2000年 1月中旬の日記
前の日記へ
1月11日(火)
今朝はちょっと起きるのが遅くなってしまったが、ここ数日Niftyにアクセスしていないのを思い出して通信してみる。闘病中の従弟からメールが来ていた。プロバイダと契約したらしい。メールのテストをしているようだ。急いで2〜3行だけ書いて返事を出す。とりあえず、メールが届いたことだけわかればいいだろう。

息子はなかなか起きなかったらしい。昨日は早く寝たのにねえ。そういえば、昨夜はパジャマに着替えなかったな。出張の荷物を作っていたりしていたら遅くなってしまった。朝食用のパンを包んでもらって出発する。カミさんが「父ちゃん、お仕事やねん」と言うと、彼は「また、かえって、きてな」と言う。うう、そういうことを言われると辛いなあ。

今日からまたまたまたまた遠方で仕事なのである。今朝は電車の中でもそれほど眠くなかった。パンを食べてからずっと日記を書いていたのであった。やはり、3日休んだせいか…いや、思いがけずいっぱい寝てしまったせいなんだろうな。

今夜はパソコンジャックのあるホテルに泊まれなかった。公衆電話で通信する。昨日は日記を更新できなかったので、2日連続で休むのはマズイ。公衆電話での通信の仕方を忘れそうになっていた。通信していると、電話ボックスのすぐ外に人が立ち止まってブツブツ言っている気配がする。待っているのか? 公衆電話はここだけじゃないだろうし、携帯電話は持っていないのか(お前が言うか?) 電話ボックスを出たときに因縁をつけられたらどうしよう、などと要らぬ心配をしてしまったのだった。やはり、こういう面でもホテルの部屋で通信できるのはラクなのである。



1月12日(水)
このホテルのチェックアウトは10時までのはずなのだが、今朝は9時から周りの部屋の掃除が始まった。部屋の中で落ち着いていられない。そそくさと着替えて部屋を出ようとしたら、ドアが開かない。ドアの前にシーツが積んであったらしい。か細く、「すみませーん」と訴える私であった。

今日は、発注元の作業場所で仕事をする日である。今週から、半分は客先に行かなくてもよい運用に変えてもらっているのである。おかげで、昼休みに食堂からの帰りに遠回りをして本屋に寄れた。「開運!なんでも鑑定団1」(テレビ東京・編:テレビジョン文庫)を買う。好きなんだよね、この番組。

しかし、やはり平穏な時間は長くは続かないのである。客先から電話がかかってきた。直したはずのトラブルがまた起きたと言って怒っている。原因は違うのだが、使う方から見たら同じですわね。こんなことがいつまで続くんだと訊かれるが、一カ所を集中して見れない現状では私にも見当がつきませんです。はい。



1月13日(木)
昨夜は、通信を終えてちょっと後ろのベッドにひっくり返ったら寝てしまっていた。気がついたら6時である。けっこう元気なつもりだったんだがなあ。

今日も発注元の作業場所で仕事をする日だったのだが、朝から現場に行ってクレームを聞かねばならない。少し早起きをして作業場所に出る。昨日言われたトラブルは何とか解決させて客先の作業場所に行ったら、次々に用事が出てきて帰れない。まだまだ叩けばいくらでも埃が出てくるのである。

ソニーが腕時計型のワイヤレスリモコンがついたMDプレーヤーを出すらしい。べつにリモコンが腕時計に入ったからといって、どうということもないのだが、この腕時計(じゃなくてリモコン)、カレンダー機能がついているらしいのである。1ヶ月分のカレンダーが表示できてランニングコストが小さければ、リモコン目当てに買うかもしれないな(爆)。



1月14日(金)
今日は客先の作業場所に行く日なのだが、朝に発注元の作業場所に行くと現場に電話をしろと言われる。今朝もトラブっているらしい。調べさせたら、昨日直したところがおかしいと言う。うわぁー、また顰蹙モノだな。「このクレームはどこに上げたらいいんだ」と訊かれて、全体会議の席で言ってください、と応える。私が言ったって上司たちには聞いてもらえないからなあ。すごく楽観的だし。この状況で人を減らそうとしてるくらいだから。だいたい、私が現場でどれだけ謝りまくっているかが見えていないんだから。

ウチのプログラマは二人とも今日で引き抜かれてしまう。これからどうなってしまうんだろう。代わりの人間は一人来たが、一週間ぽっちで引き継げることなんてたかが知れている。それに、一人になってしまったら、その一人が休んでしまうと緊急時に対応できないぞ。私が謝って一日時間を繋ぐことになるのだろうか。人を減らすのを止めてくれと上に言ったって、どうせ聞いてはもらえないだろうし。まあ、状況がさらにメタメタにならないと気づいてはもらえないだろう。抜ける二人はすごく嬉しそうだ。そうだろう。こんなヒドイ仕事から抜けられるんだから。羨ましい限りである。



