2000年 7月中旬の日記
▲7月11日(火)▼
けっきょく、朝になるまでずっと起きていた。6時になって掃除の人がオフィスに入ってきたので、応接室に入ってソファに座り、頭を後ろにもたせかける。それほど眠いつもりはなかったのだが、次の瞬間、意識がブラックアウトしていたことに気がついた。どのくらい寝ていたのだろう。身体がずいぶん堅くなっている。まだ掃除をしているので、それほど長い時間は経っていないようだが。
朝食を買いに職場近くのコンビニに行く。目新しい野菜ジュースがあったので試しに買ってみるか、と手を伸ばしかけてやめた。雪印の製品だったのである。ああいう連中が経営してる会社の製品を口にする勇気はないよな。私には妻も子供もいるのだ。
朝日のサイトに「きょうの森首相」というページがあるのを見つけた。記者団とのやり取りを書くだけで嗤いが取れるというのは得難いキャラクターである。日本のことを考えると笑ってばかりはいられないんだけれど。本人は真面目なつもりのところが何とも…しかしこの人、ホントに今まで何も考えずにゴリ押しだけで生きてきたんだなあ。これが選挙で信任されてしまうというのが、今の日本の現状である。こりゃ、税金の無駄遣いを放置したまま消費税を引き上げられても文句は言えませんわな。
いつも昼食を食べに行っている社員食堂(別の会社の)は地下の3階まで歩いて下りてゆかねばならないので、今の私ではとても行くのは無理である。おまけに雨まで降ってきたので、ビルの外に露店を出している弁当屋で買う。昼飯に500円も使ってしまったぜ。
しかし眠い。特に食事をすると、もう耐えられない。どうかすると、身体が空気に溶けてしまってどこにあるのかわからなくなってしまう。ふと気がついて、靴の中にある自分の足を探すのである。足の指を動かして靴に触れるのを確認する。ああ、私の足はここにある。
徹夜明けなのに、今夜も遅くなってしまった。家に帰り、いま話題のbk1のサイトを見に行く。なかなか気合いの入った作りになっている。欲しかったが見つからなかった本を検索してみるとヒットしたので嬉しくなってどんどん買物カゴに入れてしまう。パソコンに向かって「うおー、買うぜ、買うぜ、買うぜ、、買うぜ、俺は買うぜぇー!」と叫んでいたらカミさんに笑われてしまった。もうすっかり気分はスタパ齋藤氏なのである。でも、よく見ると最初の2冊で3000円を超えているぞ。そうか、本の実物を見ているわけではないから判型は一目ではわからないんだな。いつも文庫か新書しか買っていないから、この値段にはちょっとビビってしまうのである。カミさんの後に通信を終えると、3時を過ぎていた。やはり、これは中毒と言うしかないのであろうか。
▲7月12日(水)▼
今朝はフレックスを利用して遅めに出勤する予定にしているので9時前まで寝ている。さすがにキツい。出社して今日は昼休みに「かけひきの科学」(唐津一:PHP新書)を買う。何となく、どこかでネタにできそうな感じだったから…だけど、読む暇があるのか?
明日からウチの会社の製品の展示会があるのである。午後からその設営の手伝いに行くことになった。JRを使って他の課員たちと一緒に行ったのだが、階段の上り下りに時間がかかるのでとてもツラい。気づかれないよういちばん後ろを歩いて、階段で遅れた分を平地で取り戻すのである。
会場に着き、ウチの部の製品を展示するコーナーのパソコンの設定とかを行う。飾りつけとか何とかをやっていたら、なんだか高校の文化祭の準備をやっているような気分だな。まあ、これは生活がかかっているからいいかげんにするわけにはいかないのだが。会場が閉館するということなので、19時すぎで追い出された。まあリミットがないと、また徹夜しかねない雰囲気だったからね。
そういえばパソコンの画面をプロジェクターに映してリハーサルをしていたら、通りかかった人が「エプソンの者なんですが、映りが悪いようですね。触らせてもらっていいですか」と言って「ああ、明るすぎるんだ」と調整して去って行ってしまった。ううむ、プロである。
帰りに、OBPのツインタワーにある本屋に入ってカミさんの分の「E.G.コンバット」(秋山瑞人:電撃文庫)を探す。しかし、ここにもない。bk1のサイトにはあったようだから、あそこで買わねばならないのかねえ。
今日は家に帰ったときに息子は起きていた。久しぶりのような気がするな。寝る前にそろそろ歯を磨こうというときになって、ばしゃっと音がして水が飛び散った。息子がカップをひっくり返してお茶をこぼしたのである。足下に水溜まりができるほどの量である。母親が「あー!」と言うか言わないかの瞬間に彼は「ごめんねっ!」と叫んだ。うむ、怒られる前に謝ってしまうというのは良い方法である。3歳児は3歳児なりに生活の知恵というのを身につけてくるものだな。日頃怒られながら暮らしているのも糧になっているのか。
今夜もカミさんが息子を寝かせてくれたのだが、私が食事とデザートを食べ終えても階上から息子の声が聞こえている。こりゃ、カミさんもかなり苛ついているであろう。急いで歯を磨いて寝室に上がるのであった。
夕食後にアイスクリームを食べようと思ったら、ぜんぶ溶けていた。こりゃ、冷凍庫の扉を開けっ放しにしてたな。
▲7月13日(木)▼
昨夜はけっこう早く寝室に入ったのだが、今朝は7時になってカミさんに起こされるまで目が覚めなかった。やはり、徹夜の疲れが残っているんだな。
けっきょく、そごうは倒産することになったらしい。世論の高まりに票を失うことを恐れた政治家からの圧力によってこういうことになるというのは、これはこれで民主主義の一つの形だろう。倒産しても税金を使うことになるという話だが、それは仕方ないでしょう(もちろん、責任者にはそれなりの償いをさせねばならないが)。いま生き延びさせたところで、さらに何度も税金を注入してから倒産して結局今回と同じだけのコストがかかるに決まってるんだから。こんなことをしてお中元なんて売れるはずがないでしょうからね。ウチにそごうからお中元が来たら、悪いけど私ゃその人の神経を疑っちゃいますよ。その後にゼネコンも控えていることだし、悪い前例は作っちゃいけない。何よりも怖いのはモラルハザードだ。「何をしても国が助けてくれる」などと思わせちゃ断じていけない。
