2000年 2月下旬の日記
▲2月21日(月)▼
今朝も息子は機嫌が悪い。生活のリズムが乱れてるからねえ。休日に両親が遅くまで寝ているせいなんだろうけど…
今週は積み残しの不具合をすべて片づけるように言われている。そのうえに、今月中に何としてもやるようにと、客先から改造の予定を突っ込まれているのである。相変わらず負荷を考えてくれていないな。そのためには泊まってもいいそうなので、週末まで家には帰れない。たぶん土曜日も出勤だろうな。
先週の金曜日あたりからまったく日記を書いていないので、電車の中で書いた方がいいのだが、どうにもだるい。シートの上でひたすら身を丸くして過ごす。
咳をすると左の脇の下が痛い。咳をしたくない。でも、せずにはいられない。辛い。
▲2月22日(火)▼
今日も朝から晩まで仕事である。先週くらいからウガイができなくなっているのである。水を口にふくんで上を向き、喉の奥でガラガラと転がすのができない。喉が腫れているのを刺激するせいか、吐きそうになってしまうのである。まさかこういうことができなくなるとは思わなかったな。できないようになってはじめて、けっこう難しいことであったことがわかるのである。
▲2月23日(水)▼
今日も朝から晩まで仕事。昨夜はホテルの部屋で日記を書いて上げ、ベッドの上に横になったら、服を着たまま寝てしまっていた。気がついたら6時過ぎである。着ていた服を椅子の上に放り投げ、布団の中にもぐり込む。しばらく寝て、今度は眼鏡をかけたままであることに気がついた。どうしようもないなあ。
▲2月24日(木)▼
今日は地元の大学の入試があるとかで、いつものホテルが取れなかったのである。部屋の中で通信ができない。今日は早く仕事を終わらせたのだが、それでもコンビニで食事を買って部屋に入ったら23時過ぎである。食事をしていたら0時前になってしまった。このホテルは門限が0時なのである。通信をあきらめて寝る。
▲2月25日(金)▼
今日は客先に行って、客先でなければ消化できない残件に対応していたので、あまり作業が進まなかった。改造したせいで処理が遅くなってしまったのもあるし(一回の登録で50分もかかっちゃあねえ)、それの対応もしなければならない。今日は家に帰れないのである。
今日カミさんに電話したら、「帰ってきたら青×赤の原稿、読んでくれる?」と言われた。ほう、すると今回は自信があるということですな。今週、毎朝息子は起きるたびに「とーちゃん、もうおしごと、いったん?」と母親に尋ねるらしい。しばらく出張に行ってなかったからねえ。
▲2月26日(土)▼
今日は休日出勤なのである。早めに仕事を切り上げて、帰る途中に日本橋に寄ろうと思っていたのだが、いろいろと不具合を見つけてしまって日本橋に寄れなくなってしまった。ああ、どうしてこうなってしまうのだろう。
帰りの電車の中で、どうも不穏な雰囲気を感じる。私の向かいに座ったサラリーマン風のオジサンが、彼の横で寝ている若い男の方をジロジロと不躾に見ている。私が彼の方を見ると、こちらを睨み返してくる。窓ガラスに映る姿を見ていたのだが、いっこうに止める気配がない。何なんだろう。とか思っていたら、今度は後ろの方からホームレス風の格好をしたオッサンがやってきた。何だか、話しかける相手を捜している風である。関わり合いになるのも鬱陶しいので、本に意識を集中して気配を消す。そのうちに彼は、私の前に座っている怪しいオジサンに声をかけた。気候の話とかを振っているようである。怪しいモン同士でやっててくれ、などと思っていたのだった。こういうことが起きると、なんだか世界が私に敵意を持っているような気がする。こういうふうに感じるというのは精神的にヤバいかもしれない。そういえば最近、難波でも身なりの汚いジジイが増えたような気がするな。数ヶ月後に私がああなっている可能性も、無いとはいえないのだが。
帰りの電車の中では「彗星パニック◆SFバカ本」を読んでいた。まず岡崎弘明氏「ヘル・シアター」を読む。すごく凝った作品だとは思うのだが、あんまり笑えないなあ。次は岬兄悟氏「墜落」だが、やはり私はこの人のこういう「奇妙な味」の作品は好きなのである。そして最後の久美沙織氏「手仕事」ですけど…どうも、読みづらい。なんか、笑わせようとして、必要以上に肩に力が入りすぎているような感じがする。大原まり子氏あたりの作品にも、それは感じるのだが。
家に帰ると、今日も息子が出迎えてくれる。洗面所の鏡を指差して「よごれてる」と言う。「『曇ってる』言うんやで」と言うと「くもってる…」と反芻する。こうやって、言葉を覚えてゆくんだねえ。
カミさんの「ハリー・ポッター病」はいよいよ重症のようである。セリエの画面を見ながら「これ、翻訳できたわよねえ。翻訳して読もうかしら」などと言っている。まあ、現在の機械翻訳の実力を経験しておくのもよいでしょうね。
▲2月27日(日)▼
今日は息子に微熱があるらしい。ときどき、「おなか、いたい」とか言っている。休日の診療所に連れて行こうかとも思ったのだが、それほど苦しそうでもないので様子を見ることにする。
▲2月28日(月)▼