1月15日(土)
昨夜は、昨日で最後のプログラマ二人に「最後のお勤め」をしてもらっていたので昨日中に帰れなくなってしまった。ホテルに泊まって今朝移動することになる。帰りの電車の中で「高砂幻戯」の続きを読む。これも久しぶりだ。まず「明烏」を読んだが、若い頃に読んだときは最後の色っぽい描写しか印象に残らなかったのだが、いま読むと前半の情景描写とかそういうところに目が行くようになっている。私も歳をとったということだな(苦笑)。続いて「天神山縁糸苧環」を読んだが……ええ話でんなあ、と思わず大阪弁になって読んでいたのだが、最後の展開の凄さに読んでいて泣きそうになってしまった。話の筋としてはありきたりなのだが、この迫力は何なんだろう。こういうネタでこんなにリアリティのある話が描けるというのは、知識が頭で理解しただけのものではないということなんでしょうね。私も高校のときのクラブの部室が落研と一緒で、弟も落研だったから多少は上方落語のことは知っているつもりだったんですが、もうそういう知識なぞ遙かに超えてますな。落語に対しても、これだけ深く「物語」というものを洞察しているとは…だからこそ、ああいう凄い作品が書けるわけなのですねぇ。

朝から移動だったので、今週も日本橋に行くのである。こういうことをすると結果は見えているのに……と思っていたら、やっぱりやってもーたしてしまった。ストレスが溜まっているのかねえ。デジカメを買ってしまったのである。いま持っている機種の画質が悪いのでいつか買い換えようと思っていたのだが、この機種が5万円以下なら買おうと思っていたところに出物があったのである。パソコン接続キットも含めて6万円弱である。PCカード経由でデータを移せば接続キットは要らないのだが、QuickTime 3 Proが入っているから、というただそれだけの理由で買ってしまったのだ。microdriveも安ければ買おうと思っていたのだが、5万円近くしたので踏みとどまった。だが、後で覗いた店で、デジカメと接続キットにmicrodriveの3点セットを10万円を切る価格で売っているのを見て「うっきーっ!」となってしまった私だった。あと、メーカーのホームページにはボイスメモとしても使えるようなことを書いてあったので、日記のネタを思いついたときに録音しておけるのではないかと思ったのも買った理由の一つだったのだが、マニュアルをよく読んでみると録音できるのは写真1枚ごとに4秒だけだそうである。これも「うっきーっ!」だな。嘘じゃないんだろうけど。

家に着いたときには夕方になっていた。朝の10時にホテルを出たはずなのに、何でこういう時間になるんだろうか。やはり、本屋や電気屋を廻ると、気づかないうちに時間軸上を高速で移動してしまうのに違いない。玄関を入ると、ちょうど妻子が出かけようとするところだった。息子は私が上がっていくと「とーちゃん、かえってきた、やたやた、やった、やった」と、走り回って喜ぶ。それだけ喜んでくれれば、父ちゃんも帰ってきた甲斐があったというもんだな。

居間に入ると、コタツとホットカーペットが新しくなっていた。カミさんが彼女の原稿執筆用のワープロと通信用のPowerBookを拡げると私が食事をするスペースが無くなってしまうというので買い換えると言っていたのだ。

カミさんが早売りのジャンプヤンマガを買ってきた後、息子を連れて紙パックの野菜ジュースを買いに行った。いつも野菜ジュースを買っているスーパーが閉まっている……どころか、店内が真っ暗で何も置いていないようである。改装するのかリストラされてしまったのか。改装ならば、あそこまで空っぽにはしないような気もするなあ。そこらへんのスーパーを廻るが、適当なものが見つからない。息子は店に入るたびに「やさいじゅーす、かおな」と言うので、買わずに店を出るときには「さ、野菜ジュース買いに行こ」と言いながら引っ張って行かねばならない。何軒目かのスーパーで、息子は魚屋の水槽に釘付けになってしまった。他のところに行こうと引っ張っても動かない。彼が魚を見飽きるまでには、かなりの時間を必要とした。

