2000年 2月中旬の日記
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2月11日(祝)
昨夜、頭が痛かったので痛覚を麻痺させるためと血行をよくするためにビールを飲んで寝たのだが、逆効果だったようだ。頭が痛い。眉間から鼻の奥にかけて、金属の固まりでも入っているような重苦しい痛みがある。寝ていられない。起きて病院に行くのも何だしなあ。何とか、痛みを軽くする方法はないものか…などと寝ながら考えるのである(実際にはそれほどの余裕はない)。どうやら、頭の痛みは首の後ろを通じて、背中の凝りにつながってるようだ。背中の凝りをやわらげれば、頭痛も軽くなるような気がする。這いずるようにして居間に行き、カミさんに背中と首の後ろに湿布を貼ってもらった。それでやっと寝続けることができた。起きたときには夕方になろうとしていた。半日以上眠っていたことになるか。

寝ている間に咳が出なくなったのはいいのだが、起きたときに胸の奥に痰の固まりが残っているようで気持ち悪い。咳をしても出ないのである。無理に出そうとすると、胃の中身が出そうになる。ツラい。最近は、咳をするのに恐怖感がある。咳で痰が切れないために、咳をして息を吐き出した瞬間に痰が気管を塞いで息ができなくなるのではないかという恐怖を感じるのである。これは怖い。生命維持のために最低限必要なものの一つ「呼吸」ができなくなるかもしれないというのは、生命の根元的なものを脅かす恐怖である。激しい咳をして息を吐き出した瞬間、というのは、最も抵抗力の弱い状態だからねえ。

な、なんだとお…単行本未収録の「虚無回廊3」をオンデマンドで提供だとお。うがああ、足元を見やがってぇ…注文してしまうぢゃないかあ。



2月12日(土)
今日は呼吸器科の医者に行こうかと思っていたのだが、目が覚めると昼であった。仕方がない。今かかっている医者に行くか。ここは働き者だから土曜日の午後もやっているのである。息子は保育所に行っているようだ。カミさんは頭が痛いので寝るという。お義母さんが来るのでよろしく、とのことである。カミさんの背中を揉んで湿布を貼り、寝かせてからいつもの医者に出かける。しかし、今日も「喉が腫れている」と言われただけであった。

闘病中の従弟を含めた叔父一家が私の実家に来ていて今日は奈良に行っているのである。学生時代にお世話になっているし、この次いつ会えるかわからないので夕食ぐらいは一緒に食べなきゃいけないと思うのだが、カミさんは出かけられそうにないかな。私くらいは息子を連れて出かけようかと思っていたのだが、ウチに来られたお義母さんが「シンちゃん(仮名)を盛り場に連れ出すのも何だから、家に来ていただいたら」と言われる。カミさんがどう言うか知らないが、そういうことにしましょうか。

16時を過ぎてもカミさんは起きてこない。私が息子を迎えに行く。帰ってくると、カミさんは起きていた。「ジャンプヤンマガ買った?」と訊くと「買ってきて」と言う。買って帰ってきてウガイをして咳込んでいるところに、仕事で持たされている携帯に母から電話がかかってきた。咳が出てうまく喋れない。やっとのことで、お義母さんが家に来たらと言っていることを伝える。「みんなで相談する」と言って切れた。居間に上がるとカミさんは「近所の駅周辺の店で食事をしたら」とか言っている。みんな思惑が違うので大変だ。とりあえず、家に来たらそのまま和食のチェーン店に行って食事をしようということになる。母からはもう一度電話がかかってくるかと思ったのだが、いきなり家にやってきた。「暮らしぶりの視察」だそうである。息子は、いきなり5人も家に入ってきたのでビビっている。母親にくっついて離れない。しばらくすれば祖父の膝の上に乗るようになったのだが。息子はかなり喋るようになっているし、意志もはっきり出てくるようになっているので、かなりウケている。幼児が一人いると、場を持たす心配をしなくてすむのでいいよね。