今日明日と我が社の製品展示会である。今週徹夜をしたのも、これに間に合わせるためだったのだ。私はデータを作るだけのはずだったのだが、作ったデータが重すぎるので何かあったらいけないということで会場で待機することになってしまった。
データの準備をするためにいつもより早く家を出るつもりだったのだが、結局いつもと同じ時刻になってしまった。会場がいつもの職場よりも近いので早めに着くことができた。関連する会社も含めて100名くらいの人数が動員されている。銀色のコスチュームを着けたコンパニオンのねーちゃんまで用意している。ショートパンツにちょー高い靴を履いている。どういう衣装を着るかは事前にはわからないそうだが、大変だな。まあ、過激な衣装だと事前に打診があるらしいが。
データを作っただけとはいえ、居るからには手伝わねばならない。ウチの部の製品のコーナーの呼び込みなどをする。ほぼ一日中立ちっぱなしだったので、腰が痛い。ふだん、ずっと立ってるなんてことはないからねえ。左膝をかばっているので右膝まで痛くなってきた。体調は最悪なのである。
今日は展示会が終わるとそのまま帰ることができた。日本橋に行く。疲れてるんじゃなかったのか、などと自分にツッコミを入れるが、これは業というしかないですな。まずはCD-Rのディスクと光学式マウスを買う。少し高価いが、マウスが思うように動かなくなるストレスから解放されると思えば安いものでしょう。
そして、カミさんに電話をかけて買ってくるものはないか訊く。「プレイステーションのメモリー。それから『ベイグラントストーリー』。5000円以下ね」と言われた。言いつけられたソフトを探して中古ゲームソフト屋を廻る(SCEは中古ソフトの売買を認めていないようなんだけどね)。最初の店では傷ありのディスクが3,480円であった。店で動作確認はしているらしいが、カミさんに電話で確認すると「傷はない方がいいけど…いちおうキープしといて」と言われたが、もうこの店に戻ってくることはないことを告げると却下であった。しかし次の店に入ると、特価で3,280円で売っていたのでそれを買う。最後の店では3,680円だったので、最終的にもっとも安い店で買ったことになるか。
Macでも使える4.3GBのハードディスクが9,999円だったのに非常に惹かれたが、明日も展示会で遅刻するわけにいかないので自転車で帰らねばならない。断念して帰る。我が家のFAXが壊れているので、キャノンのマルチパスにも魅力を感じたのだが、電話機の機能が付いていないようなので留守電でFAXの自動受信ができないような感じだから説明を詳しく訊かないと買えない。
そして日本橋駅への途中にある古本屋で、カミさんの分の「E.G.コンバット」(秋山瑞人:電撃文庫)を探すために本の密林の中に分け入ってゆくのである。しかし、やはり見つからない。けっきょく、また鞄の中に自分用の本が増えて出てくるのである。増えた本は以下の通り。
「SFハンドブック」(早川書房編集部編:ハヤカワ文庫SF 1990)\580→\250
「火星鉄道十九」(谷甲州:ハヤカワ文庫 1988)\420
「ポトラッチ戦史」(かんべむさし:講談社文庫 1979)\380
「ロン先生の虫眼鏡」(光瀬龍:徳間文庫 1980)\300→以上3冊で\200
家に帰ってマウスを使ってみる。やはり光学式は快適である。しかし今まで使っていたのがFIVAと一緒に出張用に買った小さいタイプだったので、動かすのにちょっと重い。それにクリックも指にかなり力を入れて押さねばならないようになっている。前みたいに指を動かすだけでクリックできる方がいいんだけどな。
家に帰ってから気がついた。あーっ、Ruputerの電池を買うのを忘れたー。それに、J&Pに行けばポイントを加算してくれるはずだったのにー。デジカメも調子がおかしかったから修理に出さねばならんと思っていたのにー。うがー。
今日は私が息子を寝かせる。絵本を読み終えて電灯を消すと、彼は私の方にごろんと転がってきて「なんで、うれしいのん?」と訊く。ちょっと前、就寝時に転がってきた彼を抱きしめて「嬉しい〜」とか言っていたのを覚えているのだ。キミが可愛いからだよ。以前はくっついて寝るのを嫌がってたからねえ。意識してそうしてくれているんだとしても(いや、そうだからこそ)嬉しいのだ。
▲7月14日(金)▼
今朝、出がけに「今日も一日立ちっぱなしか」とぼやくと、カミさんが車で駅まで送ってくれることになった。有り難いことである。しかし、カミさんが車庫に入って車を出そうとしたとき、家の前で車が鉢合わせしてしまった。我が家の前の道は狭いので、すれ違うにはどちらかが道幅の広いところまで後退しなければならないのである。そのうちに、どちらも3台ずつが連なってしまって、倉庫番ゲームのような状態になってしまった。この問題が解決するまでの5分以上の時間を、私は玄関で、カミさんはガレージの車の中で過ごしたのであった。途中で「これは、自転車で行った方が良かったかな」と思ってしまったが、そのときにはすでに自転車では間に合わない時間になっていたのであった。奇跡的なほど電車やエレベーターの連絡が良かったのだが、それでも会場に着いたときには朝礼が始まっていた。私の時計では8時59分だったんだがなあ(苦笑)。
今日も、ずっと立ちっぱなしのせいか膝が痛くなってきた。もちろん腰も痛い。そのうえ、高いところにあるものを取ろうとして、また背中を痛めてしまった。もう満身創痍である。
今日も会場の後片づけが終わったらすぐに帰る。お茶会をやろうかという話もあったようだが、この体調では出席は不可能である。帰路は少し遠回りになるが、カミさんの分の「E.G.コンバット」(秋山瑞人:電撃文庫)を探すために鶴橋を廻って帰ることにする。まずは鶴橋駅の中にある本屋に入る。ここはけっこう若い者向けの品揃えだったはずだ。やはりライトノベルのの棚がある。棚が低いので腰を屈めなければならないのだが、それさえも膝の痛みに歯を食いしばらなければできない。もうボロボロである。そして…あった、ありましたよ。さっそく奥様にご報告である。店の外に出て電話をかける。「鶴橋駅の本屋にて『E.G.コンバット』を発見。捕獲しますか?」ああ、これでやっと私の手元にあの本が帰ってくる。