どこにも適当なジュースがないので、家とは反対側にあるスーパーにまで脚を伸ばす。こんなに時間をかけるくらいなら、時間単価を考えれば少々高価くてもペットボトルのジュースを買った方がよっぽど経済的なのだが、私には主夫根性が染みついているのである。息子はここに来たことがあるのを覚えているようで、買い物が終わって「帰るか?」と言うと、隣のホームセンターの方へ駆けていく。エスカレーターを上ってペット売り場を探し、水槽を見つけて「おさかな!」と叫んだのであった。やはり目的はそれであったか。一通り見て回った後、私に何かを訴えている。よく訊くと、前回来たときには段梯子があって上の方の水槽が見れたのに今回は無いのか、と言っているようである。よく覚えているもんだね。仕方がないので抱き上げて上の水槽を見せたのだった。そのうちに彼は金魚の入っている水槽の水面を指差して「きんぎょ、うごかへん」と言った。見ると、一匹の金魚が死んでいる。「金魚、死んでもたんや」と応えると、「きんぎょ、しんで、しもたん?」と問う。その後も「何でかな」「可哀想やな」などと会話する。かなりこだわっている。帰りの道すがらも、彼はずっと「きんぎょ、しんで、しもたん」と繰り返す。泳いでいるべき金魚が動かなくなってしまうというのは、彼なりに衝撃的なことであったようである。



1月16日(日)
昨夜は、息子が寝ているうちに自分の用事を片づけようとしていたら、ほぼ徹夜になってしまった。テレホタイム後、布団にもぐり込む。しかしそれでも昼前に目が覚めてしまった。

最初の食事を終えて、レンタルビデオを返しに行くことにする。息子に一緒に来るか訊くが、どうも今日は態度がはっきりしない。いつもなら外に行くと言うと喜んでついてくるはずなのだが、今日は「母ちゃんと寝るか?」と訊いても「父ちゃんと行くか?」と訊いてもどちらにも同じような反応をする。それでも途中までは私と一緒に出かけるつもりだったようだが、靴下を履いて玄関に下りる階段の途中まできてから「ねるー」と言いだした。

一人で外出して帰ると、妻子は寝室に入っていた。私も一緒に寝ることにして寝室に入ると、息子は起きていた。眠くて相手をできないので寝る。彼は母親を起こしに行っては怒られていたようである。眠いんじゃなかったのか。

デジカメで動画を撮ってみたが、なかなかスムーズに絵が動く。ただ、パソコンに転送して再生してみると、まるで動かない。私のFIVAカミさんのPowerBookでは、明らかに能力不足のようである。しかしこのカメラ、専用機とはいえ、こんな小さな機械なのに恐るべき処理能力だな。今度、G3マシンで能力が足りるか試してみよう。

今夜も息子の咳が酷い。寝かせるときに咳込んで吐いたそうである。熱は38.6度まで上がったようだ。インフルエンザではないかと心配したのだが、それ以上熱は上がらなかった。私が寝るために寝室に上がったときにも、彼は数分ごとにゴホンゴホンと咳をする。そのたびごとに彼の背中をさすりながら寝るのであった。

…うう、もっといろいろ書くべきことがあったような気がするが、書く暇が無くて時間が開いてるうえに疲れで記憶力が落ちているところに熱を出してしまったので思い出せない。哀しいことである。



1月17日(月)
朝起きると身体中が熱っぽくて怠い。ノドも腫れている。風邪を引いたようである。やはり免疫力が弱っているな。仕事を休んで医者に行くことにする。カミさんも息子を医者に連れていく予定だったので、私が息子を連れて医者に行く。彼は今朝も37.3度の熱があるらしい。

医者から帰ってきてそのまま寝る。だが、お約束のように上司から電話がかかってきた。先週リリースしてトラブったプログラムがまた落ちているらしい。おかしいなあ、先週ちゃんと動くことを確認したのに。調べてもらうと、先週末にリリースされていたのは先週の修正が行われる前のバージョンだったようだとのことである。最新のモジュールをリリースしたことによって動かなくなってしまったんじゃないかと言われる。ホンマかいな。だとしたら、ずいぶんヒドイ話である。担当した人間はすでに抜けられてしまっているし、本当だとしたらずいぶんと悪質な置き土産だな。

夕食前にテレビでHEY!HEY!HEY!を見る。ううむ、やはり小柳ゆきはホンモノだ。最近の若い人ってのはスゴイですね……って、まるで年寄りだな。



1月18日(火)
今日は出勤してくるようにと上司から強い要望があったので遠方に行かねばならない。だが、まだ熱っぽい。客先に出るのは昼からにしてもらう。それでも、しばらく休んだが家を出るときには逆に身体中が冷え切ってしまっていた。両手が氷のように冷たい。背筋がゾクゾクする。寒いので、腹部に使い捨てカイロを装着して家を出たのであった。電車の中でも、ひたすら丸くなって休む。それ以外のことは何もできない。

昼過ぎから客先で待機する。しかし、今日は何のトラブルも起こらなかった。これだったら、家で寝ていたら体力も回復できたのに、と思うのであった。早めに仕事場を出て、ファミレスで食事ができるのを待っている間に「高砂幻戯」の「乗合舟夢幻通路」を読んだが、これはあまり面白くなかったな。