タクシーで近くの駅まで行き、和食のチェーン店で食事をする。思ったより混んでいる。8人となるとなかなか席が取れない。4人ずつに分かれることになってしまった。やはり、こういうことは事前に準備しておかないとなあ。まあ、とりあえずウチの両親は孫と過ごせたし、従弟と私はオタクな会話ができたので良かったとすべきか。まあ、私がRuputerとかを見せてただけだという話もあるんだけどね。そのまま西梅田まで送ってから帰る。そんなに大したこともしていないのに、ちょっと疲れたかな。まあ、彼はあんな状況で頑張っているんだから、今の境遇が不幸だなんて言ったら罰が当たるよな。



2月13日(日)
昨夜はちょっと疲れたので早めに寝たのだが(といっても今日にはなっていた)、昼前まで寝ていた。やはり今日も痰が絡んだ感じがある。咳をして出そうとするが、出ない。今日も、咳をした瞬間に息が吸えなくなる恐怖と戦うのである。妻子は起きて食事をしているところだった。混じって軽く食事をする。

ちょっと微熱があるような感じだったのだが、体温は平熱のようである。食後に、昨日録画していたヒッパレを観るが…EVESweBeをああいうふうに使うとは、勿体無さ過ぎるぞ。スペシャルライヴは西田ひかるさんだったが、なかなか聴き応えがありました。やはり、サポートメンバーがしっかりしてるせいでしょうね。最後は、バックグラウンドでシャウトしているSweBeのメンバーを頑なに映しませんでしたけど、やっぱりあれにフォーカスを当ててしまうとメインが喰われてしまうからなんでしょうな。

カミさんは息子を連れて実家に行った。鍼に連れて行くつもりらしい。ホッとするような寂しいような。昨日WOWWOWで演っていたUAのライヴを聞きながら日記を書く。最近私のフェイヴァリットなヴォーカリストたちとディーヴァということでひとくくりにされることが多いのだが、私はこの人の音楽が苦手なんだよな。どうも、ストレートじゃない。私の好きでない方向に歪んでいる感じがするのだ。

…とか書いていたら電話がかかってきた。受話器を取ると、子供の声で「もしもし、もしもし、もしもし、もしもし…」と繰り返す。息子のようである。カミさんのお祖母さんに代わった。鍼に行って帰ってきたところだそうである。彼が祖父のところに電話すると言ったので、こっちにかけてきたらしい。また息子に代わったので「鍼に行ったんか?」と訊くと「うん」と応える。「気持ち良かったか?」と訊くと「うん。ちょっと、くすぐい…かったよ」と言う。くすぐったかったらしい。うーむ、もうちゃんと電話で会話ができるなあ。

カミさんが帰ってきたが、今日も機嫌が悪い。食事の用意をしているときに息子が近くにいるのが邪魔になるとか言って怒っている。うう、そんなに邪険にしなくても。

寝る前に息子の肘の内側に薬を塗った後、カミさんは私に「私の背中にも薬を塗って」と言った。カイロで吹き出物があるのを指摘されたそうな。塗りながら私が「これは、薬よりも生活習慣を改めなきゃいけないような…」と言うと「鍼でもそう言われた」と応えた。「肉を止めて魚を食べなさい」と言われたそうである。まあ、そうでしょうねえ。最近、私が家にいなくて食生活が乱れているようだからねえ。私の責任もあるな。

カミさんは息子と一緒に寝室に上がって、しばらくしたら下りてきた。「まだ寝てないけど下りて来ちゃった。やりたいことがいっぱいあるから」と言っている。同人誌の通販の作業を始めた。そのうちに、階上で物音がして寝室の扉が開いた。息子が母親を呼んでいる。私が行って「父ちゃんと寝よ」と言うが、彼は「かーちゃんと、ねんね、する」と言って従おうとしない。無理矢理寝室の中に連れ込んでも泣きわめいて抵抗する。仕方がないので居間まで連れて下りた。カミさんは「なんで、こっちがやりたいことがあるときに限って素直に寝てくれないのかしら」とか言っている。まあ、そういうもんでしょう。子供はですから。こっちがゆったりした気分のときは素直に寝てくれるけど、焦った気分のときはそれが伝染して向こうも落ち着かない気分になっちゃうのよね。

