2000年 7月上旬の日記
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7月1日(土)
ThinkPadハイバネーションがうまく動作しない。電源ボタンを押すと「スタンバイの準備をしています」というメッセージが出て画面が暗くなるのだが、それからメモリーの内容をハードディスクにバックアップしているのを表示する画面が出るはずが、真っ暗なままなのである。しかも、一定間隔でディスクにアクセスにいってたりする。そのままではどうにもならないので電源を切ると、次回の起動時には「正しく終了されなかった」というのでScanDiskが動いてしまうのである。ちゃんと動いたのは設定した日だけだったな。何なんだ。まあ、毎回シャットダウンすれば回避できるから放ってあるのだが、パソコンって、こういうところで許されているところがかなりあるような気がする。

今朝は5時前に目が覚めたが、起きあがれない。気がつくと6時を過ぎていた。息子が起きあがった。「オシッコか?」と訊くと「おちゃ、のむ」と応える。そうか、暑いから喉が渇くんだろうね。「父ちゃん、オシッコしてくるからな」と言って階下に下りる。今日も朝からインターネットだ。新聞記事のデータを保存しようとして気がついた。もう7月か、また半年を無為に過ごしてしまったな。

通信していると妻子が下りてきた。まだ7時過ぎだぞ。いつもなら8時を過ぎても起きてこないのに。日記もまだ書けてないぞ。なんでこんな時に限って早く起きてくるかね。息子は調子が悪いようである。「おなか、いたい」とか言っている。カミさんがトイレに連れて行ってウンチをさせたら、ある程度は回復したようなのだが。私が野菜ジュースを出してきてカップに注いでいるとやってきて「シンちゃん(仮名)、おなか、いたい…ないから、じゅーす、のむ」と言う。調子のいいヤツだな。

息子が朝食を食べている横で急いで日記を書いて上げる。グッタリしているとカミさんに「シンジ(仮名)、保育所に連れてってね」と言われた。「晴れてる日はあなたね」と。はいはい、わかりましたですよ。保育所に着いたが、いつも息子がいる部屋には誰もいない。今日はいつにも増して子供が少ないようだ。私がバスタオルを寝具を入れておく場所に持って行っていると、彼はもういなくなっていた。

家に帰ってたぢからお 壱」毛利甚八吉開寛二:モーニングKC)を読んでいる。凄い作品だな。私にとってはSFと読んでも差し支えない。

今日は、息子を迎えに行くのも私である。保育所で息子を回収して、スーパーを廻って帰ることにする。店に入ると、雪印のチーズが投げ売り状態になっていた。あの事件の影響か。「生産している工場も工程も異なるので安全と判断して売っている」と書いてあったが、この時点では原因がよくわかってなかったので、いくら安くてもさすがに買う勇気はなかった。そういえば、買い置きしているチーズ、雪印製だったな。ううむ、危機管理の甘さが露わになってしまったではないか。

家に帰ると、私の実家から電話がかかってきた。息子に代わる。最初のうちは「はんきゅうでんしゃ、のったん」とか「あーばんらいな、ふたっつ、みたん」とか話していて、「自分の興味のあることしか話せんのか。このオタクめ」とか思っていたのだが、そのうちにケラケラ笑いながら話しだした。「おしっこしたん」「とーちゃんのふとんも、ぬれてしもーたん」とか言っている。ウケるからといって、そんなに自分の恥をさらさなくても…

家に帰ってくると、カミさんが息子を散髪に連れて行くという。髪が柔らかいので、いままでほとんど切ったことがないのだが、これから暑くなってプールに入ることが多くなるので感染防止のために丸刈りにするのだ。妻子はすぐに帰ってきた。なんだか、第一印象がぜんぜん違うぞ。おまえ、丸刈りにすると、ずいぶん下膨れだなあ。カミさんは彼の頭にすりすりして「気持ちいいー」とか言っている。「そ・の・あ・た・ま・す・き。な・で・く・り・ま・わ・し」とか言いながらいやがる息子を引き寄せて頭を撫で回している。「エスカレーターとかで前にこういう頭があると触りたくて仕方がなかったの。痴女に間違われるからできなかったけど」と言って、スゴイはしゃぎようである。ううむ。

今日はカミさんが寿司を食いたいというので、車で回転寿司を食べに行く。息子は回転寿司を見た記憶はないようで、寿司の乗った皿が並んで動いているのを見て「でんしゃみたいやなー」と言って喜んでいる。帰りに寿司屋の近くにある本屋に寄ったのだが、息子は「でんしゃのほん、みる」と言って私を引っ張っていく。めったに行かない本屋なのに覚えているのね。確かに児童書のコーナーで乗物関係の本が並んでいる。電車の載っている絵本を目の前に置いてやると、彼は一人で読んでいる(置いて行かれるのが不安なので私が動こうとすると脚に腕を回してくるからこちらが自由になるわけではない)。ラクになったもんである。何よりも、本屋を好きになってくれているのが嬉しいね。以前は、本屋に入ると母親が自分をかまってくれなくなるから彼は非常に機嫌が悪くなっていたので「本屋を嫌いになったらどうしよう」と思っていたのだ。この調子で日本橋の電器屋も好きに…なってもらうには電気製品を好きになってもらわなければいけないか。まあ、素質はあると思うけど(苦笑)。彼は電車の写真を指さしては名前を言っている。「とやまちてつ」とか「ながのでんてつ」とか声を上げる。「そ、そんなマイナーなのを…」と思わずよろけてしまう私であった。カミさんが「こんなのを見て馬鹿な親は『自分の子供は天才だ』と思っちゃうのよね」と言う。まあ、私ゃそこまで馬鹿じゃないですけどね。「このオタクめ」とは思うけど。

