだろうねえ。ダイヤルするだけでもけっこう時間がかかるんだぜ。それに今はテレホタイムだからいいけど、昼間だったら一度電話を切ると電話代も余計にかかりますな。そうこうしてメール機能を立ち上げると、ホストに再接続して受信メールの一覧が出た。そしてメールを送信しようとすると……また「接続を切るか」というメッセージが出る。おいおい、メール機能の中でもそうなのかよ。やってらんねえな。で、これだけ苦労して送ったのだが、書院の文書を添付していたので、結局ちゃんと受信できなかったらしい。ああ、あほくさ。ついでにセリエでここを見てみた。ホームページはできるだけ多くのブラウザで見れるように作っておくべきだと思っているからね。ほう、ちゃんとテーブルも表示できるんだ。ただ、アクセスカウンタが表示できなかった。cgiには未対応なのだろうか。マウスに慣れていると、ペンによる操作は手を持ち上げねばならないので面倒臭いね。パソコンに慣れていない人にはいいかもしれないけど。…あわわ、もうすぐ3時じゃないか!
どうやらメールを送れたようなので先に寝たのだが、明け方に目を覚ますと妙に寒い。気がつくとエアコンで冷房されている。うう、タオルケットしか被っていない身にはこたえるな。カミさんは布団を被って寝ている。私が起きると息子も起き上がった。彼は何も被っていない。「さむい」と言う。キミがそう言って起きるなんて、相当なもんだな。布団を被って息子をその中に引きずり込む。彼は窮屈そうだった。その後、彼がどうなったかは記憶にない。
……身体が重い。起きられない。いつもなら妻子が起きてしばらくすれば起きられるのだが、今日は布団の上で妻子が家を出ていく音を遠く聞いている。それからしばらくして、ようやくゆるゆると身を起こす。居間に下りて、しばらく身体が目覚めるのを待っていたらカミさんが帰ってきた。私はシャワーを浴びたらカイロの予約していた時刻を過ぎてしまった。そして朝食を食べずにカイロに向かったのだった。
カイロから帰ってきて、出勤する前にヒッパレを観る。今夜の分を録画予約するためにテープを空けなければならないのだ。今週はまったく観る暇がなかったからね。
まずはビビアンですか。私ゃファンなんですけど……ちょっと化粧が濃いんじゃないかい。知念ちゃんは相変わらず上手いね。ソロだとちょっと食い足りないけど、あの硬質な声はいちばん上をハモるとコーラスが引き締まって本当に気持ちいい。
サーカスが今週は半分ですか。2人でもやっぱり巧い。コーラスをやってる人は、本当に声がよく響きますね。
おお、オギノメちゃんだ。まあ、ヘタじゃないんだが、EVEをバックに歌うには全然パワーが足りないな。SILVAあたりを連れてくれば凄いと思うんだが(おいおい)。
わお! 麻倉未稀と庄野真代だ! うおおお、さすがに巧い。トリハダものでありますね。こんなに汗がダラダラ流れるほど暑いのにトリハダが立つ。凄いものであります。
見終わるとけっきょく午を大幅に過ぎてしまった。
今日も引き続き、通勤中に「雨の檻」を読んでいる。まず「お夏 清十郎」(どちらも一発変換だ。凄いぞATOK!)である。芸道モノですな。これは凄いですね。この物語の厚みというのは、実際にやっていた、いや、その「道」の深みを多少とも覗き込んだ経験のある人間にしか書けないんじゃなかろうか。こういう作品を書けるのは小松左京先生しかいないんじゃないかと思っていたんですけどねえ。素晴らしいです。
続いて最後の「ブルー・フライト」ですけど……こういう、主人公がああすべきかこうすべきか悩むのがメインの作品は私にはちょっとキツいですね。これまでにも何作かありましたけど。
これでこの本は終わりである。好みの作品が何作か読めたので、これは当たりでしたね。
昨日のハイジャック事件ですけど、機長が犯人を取り押さえたのではないようですね。しかし「ジャンボ機を自分で操縦してみたかった」って、何を考えているのだろう。こういう奴に限って「精神が……」とか言って無罪になったりするんだよな。実際、精神科に入院してたらしいし。下手をすれば数百人の命が奪われていたというのにねえ。いや、落ち場所によっては千人単位で死んでたぞ。あと、包丁は角度によってはX線装置でも見えないこともあるんじゃないかと思ってたんですけど、全日空の搭乗ゲートは「立体的デジタル画像のX線装置」への更新中だったんですね。もうそういう世の中になっているのか。
昨日も書きましたけど「お客様の中にお医者様の方はいらっしゃいますか」と言われてさっそうと出ていく、というのはカッコいいと思うんですが、知り合いのドクターに聞くと「そういうことは起こらないでくれ」と祈りながら乗っていると言ってましたね。自分の専門外のことはわからないし、責任も重大ですから。まあ、まさか「お客様の中にシステムエンジニアの方はいらっしゃいませんか」などということはないだろうから私は大丈夫だ(笑)。しかし、別の機長も乗り合わせていたらしいですけど、医者とかパイロットとか新聞記者とかワイドショーのスタッフとか、ずいぶんいろんな人が乗っていたもんですねえ。
え〜っ、吹石一恵さんって、あの吹石選手(もう選手じゃないけど)の娘さんだったの!? 確かに珍しい姓ではあるんだけどね。彼女は、ウチのカミさんの好みのタイプらしいのだ。
「フィジーの小型機事故、邦人犠牲者はJICA職員か」という記事を見て「えーっ、JCIA?」と思ってしまった私はヘンなのでしょうか?