しかし、鶴橋駅は古いので、近鉄からJRに乗り換えるところにしかエスカレーターがない。JRの駅のホームから階段を下りて2階にある本屋に入ると、一度階段で1階に下りてからでないと近鉄の駅に上がれないのである。ヒイヒイいいながら階段を昇降する。明日は医者に行こう。
私が家に着いたときには浴室の明かりが点いていたので妻子は入浴中だと思ったのだが、玄関に入ると階上から息子の声がする。なんでカミさんが一人で入っているのだろうかと思ったが、「ぼたん、ちがう」と言いながら姿を見せた息子はパジャマの上着を着ようとしているところだった。先に一人で上がったのね。見ると、彼のパジャマのボタンが1つずつずれている。「いっぺん外してから嵌め直しや」と言いつけて洗面所に入る。ウガイをして洗面所から出ると、階段のところに置いておいた鞄がない。息子が持って上がってくれたのか。居間に上がって行くと、彼はパジャマをちゃんと着て一人で遊んでいる。私が上がってくるのを見ると「とーちゃんのかばん、シンちゃん(仮名)がもってあがってくれた」と言う。「『持って上がってあげた』言うんやで」と言ってから「賢くなったな」と続けると彼は「ぼく、おっきくなったよ」と言う。泣かせること、言ってくれるじゃないか。
食事の後、後片づけをしていてカミさんに声をかけると応えが無い。見ると、私が買ってきた「E.G.コンバット」の世界に入って私の声が聞こえなくなっている。うーむ、さっきパラパラとめくりはじめたのは見ていたのだが、一瞬の間に落ちてしまったな。しかし、秋山氏の文章を読むとスランプになると言っていたのだが原稿は大丈夫なんだろうか。
今日、家に帰って図書館から借りている「メルサスの少年」(菅浩江:新潮文庫 1991)を読み終えた。少年の成長物語がテーマのファンタジーである。「これだけのことが、こんなに簡単に解決するはずないよなあ」と思いながらも、素直に泣いている自分もいる。著者があとがきで述べておられるように「子供からおとなまで楽しんでいただける小説を」という目的で書かれた作品なら、その目的は充分に果たしていると言うべきでしょう。私も自分の息子にはこういう本を読んでほしいなあと思うくらいでございます。そしてまた「独特の美しい世界を紡ぎだしているかどうかが、私のファンタジーに対する判断基準なんだ」と書かれているだけあって、とてもしっかりとした世界観が提示されています。どうもファンタジーは、そこに書かれている「世界」に居心地の悪さを感じることが多いのだが、この作品はそういうことはなかった。何が違うのかはうまく言えないんだけれど。
カミさんは「1・2の三四郎2」の続きを読みたそうである。
「三四郎ってバカだけど、奥さんも負けず劣らずバカよねえ」
「そりゃ夫婦ですからレベルが違うとやってけないでしょう。バカはバカ同士くっつくものなのよ。ウチもそうでしょ」
「失礼な! うちは亭主はバカだけど妻はバカじゃないわよ。ちょっとヤオイが好きだからバカなことするだけよ!」
「そ…そんなあ〜〜」
▲7月15日(土)▼
今朝は6時過ぎに目が覚めた。少しは余裕を持って通信ができるか。しかし、通信をしていると階上でドンドンと音がする。7時過ぎになって息子が一人で下りてきた。「シンちゃん(仮名)、ねむれへんかったん」とか言っている。彼は一人でトイレに行って、私の横で絵本を読み始める。ラクになったものである。絵本を指さして頻繁に何やかやと訊いてくるのは仕方がないか。
身体中がガタガタなので、今日は医者に行くことにする。行く前にシャワーを浴びていると、カミさんが息子を連れて保育所に行ってくれた。有り難い。医者に行き、再度診察を受ける。膝の痛みが悪化していると訴えるとまた膝をあちこち曲げて「靱帯が切れているか炎症を起こしているかもしれない」ということになる。そして、前回と同じリハビリメニューである。最後にリハビリ担当者に運動不足だと言われてしまった。やはり、数ヶ月間ホテルと仕事場の間を10分歩くだけの生活をしていたのが今になって効いてきているんだな。
家に帰るとカミさんが扇風機の真ん前に陣取って「ベイグラントストーリー」をしていた。
「蒸し蒸しするわね」
「そうなんですか?」
「えー、感じないのぉー、不感症ぉーっ、信じらんなぁーい」
いつもながら言いたい放題である。
カミさんは、お昼寝モードに入ってしまった。私は日記を書こうとしてThinkPadを広げるが、どうも気が乗らない。徒然に柿木将棋IVなどを始めたのだが、レベル5と10秒将棋をすると、まったく勝てないのである。ぜんぜん手が見えていない。いとも簡単に一手バッタリの手を指してしまう。しかしそれにしてもコイツ、強い。コンピューターだから終盤が強いのはもちろんだが、中盤でも見事に狙いをもって指している感じがする。レベル5に10秒将棋で1回でも勝つまでは…とやっていたら2時間くらい経っていた。ううっ、私の時間が…
今日は、息子の行っている保育所でお祭りがあるのである。カミさんは祭りの準備があるらしいので、私がいつもより早めに息子を迎えに行く。保育所に入ると、もう祭りの準備がたけなわであった。運動場のあちこちで屋台で売る食べ物を作っている。建物の中も大勢の人でごった返している。息子は彼の組の部屋には居なかった。まだ親が迎えに来ていない園児が集められていそうな部屋を探す。それらしき子供を見つけたが、同じ年格好の子供がいっぱいいるのでイマイチ自信がない。後ろから近づいて顔を覗き込んで確認する。やはり彼であった。保母さんに「お祭りが気になってるみたいですわ」と言われる。そりゃそうでしょうね、これだけ異様な雰囲気だと。そういう彼であるが「いっぺん家に帰ってから行こな」と言って家に向かうのである。
家に着くと息子は「かーちゃん、ねてるん?」と訊く。いやいや、今日はそうじゃないよ。「お祭りの準備に行ってるんや」と応える。カミさんには、家に帰ったら腹を減らしてるだろうから枝豆でも食べさせておくように言われていたのだが、彼は食べるよりも絵本を読んでほしいと言う。ふうむ、そうなのか。
