2000年 1月上旬の日記
▲1月1日(祝)▼
明けましておめでとうございます(これを一括変換しても「開けまして」と変換するのか>ATOK)。この千年間もよろしくお願いします…って、個人のものであるべき日記で挨拶をするというのもヘンな話だとは思うのだが、まあこれもインターネット時代の文化と言うべきか…いや、「アンネの日記」みたいな形式もありましたわね。
子供の頃には、「2000年には●●歳かあ、どんなふうになってるんだろう?」などと思っていたのだが、こういう人間になっちゃってるんですね(爆笑)。どんな未来でもいつかはやって来るし、それは現在の延長でしかないんですよね。ちょうど年の変わり目はインスタントのカップ入りのソバの汁をすすりながら迎えたし。本当の千年紀の変わり目である来年には、もう少しレベルアップしていたいものですな。
そういえば、子供の頃に比べて、今の世の中、それほどススんでないよなあ。30年前の自分に対して自慢できるといったら、ビデオがあるくらいかなあ。見たい番組をリアルタイムじゃなく観れて、好きな番組を所有することができる。これは凄いことだ。でも、それ以外にはなあ。宇宙開発は30年前に比べて、かえって退歩しているくらいだし。いま、月に人が行けるかというと、危ないような気がする。最近、火星探査機の失敗も続いてるし、技術的な精度という点では、むしろ落ちているんじゃないだろうか。コンピューターはかなり性能が高く安くなったけど、それほど使いやすいもんでもないし。何よりも、科学技術に対して、それほど夢が見れないのが問題だよな。世紀末が終わったら、少しは状況は変わるかなあ。1900年代初めに量子論や相対性理論が発表されたように。
とりあえず、2000年問題もそれほど大きな問題は起こらなかったようですな。まあ、三が日が終わって日常業務が動き出すと、多少の問題点も出てくると思うんですけどね。特に、中小企業の社内システムが怪しいかな。で、次は10000年問題ですな。これは、2000年問題の5倍くらい危険に違いないから、充分に準備しておかなくてはいけませんね。
昨夜は新年を迎えるとすぐに寝てしまって、今日は昼まで寝ていた。昨日は早起きして移動したからねえ。私が目覚めたときに、カミさんが息子を連れて我々に割り当てられた部屋にやってきて昼寝を始めた。亭主の実家に来た嫁とは思えない大物ぶりである。息子は寝そうにないので一緒に連れて下りる。そして私はといえば、おせちを食べて昼間っからビール飲んでTVを見る一日。もうちょっと有意義に時間を使いたいんだが、実家に来て一人でパソコンを触っているわけにもいかないからね。そうこうしているうちに、何もせずに一日が終わってゆくのであった。
▲1月2日(日)▼
今日は実家から我が家に帰る。私の両親・妹と近所の神社に参り、そのまま電車に乗る。今日も息子は切符を握って放そうとしない。母親が「ポケットに入れとき」と言うのだが、彼は頑として応じようとしない。この点に関しては、ものすごく頑固である。いったい誰に似たのやら。カミさんも呆れて「私が持ってるより安全かもね」と言ったのであった。
家に帰り着いて洗面所で手を洗おうとしていると、息子が「ぐるぐるぺー、する」と言う。ウガイをしたいらしいのである。そういえばいつの間にか、息子用のカップが洗面所に常備してあるようになっている。彼はイソジンの容器を指差して「いれる」と言う。いつも母親が外から帰ってくるとイソジンでウガイするのを見ているので、自分もやりたいのである。数滴入れてやるとウガイをする。ウガイといっても、水を口に含んで吐き出すだけなんだけどね。