■7月25日(日)
息子の泣き声で目が覚めた……もう昼過ぎか。息子が泣いている。起きなきゃ。しかし、身体が布団に貼りついて離れない。居間に下りてゆくまでにかなりの時間を要した。妻子は外出から帰ってきたところのようである。疲れたのかな。今日から1〜2日、お義母さんが息子を預かってくれるそうである。カミさんの機嫌が悪いので、締め切りが近いんじゃないかと気を利かせてくれたんじゃないかとのことである。
妻子はトイザらスで遊具を買ってきたようである。息子に軽く食事をさせた後、ガレージの前にビニール製のプールを出して息子を入れている。彼はゼンマイで水中を泳ぐ新幹線のオモチャに夢中である。「しんかんせん」「しんかんせん」と繰り返す。直径30cmほどのビニール製のボートに人形を乗せて「おふね」とか言っている。
息子を遊ばせながらカミさんと話していたら、なぜか「ザブングル」の話になる。
「だんなさん、観てたの?」
「いちおう一般教養として。社会人になってたから録画して観てたんで、当時のテープも何話かは残ってるよ」
「えっ、本当!? ブルメが髪を下ろしたシーン、ある?」
「え〜、タイトルがわからないと探せないよ」
いやしかし、カミさんの友人はみんなそのシーンを観て歓喜の悲鳴を上げたらしいから、もし残ってたらビデオキャプチャーしてここに上げればアクセスカウンタが増やせるかも……なんてことを良い子は考えてはいけません。著作権は大事にいたしましょう。しかし、私のビデオライブラリのタイトル一覧を上げるだけでもけっこう面白いかもしれないな。でも、他の人がその内容を見れるわけじゃないから、あんまり意味がないか。
息子をプールから上げて浴室に連れ込み、シャワーを浴びさせる。強い日差しが差し込んでいるので、水しぶきの中に虹が見えた。
息子はカミさんがフリーマーケットで買ってきたズボンを穿かされているのだが、女の子用だったようで、まるでキュロットスカートである。……似合わねえ。そして、彼を膝の上に乗せて絵本を読んでやっていたら、股間を流れるものが……やりやがった。ズボンの裾が開いてるうえにパンツが薄いので、ほとんど直撃である。こっちのパンツまで濡れちまったぜ。
カミさんと息子が飲んでいたジュースにアスパルテームが含まれていたので注意した。私はこの甘味料に余りよい印象を持っていないのである。いちおう、プラス側の情報も挙げておこうか。添加されていることは明記されているんだから、選ぶのは消費者だ。インターネットなんだから、プラスマイナスどちらの情報も手に入る。自分で判断して身を守らなければならない時代なんですね。
息子はカミさんに連れられてお祖母ちゃんのところへ行く。彼らが出発した後、遠くで雷鳴が轟きはじめた。しばらくは日が陰って薄暗いまま何とか保っていたのだが、ついに大粒の雨が降り始めた。風も強い。妻子は大丈夫かと思っていたのだが、息子はお義母さんに連れられてカミさんの実家までタクシーで行ったので、濡れずにすんだようだ。
仕事がいよいよキツくなってきた。8月後半から遠方の客先に行きっぱなしになりそうである。それではカミさんが東京の夏コミに行っている間、息子の世話をできなくなるかもしれない。それで気まずい雰囲気になってしまった。最悪の場合私の実家にと思っていたのだが、カミさんは私の両親だけでは息子をみるのは無理だという。「こんなんやったら二人目は絶対に無理やな」と言われてしまった。うう、人生における結婚の意義について考えてしまったことであった。まあ、コミケに人生のすべてを懸けている女性は、結婚するなら子供を作らないか、コミケの日には確実に休めて子供の世話をしてくれる配偶者を選ぶべきですな。
夜、カミさんはある程度原稿を書きおわるとゲームを始めた。「幻水」である。それほど修羅場ってわけでもないのね。
■7月26日(月)
昨夜も寝室は冷房されていた。冷房するのは、暑いと息子にあせもができて夜中に「かりかりして」と言ってくるので眠れない、という理由だったような気がするんだがなあ。そのせいではないと思うのだが、下痢である。腹に力が入らない。家を出るのを少し遅らせて、腹具合が落ち着くのを待っ出勤する。今日から通勤中に「仮想空間計画」を読んでいるが……訳文がいかにも翻訳調で、読むのに疲れる。他の作家だったら読むのを止めてるかもしれない。ホーガンだったらガマンして読んでいれば最後にカタルシスを味わわせてくれるに違いない、と思いながら読んでいるのである。