帰ってくる途中で近鉄線の上を通るので「電車見えるかな」と彼に言っていたのだが、どうやら駅には停まっていないようだ。「電車、居てないな」と彼に声をかけたその瞬間、彼が叫んだ。「でんしゃ!」彼の指さす方を見ると、電車が猛スピードで陸橋の下を走っていった。特急電車である。「アーバンライナーやったな。ドンピシャのタイミングやで。ラッキーやったな」と言うと、彼は「うん」と興奮気味に応える。「とっきゅうでんしゃ、みたなー」「はやかったな」「おきゃくさん、のってたなー」「ぱんたぐらふ、あったな」とか言っている。そんな細かいところまで見ていたのかよ。家に帰ってもずっと繰り返している。彼にとっては、これが今日いちばん嬉しかったことのようである。

家に帰り着き、洗面所で手を洗うときに息子は改めて自分の髪の毛が無くなったことに気づいてショックを受けたようである。「シンちゃん(仮名)のかみのけ、なくなってる」とか言っている。そして私は、カミさんがテレビをつけたときに気がついた。ああー、ヒッパレの録画予約をするのを忘れていたぁ。すでに22時半。半分は終わっている。

カミさんが風呂に入るときに息子を連れて行こうとするが、彼は「とーちゃんと、はいる」と言って拒否する。寝るのが遅くなるぞ。もうすぐ23時なんだから。でも負けて私がシャワーを浴びさせることになるのである。丸刈りなので頭を洗うのがスゲエ楽になっている。拭くのも楽だ。脱衣場に出してバスタオルを被せてやると、彼は一人で階段を上がっていった。私が自分の身体を洗い終えて出てきても彼は起きている。今日も私が寝かせることになるのね。



7月2日(日)
目が覚めたのは7時前であった。あわてて起き出して通信し、日記を書く準備ができたときにはちょうど8時になっていた。しまった。8時になる前に回線を切断しておくんだった。日記を書き、再接続して上げる。しばらくしたらカミさんが下りてきた。トイレに入り、「もうちょっと寝る」と言って寝室に上がっていく。日曜日なのにこんな時間に起きるとは思ってませんぜ。息子も最近疲れ気味のようなので、起きるまで寝かせることにする。しかし、妻子は10時半頃になって起きてきた。息子はともかく、カミさんはまたずいぶん早いね。

息子は下りてくると「びすたーかー、みたなー」「よかったなー」「あら、あたま、ない」「また、はえてくる?」などと言ってくる。昨日のダイジェストですな。カミさんに聞くと、寝室でも同じようなことを言っていたらしい。

カミさんが「朝ご飯は涼しいところで食べたい」と言うので、車でマクドに食べに行くことになる。そのまま私の戦闘服を買いに行く。夏物の背広が着れるものが無くなっているのである。スーツを2着とカッターシャツを4枚買ったので、かなりの支出になってしまった。どうしてこんなに高価な服を着て仕事をしなければならないのだろう、といつも思うんだな。工場で作業服を着て働いている人たちを羨ましく思ってしまうのである。カミさんは「工場勤務はキツイわよ」と言うが、工場でもオフィス業務はあるんだな。以前私が行った某メーカーでは汎用機やオフコンの基本ソフトは工場でハードウェアと一緒に作っていたので、OSとかそれに付属するソフトを作っていた人たちは作業服姿だったのだ。こういう仕事が理想かな。息子は退屈してるようで、「かえる」と言っている。

そして、続いて図書館に行く。息子が疲れているので、座れる場所を探す。日曜日なので、なかなか席が空いていない。階段を上がって2階の隅っこ、百科事典コーナーの側に一つ空いている椅子を見つけた。息子を座らせる。退屈しているようなので、百科事典で電車の項目を開いて見せる。彼はその後もどんどんページをめくって絵を見ては何か言っている。表とか魚の絵とかいろいろ載っているからね。しかし、「世界大百科事典」と「日本大百科全書」はそれぞれ百科事典の本棚を2段ずつ占有している。紙で見るとすごい量だ。これだけの情報が両方とも自分のパソコンに入っているというのは、改めて大変なことだな。こういうのが2万円以下で買えていいんだろうか(買ってるけど)。しばらく休んだ後、二人で子供用の本の閲覧コーナーに行く。絨毯が引いてあって、床の上に座って本が読めるようになっているのである。鉄道関係の絵本をまとめて取ってきて読んでやっていたらカミさんがやってきた。息子の相手を交代し、自分の本を選びに行く。前回に本を借りてから(いつのことだったかもう記憶にない)仕事が地獄の状況になったので返しにいけなくなって督促が来てからも数ヶ月放っておいたので、今回はそういうことが無いようにしなければならない。買わなかった本だから家ではまず読めないので通勤時に読める本を、ということで文庫本を7冊借りる。読めるかどうかわからないので、借りた本は読んでから日記に書くことにしよう。しかしSF界で名作と呼ばれている海外の作品が何冊かはあるだろうからそれを借りようと思っていたのだが、まったく無い。これくらいの規模の図書館でもそういうものなのかなあ。