お祭りに行くために家を出る。自転車に乗って走り出すと、近所の人がみんな家の前に出て同じ方向を見ている。少し行くと救急車が停まっているのが見えた。方向が違うのだが、みんなが見ている方向に見物に行こうかと曲がったところでカミさんから電話が入った。はいはい、今行こうとしているところですよ。横から回り込もうとして選んだ道は行き止まりであった。そのまま引き返す。息子に「なんで、みち、まちごうたん?」と訊かれる。うう、そういうことは訊いてくれるな。
カミさんと保育所の門の前で落ち合う。いろいろ食べ、歩き回り、遊ぶ。カミさんは女の子が浴衣を着ているのを見て「やっぱり、女の子は可愛いわよねえ」とか言っている。だったら、もう一人作りますか? 息子は「スーパーボール釣り」をする。なかなか上手にすくっている。しかしやはり3歳児、3〜4個すくったところで紙が破れてしまった。紙が残っているところを使ってすくうような芸当はできない。好きなボールを選ばせてもらって終わりである。帰ろうとしていると、息子は他の子供がやっているのを見て「しゃぼんだま、したい」と言いだした。カミさんは品切れらしいと言っていたのだが、何とか手に入れてきたようである。息子にやらせる。吸い込んじゃ駄目だぞ。彼はストローを石鹸液の入った小瓶にちょいちょいと突っ込んで出し、吹く。なかなか上手いもんである。シャボン玉が出るのは半分くらいなんだけどね。シャボン玉が出ると、彼は最後の一つが消えるまでストローを口の前に置いた姿勢のままじっと見つめている。彼にとっては神秘的な体験なんだろうねえ。ストローを瓶に突っ込んで吹くだけで真ん丸くて透明なものが発生し、ふわふわと飛び、そして消える。彼はすっかりハマっている。帰ろうと言っても動こうとしない。まあ、そういう性格だからねえ。
祭りの準備に行ったので食事の用意ができていないということで、今日も外食である。カミさんは保育所の前が混むと予測して駅の前に自転車を停めてきたということなので、近くのファミレスで落ち合うことにした。店の前に自転車を停め、息子がシートのベルトを外すのを待つ。彼は自分でベルトの着脱をするのである。何らかの原因でそれができないと怒るくらいで。しかし、今回はうまく外せないようである。「かーたーい」「とーちゃんが、して」と言うが、自分でやらせる。いつも出来てるのに出来ないわけがないだろう。びーびー泣く。しかし、カミさんが来るまで時間があるので手助けはしない。やっと外せたところで、早売りのヤンマガを持ったカミさんがやってきたのであった。
そういえば、息子の「かたい」は「堅い」や「固い」「硬い」よりも「難い」だな。英語の「hard」である。漢字では区別されているのに、やまとことばと英語で同じ言葉を使っているというのはなかなか興味深い。
言うまでもなく、今夜は私が息子を寝かせる。「上に行って『お月見』読もか」と言うと、彼は「『ぴくにっく』もよむ」と応じる。しゃーないなあ、その2冊だけだぞ。寝室に上がると彼は「おつきさん、みたい」と言った。明日の深夜に月蝕があるらしいから、今日の月齢は14日か。だったら今の時間ならほぼ真南に見えているはずだな。南側の窓のところに行ってみるが、曇っているようで見えない。「曇ってて見えへんのや」と息子に言うが、彼は別の窓に行けば見えるかもしれないと思っているようである。父ちゃんの計算に間違いはないんだってば(ときどき間違えるけど)。
絵本を2冊読んで電灯を消す。今日も彼は私の方にころんと転がってきて「うれしい?」と訊く。子供に好かれて嬉しくない親がいるものか。しかし、しばらくすると彼は「ここ、かい」と言いだした。背中を指している。痒いらしい。しばらく掻いてやっていたが、やめると「まだ、かい」と言う。一晩中掻いてやっているわけにもいかないので「下に下りて母ちゃんに薬塗ってもらい」と言うと、彼は一人で下りていった。しばらくして気づくと、彼はまた「ここ、かい」と言っている。また掻いてやるが治まらないようなので、また下りさせたが、しばらくしてカミさんの怒鳴り声と息子の泣き声が聞こえてきた。繰り返し下りてくるので怒られたらしい。息子は「ねられへん」、「かなしい」と泣きながら上がってきた。背中が痒いのはキミのせいじゃないんだけどね。そして、もう一度同じことを繰り返す。「どうして寝てほしいときに限って起きてくるの!」と言われているようである。ゲームをしているんだろうなあ。
▲7月16日(日)▼
今朝は6時前に目が覚めた。多少は疲れが取れてきたかな。通信を終えて柿木将棋IVにリベンジを挑むが、やはりあまり分は良くない。やっと勝ったところに妻子が下りてきた。9時前である。今日はカミさんの車で日本橋にファックスを買いに行く予定なのである。すぐに出発するそうである。朝食はマクドのドライブスルーで買って食べる。これだったら10時前に着いてしまうんじゃないかなあ、などと思っていたが久しぶりなので道を間違えたり駐車する場所を探したりしていたら、車を停めたときにはちょうど10時過ぎになっていた。
まずはJ&Pに行ってマルチパスの説明を聞く。説明を聞くなら、こういう大手家電専門店なのである。留守のときに留守電とFAXを振り分けられるかどうかわからなかったのだが「留守番電話接続機能」というのがあるそうなので、これを買うことにする。現在使用しているFAXはNEC製なのだが、電池が特殊なタイプの上すぐに無くなるし、少しおかしくなると何もできなくなってしまうので修理せずに買い換えることにしたのである。夫婦の間では「もうNECは買わないようにしようね」ということになっている。メーカー側の立場になると、こういうユーザを作っちゃいけないんだけどね。カミさんはレーザー方式の機械に惹かれているようだったが、倍以上の値段がするからねえ。まあとにかく、こういう機械がほしかったのだ。私に言わせれば、プリンタとスキャナとコピー機とFAXが別々の機械になっているのはおかしいのである。印刷機能と画像読込機能はほとんど同じはずなので、別々に揃えるのは無駄というものである。地球にも優しくない。そういう意味では、モデム機能も装備できそうな気がするぞ。