今日はネタがない。地下鉄を降りた駅の近くに古本屋があったのを思い出して、帰りにちょっと遠回りして寄ってみた。「ヴェイスの盲点」(野尻抱介:富士見ファンタジア文庫)があったので買った。埃の固まりがこびりついてたけど、本屋にはもう無いからね。野尻抱介氏の掲示板はROMしてて、非常にレベルが高く楽しませていただいてるのでご本人の作品も読んでみたいと思っていたのである。
昨日、カミさんが「グッドラック 戦闘妖精・雪風」(神林長平:早川書房)を買ってきた。買うかどうか悩んでいたようだが、買ってしまったのね。ネットサーフィンしながら読んでいる。相変わらず器用なことですな。「この表紙、カッコいいわねえ」「零と雪風の関係がいいのよ」などと言っている。そうなんですか、私は神林はダメなんですけどね。「で、どっちが「攻」?」と問うと「やーねえ、カップリングはブッカー×零に決まってるじゃないの。この前言ったのにもう忘れてるの?」と返されてしまったのだった。ううっ、私の負けだ。
■7月27日(火)
今朝も息子はカミさんの実家である。目が覚めてしばらく、朝日の射し込む寝室でカミさんとゴロゴロする。「平和だねえ」と言うと、「シンジ(仮名)がいるから戦争だというわけじゃないけどね」と返される。まあ、それはそうなんだけれども。……しかし、静かだ。遠くで蝉の鳴く声が聞こえる。息子がいるときには、遠くで聞こえる音なんて意識したことなかったんだよなあ。
通勤中に読んでいる「仮想空間計画」は、100ページに近づいてきた頃からだんだん面白くなってきた。だいたい、毎回こういうパターンのような気がする。DINS(直接神経刺激)の調整の描写が私のセンサー・オヴ・ワンダー(笑)を刺激する。こういうふうに架空の技術をいかにもありそうに描写するのは巧いですね。
真夜中、家に帰って玄関を開けたが、息子の匂いがしない。まだ帰ってないんだろうか。預かってもらえるのは1〜2日だと聞いていたのだけれど。カミさんに問うと、お義母さんが木曜日くらいまで預かってくださるそうなのである。「母ちゃんの『か』の字も出ない」と言われてしまったそうで。
■7月28日(水)
今日もネタがない。息子がいないせいかなあ。こんな調子では、遠方の客先に行きっぱなしになっちまったら、それこそ心に浮かぶよしなしごとを並べるしかなくなってしまうんじゃないだろうか。
今週から通勤中には「HONEYFLASH」(SILVA)を聴いている。しかし、やはりポータブルのMDプレーヤーで聴いているのでは、音楽が心に真っ直ぐ入ってこない。ラジカセでMDに録音しながら聴いていたときは、カミさんも私も思わず身体を揺らしてしまうくらいだったのだが、ヘッドフォンで聴いていると「耳元で鳴ってるだけ」になってしまう。こういう状況で聴いても心に響いてくる曲というのは、本当にパワーがあるということなのだろうな。先週まで聴いていた「SONGS」(中西圭三)も、作者の才能を感じさせる曲が揃っていたのだが、心に残ったのは「Choo Choo Train」くらいだったからな。ICE BOXの曲も作者本人が歌ってたほうが良かったんだけどね。
最終電車の地下鉄を降り、家路を急ぐ。月が出ている。空が異様に明るい。雲は月に照らされてあくまでも白く、空は暗黒ではなく透明な黒。月のまわりを光輪が取り囲んでいる。この時刻に真南に在るということは、ほぼ満月と言っていいだろう。空が明るすぎるのか、星はほとんど見えない。しかし、東方にひときわ明るく輝く星が一つ。あれは何だ? 金星がこんな時刻に見えるわけは無し。木星にしても明るすぎるような気がする。あの方向にあるということは衝ではないはずだし。
家に帰ってAstroArtsのサイトで調べてみたら(ああ、なんて素晴らしきインターネット!)、今日は満月で東方の空には木星と土星があるらしい。やはり木星だろうな。空気が澄んでいるから、いつもより明るく見えるのであろう。台風の影響かしら。