家に帰ったが、息子は機嫌が悪い。パンツがうまく脱げないと言ってうるさい。後で考えると、汗をかいて皮膚と下着の間の摩擦が大きくなっていたのだ。「かーちゃんが、いい」と繰り返している。とか思ったら、母親が階下からなかなか上がってこないので「かたーい」と言って私の方にやってきた。都合のいいヤツめ。「自分で穿け!」と怒鳴ると、わーわー泣きながら階段を下りていく。「とーちゃんに、おこられた」とか言っている。カミさんは「ずいぶんショックやってみたいやで」と言うのだった。

私は散髪に行く。シャンプーがオプションになっている安い店に行くのである。どうせ家に帰ってからまた頭を洗うんだから、散髪屋での洗髪は無駄である。それよりは安くて速い方がいい。しかし今日は暑い。散髪屋でも冷房が効かないとぼやいていた。帰りに自転車屋でキックボードを買う。この乗り物、最初に見たときが難波駅に着いたときに電車から下りて人混みの中を走り去っていく若い男の姿だったので第一印象はあまりよくなかったのだが、冷静に考えるといい乗り物だよな。燃料が要らないのがいい。自転車と同じで人間の能力を効率よく発揮させる道具である。これはパソコンにも言えることだな。まあパソコンは電源が要るのだが。自転車よりも身体の負担は大きそうだが、乗らないときは持ち運びできるのが自転車より優れている点である。他の交通機関と併用が容易なんですな。移動途中で電車に乗ったり、自転車を置いてあるところに移動したりするのに使える。ブレーキがないのがちょっと不安だが。特に下り坂が危険かもしれない。家に帰って玄関に置いていると、それを見たカミさんに「何を買ってきたの!」と言われる。しかし、その後に自分が欲しそうに見えたのは気のせいだろうか。

家に帰り、昨日録画したヒッパレの後半を観ていると、カミさんは昼寝するという。やっぱり早く起きすぎたんだな。ヒッパレは…まあまあでしたけど、CLOUDのダンスのカッコ良さばかりが目立った気がする。ランキング表のパネルで前半の出演者に「大***子」と書いてるのを見て「大橋純子さんか!?」と思って死にそうなほど後悔したのだが、よく見ると大桃美代子さんだった。よかった(こらこら)。

息子は一人で電車のオモチャを床の上に走らせているが、今夜早く寝て欲しいので外に連れ出すことにする。ホームセンターに行きペットショップで熱帯魚や亀などを見て、帰りに近所の大型電気店に寄る。彼は展示してあるパソコンを触っている。マウスを動かすとスクリーンセーバーのパスワード入力ダイアログが出てくるので、キャンセルボタンにマウスポインタをあわせてクリックしダイアログを消している。おおっ、マウスを使えるようになっているのか。これでやっと世間の3歳児なみになったのかな。帰りたがっている息子をなだめながら、店内を見て回る。携帯電話のクリップ付きのストラップがあったので買った。前に買ったものよりは頑丈そうだ。携帯電話のショップを見るたびに入って探していたのだが、なかなかストラップは売ってないものなんだな。こういう店で買うべきだったのか。

家に帰って夕食を食べ、私がシャワーを浴びて階段を上がっていくと息子が本を持ってやってきて「これ、もってあがっても、いい?」と言う。しゃーないなあ。今夜は寝室で本を4冊読むことになるのである。しかし眠い。息子も読みながら頻繁に目をこすったりしているのだが、読んでいる途中では寝てくれない。私は読み終わった瞬間に眠ってしまったのだった。息子に何度か話しかけられて何か応えた記憶はあるのだが…



7月3日(月)
今朝も早くに目が覚めたのだが、起きたのは6時過ぎであった。今日は午前中に医者に行くので急がなくていいしね。8時前に妻子が下りてくるが息子の調子が悪い。「しんどいー」とか「ねむたいー」とか繰り返して愚図っている。カミさんはパンの買い置きがないのでコンビニに買いに行った。息子がいつまでもグズグズいっているので「眠たくても起きなあかんのや!」と言うと、またわーわー泣いて走って居間を出ていく。しかし、母親はいない。帰ってくるまでずっとわーわー泣きっぱなしだったのだった。それだけ大声を出し続ける元気があって「しんどい」もないと思うんだが。

