1999年6月上旬の日記
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■6月1日(火)
今日、出勤中に配られたディスカウントストアの広告を見ていたら、「
ノストラダムスの4行詩が刻印された『Zippo 1999メモリアル』」というのが載っていた。う〜む、Zippoというのは、こういうおちゃらけたものだったのか…

ウチの会社の後輩がAIBOを予約したらしい。オタクが多いなあ、この会社。私のような薄々の一般人もいることはいるのだが。しかし、やはり独身者は金があるなあ。ロボットよりも人間の子供を育ててる方が面白いぞ、と強がってみるのである。まあ、私も15年くらい前には30万円近いビデオデッキを毎年のように買っていた時期もあったからね。

最近、カミさんは「幻想水滸伝」にハマっている。暇があるとPSのコントローラーを抱えてテレビの前に座り込んでいるのである。「シナリオがいいわ」と絶賛している。私はRPGはよくわからないのである。横でカミさんがプレイしているのを見て「なんで1人で歩いていたのにいきなり集団先頭シーンになるんだろう?」などと思いながら、飯を食いつつボーッと眺めているのである。

このごろ、息子は食事をするのに時間がかかる。口の中に食物を入れたままボーッとしていたりするのである。別にテレビやラジカセを鳴らしているわけでもない。親が横から食べさせようとすると「じぶんでぇ!」と怒るのである。無理して全部食べさせることはないかな。少しは飢えも体験させた方がいいのかもしれない。

通勤の帰りで梶尾真治氏「OKAGE」を読み終えた。以下の記述はネタバレを含んでいますのでご注意下さい。最終章はなかなかのスペクタクルだったが、それに対する理屈の付け方がどうにも納得できない。これじゃ、トンデモだ。ああいう無茶苦茶なことを科学用語を散りばめて説明するのも、どうにも胡散臭いし。アタマの悪い人間を騙すときによく使う手だな。(そういえば、子供の頃「天然イオン配合」とか宣伝していた化粧品のCFを見て「天然イオンなんて、海の水にだって含まれてるぞ」と突っ込んでいた記憶があるな)どうも、SFとして越えてはいけない線を越えてしまったような気がするのである。まあ、エピローグは良かったんだけどね…でも、やっぱりこのエピソードは他の部分と整合性が取れてないような気がする。だいたいが、子供たちにはああいう危機を回避できるくらいの運動能力が備わっていたのではなかったのか?



■6月2日(水)
会社のパソコンに
「ペタろう」というソフトを後輩に入れさせられた。画面上にメモを貼るようなソフトなのだが、LAN上に繋がっている他のパソコン上にも貼りつけることができるのだ。彼と何度かメモをやり取りしたが、チャットみたいな使い方もできるな。というか、女学生が授業中にメモをやり取りするようなことがパソコンでできるのだな。

今日は、昼休みに職場近くの書店で「東山魁夷小画集 唐招提寺全障壁画」(新潮文庫)を買った。いやはや、物凄い表現力ではありますな。人間というのは紙の上にあれだけの表現ができるのだ。でも、あんな荒れ狂った海の描かれた襖のある部屋じゃ、私はくつろげませんね。

ロシアの宇宙ステーション「ミール」が、スポンサーが見つからず太平洋に落とされることになりそうだ、というニュースを見た。これも民主化のせいでしょうか、厳しいねえ。ゲイツ君あたりがスポンサーになればイメージアップになると思うんだけどねえ。年間2〜2.5億ドルくらいの維持費だったら楽勝でしょうに。

宇治市の住民基本台帳データが流出した事件ですけど、「流出経路を解明し、無償で名簿業者からデータの返還を受け、消去・廃棄した」と発表したそうですが、大丈夫なんですかねえ。モノならともかくデータは「返還」されたって元が無くなったわけじゃないから意味がないんですけど。「消去させた」だけでいいと思うんですけどねえ。「返還を受け、消去・廃棄した」という表現に、いかにも「わかってないなあ」と思ってしまったのだった。まあ、一般住民に安心感を与えるためにこういう表現にしたのかもしれないけど。

今日から通勤時に谷甲州氏「VALERIA FILE」を読んでいる。かなり前の電脳モノですが、なかなか面白い。細かいところで「今はこうじゃないんだけどなあ」と感じるところはありますが、基本的にはほとんど古びていません。「データ・マイニング」なんて言葉は最近になって流行りはじめたくらいですから……で、またMSが「目新しい言葉」として目をつけたと。しかし、ちょっとデカすぎるな。背広のポケットに入りにくいぞ(ぉぃぉぃ)