続いて、マルチパスに接続するための電話機を買いに行く。マルチパスには電話機の機能が付いていないのである。電話機なんて数千円で売ってるんだから、そのくらい高価くなっても電話機の機能は付けてほしかったな。カミさんは必要なときに電話の内容を録音したいので留守録をテープに録音できる機種が欲しかったようなのだが、現在はすべてICに記録する方式になってしまっているらしい。まあ、テープに記録するとメカが複雑になるからコスト増大の要因になるのはわかりますけどね。再生にも巻き戻しの時間が必要だし。現在3階に置いてある私が独身時代に使っていた電話機がマイクロカセットに記録するタイプなので、そいつをマルチパスに接続してその代わりに3階に置く電話機を買うことにする。カミさんがコードレスが欲しいというので、コードレスの機種を買って子機は2階で使うことになる。フロアが違うがたぶん大丈夫だろう。しかし、コードレスの電話機なんぞ買ったら、またカミさんの電話が長くなるんじゃないだろうかねえ。
カミさんは息子を連れて路面電車に乗りに行ってくれるので、私には1時間の日本橋での自由時間をいただく。有り難いことである。まずはRuputerの電池を買う。それからウロウロしていたら、デジタルビデオカメラが4万円台で売っているのを見つけた。今まで録り貯めたテープをパソコンに取り込むための周辺機器としてアナログ信号を入力してDV端子に出力できるカメラが欲しかったのだ。しかし、どうもアナログ信号の入力ができないようなのである。店員に訊いてみると(調べてもらうのにすごく時間がかかった)、最近の機種には付いているが安売りしているものはアナログは出力だけなんだそうだ。やはり市販ソフトをデジタルにコピーできないようにということなんだろうねえ。それが最近はなし崩しになってる、と。アナログ入力できるものは10万円近く高価くなるそうである。それじゃとても買えないな。どうせすぐにそのタイプがこの値段になるだろう。アナログ信号をデジタルに変換するだけの機械が3万円足らずであるらしいが、やっぱり撮影機能も付いた機械があの値段で売っていると知ってしまうと買えない。買おうと思っていたものが買えず物欲がおさまらないので、8.4GBのSCSI外付けハードディスクが\13,800で売っていたのでMacのCD-R作成作業領域用として買う。MacのディスクはPDを使ってやりくりすれば何とかなるのだが、付属していたハードディスクユーティリティが欲しかったというのもあるのである。Macなら何とかなるのだがWindows用のユーティリティは持っていないのだ。パーティションの分け方もわからないからねえ。4.3GBで9,999円のハードディスクでも良かったのだが、3千円ちょっとで容量が倍になるなら…はっはっは。
レジに並んでいたらカミさんから電話が入った。1時間ほど遅れるそうである。まあ、私はかまいませんが(笑)。その後もDVDソフトや地図ソフトを見て回ったが購入には至らず、待ち合わせのJ&Pに行く。エスカレーターを下りていたら、ちょうど上っている妻子とすれ違った。おお、何たる偶然。声をかけるが、気づいたのは息子だけだった。プリンターのコーナーで落ち合うと、息子はまず「はんきゅーでんしゃ、のったん」と報告してくれる。そうか、堺筋線にも乗ったのか。
家に帰ると昼食を食べてカミさんは息子を連れてお昼寝である。私は電話機とマルチパスの接続と設定。まあ、こういうことぐらいでしかお役に立てないからねえ。家庭内配線マンだ。電話機を入れ替えるために寝室に入ったら、空調が効いているのでしばらく出られなくなってしまったぜ。設定完了。しかし、ふつうの紙に印刷するならワタクシ的にはマイクロドライの方が画質は好みだな。画像を印刷した紙が出てきた瞬間「わっ、濡れてる」と思ってしまった。あと、マルチパス用のソフトをインストールすると、接続せずにパソコンを起動するとエラーになるのはイヤだな。ノートなんだから持ち出すこともあるだろうに。
しかし、私のマシンのタスクトレイ、いつの間にかわけの判らんものがいっぱい並んでいるな。何かソフトを入れるたびに増えているような気がする。別に常駐しなくてもいいようなソフトもあるような気がするんだけど、どこも自分のソフトのことしか考えてないんだろうなあ。
昔の電話が留守電状態にならない。どうもこれはメッセージを入れないといけなかったような気がするが、マニュアルが見つからないのである。簡単な使用法の一覧表があったので、カミさんがそれを見ながらメッセージを入力している間、息子がうるさくするといけないので外に連れ出すことにする。「お月さん、見に行こか」と声をかけると「おつきさん、みにいく」と応えてついてくる。今日は月蝕なので、もう月は出ているはずである。家を出て東に向かって歩くが、月が見えない。おかしいな、今の時間、あっちの方向に月が出ていないはずがないのだが、と思いながら歩いていると南東方向に真ん丸な月が浮かんでいた。いつもより赤っぽい。もう半影に入っているのだろうか。
「食事の用意をする暇がなかった」ということで、今夜も外食になる。食事から帰る車の中から月を見ると、もう半分以上欠けている。欠け始めるにはまだ間があると思っていたので当初は雲に隠れているのかと思ったが、雲にしてはエッジがはっきりしすぎている。新聞記事にざっと目を通したときには「22時から欠け始め」だと思っていたのだが、「22時に皆既」ということだったか。食事をしているときがいちばん面白い時期だったのね。ちょっと損した気分である。やはり、ああいう記事はしっかり読まないといけないな。
車から降りると彼は「はんぶん!」と叫んだ。月を見たのである。まだ、月が1ヶ月周期で形を変えるものだ(逆にそれで月という単位ができたんだが)という認識もなく、なんとなく月は形を変えるものだという認識しかないはずだが、ついさっき真ん丸だったのがやせ細っているのが異常だというのは感じたのだろう。
家に戻りカミさんが風呂に入りに下りてゆくと、息子が泣き出した。どうやら、いつも彼が浴室に持って行くタオルが無いと言って怒っているらしい。今日は外食したから食事中に手や顔を拭くための濡れタオルは作っていないんだがなあ。やはり疲れているのか。