今日は医者の予約は10時からだったので息子を保育所に送ってから直接病院に行くと早すぎるのだが、カミさんの強い要望により私が送っていくことになる。保育所に行く途中で近鉄の電車が見えた。息子が「しんがたしゃりょうや!」と叫ぶ。私が「新型車両か?」と言っても自信満々である。最後部を見ると、本当に新型車両であった。「ほんまに新型車両やったな」と言うと彼は「なんで、まちごーたん?」と私に訊く。キミがどうやって認識しているのか、逆にこっちが訊きたいよ。息子は髪を切って人相が変わっているので保育所でどうなることかと思っていたのだが、子供たちはヘアスタイルが変わったくらいでは認識に影響はないようである。「シンジ、さんぱつしたんか」などと言われている。彼は、今日は別れるときに手を振ってくれた。

保育所を出て、コンビニで雑誌を読んで時間をつぶしてから医者に行く。今日鼻のCTを撮るのかと思っていたのだが、検査の予約をするのであった。明日の午後からの予定になった。今日も暑い。自転車で家に帰るのも大変だ。

今日通勤中にアマリアロード・ストーリー小川一水:ソノラマ文庫)を読み終えた。なかなか読ませてくれたが、中盤以降にちょっと書き急いでいるような印象を受けた。これだけ倒すべき相手が多いと、1冊で終わらせるには無理があるようですな。

今日は午後から出勤して明日も半日しか仕事ができないので、遅くまで仕事をする。それから家に帰ると午前様になってしまった。当然、息子はすでに寝ている。今日は寝る前に通信をするのである。大丈夫かな…



7月4日(火)
昨夜も、3時頃に通信を終えてウィルス定義の更新中にちょっとのつもりで横になったら寝てしまっていた。7時前に目が覚めた。またまた通信する。まさしく中毒である。

カミさんが『鉄コミ読もうかな。でも、読むとスランプになっちゃうのよね』とか言っている。何で読まないのかと思っていたのだが、締め切り前だと悩みも深いねえ。そこで私はアマリアロード・ストーリーをお薦めする。何となく「対なる者」シリーズと似た匂いがするような感じなのだ。

今日から、図書館で借りてきたMOUSE牧野修:ハヤカワ文庫)を読んでいる。文章によって「異界」を現出させる能力に関しては、この人がダントツだと思っているのである。書き下ろしのアンソロジーであれだけのレベルの作品を輩出しているんだから、個人の作品集では物凄い作品が集まるのではないかと思っていたのだが、その期待は裏切られなかった。いや、スゴイですねえ。これはカミさんに見せるとスランプに陥るに違いないから、しばらく見せないようにしなければ。

今朝の課内会議が延びたので、仕事場を出るのが遅くなってしまった。家に着いたときにはすでに病院に出かけるべき時刻であった。昼食は無理だな。私服に着替える。しかし暑い。カミさんに「すごい汗」と言われてしまった。私の身体は水気が少ないので、あまり汗はかかないのだけどね。「シャワー浴びてったら?」と言われるが、そんな暇があったら昼飯を食いますって。お茶をガブ飲みして家を出る。

病院には少し遅れてしまった。CTの撮影室に行って予約票を渡す。まずはふつうに仰向けになって頭と身体を固定される。担当のにーちゃんは「頑張ってくださいね」と言うのだが、仰向けになってじっとしてるだけなら10時間でもできるぞ、などと思ったりする。事実、撮影中は何度か眠っていた。ミリ単位で撮影対象を動かしながらその回りをカメラが回転するのだから機械が動いている時間が長いのはわかるのだが、その前後もけっこう時間がかかる。何も動いていないようなので、気の短い人なら怒りだしそうだな。続いて、うつ伏せになり頭を立てて手を背中側で組まされる。2方向から輪切りにされたら微塵切りだな、などと思いながら横になる。「大丈夫ですか?」と訊かれて、軽い気持ちで「はい」と応えたのだが、機械が動き始めてから喉仏が床に当たっていて唾液を飲み込むときに痛いことに気がついた。もう中止できないよなあ。それ以降は数分間をひたすら耐えたのだった。検査が終わって、受付に出す書類ができるまで部屋の前で待つように言われる。すぐにできるかと思っていたのだが、数十分待たされた。本を持ってきたからいいんだけどね。心電図の検査室にストレッチャーに乗せられたお婆さんが入っていったりしたのだが、室内で腹痛を訴えたようでバタバタしている。「いま先生呼んできますから」とか言う声が聞こえる。そのうちにベテランの看護婦さんらしき人がやってきて「落ち着いてゆっくり息をして…」などと言っている。どうやら治まったようである。隣に座っていたお婆さんが「長いこと待たされて…」などと話しかけてくるので落ち着かないな。ようやく書類を渡されて受付に行って驚いた。請求金額が3,000円近い。保険の本人でこれだとは。これだったら、病院はあの機械を入れたら遊ばせずに使わなきゃ損だな。