今夜も息子は帰っていなかった。カミさんは活字倶楽部で「対なる者の証」が紹介されていたというのでゴキゲンである。今号は夢枕獏特集なのね。彼女は読みながら「『20億の針』(ハル・クレメント:創元SF文庫)って面白そう」などと言っている。そうだよ、それは面白いっすよ。私が読んだのは中学か高校の頃だったのだが、この作品を読んだときのワクワクした気持ちは今も覚えている。この記憶力のない私が、四半世紀も前に読んだ作品のことを覚えているというだけでも大変なことなのである。
■7月29日(木)
今日は遠方の客先に仕事に行った。移動中に本が読めるはずなのだが、昨夜も遅くまで日記を書いていて、今朝は遠出するために早起きしたので眠い。何度か意識がブラックアウトする。今日の電車は乗客が少なかったので、シート上で身体を横向きにして寝た。
今夜も遅くなってしまった。終電の時間が近づいているというのに誰も打ち合わせを止めようとしない。みんな仕事が好きだねえ。会議が終わったときには、すぐにタクシーが来たとしても最終の急行に間に合わない時間になっていた。夜遅いのでタクシーもなかなか来ない。明日もこの客先で打ち合わせなので、ホテルに泊まるのが正解なんだろうけど、今夜は息子が帰ってきているはずなので各停で帰ることにする。急行で一時間以上かかるから……大阪に着いても乗り継ぎの電車はないな。タクシーで帰るしかないか。一日に3回もタクシーを使うと大変な出費だな。
駅に着いて、各駅停車で要する時間を計るためにZAURUSに時刻を記入していたら、どうも調子がおかしい。タッチしたところが反応しないのである。少し左のところが反応したりする。タッチパネルの調整をしても、すぐにずれてしまう。そういえば、少し前からスクロールボックスで画面を移動させるときなど、ちょっとずれている感覚はあったのだが、これだけずれると重症だな。修理しないといけないかなあ。
最終の各停に乗らざるを得ないかと思っていたのだが、その一つ前に乗れた。さすがに乗客は少ない。途中の駅で停まって、なんだかアナウンスをしている。聞いてみると、急行待ちをするようなのである。最終の急行はもう終わってるはずなのに、と思ってホームに出てみると、別の方向から来る急行に接続するらしい。これに乗れば、なんとか最終電車に乗り継ぎできそうだな。助かった。
重い荷物を持って家路をたどる。今夜はそれほど空気は澄んでいない。東の空の星もふつうの惑星の明るさに見える。だが、やはり満月直後の月は明るい。家に着いて、息子を起こさないよう電気を点けずに3階に上がると、窓から差し込んだ月光が畳の上に窓型に輝く光のかたまりを作っていた。
■7月30日(金)
今日も遠方の客先に行くのである。昨日よりさらに早く家を出なければならないので、今朝も早起きである。私が家に出るときには息子はまだ大の字になって眠っている。昨夜、無理して帰ってきた甲斐がないな……まあ、寝顔を見れただけでもいいか。昨夜は日記を書かずに寝てしまったのだが、それでも睡眠不足で眠い。今朝も電車の中では眠っていたのだった。
いよいよ、わたしのZAURUSの調子が悪くなってきた。もう、タッチパネルが反応しなかったり、タッチパネルに触りもしないのに電源が入ったりする。しばらく放っておいたら、復活したりするのだが(でも、目的の場所の数ミリ右をタッチしなければいけなかったりする)。これは、修理に出さなきゃいけないな。そうすると、代替機が必要である。私はZAURUS抜きでは生活できない身体になっているのである。ザウルスカラーポケットを買う理由ができたということか。
今日は、夕方からの会議は私に関係ない業務に関する打合せなので、途中で大阪に帰らせてもらう。自分の会社に戻る途中で日本橋に寄れるのである。まずは中古を探す。半額程度なら買ってもいいかなと思っていたのだが、ブツがまったく無い。他の機種はいっぱいあるのだけどね。手放す人間が少ないのだろうか。だったら新品を買おう。カミさんがセリエを買った店に行って値段の交渉をする。今日も7万3千円だと言っていたが、現金で払うということで72,800円にした。まあ、わずか200円であろうと、値切れれば嬉しいのである。