妻子の後、息子を寝かせる前に私がシャワーを浴びていると息子が下りてきた。浴室のドアに張り付いて「もう、ねますよー」と言う。新妻にそう言われたら嬉しいんだろうけど、キミにそう言われてもあまり嬉しくないねえ。あ、付け加えておきますが、私は新妻にそういうことを言われたことはありません。カミさんももう新妻じゃないから、一生そういうことを言われずに死んでゆくんだろうなあ。
寝るために3階に上がり、息子と二人で月を見る。ぜんぶ欠けてしまっている。そうなると明るい部分が無くなるので全体が薄暗く見える。息子に説明しようとするが、こういう難しいことはうまく伝達することができない。彼も最近、言葉というのはずいぶん微妙なことも伝えることができるようだということがわかってきたようなのだが、ぎゃくにそのためにコミュニケーションが不自由になっている部分もあるような気がする。かなり考えて詰まりながら喋っているのだが、細かいことを伝えるための文法の知識や語彙が足りないので、巧く表現することができずにもどかしそうである。ちょっと前までは単語を並べて意志が伝わればそれでよかったんだけどね。
寝室に戻り、絵本を読み終えて電灯を消すと彼はまた「げっしょく、みにいく」と言う。まだ雲に隠れたのと月蝕の区別もできていないが、この夜のことを大きくなっても覚えていてくれるだろうか。私もいちばん古い記憶は3歳の頃だからな。
▲7月17日(月)▼
今朝起きたのは6時半。息子はもうすでに目を覚ましていた。しかし、まだ起きる気にはなっていないようである。彼を寝室に残し、居間に下りて通信する。廻るべきところを廻って日記を更新したときには8時直前になっていた。しばらくゲームで遊ぶが、妻子は起きてこない。8時半になって私が起こしに行くと、カミさんは寝っ転がって本を読んでいた。息子は眠っている。しかし彼は両親がじゃれだすと目を覚ましたのだった。今日はそれほど不機嫌ではない。彼は「おつきさん、おれんじいろやったな」とか言っている。月蝕のことは覚えているのね。
今日は私が耳鼻科の医者に行く日なのである。前回CTを撮った結果を聞きに行くのである。最悪の場合手術ということも考えられるので、カミさんにもついてきてもらうようにお願いしているのである。車で親子3人で保育所まで行って息子を預けた後、そのまま病院まで行くことになる。
病院に着き、結果を聞く。もうアレルギー性鼻炎だけだそうである。CTの写真も見せてもらったが、副鼻腔がちゃんと黒く写っている。いやー、ホッとした。こんなに劇的に変わるもんなんですね。悪化していた場合、手術を回避するためにどうやって医者と闘おうかと思ってたですよ。全身麻酔されて、鼻から金具を突っ込まれて骨に穴を穿たれるというエジプトでミイラを作るときのようなことをされるなんて、考えただけでも恐ろしいですからねえ。「薬が効いたみたい」だということだが、本人の感覚としては漢方薬が効いたような気がするんだな。最初の漢方薬があまり効いているような感覚がなかったので次の薬に変更したら、喉の奥に粘液がダラダラと流れてくるようになったからね。しかし、少し残念なような気もしている。副鼻腔に膿が溜まったときの症状として、「記憶力減退」というのもあったからね。蓄膿を治せば少しは頭が良くなるんではないかと思っていたのだ。CTでああいう状態になっていたということは、この頭の悪さは地だということか(爆)。
病院を出てコンビニに寄り、夫婦でマンガ雑誌を立ち読みする。そしてそのまま本屋に行って立ち読みである。二人とも本屋でなら何時間でも過ごせる。お互い満足するまで読んで、近くのハンバーガー屋で昼食を食べる。メニューにミネラルウォーターがあったのでそれを頼んだら、ボトルに入ったのが氷入りのコップと一緒に出てきた。中身をごまかしてないよ、ということなんだろうな。ぜんぶ飲めなかったので、持って帰る。
息子は家に帰ってきてシャボン玉がしたいと言っている。昨日もやったのがよっぽど楽しかったらしい。カミさんに「やらせてあげて」と言われた。昨日カミさんはベランダでやらせていたらしいが、それは下を歩いている人の迷惑になる可能性があるので彼を連れて外に出る。町中ではなかなか邪魔にならない場所というのはないものである。シャボン玉というのは、けっこう遠くまで飛ぶからね。近くの小学校の校門の前でやらせる。今日も飽きもせず同じことを繰り返す。かなり暗くなってきた。「かまれた」と言って脚を掻くので「帰るか?」と訊くが、彼はそれを無視してストローを吹き続ける。まったく、しつこいんだから。けっこう長い間やっていたつもりだったのだが、家に帰るとカミさんに「もう帰ってきたの」と言われてしまったのだった。
カミさんはララ×シンの同人誌を書いているようである。やはりあの二人は描きにくいようなのだが、好みの新キャラを出して「やっと乗ってきた」と言っていた。
▲7月18日(火)▼
今朝は6時半に起床。通信を終わっても妻子が起きてこないので起こしに行こうと思っていたらThinkPadの調子がおかしくなってしまった。日記のHTMLファイルをダブルクリックしてもIEが立ち上がらないのである。それどころか、エクスプローラーが凍ってしまう。これじゃ、更新した内容が確認できないじゃないか。マルチパスのソフトを入れたせいかな。再起動をしても状況は同じである。けっきょく、ダブルクリックによる起動がおかしくなっているようである。ダブルクリックが使えないので、かなりの苦労をしてホームページを更新したときには8時近くなっていた。妻子を起こす余裕はない。チーズを囓って家を出たのであった。
3000万円の生命保険金を目当てに娘を殺そうとした母親が逮捕されたようですが、信じられないっすね。純粋に経済的な問題として計算しても、人一人を15歳まで育てるために必要な費用と労力が、3000万円を受け取れたとしてもそれで見合うとは思えない。私だったら3000万の報酬で15歳まで子供を育てろと言われたら遠慮する。まあ、普段からモノに投資するよりは人に投資する方がいいと言っているのとは矛盾するような気もするが(笑)。いや、投資の回収の方法として考えれば合ってるのか。そういう意味では、娘が15歳になっているなら、その程度の借金を背負わせることもできると思うんだがなあ。それから、犯人の名前が公開されていますが、これには個人的にものすごく疑問を感じますね。これじゃ、未成年の娘さんがさらし者になっちゃうじゃないですか。氏名公開でおかしいといえば、先日の金属バット殺人の犯人の少年の氏名を公開しなかったのは逆の意味で不満ですねえ。逃走してて再犯の危険があるのなら氏名や写真を公開するのが当然でしょう。「指名手配」なんだから。だいたいが、年齢だけで個人情報を公開するかどうかを決めてるというのは思考停止しているとしか思えないのである。