病院からの帰りに古本屋に寄る。いつも通院しているときには閉まっている店が開いているのを往きに確認していたのだ。今まで帰るときには午近くだったと思うんだが、そのときに開いてなかったということは午後だけ開けているということか。いい商売だな。やっぱり、古本屋の店番というのが職業としては理想だな(笑)。カミさんの分のE.G.コンバット秋山瑞人電撃文庫)を探すために入ったのである。ざっと本棚を眺めると、ヤングアダルト系の本が並んでいる。これは期待できるかもしれない…と思ったが、それほど目ぼしいものはなかった。しかし、ずいぶん雑然としてるなあ。本が山のように積んであって、いちばん下の本棚などは何が入っているのか全くわからない。それでも、本の山もそれに隠れている本棚も、掘り返して確認しないではいられないのである。自分の部屋で本の山を探索するのには慣れてるし(爆笑)。掘り返してみると、けっこうオイシイ本が見つかった。やはり、人の目につきやすいところには良いものは残っていないのだな。文庫本がほとんど1冊100円というのも嬉しい。気がつくと、本の山を発掘し終えたときには以下のような本を手に持っていた。
ウォッチャー」(草上仁:ハヤカワ文庫 1990)\420→\100
ひと夏の経験値」(火浦功:ログアウト冒険文庫 1995)\560→\100
たたかう天気予報」(火浦功:角川文庫 1989)\430→\100
「S-Fマガジン・セレクション1987」(早川書房編集部編:ハヤカワ文庫 1988)\660→\150
大久保町の決闘」(田中哲弥:電撃文庫 1993)\560→\100
ミリティア」(大場惑:ログアウト冒険文庫 1994)\550→\100
星のダンスを見においで 1」(笹本祐一:ソノラマ文庫 1992)\460→\100
支払いを終えて店を出たときには16時近くになっていた。1時間半近く本の山の中をさまよっていたことになるか。

家に帰ると、カミさんは寝ていた。彼女が「安いので買ってきた」というトウモロコシが蒸してあったので、それを囓る。日記を書いていると、遠雷の音が響いてくる。雨が来そうだな。息子の迎えにはカミさんに車で行ってもらうことになった。息子を連れて帰ってきたカミさんは、早売りの月マガを買ってきた。「今月もおいしいわあ、ジュルジュル」とか言っている。もちろん海皇紀のことなんである。

そのうちに、横殴りの強い雨が降り出した。風上の窓は、バケツで水をぶっかけたみたいになっている。薄暗くなった空が、間欠的に光る。何拍かあって、落雷の音が響く。息子は「こわいー」と言って私の方にやってくる。膝の上に乗せ、稲光を見せようとして「ほら、見てみ。光るで」と声をかけるのだが、彼は外を見ようとしない。意気地無しめ。まあ、私に似たんだろうけどね。

夕食時にビールを飲んだので眠い。息子は今夜は寝るときに「かーちゃんと」と言ったのだが、私も一緒に寝室に行って寝る。絵本はカミさんが読んでくれたので助かった。



7月5日(水)
昨夜は早く寝たのだが、目が覚めたのは6時半である。1時間で日記を書いて上げなければならない。日曜日の日記だから、ある程度は事前に書いてあるんだけどね。7時過ぎに階上で目覚ましが鳴ったが妻子は起きてこないので、7時半過ぎに日記を上げて妻子を起こしに行く。今朝は息子はそれほど機嫌は悪くない。早く寝たせいかな。カミさんによれば22時半くらいまで起きていたので同じじゃないかということだが、それでも早く電気を消せば違ってくるんじゃないんでしょうか。

そういえば昔、不眠症の人に対して「たとえ眠れなくても暗いところで横になっているだけでも休養の効果はある」と言ってやれば安心して眠れるようになったりするという話を聞いて「そんなもんかいな」と思ったことがあるなあ。まあ、私は逆に起きていなくてはいけないのに眠くて困るほうなんで、不眠症なんて贅沢だとしか思えないんですが。

イニDのタイピング練習ソフトが出るらしい。「高橋涼介のタイピング最速理論」というタイトルが笑える。

今日は昼休みに職場近くの書店で「馬鹿が止まらない」(堀井憲一郎:双葉文庫)を買った。なかなか面白い。世間にこれだけ大量の文章が氾濫していても、こんなにニヤリとできるというのはなかなか無いのである。

何だとう、「後に殺菌機を通るので大丈夫という意識があった」だとう? 細菌を殺しても細菌が産生した毒素が残っていれば食中毒を起こすというのは常識じゃなかったのか? それとも、食品を扱う企業の人間が知らないとは、私がおかしいのか? しかし、それにしても後の対応が酷すぎるな。あんな人間が上で威張っているようでは雪印も終わりだね。でも、ひょっとすると今の大企業の経営陣にはああいうタイプがけっこう多いのかもしれない。本当の修羅場を知らずに箱庭の中で偉くなったというヒト。役所のエライさんにもね。

緊急の仕事が入ってきたので、今日も午前様になってしまった。家に帰ると息子は寝ていたのだが、カミさんは通信もせずに本を読んでいる。けっきょく、私が通信を終えた3時になってもまだ読んでいる。私は通信をしながら何度も気を失っていたのだが、それも気づかないようである。そんなに面白かったのか?