日本橋を歩いている途中でFIVAが展示されていたので触ってみた。おおお、こんなに小さいのに、このキーボードは使える。Librettoのキーボードなんて、ほとんど使いものにならなかったからね(それでも、遠方の客先に行きっぱなしのときはこれで日記の更新をしていたのだが)。それに、思ったよりディスクが空いている。2.5GB以上使えるようである。ポインティングデバイスがちょっと使いにくそうだが、慣れれば何とかなるかな。それで、メモリーを64MBにして138,000円ですか。むむむ、物欲がモリモリと盛り上がってくる。うっがあ、誰か俺を止めてくれぇ……とか思っていたのだが、客先からの帰りで重い荷物を持っていたのが抑止力になった。でも、次回はヤバいような気がする。
職場でZAURUSを二台並べて、赤外線通信でデータの移行をする。全データをまとめて移行するよりも機能ごとに転送した方がデータが整理されて動作が速くなるという話を聞いたことがあるので、機能ごとに移行した。旧機種がうまく操作できない状態になっているので、非常に苦労する。パスワードを入力するときにも、キーボードで目的のキーの右隣を押したりしなければならないのである。で、全機能を移行してOKだと思ったのだが…「情報ファイル」に分類していた情報が消えて無くなっているじゃないか。以前の機種だとメモデータの中に分類コードを持っていたので転送しても消えることなど無かったのだが、データの分類が「情報ファイル」という別機能になったので元データと一緒に移行されないのか。うがあ、情報の関連というものを何だと考えているのだ。仕方がないので「情報ファイル」のデータを転送しようとしたら、「情報ファイル」単位の送信しかできないようなのである。ううう、涙を呑んで移行済みのデータをすべて消去し、再度全データをまとめて転送しなおしたのである。…ということでうまくいくはずだったのだが、転送の途中でしばらく止まっていたと思ったら、容量がいっぱいになったとかでエラーになってしまった。プリインストールされているMOREソフトが原因のようだ。特に「乗換案内」はユーザが使用できる7MBのメモリのうち、2MB以上を占有しているのである。私はあまり使わないと思うので消す。これが最初から内蔵されているというのが、この機種のウリなんだけどね。
使ってみたが、さすがに動作は速い。液晶もカラーになったので、Webから落としてきた地図のデータとかが見やすくなっている。白黒だと、同じ濃さのピンクと水色が隣り合っていたりすると区別ができないからね。でも、いちばん嬉しいのは、蓋が全面を覆わなくなったことだったりする。前の機種は蓋を開けるときには側面を持たなければならなかったので、落っことしそうで不安だったのである。いまだに何であんなバカなデザインにしたのか理解できないのだ。
職場からの帰りに「仮想空間計画」を読み終えた。まあ、それほど猛烈に面白いというほどではなかったが、SFとしては水準レベルの作品でしたな。最低でもこのレベルを維持するというのも、なかなか大変なことだとは思うのですが。特に最近は読む量が増えて、いろんな作品を読んでいるからそう思うのである。
家に帰ると、カミさんが若島津さんから電子メールで送ってきた「対なる者のさだめ」の表紙のカラー画像が開けないと言っている。jpeg画像をLhaで圧縮してあった。しかし、Lhaの解凍くらいはできないのかね。若島津さんはMacを入手してから1ヶ月ちょっとで画像を圧縮してメールに添付して送ってくるくらいの実力になっているというのにねえ。Lhaの解凍はすぐにできたが、カミさんのマシンに入っている画像処理ソフトが古いのかjpeg画像を開けない。仕方がないのでNCで開く。いちおう見れたが、画像処理ソフトじゃないので縮小表示ができないのである。今回はかなり明るめの絵ですね。これは店頭でも人目を引くのではないだろうか。出版社は今月中に送ってほしいということだったらしいので、何とか大丈夫かな。
■7月31日(土)