居間に入ると、息子はさっそく巻尺を見つけだしてきて遊び始めた。今日は、巻尺を伸ばして首に掛けている。その一端を手に持ってこちらにやって来た。「もしもし、します」と言う。どうやら、医者になったつもりらしい。巻尺を聴診器に見立てているのだ。巻尺の端を私の胸に当てると「あっち、むいてくださーい」と言った。背中を向けて半纏を捲り上げると、そこを触っている。それが終わると「あーん、してくださーい」と言う。口を開けてやると、覗き込んで「ちょっと、のど、はれてますねー」と言った。彼がいつも行っている医者のルーチンワークそのものである。まったく、よく覚えているもんだね。
落ち着くとカミさんは「電車でGO!2」を始めた。息子は彼女の横で見ながら、今日もカミさんが失敗するたびに「ごめんなさい」「おねがいしましゅ」とか言っているのであった。
カミさんが風呂に入っている間に実家に電話をかける。息子を電話に出すが、彼は「でんしゃでごー、したん」「でんしゃでごー、したん」「でんしゃでごー、したん」と繰り返す。祖父は何のことだかわからない。それじゃ、会話にならないじゃないか。このオタクめ。電話を終えると、息子は「おしっこ、でた…」と言った。漏らしたのか。仕方がないなあ。着替えを出そうとしてると、彼は「…うんこ」とつぶやいた。おい、そっちまで出たのか? パンツの中を覗いていると、まだ出ていなかった。急いでトイレに連れていき座らせる。ちょっと下痢気味だな。
実家でボーッとしていて思いついたのだが、ゼンリン電子地図帳ZIIはメビウスのCD-ROMドライヴをネットワークドライヴとして割り当てればインストールできるのではないだろうか。やってみると、めでたくインストールできた。うわ、地図データはかなり選んでインストールしようとしたつもりだったのだが、ディスクの空き容量を超えている。やはり、地図データというのは大量にハードディスクを消費するのね。3GBではどうしようもないということか。新しいFIVAの6GBでも危ないような気がしてきた。で、使ってみたが、これもWindowsの操作標準に準拠していない。メニューバーがないので、どう操作していいかわからない。操作方法も、何だか直感的じゃないし。右ボタンが使えないというのは私にとっては致命的だな。これは、別ソフトに乗り換えた方がいいのだろうか。地図も、図形は細かい情報まで入っているのだが、その図形が何なのかがわからない。もう少し付加情報を多く表示してほしいものである。
夜、息子を寝かせたカミさんに「12時頃からチャット始めるからね。それまでに通信は終わらせといてね」と言われた。私の実家で私のFIVAを使ってでは、いつものように通信できなかったので欲求不満が溜まっているのであろうか。これは逆らえない。手早く最低限のサイトを廻り、おとなしく寝たのであった。
▲1月3日(月)▼
我が家に2000年問題が発生してしまった。Mac用のNiftyのログブラウザとして茄子Rというソフトを使っているのだが、発言が古い順に表示されるはずが今年の発言が先頭に表示されるようになってしまったのである。茄子Rじゃなくて魔法のナイフというログカッター(生ログを茄子で見れる形式に変換するソフト)のせいかもしれないが。うーむ、MacはOSとして2000年問題は発生しないという話だったのだが、よりによって最も使用頻度が高いプログラムで出るとは。会議室内では発言番号順で充分なはずなのに、なんで日付(しかも年が2桁)が優先のソートキーになっているのだろう。謎だ。
寝ていると、息子が目覚めた気配がする。両親が寝ているので布団の中で大人しくしているようだが、そろそろ我慢できなくなってきたようだ。カミさんを起こしに行っている。しかし、カミさんは起きる気配がない。昨夜は、例によってかなり遅くまでチャットしてたんだろうな。息子をあまり遅くまで寝かせているわけにもいかない。起きるか。