ミュージックフェア露崎春女さんが出ている。これだけ惚れ込んでいながら、実際に歌っているところを観るのは初めてなのである。やっぱり巧いわ。惚れ惚れしますね。ちゃんと理想の声の動きがあって、それをきちんと歌いこなしている。そういう意味では鈴木雅之氏も巧いなあ。

寝る前にカミさんが右肩が凝って吐きそうだと言っている。私も背中が痛い。二人して湿布を貼りあう。なんか、老夫婦みたいだね。カミさんが言う
「こうやって、二人して歳を取っていくのね」
「そうだよ。結婚っていうのは二人で一緒に歳を取っていきましょうっていう契約なんだから」
「歳なんて取りたくないのに」
「ま、それが生きてるってことですから」
どうも、私のほうが諦めちゃってますねえ。



2月14日(月)
昨夜、背中の痛みがあったのだが、大したことがないと思っていたら、寝るときに思ったより酷いことを思い知らされた。パジャマに着替えるのに支障があるのである。目が覚めても、普通に起き上がれない。これは、カイロに行かなきゃいけないかな。

上司に電話してカイロに行くことを告げる。ついでに病院にも行こう。どうも、今行っている医者は呼吸器に詳しくないように思えるのである。「呼吸器科」という看板を掲げている医者を捜すが、意外と少ないのだ。いちばん近いところでも、電車で2駅のところである。まずはカイロに行く。カミさんも息子を保育所に送った帰りに行くようだが、「一緒だと照れ臭いから時間をずらして来てね」と言われた。私は病院にも行かねばならないので、それほど遅く行くわけにはいかない。診療開始から30分くらい遅れて行ったが、カミさんはまだ治療中であった。私が座っている前を通るときに他人行儀に「こんにちは」と言われる。しかし、センセイに夫婦であることをバラされている。まあ、無駄な努力でしょうね。背中が痛いというと、センセイは背筋を触ってすぐに「ここ」と探り当てる。さすがである。助手の人に「診てわからんか」などと言っている。ガチャンガチャンされて、かなりラクになった。まだ痛みは残っているが。しかし、その痛みも夜には無くなっていた。あのまま放っておけばさらに酷くなっていきそうな感触はあったから、やはり大したモンですな。

続いて病院に行く。カイロと医者のハシゴというのも情けないものがあるなあ。まあ、それだけ身体にダメージが溜まってるんだけど。カイロまでは自転車で行って、その最寄り駅から電車に乗って2駅だったのだが、電車が来るのをだいぶ待たされたし駅間が短いうえに降りた駅からかなりこちら側に歩かねばならなかったので、これは自転車で行った方がよかったと思ったことであった。診察内容であるが、やはり専門であるから説明も詳しくてわかりやすい。薬の説明もちゃんとしてくれる。薬局で、薬の一つ一つについて効能と副作用までプリントアウトした紙を渡されたのには感心した。本来こうでないといけないんだろうけどね。

かなり遅くなってしまった。職場への往きの電車の中で「異形コレクション14 世紀末サーカス」を読む。まず斎藤肇氏「アクロバット」である。趣向を凝らしているのはわかるけど、その効果をあまり感じない。やはり、この人にはショートショートじゃなくてもう少し長い作品を書いてほしいなあと思ったのだった。続いて久美沙織氏「フルベンド」であるが、これはなかなか緊迫感があって読ませてくれた。

職場に行く途中に難波の本屋で秋山瑞人氏「猫の地球儀 焔の章」を買う。5つ星の作品を書いた作家さんの本だから、よっぽどのことがない限り買わなくちゃね。帯に「猫好きのあなたにおすすめです」などと書いてある。仕事場への行き帰りに読み始めたが…しかし、こんなヘンな世界の話、我ながらよく読み続けられるもんだ。これも文章の力だよなあ。