7月6日(木)
今日はフレックス出勤する予定だったので8時近くまで寝ていた。カミさんが目覚まし時計を手にとって「あっ!」とか言ったので雨戸を開ける。スゲエ光だ。光の圧力で目を開けていられない。もうすっかり夏ですな。まだ梅雨は明けないのか。しかし思ったより暑くない。昨夜の夕立のせいだろう。今朝も息子は機嫌が悪いが、食事を始めると元気になった。

昨日も激しい夕立があったらしいのだが、カミさんが息子を迎えに行ったとき「怖かった?」と訊くと「こわかった」と応えたそうな。
「みんな、怖がってた?」
「うん」
「●●ちゃんも?」
「うん」
「○○ちゃんも?」
「うん」
「泣いた子、いてた?」
「うん」
「誰が泣いたん?」
「…シンちゃん(仮名)」
消え入るような声で応えたので、カミさんには大ウケだったらしい。

カミさんは雪印の社長が「私は寝ていないんだ」と言ったというのを新聞で読んで嗤っている。こんな場面でそういうことを言っても同情して勘弁してもらえるわけないじゃないか。こういう局面できちんと対応するために高い給料をもらってるんだろうにねえ。それがわかってないんだねえ。社内での競争に勝ったから給料が上がったとでも思ってるんだろうねえ。経歴から見るとこの社長、経理畑を歩いてきて生産現場のことをぜんぜん知らないんじゃないか、などと思ってしまったぜ。営業に出て、客に怒られて平身低頭したこともないんだろうな。こりゃ、関連会社も潰れるところはかなり出るでしょうねえ。こんなんで潰れるんじゃ悔しいだろうなあ。

職場に着いて、背中が痛くなってきた。左の肩胛骨と背骨の間くらいが痛む。寝違えたかな。昼過ぎから腹も痛くなってきた。風邪なんだろうか。腹が痛いのに、それでも夕方になると腹が減る。困ったもんである。

今日は昼休みに恥と無駄の超大国・日本落合信彦:小学館文庫)を買う。読めば読むほどヒドイ国だね、日本ってえ国は。こういうのを読んで、怒ってスッキリしてしまってはいけないんだな。怒りは持続させなければ。

Mac用のBURN-Proof機能搭載CD-R/RWドライブが出たらしい。Mac用のBURN-Proofのドライブが出れば買おうと思いながら買ってしまったばかりなので、ちょっと悔しい。まあ、今までに10枚近くCD-Rに書き込んで、一度も失敗していないのでよしとするか。いまは値段も倍近くするしね。

今日も22時近くまで仕事をした。地下鉄の駅を出ると、地面が濡れている。今日も夕立があったのか。知らなかった。仕事場は完全に自然から隔離されているからなあ。まあ、涼しくなってるからいいんだけど。家に帰ると、居間には誰もいない。妻子とも眠っているようである。もうテレホタイムだ。夕食は通信してから食べることにするか。こういうことを考えるのも中毒の症状だよなあ。



7月7日(金)
昨夜は家に着いたときにちょうど23時過ぎだったので、食事する前に通信を始める。カミさんが起きてくるかもしれないからね。1時過ぎに通信を終え、飯を食おうと思うのだが、眠い。ついつい座椅子を倒して横になってしまう。何度か寒くて目が覚めたが、起きられない。7月なのになあ。気がつくと、知らないうちにタオルケットを被っていた。タオルケットが自分で寝室から下りてくるわけはないから、カミさんが掛けてくれたんだな。それでも寒いけど。

階上で雨戸を開ける音が響いた。もう8時近い。起き上がろうとするが、身体が固まっていて起きられない。転がってうつ伏せになり、床に手をついてゆるゆると起き上がる。今朝も息子は機嫌が悪いようである。母親が1階の洗面所に下りていったらしく、2階の踊り場で泣きながら呼んでいる。私が行くと、例によって「かーちゃんが、いい」である。はい、ばいばい。

今日も昼過ぎから腹痛。午後から初めてのお客様との打合せがあったのだが、その席上でさし込みが来て困った。最悪の場合、中座してトイレに駆け込まねばならない。打合せの内容にも身が入らない。しかし、こういう腹具合でも腹は減るのである。困ったもんである。

今日はウチの課の新人歓迎会であった。新人たちに対して、先輩の名前を覚えているかどうかチェックして遊んでいたのだが、けっこう覚えているもんだな。私なんて、まだ名前を覚えていない人間がいるというのに。やっぱ、トシかな。

帰りにMOUSE牧野修:ハヤカワ文庫)を読み終えた。面白かった。まさに、めくるめく言葉の魔術、というヤツですね。読み始めたときに、あまりに強烈な刺激に酔ってしまいそうになった。まあ、読み進んでいるうちにふつうの作品になってきたのだが、これは刺激に耐性ができてきたのか、それともやはりジャンキーの心理状態を描写していても作者の論理的思考により構成された物語だということか。次の作品を読み始めても、言葉が上滑りしてなかなか作品世界に入っていけない。まだ「酔い」が残っているのか。これはちょっと影響力が強すぎる。