明日から2000円札が市中に出回るらしい。新しいお金が登場するというと、500円玉が出てきたときのことを思い出すな。あの頃は就職した直後だったのだが、大阪の中心部で仕事をしていたこともあって、すぐに入手することができたのだが、兵庫県の実家に持って帰ると珍しがられたものだった。父などはガラス瓶の中に集めてたりした。すぐにありふれたものになってしまうんだけどね。今は当時より人や物の移動も頻繁になっているので、あれほどのことはないだろう。そういえば、私が小学校高学年になった頃には百円札はほとんど無くなっていたのだが、九州から祖父母が来たときにはお小遣いに百円札をもらって驚いたものだった。当時の貨幣の流通速度というのは今とは比較にならないほど遅かったのだろう。祖父母の財布の中身を見て「まるで別の国から来たみたい」などと思った記憶がある。
今の仕事を今週中にやると言ってしまったのだが、やってみると不明な点が山のようにある。洗い出していたら遅くなってしまった。家に帰ると、妻子はもう寝ていた。ちょうどテレホタイムが始まる時間だったのだが、強い意志を持って夕食を食べる。というより、ThinkPadのデータをDVD-RAMにバックアップする間に食事をしたという方が正しいかな。DOS窓でXCOPYを使えば前回のバックアップ以降に更新されたファイルのみバックアップできるはずなのである。しかし、どうもコピーされたファイルが少ない。ちゃんとヘルプを見てバッチファイルを書いたつもりなんだがなあ。怪しそうなところを変えて実行してみるが、何も新たにバックアップされない。ちょっと煮詰まってしまった。さらにいろいろ試して、ようやく全てがバックアップされる方法を見つけた。XCOPYに「/U」をつけると、受け側にないファイルはコピーされないのね。「受け側にあるファイルを更新します」というのは「登録はしない」という意味だとは思えなかったのだが。
バックアップのバッチが走り始めたところでカミさんが起きてきた。冷蔵庫の中にサラダがあったそうなのである。ショック。どうりで「肉ばっかりの食事だな」と思うはずだ。カミさんが通信を始めたのでバックアップの処理を走らせたままシャワーを浴びる。上がってきてもまだバックアップ中である。やはりDVD-RAMは遅いなあ。
バックアップをしながら日記を書くとマシンが非常に遅くなる。キーボードから入力しても文字が出てこない。Macならこういうことはなかったぞ。やっぱりWindowsが「ちゃんとしたマルチタスク」というのは眉唾だと思うなあ。バックアップは中止して、通信を終えてから寝てる間に実行することにする。カミさんの後に通信を終えると3時であった。バックアップを走らせて寝ようとして、薬缶の中のお茶が無くなっているのに気がついた。寝る前にお茶を沸かす。お茶が沸くのを待っていると、DVD-RAMに書き込みに行かなくなった。見てみると、DVD-RAMの空き容量が無くなっていた。やはりWindowsフォルダを丸ごとバックアップするのは無理だったか。
▲7月19日(水)▼
今朝は7時半にカミさんに起こされた。息子も一緒に起きる。今朝はそれほど不機嫌ではないようだ。彼は私の布団をめくり、眼鏡を探す。しかし見つけられない。布団をめくったところに飛び込んで探している。場所を指示して、やっと見つけることができた。見つけた眼鏡を渡してくれる。一緒に下りようと言われる。うう、父ちゃんの身体はまだアイドリング状態なんだが。
息子はチーズケーキのアルミパッケージを剥がせるようになっている。気がつくと2つも食べていた。大丈夫かいな。カミさんが今夜WOWWOWでRINGSの放送があることを教えてくれた。有り難いことである。そういえば、ここ数ヶ月観ていないような気がするな。これじゃ、契約料が無駄だぞ。
今夜は昨夜よりも帰宅が遅かったのだが、カミさんは起きて通信していた。食事をしてシャワーを浴び、彼女の後に通信を始めたが、眠い。何度も意識を失う。カミさんが寝室に上がっていった後、日記を書こうとしたが耐えきれず横になる。そして…
▲7月20日(祝)▼
7時半に座椅子の上で目が覚めた。身体がガチガチである。テレホタイムはあと30分しかないな。とりあえず廻るべきところだけ廻って日記はオフラインで書いて後で上げることにする。階上でドンドン音がしているが、日記を上げ終わるまで息子は下りてこなかった。本当は早起きさせなければいけないんだがなあ。日記のページを更新して将棋をしていると、息子が一人で下りてきた。自分で起きたから機嫌はいい。
今日も例によって近くのスーパーに息子とパンを買いに行く。今日は晴れているので歩いて行くことにする。この膝で息子を乗せて自転車のペダルを踏むのはキツイのである。息子に帽子を被せて家を出るが、彼はすぐに「しんどい」と言いだした。熱はない。このくらいで疲れるはずがないので、無視して歩く。彼は泣きながらついてくる。「なみだ、でた」と言うのでハンカチを渡す。店に入ってからは、カートに乗せたので彼はご機嫌である。レジで支払をするときに「ビール飲まれますか?」と250ml缶を渡された。「子連れであろうと、武士は施しは受けぬ!」と言おうと思ったが、父方の先祖は百姓だったことを思いだして「あ、すみません」と受け取ったのだった。
家に帰ってパンを食べるが、息子はあまり食べようとしない。「ぶどうぱん、たべる」と言ったので半分足らずをちぎってやったのだが、もうそれ以上は食べようとしない。「おなか、いたい」とか言いだしたので「うんこするか?」と訊くが、「せーへん」と言うのである。やっぱり眠いのか?