家に帰って、着替えるために寝室に入ると、息子が布団の中から首をもたげた。起きようとする。私がパジャマに着替えていると「なんで、ふく、きるん?」と問う。「寒いからだよ。寒くなかったら別に着んでもええんやけど」と応えると「うん」と言ったが、わかっているんだろうか? 彼が寝つくまで側にいてやれればいいのだが、腹が減っていたので電気を消して彼を残し寝室を出る。しかし、食事を始めると階上で物音がして寝室のドアが開いた。今夜も私が行ったら「とーちゃん、ばいばい」をされる。「下りるか?」と言っても拒否する。けっきょく、彼が寝るまでカミさんが付き合うことになってしまったのだった。そんなことだから朝起きれないんだよ。

咳のしすぎで脇腹が痛い。左の脇腹などは、肋骨が折れたのではないかと思うくらい痛むのである。それでも咳は出る。自分の意志に反して筋肉が強く収縮する。痛い。「がっほんげっほん、いてててて…」などと言っていると、カミさんが「シンちゃん(仮名)と同じだわ」と言って笑う。そりゃそうだよ、親子だし、同じ症状なんだから。



2月15日(火)
なんか、いきなりニュートン力学の話になってますね。「猫の地球儀 焔の章」のことである。でもまあ、こういうふうに書いてくれたらガリレオやニュートンがいかに凄いことをしたかがわかりますわね。作品としては、これがプロローグという感じだったけど。そういう意味では、その気になれば我々はニュートンやアルキメデスが自然の原理を「発見」したときの衝撃というかそういうものを追体験することもできるのだ。ある日、ニュートンがリンゴの木を見ている。その向こうには月が浮かんでいる。で、リンゴがポトッと落ちた。そこで閃くのである。リンゴは落ちた。なんであの月は落ちないんだ…いや、月にもリンゴと同じ力が働いているはずだ。そうであるべきだ。地球は丸いからあんな遠くの下には地面は無いよな。そうすると、ずっと下まで落ちていくのか。いや、下というのはどっちだ。地球の中心じゃないか。そうすると、「落ちる」ことによって「下」の向きが変わることになるぞ。一瞬後のことを考えると…次の瞬間も状態は変わらないじゃないか。ということは、月は地球を永遠に回り続けることに…うわ、リンゴが落ちるのと天体の運動は同じ「重力」の働きで説明できる…天上も地上と同じ原理が働いているのだああ。

…こんな感じかな。アルキメデスもそうだ。思いついたから、ついでに勢いで書いてしまうのである。アルキメデスが風呂に入ろうとする。身体が浮かぼうとする。なんで浮かぼうとするんだろう。それは、水を押しのけるからか。水があったところに自分が入っていくわけだから、その水を自分が押しのけないといけない。水を押しのけるということは、水から押されるということだ。(ありゃ、作用反作用が出てきたぞ。でも、無意識のうちには理解していたような気がするなあ)で、水を多く押しのけるときには、それだけ多くの力を受けることになるはずだ。満員電車で二人押しのけるには一人を押しのけるときの倍の力が要るからね(こらこら)。ということは、逆に水から押される力を測れば、どれだけの水を押しのけたかが測れるぞ。どうやって測るか…水の中で重さを量って、水の外にあるときからどれだけ軽くなったかを引けばいいじゃないか。金は小さくて重いから、水の中でもあまり軽くならないに違いない。エウレカ(やった)!、エウレカ(見つけた)!こういうことが、一瞬のうちに頭の中をぐるんぐるん回ったに違いない。…その後の行動とかを見てると、アルキメデスってB型だったに違いないと思いますわね。

昨日、今日は客先に行って打合せをするように約束させられた。早起きして客先に行かねばならない。6時すぎに寝汗をかいて目が覚めた。下着を着替えてまた寝たが、眠れないうちに目覚まし時計が鳴った。

昨夜、寝る前にチョコレートを大量に食べたので食欲がない。朝食は抜くことにする。チョコレートといっても、カミさんが売り子さんにいただいたものなんである。昨日、私は1かけらももらっていない。バレンタインデーに妻の方がたくさんチョコレートをもらう、というのもなかなかに哀しいものがあるのである。

往きの電車の中で「猫の地球儀」を読み終わると、あとは目を瞑ってじっとして過ごす。

帰りに「異形コレクション14 世紀末サーカス」を読む。村田基氏「猛獣使い」はなかなか面白かった。田中啓文氏「にこやかな男」は…相変わらずスゴイっすね。続いて岡崎弘明氏「綱わたり」であるが、この人の作品のほのぼのとした「味」は好きだな。