息子は飢えているようである。ありあわせのものを食わせる。2000年問題が心配されているというのに、この程度のものしかないのか。まあ、いざとなればいろいろと出てくるんだろうけど。そうこうしているうちに、息子が「うんこ、でた」と言った。あちゃー、やっちゃったか。もうそのへんは自分でコントロールできるようになっていると思っていたんだがな。例によってトイレに連れていき、脱がしたパンツの中にあるウンチを便器に落として息子のお尻を拭き、パンツを洗面所で洗って洗濯機に入れ……ようとしたら、洗濯済みの衣類が槽内に残っている。たしか、昨夜洗ってたから、濡れたまま一晩放っておいたことになるのか。そのまま干すのも何なので、もう一度ゆすいでから干す。2階のベランダは寒い。主夫の仕事も大変だ。
14時になってもカミさんは起きてこない。息子を連れて近くのスーパーにパンを買いに行くことにする。今日も歩いていく。だが、そのスーパーは今日は開いていなかった。あらら、3日にも開いていないなんて。早いところだったら2日から開いているというのにねえ。何もせずに帰るのも悔しいので、そのまま近くの電気屋に行く。店内に入ると息子はまずエレベーターのところに駆けてゆく。ボタンを指差して「これ?」と訊く。そうだよ。押してみろ。扉が開くと中に駆け込んで、今度は行先階のボタンを指差す。本当に嬉しそうだ。
2階のパソコンコーナーに行くと、息子はパソコンのキーボードを指差して「いい?」と訊く。そんなに親の顔色をうかがわなくてもいいんだけどね。そしてまたエレベーターに乗って1階に下りる。そのまま子供の遊び場に行く。今日は子供が多い。彼がパワーショベルのオモチャで遊んでいたら、他の子供が奪い取りに来た。だが、彼はしっかり抱えて放さない。相手がすぐにあきらめたし、向こうの保護者が「やめとき」と言ったのでトラブルにはならずにすんだ。子供同士の争いは、大怪我をしそうな状況にならない限り静観するつもりだったのだが、そういうことにはならなかったな。まあ、そうなったら相当な意志の力を必要とするだろうけどね。相手の方が年上のようだったし、ケンカになったら彼は勝てそうな気がしないしねぇ。
音楽用キーボードのコーナーが無くなっている。あそこはけっこう長く息子を遊ばせられるから便利だったので残念である。あまり売れてるようでもなかったからねえ。息子はトイレを見つけて駆け込む。彼は店に入るとトイレに入って小用を足し、水を流して手を洗う一連の行動をやってみるのである。便器の状態とか洗った手の乾かし方とかを、彼なりに比較しているようである。トイレ評論家にでもなる気かね。
一通り店内を巡回して家に帰る。途中で息子は「おんぶして、よかったあ」とか言って私の上着の裾を引っ張る。おんぶしてほしいなら、素直にそう言え。そのまま引きずって家に帰ったのであった。家に帰るとカミさんが起きていた。今朝は6時までチャットをしていたそうである。そうすると、6時間ですか、スゴイですねえ。
▲1月4日(火)▼
昨夜は年賀状の宛名を書いていたら朝の5時になってしまった。昨日の昼間に書こうとしたのだが、家が狭いので息子が側で遊んでいるとどうしてもぶつかられたりしてしまうのである。もう、宛名書きだけで精一杯である。それぞれ、一言だけでも肉筆でコメントを書くべきなんだろうけど、今年は無理なのだ。今日はお客様は休みなのだが、伝票処理とかが溜まっているので久しぶりに自分の会社に行くのである。昼から出て行くことにしているので、いつもより遅くまで寝ていられる。
息子は調子が悪そうである。カミさんが洗濯物を干している間、私の膝の上に乗せて抱いていたのだが、私の胸に頭をつけてグッタリしている。今日はカミさんの実家に親戚一同が集まる日なので母親と二人で行くのだが、大丈夫なのだろうか。私は今日も仕事で失礼してしまうのである。まあ、それでも母親が「電車乗ってばーちゃんとこ行こか」と言うと元気になったのだが。
久しぶりの自分の会社である。メールソフトを立ち上げると、10月の初めからのメールが350件も落ちてきた。サーバもよく溜めていてくれたもんだ。まる3ヶ月以上、自分の会社に行ってなかったことになるな。とても読みきれないので、FIVAにメールボックス内のファイルをコピーする。デカくてPCカードに入らないのでLHAで圧縮しても3MB近くあった。