息子が「かーちゃん、おきへんのん?」と訊くので「午過ぎまで寝てるやろ」と応えていたのだが、やはりその通りになった。起きてきたカミさんは、近鉄の回数券の使用期限が今日までなので息子を生駒山上遊園地に連れていってくれる(というより、ケーブルカーに乗せてくれる)と言う。私は膝も痛いだろうし、ということで家で寝ててもいいそうである。有り難いことである。しかしカミさんが出がけに「sugar soulのCD借りてきてるから録音するならしとけば」と言ったので、先日買ったハードディスクをMacに接続しようと思い立った。いや、ハードディスクに保存しとけば、後々自由にMDに録音できるなということで。しかし、これを繋ぐとSCSIのIDがあと2つしか残らないな。我ながらずいぶん繋いだものである。同じメーカーのハードディスクがすでに繋がっているので、接続はすぐに終わった。そしてMacを起動し、標準のフォーマッタで初期化しようとすると…「サポートしていない」と言われてしまった。がぁーーーん。金を出してフォーマッタを買わねばならないのかと目の前が真っ暗になった。素直にMac用と書いてあるドライブを買った方がよかったのか。しかし気を取り直して、以前に買ったドライブに付属していたフォーマッタがあるはずだとハードディスクの中を探す。試してみる価値はあるだろう。やってみると…おおっ、認識したっ。やたっ! ということで、無駄な出費はしなくてすんだ。しかし、ドライブのチェックだけでずいぶん時間がかかる。やはり8.4GBは広大だということか。なかなか終わりそうにないので、先日録ったRINGSのビデオを観る。観ていると、階上でバーンと大きな音がして何かが家に入ってきた気配がした。な、何なんだ。警戒しながら階段を上がる。2階のベランダのドアが開いていた。風がびゅうびゅう吹いている。室内を確認したが、何も隠れている様子はない。どうやら、ベランダのドアを開けて風が吹き込んできたようである。ちゃんと閉めてなかったんだな。何てこった。
そのうちに雨が降り始めた。いきなり強く降り始める。家中を走り回って窓を閉める。これは、山の上にいる妻子が危険だ。生駒山は東方にあるので、今ならまだ降り始めていないかもしれない。PHSで呼ぶが、「圏外」であった。うう、こういうところがPHSの弱点だよな。滅多にないことだけど。
Macは、2時間分のビデオテープを観終わってもまだドライブのチェックをやっている。この調子でいくと5時間くらいかかりそうだな。まあ、フォーマッタもハードディスクの容量が数百MBだったころのものだからねえ。そうこうしてるうちに、妻子が帰ってきた。雨にはほとんど遭わなかったそうである。雲の上にいたんだろうか。まあ、よかったよかった。
妻子はそのまま寝室に上がる。私も追いかけて上がる。眠いのである。しかしそのとき、寝室から窓の外を覗くと、狭い路地にクレーン車が入ってクレーンを伸ばしているのが見えた。息子を呼ぶ。カミさんによると、お隣が冷蔵庫が壊れたので買い換えたらしい。2階にあるのでクレーンで入れ替えるようだ。最初は息子を抱いて見せていたのだが、かなり時間がかかりそうなので膝の上に乗せて見せる。何だかんだと質問してくる。「なんで、はいらへんのん?」「なんで、こわれたん?」とか言っている。かなり大きな声である。作業している人は、こんな子供に実況中継されながらだとやりにくいだろうなあ。カミさんが「やっぱり父ちゃんとの方がいいのかしら。私の機嫌が悪いと、ずいぶんおどおどしてるみたいな感じだし」と言ったので「いや、亭主だっておどおどしちゃいますわよ」と返したら妙に受けた。んー、冗談じゃないんですけど。
息子が起こしに来た。もう21時を過ぎている。あ、sugar soulのCDを録音するの忘れたな。本末転倒である。息子が「おきてー」と言うが起きられない。「ちょっと待って」と言うが、なおも彼は耳元で叫び、私の手を引っ張る。彼に引っ張られて、やっと半身を起こした。しかし動けない。息を整え、重たく軋む身体を引きずるようにして寝室を出るのである。居間に下りると、食卓でカミさんが昼にスーパーで貰ってきた缶ビールを飲んでいた。喉が渇いていたので、私もお願いしてオコボレを飲ませていただくのである。
食事を終え、息子と風呂に入っていたカミさんに浴室から呼ばれた。「すぐに入って。私、もう出るから。シンジ(仮名)、まだまだ遊ぶらしいから」と言われる。そう急に言われましても…痛む脚を引きずって階段を昇降し、準備をするのである。カミさんは湯気の出る身体のまま私の部屋に入り、本の立ち読みを始めた。私の部屋には彼女の本棚もあるのである。ああ、そんな身体で長時間居座られると、湿気がこもっちゃうぢゃないですか。オタクの持ち物は湿気に弱いのに。決死の覚悟で訴えて、早めに退出していただく。ドアもちゃんと閉めていただいた。家に帰ってくると私の部屋のドアが開きっぱなしのことが多いからねえ。
浴室に入ると、息子は私が身体を洗っている横で、湯船の中で一人で遊んでいる。母親が先に出ていっても平気なようである。ラクになったものだ。そのうちに「とーちゃん、いっしょに、はいって」と言うので湯船に入る。彼は壁を指差して「これ、『し』」とか言いだした。浴室の壁に、乗物のシールを貼り付けるためのシートが貼ってあるのである。それに書いてあるひらがなを読んでいるのだ。しかし、「し」と言って次に指差したのは「じ」だった。「違う。これ『てんてん』あるから『じ』や」と言うと、次に「じ」を指差したときには「これ、てんてんあるから、『じ』」と言った。おおっ、偉いぞ。次に彼が「ふね」の「ふ」を指差して「これ、なに?」と訊くので「『ふ』やで」と応えると彼は「これ、『ふね』て、かいてあるのん?」と言った。おおーっ、凄いぞ。ひらがなを並べれば言葉になることがわかったのか。しかし次に彼は「ばす」の字を指差して「これ、『しょーぼーしゃ』て、かいてあるのん?」と言った。あたたた、やっぱり世の中、そんなに甘くないのね。たしかにそのバス、赤いから消防車に見えないこともないんだけど。
私が身体を洗い終えて上がっていくと23時を回っていた。カミさんは冷房を入れた部屋で、電源を入れたワープロとインターネットに繋いだパソコンを前に置き、本を読んでいる。すごい「ながら族」だな。息子は横にした座椅子の上でゴロゴロしている。カミさんが寝かそうとしたらしいのだが「ねられへん」と言って下りてきたそうである。母親に「明日の朝『しんどい』言うたら怒るで」と言われている。息子が座椅子を半分空けて「とーちゃん、きて」と言う。これも新妻に言われたら…(中略)…だが、彼の隣に横たわる。二人して寝てたらカミさんに怒られて、親子二人でエデンの園を追われるのである。(これも新妻と一緒だったら…(ぉぃ))
狼谷辰之 | 新書館*ウィングス文庫 |
対なる者の誓い |
¥620+税 | ISBN4-403-54021-X |
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