昨夜も日記を書けなかった。そして、今朝も起きられない。今日も、カイロに行く時間を1時間遅らせてもらったのだった。カイロに行く前にシャワーを浴びていると、カミさんが洗濯物を取りに来たのについて息子がやってきた。洗面所からこちらを呼ぶ。浴室の扉の磨りガラスに顔をベッタリくっつけてこちらを見ている。こういうのが楽しくてしかたがないようだ。
木根さんのところの掲示板でファーストガンダムが話題になっているので観たくなったとカミさんが言っている。近所のレンタルビデオ屋でレンタル料金が200円の日に借りようかなどと言っているので以下のように言った。
「TVシリーズなら、最初の再放送の時に録画してるけど」
「映画の方がいいんだけど」
「それもたぶん探せばあると思う」
「…そこまで持ってて、何が『薄々の一般人』なんだか」
そんなあ。当時、弟や妹がハマってたから録画しただけなんだよお。私なんて、ホントにガンダムに関しては薄々なんだから。最近でもABBAやユーミンのCDが聴きたいと言えば、すぐに出してきてあげてるでしょ。それと一緒っすよぉ。
今日は仕事に行かねばならない。明日はカミさんが「幻水」のオンリーイベントに行くと言っているので、息子の世話をしなければならないのである。昼食を食べて、しばらく休んでから行こうと思っていたのだが、息子が昼寝をするときに彼が一緒に寝室に来いと言う。で、ついていくと、当然の帰結として一緒に寝てしまっていたのである。
目が覚めると夕方であった。しかし、少なくとも職場に行ったという結果は残さねばならない。出勤する。でもやはり、あまり仕事は進まなかったなあ。昨日から通勤中に「ヴェイスの盲点」を読んでいる。作者の掲示板の雰囲気からして、ガチガチのハードSFかと思っていたのだが、軽めの作品である。会話のノリがなかなか楽しい。まあ、ライトノベルなんだから当たり前か。
仕事から帰ってくると、さっそくカミさんがファーストガンダムの映画を観ている。いま見直してみると、なんだかいろいろ発見があるらしい。名作というのはそういうもんだよな。15年くらい前に録画したんだと思っていたのだが、1982年だったらしい。CMに出てくる松田聖子や明石屋さんまが若いと言ってカミさんは笑っていた。やっぱり、本編よりもCMの方が価値が高くなってたりするんだよなあ。必死でCMカットしてたのが馬鹿みたいだ。当時は、こんなにレンタルビデオが隆盛になって、ほしいソフトがすぐに借りられる状況になるとは思わなかったからなあ。そういう意味では未来予測の失敗である。そのうちにビデオオンデマンドが一般的になれば、この流れはさらに加速されるだろう。まあ逆に、レンタルされないソフト(一回限りのドラマやドキュメンタリーとかスポーツの試合とか)もあるんだけどね。
いっしょにいた息子は、カミさんの膝の上で身じろぎもせずに観ていたらしい。2歳児って、そんなに集中力があるもんなんだろうか。そのうちにテレビを指差して「がんだむ」とか「あむろ」とか言いだしたとか。30分くらい観て風呂に入るために消したら、泣き崩れたとか。風呂の中でもずっと「がんだむ、みよな」とか言っていたらしい。むむ、早くもオタクの発現か? この作品には特定の性向を持つ人間に訴えかける要素があるんでしょうかねえ。まあ、ウチの弟妹もファーストガンダムにハマってたし、カミさんもこういう調子だから、そういう血を引いているのは事実なんだが。しかも、濃縮されているのかも。
しかし、当時のハイグレードテープって、持ってみるとすごくしっかり作ってあるのを感じる。ずっしりと重いし、剛性が高い感触があるのである。画質も良い。17年前の3倍モードだとは思えない。19ミクロンヘッドで再生しているのもあるのだろうが。でも、19ミクロンでちゃんとトラッキングが取れるということ自体、驚異的だな。この頃はハイファイなんて無かったんだよな。
映画3本は6時間テープに入らないので「めぐりあい宇宙」が途中で切れていた。「まさか、これで終わりじゃないでしょうね」と言われて、キャンキャン鳴きながら続きのテープを探しに行った私だった。
狼谷辰之 | 新書館*ウィングス文庫 |
対なる者の証 |
¥640+税 | ISBN4-403-54008-2 |
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