今日は人間ドックに行くのである。ウチの会社は時間にルーズな人間が多いため(まあ、こういう仕事をしてちゃねえ)開始時間に遅れる人間が続出して会社にクレームが来たらしく、時間通りに行くようにという通達が総務から出ていたので、早く起きねばならない。
目覚まし時計が鳴って、カミさんは「7時半になったわよ」と言ったが起きる気配がない。そうか、今日はシンジ(仮名)は保育所を休むんだったな。まあ、朝食を作る必要もないしねえ。
久しぶりに自転車で地下鉄の駅まで行ったのだが、かなり体力が落ちている。地下鉄の階段を下りるときに脚がガクガクした。まあ、ここ数ヶ月、運動といえばホテルと仕事場の間を歩くだけというような生活を続けたからねえ。
やはり、こういう施設で採血する人は巧い。針を刺すときにチクッとするだけである。考えてみれば、1日に50人から採血したとすると1年で1万人以上の腕に針を刺すことになるんだから、巧くなって当然か。
バリウムを飲んだので下剤を飲まされる。検査が終わって午後の体力測定までの間、コンビニや古本屋で本を立ち読みしていたりしていたのだが、便意をもよおしてきた。街中では、なかなか快適にトイレを使えるところがないので、けっきょく検診センターのあるフロアのトイレに籠もる。便器に座ったまま本を読むのである。「異形コレクション15 宇宙生物ゾーン」を読み始める。これは楽しみなのである。テーマを見てもラインアップを見ても、かなりSF寄りの内容のようだからね。まあ、SFといっても、シリーズの性格から見て「アウター・リミッツ」のような感じを目指すことになるような気はするが。まず江坂遊氏「火星ミミズ」を読んだが、これはなかなか面白かった。ショートショートの定石通りというところでしょうか。続いて野尻抱介氏「月に祈るもの」を読む。導入部はものすごく好みの展開だったのだが、オチがちょっと私の望む「ハードSF」とは違う。やはり「アウター・リミッツ的なものを」というリクエストがあったのかなあ。
検査結果はまったく正常であった。ただ、体力が落ちている。体力年齢が昨年はカミさんと同じ歳だったのだが、今年は3歳上になってしまった。1年で4年分老け込んだことになるか。あんな生活してりゃねえ。まあ、肺活量が5000cc台に回復したのはよかったのだが。
人間ドックからの帰りに古書店街を通って、「宇宙漂流」(小松左京:角川文庫)と「パソコンはまぐり」(岬兄悟:光栄)を買った。小松先生の本は、見かけたら買っているはずなのだが、この本は記憶にないのである。ジュヴナイルだからかなあ。「パソコンはまぐり」はビニールで包まれていたので買う前に中身を見ることができなかったのだが、パソコン関係のエッセイのようである。そうか、Windows95が出て、もう5年目なのね。水玉螢之丞さんのイラストがなんか、初々しくてよいのである。ついでにパソコンショップにも寄ったらFIVAの新型も売っていた。おお、これは早く買いに行かねば。
今日は遠方には行かない。本社に帰って、定時になったら速攻で帰る。そのまま医者に行く予定だったのだが、駅を出ると雨がぱらつきだしたので中止してそのまま家に帰る。今夜も息子が出迎えてくれる。3階までついてきて、私が着替えていると私の着る服を持ってきてくれる。「それちゃう。パジャマ持ってきて」と言ったが、パジャマを見つけられないようだ。カゴの中じゃなくて、布団の上に脱いでるからね。カミさんによると、今朝は息子の熱がなかったので電車に乗って本を買いに行ったら、午後になって熱が出てきたらしい。うーむ、いちおう保育所を休んでいるんですけどねえ。
親子3人で夕食である。カミさんは「オムレツ作ってて火傷したから機嫌が悪いの」とか言っている。これは一悶着あるかな、と思っていたのだが、やはり起きてしまうのである。食事をするときに息子がゴネたのだが、彼女はその言動の矛盾を容赦なく突いてゆく。食事を取り上げられた息子は、何もできないから泣くしかない。そこら辺を跳ね回って泣き喚く。ついには、感極まって食べたものを吐いてしまった。そしてまた母親に怒られるのである。で、また泣く。母親が片づけをしている間、何度かまた吐きそうになっていたが、必死で耐えている。キミも、母ちゃんの機嫌を判断してゴネなきゃ…って、3歳児には無理ですね。
▲2月29日(火)▼
今日はまた遠方の客先に行くのである。往きの電車の中で「異形コレクション15 宇宙生物ゾーン」の続きを読む。まず山下定氏「アカシャの花」であるが…うーん、こういうドロドロした話は好みじゃないなあ。読んでいると眠くなってきた。おかしい、昨夜は息子と一緒に早く寝たはずなのだが。けっきょく、目的の駅に着くまで眠っていた。
明日は月初だから本社に出なければならないので、今夜は大阪に帰らねばならない。しかし、例によってやるべきことがいっぱいあって、最終の急行に乗れなくなってしまった。けっきょく、その後の各停で帰るのである。明日の朝も早起きしなくちゃいけないというのにねえ。
狼谷辰之 | 新書館*ウィングス文庫 |
対なる者の誓い |
¥620+税 | ISBN4-403-54021-X |
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