今日も家に帰り着いたときはテレホタイムになっていた。今夜はカミさんは起きていて通信中であった。今日も彼女の通信の終わりを待つのである。



7月8日(土)
昨夜はカミさんの後に通信してハードディスクの内容をDVD-RAMにバックアップしてたら徹夜になってしまった。まったく何をやってるんだか。朝食を食べ、息子を保育所に送り届けて帰ってくると、眠い。せっかくの夫婦水入らずで落ち着ける時間なのだが、座椅子に座って気を失っていたらカミさんに「寝てきたら?」と言われてしまった。はあ、寝かせていただきますです。

目が覚めると18時を過ぎていた。ずいぶん長く寝てしまった。階下から息子の声が聞こえる。カミさんが迎えに行ってくれたのね。相変わらず背中が痛い。これは明日あたり、カイロに行った方がいいか。洗面所の棚の上に、ちょっと歪んだカミさんの図書貸出カードが置いてある。洗濯しちまったんだな。いかにも彼女らしい。

最近の雪印の騒ぎにもかかわらず(いや、そのせいか?)、カミさんは「ヨーグルトドリンクを飲みたい」と言いだした。カミさんの車でホームセンターとスーパーのあるショッピングセンターに行く。「金魚見に行こか」と言えば、息子は喜んでついてくる。熱帯魚や亀、カブトムシ、セキセイインコなどを見て息子はご機嫌である。しかし、カミさんは猫を見たいようなのだが、息子は昆虫や魚類や爬虫類や鳥類の方がいいのだ。犬猫のコーナーに連れていっても、すぐに戻っていこうとする。それでも半ば無理やり連れてきて子犬や子猫を見る。カミさんはロシアンブルーの子猫を見て「かわいー!」とか声を上げるのである。でも、ワタクシ的には先日古本屋にいた子猫の方が可愛かったね。さわれたし。黒の縞模様の子猫だった。まだ細っこい躰の子猫だった。あごの下を撫でようと手をさしのべると、逃げもせず仰向けになって指にじゃれついてくる子猫だった。ただ、まだ加減を知らないので爪を立ててくるんだよね。指に爪が引っかかったので手を引っ込めると、起き上がって膝にじゃれてきた。膝に爪を立てられて「きゃいん!」と立ち上がった私だった。だけどタダで見せてもらって何だけど、ペットショップで子猫を10万も出して買う気はしないなあ。「子猫をもらってください」という話は山ほどあるんだから。

夕食後、私の実家から電話がかかってきた。お中元が届いたらしい。息子に代わると、彼は今日も父親の布団にオネショをしたことを話している。ウケたからといって、何度も自分の恥をさらさなくてもいいと思うんだがな。電話をしながら、なんだかモジモジしている。彼から受話器を受け取るときに「おしっこか?」と訊くと否定したのだが、私が代わって話し出すと「うんこ」と言ったのだった。あわてて電話を切り、彼を連れてトイレに行く。相変わらず柔らかめの便である。今日も自分で拭きたがるが、「最初は父ちゃんに拭かせてな」と言って私が拭く。かなり紙が汚れたので、2回目も私が拭かせてもらう。3度目からは自分で拭かせたのだが、拭き終わった紙を捨てるときに便器に投げ入れようとするものだから的を外れて私の脚に当たって床に落ちてしまった。こら、こういうものはもう少し慎重に扱うものだ。



7月9日(日)

膝が壊れた。

今日は妻子が出かけたので一人で身体を動かしていた。身体を柔軟にしなければならないということで股割りをしていたのだが、今日はいつもより内股の筋が伸びない。それでも我慢して伸ばしていたら、気がつくと膝の屈伸ができなくなっていたのである。膝を伸ばそうとすると、左膝の内側が痛む。それどころか、階段の上り下りができなくなっている。上るときは左脚で身体を持ち上げることができないし、下るときは左脚で身体を支えることができないのである。1段ずつ上り下りしなければならない。我が家のように狭い土地に縦方向に長く建っている家では非常に辛いのである。

今朝は6時過ぎに起きた。通信を終え、日記を書いているとカミさんが起きてきた。またすぐに寝るのだろうと思っていたら、そうではないようである。「まだ9時にもなってませんぜ」と言うと、「従姉妹の●●ちゃんのとこに赤ちゃんを見に行くって言ったでしょ」と返されてしまった。あ、今日でしたっけ。

私は今日はカイロに行かねばならない。シャワーを浴びて出かける。最近、お義母さんに会ってないような気がするな。

カミさんのリクエストにより原稿の下読みをする。「イニD」青赤の同人誌の原稿と、商業誌の原稿(以前、小説Dear+に掲載した「美貌の食卓」を単行本用に改稿したもの)である。なんだか、読んでいて、商業誌よりも青赤の原稿の方が力が入っているような感じがしたのは気のせいだろうか。カミさんに言うと「えへっ」と笑われてVサインされてしまった。図星だったようである。しかも、この青赤の原稿、木根さんのところでのゲスト用の原稿なんだそうである。こういうことでいいのかね。まあ木根さんも、ゲストに負けたりして狼谷を図に乗らせないようにしてほしいもんですね。

妻子は帰ってきてそのまま寝室に上がっていった。息子は眠らずに下りて来るんじゃないかと恐れていたのだが、そういうこともなかったようだ。夕方になってカミさんは下りてきたが、息子は18時を過ぎても起きてこない。あまり長く昼寝をすると今夜寝てくれないので起こすことにするのである。