今日は久しぶりに自分の会社に出たので、帰りに安売りチケット屋で図書券をまとめ買いしようと思っていたのだ。あちこち挨拶廻りをして溜まっている伝票を処理していたらギリギリの時間になってしまった。急いでチケット屋に急ぐ。しかし、開いていない。何軒か回ったが、どこも開いていない。軒並み「新年は5日から」と書いてある。正月休みは「三が日」と言うのではなかったのか。うがあ。また、こういう競争の激しい業界で横並びで休むというのも信じられない。ウチみたいな会社でも今日から仕事なんだから、ぜったい売れると思うんだが。そのせいで、異形コレクションの新刊が出ていたが買わなかった。まあ、これは無くなって買えなくなる、ということはないだろう。
▲1月5日(水)▼
今日は朝から自分の会社に出て、みんなで発注元と客先に行くことになっている。朝出勤すると、これから今後の進め方の打合せをするという。出てみると、今のウチのグループのプログラマを今月半ばで全員外して別の人間を一人だけ入れるらしい。一週間で引き継ぎをする予定なんだそうな。何なんだ。まだトラブルが頻発している状況でそういうことをするわけですか。直属上司も今月半ばで外れるという。実際は今月末までらしいが。そうすると、このシステムのことをわかっている人間はウチの社内では私だけにしてしまうわけですか。やはり私を潰そうとしているとしか思えないな。例の偉い上司に「お前が『こうしてくれ』と言わないから残業が増えるんだ」というようなことを言われる。望んで残業しているようなことを。「やりたくて残業してるわけじゃないですよ」と応える。我ながら声が凍っている。一度に会議室の空気が固まってしまった。何のために管理職がいるんだよ、まったく。今頃になって「手助けができない」と言うのはまだしも、さらに足を引っ張ることをしながらそういうことを言うかね。
今日も、当日中に仕事が終わらなかった。
▲1月6日(木)▼
今日もまた、当日中には仕事が終わらなかった。
▲1月7日(金)▼
今日は、いつもに比べて平穏な一日であった。今年からクリティカルなトラブルでなければ当日中に直さなくてもいいということになったので今日は何とか大阪に帰れそうである。終電に間に合う時間で作業を切り上げて帰る。
帰りの電車の中で「異形コレクションXIII 俳優」を読んだ。読書をするのは久しぶりのような気がするな。まず石田一氏「怖い顔」を読む。この人は初めての人だな。これはなかなか怖いかもしれない。でも、文体や登場人物の言葉遣いや考え方が時代設定と合ってないような気がするんだな。自分では元気なつもりだったのだが、電車の中でパンを食べて本を読んでいると疲れてきた。難波まで寝る。難波で乗り継ぎの電車を待っている間にホームで続きの井上雅彦氏「劇薬」を読み始めた。う〜ん、ラストはB級ホラー映画にしたいんだろうけど、ぜんぜん怖くないんだな、私には。最後は菊地秀行氏「化粧」である。私には意味がよく理解できません。
難波に着いて家に電話するが誰も出ない。インターネットしているのか寝ているのか。カミさんのPHSに電話しても出ない。これは寝ているんだな。家に着いて、鍵を開けようとするが内側からロックされている。ふにゃー、これはガレージから入るしかないかな。ところが、ガレージの鍵が開かないのである。キーを差し込んでも、何かに引っかかっているのか、回らない。カミさんがガレージの鍵の調子が悪いと言っていたのはこのことだったのね。かなり長い間悪戦苦闘していたのだが、どうしても無理である。今夜はそれほど寒くないが、それでも1月である。野宿をすると凍死するおそれがある。あきらめてカミさんを起こすことにして玄関のチャイムを鳴らすと「誰?」と中から声が聞こえた。あら、起きてたのね。
カミさんは親知らずを抜いたらしい。「イライラも肩こりも見事に治って」しまったそうである。これで、少しは息子の扱いが改善されればよいのだけどね。