あ、これは書いておかねばならない。家に帰ってカミさんに1日遅れでチョコレートをもらった。いや、正確には2日遅れだ。こういうところが結婚8年目の夫婦である。



2月16日(水)
昨夜は帰るのが遅かったので起きるのが辛い。いつもより遅くまで寝ていた。朝食も抜きである。いつもよりも遅い電車なので、通勤ラッシュに巻き込まれず立ったままではあるが本が読める。「異形コレクション14 世紀末サーカス」の続きを読む。速瀬れい氏「帝都復活祭」はなかなか読ませてくれたが、このオチには無理があると思うなあ。せめて1行くらい、さりげなく伏線を張っとかないと。我孫子武丸氏「理想のペット」も面白かった。最近、好意的な評価が多いような気がする。続いて西澤保彦氏「青い奈落」を読んだが、これも巧かったですね。この人は巧いと思うなあ。

明日、お客様との進捗会議があるのでリリースできるものは全てリリースしろと上司から言われているのである。テストが大変なので私のところで止めているものを全部テストする。予想通り、真夜中までかかってしまった。今夜は家に帰れなかったのである。

ホテルに入って、コンビニで買った夕食を食べたのだが、腹が痛くなってきた。臍の上が筋状にコリコリと凝って痛い。咳のしすぎによる筋肉痛だとは思うのだが。今日くらいは風呂に入らなくてはいけないと思っていたので痛みが治まるまで待っていたのだが、けっきょく3時過ぎになってしまった。風呂を上がると4時である。ホテルに泊まって往復の時間を節約できたのに、睡眠時間は減るのである。嗚呼。



2月17日(木)
昨夜は腹が痛かったので、食後に薬を飲まずに寝たのだが、今朝起きて洗面しているときに咳が出て死ぬ思いをした。咳をしたあとに息が吸い込めないのである。ひゅうひゅうと音がする。痰が絡んでいるわけでもないのに。寝ている間も咳が出なくて、快調だと思っていたんだがなあ。やはり、気管支拡張剤を飲まなかったせいだろうか。これは、喘息というやつなのかなあ。

今日は左胸が痛くなってきた。痛いところを刺激しないように咳をしていると、また別のところに負荷がかかって痛くなってくるのである。困ったもんだ。もう、ふつうに立った体勢で咳ができない。身体を折り曲げ、全身を固くして咳をするのである。

職場からの帰りに「異形コレクション14 世紀末サーカス」の続きを読む。まず竹河聖氏「サダコ」を読んだが、これもきちんと取材していることが窺えるいい出来である。やはり今回はなかなか粒ぞろいのような気がするな。続いて友成純一氏「来るべきサーカス」であるが、最初は面白かったが、事件が起きてからの後半の記述が、どうも迫力に欠ける。表現に厚みが足りないように感じた。次に安土萌氏「炎のジャグラー」であるが…まあ、言いたいことはわかるのだが「それがどうしたの?」どいう感じですね。やはり、ショートショートは難しい。続いて読んだ北原尚彦氏「朋類」もなかなか良かったね。もうちょっと主人公の心の動きを深く掘り下げて描いてほしかったような気はするが。そして菊地秀行氏「オータム・ラン」。これもなかなかいい味出してましたな。

これだけ読んでいても、途中で寝てしまっていた。膝の上で開いた本の上に突っ伏して寝ていたのである。何でこんなに読んでいたかというと、どうもFIVAの調子がおかしいのである。画面が乱れるのだ。特にバッテリー駆動していると、まともに画面が映らない。表示が乱れているだけで、処理自体はちゃんと行われているようなのだが、やはり画面が見えないと使えないのである。ACアダプターで電源供給してるときはちゃんと動作するので電車の中で使えないだけかと思っていたのだが、今日帰ってから使おうとすると画面がグニャグニャに歪んでいる。うがあ、どうすりゃいいんだ。しばらく電源を切っておいてから立ち上げたら、何とか使えるようになったのだが。味噌汁ぶっかけたせいかなあ。これは、早めに新型に乗り換えなきゃいけないな。いま使ってるやつをカミさんに渡す前にオーバーホールしなけりゃいけないか。早く発売してくれえ。