カミさんは帰ってからずっと昼寝をしていたので、例によって今日は外食に行く。明日の朝早く出勤できそうにないので、途中で駅前のレンタルビデオ屋に寄ってもらう。明朝9時までに返さねばならないのである。返せなかったら1000円近い損害だ。今夜の食事はバイキング方式の定食屋(ってのも変な表現だな)である。カミさんは大盛りのご飯を取ってきて全部食べられなかったので、大盛りを食べ終えた後の私が引き継ぐことになるのである。昼抜きだったので腹は減っていたのだが、それでもキツイ。

家に帰り、妻子は一緒に風呂に入ったのだが、階下から息子の泣き声が聞こえてきた。どうも調子が悪いようである。私が下りていって「今日、父ちゃん脚痛いから上がられへんねん。自分で上がってな」と言っても「ぼくも、あし、いたーい」と言って上がろうとしない。そのうちに「こし、いたーい」とか「あたま、いたーい」とか言いだした。何なんだ。仕方がないので私が一人で上がっていくと、彼は泣きながら追いかけてきてしがみつこうとする。おいこら、父ちゃんは速く上がれないんだぞ。



7月10日(月)
今朝は7時過ぎまで寝ていた。起きてみると、やはり階段を1段ずつしか下りられない。これは医者に行かねばならないか。今日までにやらねばならない仕事があるんだけどなあ。まあ仕方がない。通信して妻子と朝食を食べ、シャワーを浴びて出かける。

医者はかなり混んでいる。これは、読む本を持ってくるべきだったか。かなり激しく後悔した。待合室に置いてある週刊誌を読みながら待つ。順番がきて、まずは診察である。背中は筋肉の痛みだそうである。膝はいろいろな方向に曲げられたのだが、曲げただけでは痛みはない。それほど大したことはないようである。でも、力を入れると痛いんだな。リハビリをするそうである。まずは患部に緑色の光を当てられる。熱い。身体の内部を暖めようとしているのだろうが、表面が熱いのである。まあ耐えられないほどではないが。赤い光のほうが波長が長いから身体の奥まで届きそうな気がするんだけどなあ、などと思いながら時を過ごすのである。続いて患部に吸盤で電極を当てられれて電気を流される。筋肉が自分の意思に反して動き出す。これもけっこう筋肉が引き攣れて痛い。こういうふうになると、筋肉も「自分」じゃないんだな。それを言い出すと、脳だって薬で操れるんだから自分の思い通りになるものなんて世の中には無いのかもしれない、などと毎度のことを思いながら時を過ごすのである。最後にベッドに寝かされた。担当者が脚の上に重りを置いて行ってしまったので、どうするんだろうと思っていたらベッドの下でローラーがぐるんぐるんと動き始めた。そのうちに細かく振動し始める。これは気持ちよかった。カミさんも自分で健康保険料を払うようになったんだから、亭主に足を揉ましたりせずに「肩凝りがひどいんです」とか言ってここに来ればマッサージまでしてもらえるのに、などと思いながら時を過ごすのである。

家に帰るとカミさんが「ごめーん、だんなさんの腹巻洗っちゃった」という。私は持病で腹を冷やせないので常時腹巻を着用しているのだが、いつ物欲が暴発してもいいようにその中にお金を常備してあるのである。1万円札が紙の固まりになっている。和紙だから再起不能にはならないと思うが、ゴワゴワにはなっちゃうんだろうなあ。

膝を壊すと通勤も大変である。地下鉄というのは本当に階段が多いことを実感する。しかも、エスカレーターとかエレベーターは、よっぽど利用者が多くて長い階段でないとついてないのよね。改札内はエレベーターがあったりするけど、改札に入るまではついてないし。気持ちは先のほうに行っているのに脚がついてこない。これまでは1歩で2段上り下りできていたのが、今では2歩で1段しか進めない。従来の4分の1の速度である。いや、今までは一定の速度で移動できていたのが加速減速を繰り返すようになったからさらにトータルの速度は落ちているな。もどかしい。横から見てても情けない姿だろうな。痩せ衰えたオジサンが1段ずつ階段を上っている図というのは。みんな、当たり前のように階段を上っている。階段を無意識のうちに上り下りできるというのは大変なことだったんだ。人は無くすまで幸せに気づかないものなのね。私もそうだったけど。

作業用のマシンの調子が悪い上に営業から飛び込みの仕事を振られたので、予定していた仕事が進まない。くっそお、WindowsNTを「堅牢なOS」などと言っていたのはどこのどいつだ。デモをするための「それらしい」データを作らねばならないのだが、焦ってくるとなかなか頭が回らない。20時をすぎて空調が切れ、ますます集中できなくなってくる。これは、徹夜するつもりでやった方がいいか。今日は日記の更新はできないな。ここしばらく毎日更新してたんだが。まあ、この脚で家まで往復するよりは寝ずに仕事した方がまだマシだという気もするんだけどね。

狼谷辰之  新書館ウィングス文庫
なる
¥620+税  ISBN4-403-54021-X



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