1月19日(水)
昨夜、ホテルで日記を書いていると煙たくなってきた。隣の部屋に喫煙者が泊まっているらしい。今朝も寝ていると朝方に煙たくなってきた。別々の部屋にいてさえこれだとは、困ったものである。同じ部屋にいたら、と思うとゾッとしますな。

今日はまたトラブルが続発した。今日は重大なトラブルが発生したので、それが解決するまで帰れない状況になってしまった。お客様からその顧客に出る伝票の金額が間違っていたんだから、仕方がないな。でも、こういうときにこの難解なプログラムを調べるのがプロジェクトに入ったばかりの人間だというのは辛いことである。



1月20日(木)
けっきょく、昨夜は完徹になってしまった。病み上がりには辛いかぎりである。たとえ1〜2時間でも、ホテルに帰って眠れたら…と思っていたのだが、何だかんだと細かい問題点が見つかって、一睡もできなかった。まあ、このプロジェクトに入りたての人間が、あの難解なプログラムを直せただけでも幸いだと思うべきか。一緒に仕事をしている上司は、朝になってやっと修正が終わったのを見届けると帰ってしまった。客先対応は私がやれということらしい。

今日は客先で待機する日である。データの復旧の仕方も考えなきゃいけなしね。客先に行くためにタクシーに乗っていたら、何度か気を失った。何か考えているとその中に入ってしまって、ハッと気がつくとタクシーの中にいるのである。

今日はそれほど大きなトラブルも起きなかったので、夕方になって隙を見つけて疾風のように帰る。帰る寸前に呼び止められて帰れなくなるというのは、断じて避けるべきことである。ホテルに荷物を置いて、そのまま出かける(フロントで「昨日はお帰りにならなかったそうですね」と言われちまったぜ)。ホテルでくつろいでいるところに仕事の電話がかかってくるのが最も健康に悪いのである。近くの本屋の中を巡回してから、古本屋に行く。古本屋であれば、いくらでも時間がつぶせるのである。しかし、前回ここに来たときも徹夜明けだったような気がするな。そんな暇があったら眠ればいいのに…とか思うが、こういうときでもないと古本屋が開いているような時間に自由になれないのである。古本屋では以下の本を買った。
(1)「暴走妄想空間」(岬兄悟:大陸ノベルス)
(2)「ドリーム・オン 境界線でつかまえて」(岬兄悟:トクマ・ノベルズ・ミオ)
(3)「両面テープのお嬢さん」(新津きよみ:角川文庫)
(4)「定吉七は丁稚の番号」(東郷隆:角川文庫)
(1)〜(3)は異形コレクションなどで相性がよいと思った作家さんで、(4)は某所で推薦されていたので買ったのである。しかし、相性がよいと思った作家さんに限って普通の本屋で著作を見つけづらいというのは、どういうことなんだろうか。やはり私の好みが特殊なんだろうな。しかしなあ、これだけの本、私はいつ読むつもりなんだろうか。毎度思うのだけれど。本棚の背表紙を眺めながら、古本屋の店番というのはいい仕事だよなあ……と、現実逃避してしまう私なのだった。

本を買ってファミレスに入る。徹夜明けで胃が弱っているので、あまり消化に悪いものは食べられない。キノコ雑炊、ほうれん草とニンニクのスープ、エスニック焼き野菜、温泉卵、そしてデザートにオーガニックケーキを食べた。このメニューを見てどこのチェーンかわかれば、あなたもファミレス通と言える…かどうかは、ファミレス通でない私には判断できないのである。

食事を終え、ホテルに帰ってフロントでキーを受け取るとき、「伝言が…」と言われないかとドキドキする。そういえば、先週の土曜日もお客様が出勤日だったので家に帰るときは気が重かったな。電話がかかってきてたらどうしよう、朝一番でトラブったのに夕方まで連絡が取れないと言って怒られたらどうしよう、なんてね。自由時間でも気の休まる暇がないのである。健康に悪いな、こういう仕事は。

ホテルの部屋で日記を書き飽きたところで、買ってきた古本をパラパラと読んでみる。やはり新津きよみさんの文章は読みやすい。物語の中にスッと入っていける。「定吉七…」は…どうも文章が凝りすぎで読みにくい。これじゃ、すぐ飽きそうだな。とか言ってるうちに「ドリーム・オン」を読み始めて止まらなくなってしまった。けっきょく表題作を最後まで読んでしまう。早く寝なきゃいけないのにねえ。

狼谷辰之  新書館ウィングス文庫
なる
¥620+税  ISBN4-403-54021-X



ホーム  日記の目次へ  次の日記へ