▲1月8日(土)▼
昨夜は、妻子が寝た後で日記を書いていたら気を失っていた。気がつくと朝の6時すぎである。あわてて日記を上げる。妻子が起きてきた。息子の咳が酷いので、今日は保育所を休ませて医者に連れて行くらしい。いっしょに朝食を食べ、妻子を送り出してまた寝る。
寝ていたら、カミさんの怒鳴り声が聞こえた。かなり怒っている。な、何なんだ? 「お布団入れて!」と言っている。あれ、寝室に布団は全部そろっているはず……あ、木根さん用の布団だ。慌てて2階に下りてベランダに出る。あれ……そうだ、布団は3階に干してるんだ。3階に逆戻りして布団を入れる。しっとり濡れている。客間に引き込んで布団乾燥機をかける。パジャマのままだったので寒い。そのまま布団に逆戻りである。しばらく寝ているとまたカミさんが起こしに来た。何ですか、会社から電話? やっぱり来たか。お客様が入力を間違えたらしい。変更する方法は用意してないので、データを修正しなければならない。送られてきたメールを転送してもらい、通信して読み、お客様に電話する。電話中だった。そうこうしているうちに木根さんから電話がかかってきた。最寄りの駅に着いたらしい。移動中だそうである。昼寝しているカミさんに伝えて作業を続ける。データがどうなるべきなのかを確認して、遠方の作業場所にいる人間に修正作業を依頼する。くそお、休日なのに働いちまったぜ。
明日は大阪でイベントなので、例によって我が家はヤオイ宿泊所となるのである。オタクな話題に花が咲きつつ、夜は更けてゆくのであった。
▲1月9日(日)▼
今日、カミさんは木根尚子さんと大阪のイベントである。私は息子と11時まで寝ていた。どうも体調が悪い。頭とノドが痛くて、身体の節々も痛い。また風邪を引いたかな。疲れてるしストレスで免疫力が落ちているんだろうなあ。息子がおとなしく寝ていてくれたのが救いである。一度オシッコで起こされたが、これは良いことだからいいのである。だが、朝食を食べさせる前後の「ほん、あるで」攻撃で絵本を読まされてしまい、ノドの痛みが酷くなってきた。
食後すぐに息子がオシッコに行った。彼はオチンチンがパンツで圧迫されて歪んだままでオシッコをしたので、あらぬ方向へ飛散していってしまった。ありゃー、まだそんな配慮はできないか。彼の太股を拭いてやったが、彼は「あし、ぬれた」と言う。見ると、床がビショビショに濡れている。あやや、そんなにこぼれてしまったのね。彼の足の裏を拭いてトイレの外に出し、ズボンとパンツを脱がせてから床を拭いたのであった。
またしばらくすると、息子が「ふん」「ふん」と言いだした。「ウンコか?」と訊くと肯く。トイレに急行する。ちゃんと出た。彼の体調は昨日より良さそうだな。しかし、私の体調は悪くなるばかりである。こういうときは水分とビタミンCの大量接種、ということでC.C.Lemonをガブ飲みする。少しはマシになったかな。
今日は、藤隆さん、宮本春日さん、木根尚子さんとウチの親子三人で焼き肉を食べる予定なのである。夕方にカミさんから息子の体調の確認の電話がかかってくる。彼女は昨日の息子の体調から止めてもいいような口ぶりだったが、彼も咳は出ているが元気そうなので「楽しみにしてたんでしょう。行きましょうよ」と言う。「電車に乗る」と言えば、彼も元気になるだろうし。好きなことをするためなら、免疫力が活発になるのである。風邪くらいなら、そういう治しかたも有りだろう。
カミさんのリクエストにより、息子とペアのウルトラマンのトレーナーを着て家を出る。駅まで歩き始めて、遠いのでちょっと後悔した。これは自転車で行った方がよかったかな。でも、たぶん帰りはタクシーになるだろうからなあ。まあ、息子が歩けなくなったら負ぶって行こう。しかし、彼は駅まで歩き通してくれた。やはり、電車に乗れるとなると元気である。