2月18日(金)
昨夜はテレホタイムになったらカミさんより先に手短に通信をして寝ようと思っていたのだが、カミさんに電話がかかってきた。どうも、長くなりそうな気配である。例によって、彼女が長電話をしている横にいると、眠くなってくるのである。耐えきれず横になる。気がつくと毛布を掛けられていた。電気カーペットも電源が入っている。寝ながら聞いていたのだが、どうやらカミさんはハリー・ポッターと賢者の石を熱烈プッシュしているようである。そういえば、最近は気がつけばあの大きな本を読んでいるような気がする。高価いと言っていたが、それだけ読めば元は取れただろうね。

今日も遠方の客先に行く。往きの電車の中で彗星パニック◆SFバカ本」を読み始める。まず村田基氏「楽しい通販生活」を読む。昔なつかしい「馬鹿SF」ですな。でも、こういうこと、「良識ある人」が読むかもしれない本に書いてもいいんだろうか。これは絶対に読んで傷つく人がいると思うんだが。でも、他人を傷つけることを怖れていては、馬鹿話は書けないよな。続いて牧野修氏「電撃海女ゴーゴー作戦」である。うーむ、相変わらず凄いですね。どうやったら、こういうシュールな話を発想できるんだろう。さらに続いて山下定氏「おれのものはおれのもの」。おお、SFだ、SFだ。なんだか、この本も粒ぞろいのような気がしてきたぞ。いきなりどうしちゃったんだ(おいおい)。またまた続いて明智抄氏「笑う『私』、壊れる私」ですけど…うーん、何かスゴイなあ。何でコレがこんな本に載ってるんだろうと思ったけど、まあ「SF」なんだから、こういうのもアリでしょう。

明日は息子の保育所の「生活発表会」というのがあるらしいので、カミさんに行く約束をして出てきた。だから今日中に仕事を切り上げて帰らなければならないのである。しかし、こういうときに限ってやるべきことが次々に出てくるもので、終電にギリギリの時間になってしまった。早足で駅に急ぐことになるのである。

帰りの電車の中でも「彗星パニック」を読む。まず東野司氏「つるかめ算の逆襲」だが…うっわー、すっげぇー。よくこんな馬鹿馬鹿しい話を書けるもんだ(誉め言葉です)。オチも凄い。何と申しましょうか…形容する言葉がございません。次にいとうせいこう氏「江戸宙灼熱繰言」だが、これは評価が難しいなあ。私にはよくわかりませんが、こういう世界を作ってしまうのは大変なことなんでしょうなあ。続いて梶尾真治氏「月下の決闘」ですが、これも馬鹿馬鹿しかったですねえ。どこがSFなんだ、という気もするけれど。そして大場惑氏「南、もしくは」ですが、いや、こういう話は好きだなあ。こういう突拍子もない設定をデッチ上げて、あとはそれらしくシミュレーションするというの。



2月19日(土)
昨夜は通信をしていて、そのまま寝つぶれていた。妻子が起きてきたので目を覚ます。今日は、息子が行っている保育所の生活発表会というのがあるのである。カミさんは生活発表会の始まりにあわせて来るということなので、私が息子を保育所に連れていく。すでに、門の前は自転車でいっぱいであった。

会場になっている部屋が狭い。私が入ったときには、すでに父兄が十姉妹のヒナのようにギッシリと詰まって座っていたのであった。生活発表会というのは…まあ要するに保育所の学芸会である。0歳児や1歳児に芸なぞ仕込めるわけがないのであるが、そのくらいの年齢だと歩いているだけでも芸になるのである。年齢が上がってくるとそうもいかない。要求レベルがどんどん高くなってくる。歳を喰うというのは辛いことでもあるのである。