少し時間があるので、難波で本屋に入る。「対なる者の誓い」が出ていた。その本屋では2山10冊以上置いてあった。こういうジャンル(笑)の品揃えが多い店だが、有難いことである。売れているのか、他で引き取ってくれないから集まってきているのか。
難波の地下街から地上に出たところに安売りチケット屋があった。値段を見ると、図書券が480円だった。この値段だったら買ってもいいな。とりあえず60枚ほど買おうとしたが、今は無いという。「20分か30分したら入ってきます」と言われる。うう、飯を食った後だったら閉まっているだろうな。ここしばらく、図書券運が悪いのである。
待ち合わせ場所が心斎橋駅だったので、心斎橋筋を歩く(ゼンリン電子地図帳ZIIで道の名前を調べようとしたが、よくわからない。役に立たんヤツじゃ)。記憶ではすぐ近くだと思っていたのだが、息子を連れていると遠い。これもちょっと後悔した。しかし人が多いな。だが、息子は文句も言わずに歩いている。こういうところを歩くのは初めてだろうからね。戎橋の上を通る。彼は、「えべっさん」のディスプレイやグリコなど様々なネオンサインや人混みよりも、道頓堀の噴水が気に入ったようである。抱き上げてやると「みず、でてる」とか言って見ている。途中でまた本屋に入る。階段で2階に行くが、文庫本のコーナーには「対なる者の誓い」は置いてなかった。息子は、窓から外が見えるのをみつけて私を引っ張っていく。交差点で人や車が動いていて、信号が変わるのをずっと見ている。そのまま動こうとしない。「エレベーターに乗ろ」と言って次のコーナーに移動させなければならない。エレベーターでコミックスやライトノベルの階に行くと「対なる者の誓い」が平積みにしてあった。いちばん山が低い。まったく売れてないわけではなさそうだ。下りるためにエレベーターの前に来ると、彼は下りのボタンを押したがる。「押せ」と言うが、彼は「おせへん」と言ってベソをかく。この高さだったら押せるだろう。手を持って押させると届いた。彼は「おせた」と言って嬉しそうである。自分の手の届く範囲くらいちゃんと把握しておきなさいよ。
待ち合わせ時刻の15分前に心斎橋駅に着いたが、カミさんたちはまだのようである。息子は地下に下りてきたので地下鉄に乗るものだと思っている。やっぱり地下鉄でここまで来た方が良かったかなあ。このまま待っていると息子が電車に乗ろうとゴネて大変なので、近くのデパートのトイレでオシッコをさせることにする。
デパートから出てくると、イベント帰りの4人が輪になって話していた。紹介と挨拶を済ませて出発である。皆さんは、どんどん難波の方に歩いていく。息子を連れていると追いかけるのが大変だ。けっきょく、食事の場所は心斎橋よりも難波の方に近かった。これだったら、待ち合わせ場所は難波の方が有難かったんだがなあ。
焼肉屋に入り、食べ放題を注文する。食べ放題なので、食事の前に女性の皆さんは拘束具を外してこられたようである。このあたりは各々のホームページで暴露合戦をやるそうなので楽しみだ(こらこら)。ただ、テーブルが分かれてしまったし、私の体調が悪かったので、あまり話が盛り上がらなかったのが残念である(実は食べる方に忙しかったせいだという話もある)。
他の三人は続いてカラオケに行くそうだが、ウチの家族は息子の体調の問題があるので先に帰宅する。店を出ると雨が降っていた。息子は「みず、みにいく」と言って道頓堀の噴水を見たがっているが、濡れるので中止することにする。カミさんが説得するが、店を出る前に約束していたので息子はゴネる。帰ろうとすると脚を踏ん張って抵抗する。抱き上げようとしても嫌がる。カミさんが無理矢理抱き上げて、「電車に乗って帰ろ」と言いながら帰るのである。
帰りに覗くと、安売りチケット屋はまだ開いていた。20時を過ぎていたのでもう閉まっているだろうと思っていたのだが、ちょうど閉店するところだったらしい。カミさんと3万円ずつ図書券を買う。二人で6万円も図書券を買う夫婦も珍しかろう。