お義母さんが用事で来られないのでビデオを撮っておいてほしいようなことを言っておられたようなのだが、子供が集中できないということで撮影禁止らしいのである。しかし、息子の組がやっているときに、写真を撮っていて注意されたのに腹を立て「表へ出ろ!」とか騒いでるジジイがいた。迷惑なもんである。

息子の組の番が終わったので、カミさんと二人で会場を抜け出す。二人で手をつないで近所をぶらぶら歩く。こういうことをするのも久しぶりだな。近所を一回りして保育所に戻ったが、発表会はまだ続いているし息子たちの食事もまだ終わっていないようだ。保育所内の遊具に二人で腰掛けて、ゆらゆら揺らしながら話す。廊下を歩いてる人はみんなこっちを見て変な顔をしていた。やってることが保育園児レベルですな。やっぱり変わった夫婦なんだろうか、ウチは。

家に帰って親子3人で昼寝をする。息子が起こしにきた。気がつくと真っ暗である。21時を過ぎている。やっぱり今朝ちゃんと寝れてないからねえ。居間に下りてゆくと、カミさんが言う。「シンジ(仮名)、37度くらい熱があるのよ。私たちが寝たあと、独りで下りていって寒いのに階下で遊んでたらしいの。一人でおしっこに行って、『濡れた』といって一人で着替えて…」呆れたような嬉しいような、声。最近は放っといても一人でオシッコに行くからねえ。「おしっこ、ひとりで、いってきまーす」とか言って。暗くても平気だったりする。偉いもんである。



2月20日(日)
横で寝ていた息子がゴソゴソしはじめた。もう少し寝ていてくれないかなあ、などと思いながら寝ている。そのうちに、寝室の戸を開けて階下に下りていってしまった。また風邪を引かれても困るので、起きて追いかける。彼は飢えているようである。「ごはん、たべましょー」などと言っている。昨夜の残り物で朝食を食べる。

朝食後に、例によって昨日録画していたヒッパレを観る。かなり日常がマンネリ化してきたような気もするな。ほう、小柳ゆきの曲がチャートインしましたか。あんまり妙な売れ方はしてほしくないような気もするのだが、それはわがままというものでしょう。あら、本人も来てるのね。おおう、これをサーカスが演るんですか。妙な人間に演らせるのは失礼というものでしょうからねえ。ううむ、さすがに巧い……うおおおおおおお、本人が乱入だぁ。凄い凄い凄い!これだけ凄いセッションは滅多に観れるものではないぞ。感動の涙で眼がウルウルになっているところに三宅裕司氏が泣いているところが映ったので、ちょっと素に戻ってしまったのだった。でも、このテープは家宝として永久保存すべきだな。テープは保存性が悪いからビデオキャプチャーしてPDにでも保存しておくか。

昼過ぎになってもカミさんは起きてこない。昼食のパンを買いに出かけようとして玄関で息子にコートを着せていたら、カミさんが起きてきて「ドーナッツ買ってきて」と言いつけられたのだった。昼食後に、またカミさんは昼寝である。息子を連れて寝室に行ったのだが、息子はまた一人で下りてきた。また二人で過ごすことになるのである。

夕食後に、今日はみんな体調が悪いので風呂に入らずに寝ようか、というような話をしていたら、息子が「とーちゃんと、ふろ、はいるん?」と言いだした。おお、そうかそうか、だったら一緒に入ろう。彼と風呂に入るのは久しぶりだ。湯船に入る前に息子のお尻を石鹸で洗ったら、「いたい、いたい」と言って泣きだした。かなり痛いようである。肛門がかぶれているのだろうか。

どうも、FIVAの画面が乱れるのはPCカードのせいのようである。PCカードを認識していない状態では、まったく画面は乱れないのである。そういえば、最近ハイバネーションやそこからの復帰が妙に遅くなってきたような気がしていたのだが、これもPCカードのせいのようだ。挿してから認識されるまでにも異様に時間がかかる。マウスポインタさえも動かなくなってしまう。他のカードではこれほどのことはない。これは、今まで何台ものパソコンで試したが例外なくそうだった。ADTECのPCカードは多少安くても買わない方がいいですね。

狼谷辰之  新書館ウィングス文庫
なる
¥620+税  ISBN4-403-54021-X



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