カミさんは「対なる者の誓い」が本屋に並んでいるのをまだ見ていないらしい。電車に乗る前に本屋に見に行きたいのだが、息子が電車に乗りたがって嫌がる。また「エスカレーターに乗ろな」と騙しながら連れていくのであった。
帰りは、息子を抱き上げて彼に回数カードで切符を買わせる(近鉄の回数券は直接自動改札機を通れなくて、自動販売機で一回分の切符に変換しなければならないのだ)。ちょうど残りが無くなったので、使用済の回数カードも彼に渡す。彼は、切符と回数カードを両手に持って嬉しそうである。だが、電車に乗る前にトイレに行こうとすると、彼は切符を放すのが嫌でトイレに行かないとゴネる。私がトイレに行った後、母親に無理矢理取り上げられてトイレに連れて行かれてしまった。トイレから出てきたとき、切符と回数カードを見せてやると、転がりそうな勢いで駆けてくる。こらこら、転ぶなよ。
▲1月10日(祝)▼
昨夜は体調が悪くて早めに寝たので、今朝は6時すぎに目が覚めた。昨日は通信していないので、起きて新聞社のサイトを見に行く。テレホタイムが終わってデスクトップのMacで柿木将棋IIをやっていると、上でドンドン音がし始めた。寝室に上がって行くと、息子が布団の上に座っている。「シンちゃん(仮名)、もう、おきた」と言う。「こっち来い」と言うと、ちゃんとカミさんを踏まないように歩いてくる。いっしょに居間に下りる。そうこうしていると、カミさんも起きてきた。別にもうちょっとくらい寝ていてもよかったんだけどね。
木根さんは、今夕までご滞在である。今日も一日中ヤオイ談義に花が咲いている。息子がカミさんの同人誌を持って「わんぴーす、よんで」と言いながら持ってきたが、彼女は「これ、読んでやれるとこ無いわ」とか言っている。おいおい、そういう過激なモノ、子供の手の届くところに置いておくんじゃないっすよ。
息子は「電車でGO!2」にハマっている。誰彼となく、やってくれとねだる。木根さんにも「きつねさん、かんじょうせん、して」とか言っている。かなり執念深い。オタクだよなあ。きっと、キミのそのオタクぶりは家庭環境のせいだけじゃないぞ。生まれながらにそういう気質を持っているに違いない。
木根さんが帰ると、カミさんの機嫌が急に悪くなってきた。息子への態度がきつくなる。夕食を食べて息子の体温が上がってきたようなのだが、うまく計れないといって息子に当たり散らしている。私が計ったらちゃんと計れたんだが。息子に「母ちゃんも疲れてるんや!」と言っているが、そういう意味では彼も一緒なんだけどね。というより、ここ数日はイベント関係の行事が多かったからなあ。自分の部屋でビデオを見ていると、カミさんが「私、風呂に入るからシンちゃん(仮名)お願いね」と言ってきた。寝かせようとしても寝ないらしい。「寝かしとくわ」と応える。彼女が階上に上がって行ってしばらくすると「もうっ、勝手にしなさい」という声が響いたと思うと息子の泣き声がしてカミさんが下りてきた。「シンジ(仮名)、勝手に3階に上がって勝手に泣いてるわ」と言い捨てて風呂に入ってしまった。急いで階上に上がる。寝室に入ると、真っ暗な中で息子が泣いていた。電灯を点けると彼は「とーちゃーん」と言いながら走ってきて私にしがみついてきた。よしよし、不安だっただろう。背中をトントンする。激しくしゃくり上げている。落ち着いたところで、このまま寝かせるつもりで後ろに倒れて胸の上に乗せて背中をトントンし続ける。寒いので布団を掛ける。何分か経って、やっと笑顔が出た。それでもしばらくはじっとしている。やはり私の胸の上は寝にくいようで、首の方向を変えたり身体の位置をずらしたりしている。「寝るか?」と言って布団の上に寝かせて毛布と掛け布団を掛ける。そのまま彼といっしょに寝たのだった。
狼谷辰之 | 新書館*ウィングス文庫 |
対なる者の誓い |
¥620+税 | ISBN4-403-54021-X |
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