帰りには修羅の門」の27巻を買った。カミさんには喜んでいただけた。今回は「続きを読みたい」と言われなかったので、しばらく間を開けても大丈夫だろう。



■6月3日(木)
ハッカーの米政府サイトへの攻撃ですが、大変なことになってるようですね。やっぱり「大義名分」があると暴れたいものなんでしょうな。

今日の昼前にカウンタが1500を超えたようだ。やはり、1週間で100増えるくらいのペースだな。ありがたいことである。

今日は昼休みに職場近くの書店でヒトの誕生(PHP新書)を買った。うーむ、最近毎日のように本を買っているような気がする。で、1冊読むのに数日かかっているのだ。未読は溜まるばかりである。この本を買う前に読んでいて思ったのだが、チンパンジーやゴリラって、まだオランウータン科に入ってるのね。アフリカにいるチンパンジーやゴリラとアジアにいるオランウータンを一緒にするというのも変な話だと以前から思っていたのだが、この本でも後の方で記されているように、DNAを調べるとチンパンジーやゴリラはオランウータンよりもヒトに圧倒的に近いのである。だったら、どう考えてもチンパンジーやゴリラはヒト科に入れるべきだと思うんだけどなあ。別に分類だけの問題だから、ヒト科に入れたからといってチンパンジーやゴリラに人権が発生するわけじゃなし。…でも、「イルカは頭が良いから殺してはいけない」などと牛を食いながら言うような連中なら、そういうこと言いだしかねないな。

会社からの帰りに、四つ橋筋の歩道を歩いていると、火のついた煙草を大きく振り回しながら歩いている馬鹿がいた。追い抜くときに煙草の火を傘で避けたのだが……あとで見ると傘に穴が開いていた。ガッデム。まあ、服に穴を開けられなかっただけマシだと思うべきか。まったく、自分の行動が周囲にどういう影響を与えるか想像力の欠如している人間は始末に負えない。でもなあ、アイツら、煙草を吸うときのマナーなんて教えられたことないんだろうな。喫煙は奨励されるべきことではないからマナーなど教えられない。で、マナーの悪いヤツが増殖する。そして、ますますイメージが悪く……悪循環だな。

そして、図書券を買いにチケット屋に行ったついでにジュンク堂に寄ったのだが、ハヤカワ文庫の棚の前で自らの薄々さ加減を思い知らされてしまったのだ。なんせ、自分を「SF好き」と言いながら、「SF者なら必読」と言われている本をほとんど読んでいない。特に翻訳物と、ここ20年くらいに出てきた作家に関してはポッカリと大きな空間が口を開けているのである。そういう本を読もうとしたこともあったのだが「リングワールド」とか途中で挫折しちゃったしな。だってあれ、スペオペなんですもの(苦笑)。何といっても、私はあの「夏への扉」さえも読んでいないからなあ。野田大元帥に「死ね」と言われても仕方ないくらい薄々なのである。

今夜も家に帰り着いたのは22時すぎだったのだが、玄関に入ると階上から息子の声が聞こえてきた。まだ寝てないのか。あの声の距離感だと寝室にいるんだろうな。寝室の隣で着替えていると、息子の声に続いてカミさんの低い声が聞こえてきた「もぉ〜、早よ寝なさいよ!」。うわ、凄く機嫌が悪そうだ。これはかなり長い間眠らないでいるのだな。でも、怒ったらかえって寝ないぞ。息子の相手を交代しようと思って寝室に入る。しかし息子は私に抱かれるのを嫌がるのである。抱いて背中をトントンしても「かーちゃん、だっこぉ〜」と言いながら泣き続ける。あんなに不機嫌な声で怒られても、それでも母ちゃんがいいのか。仕方がないので寝室を出る。立ち上がると息子に「ばいばい」されてしまった。あとで聞くと、20時半から寝室にいたそうである。

あの、世紀末ホモ時代劇「元禄繚乱」のサイトがあった。一部のコンテンツは有料だそうである。大河ドラマを有効活用して金儲けをしようということでしょうね。まあ、登場人物それぞれの視点からの詳細な解説などがあって、なかなか充実しています。Web上の情報でお金をもらおうと思ったら大変ですね。その辺の無料の情報よりも明らかに上回るものを見せて、かつ金を払えばそれ以上のものを提供できないといけない。

夕刊フジのサイトに、夫の出張中に男友達と2泊外泊していて生後4カ月の子供を死なせた母親の記事が載っていたが…うーん、言葉が出ませんな。いっしょに放置されていた2歳の長男は「容疑者が作っていた10個のおにぎりを食べて無事だった」ということですが…同じ歳のウチの息子でも何とか生きてはいけるだろうけど、寂しかったんじゃないかなあ。それに、トイレなんかはどうしてたんだろう。自慢じゃないけど、ウチの子はまだ一人でトイレできないんだぞ! 次男の死因は「戻したミルクによる窒息死」らしいけど、一緒にいたのが2歳じゃ、どうしようもないよな。子供ができてから、こういうニュースを見ると自分の子供に置き換えて見てしまうので、辛くてどうしようもない。子供がいない頃だったら何も感じなかったかもしれないけれど。

…もう梅雨入りですか。ずいぶん早いっすねえ。今朝は雨が降っていたので自転車を使わず地下鉄の駅まで歩いた。だが、私が家を出る頃から小降りになり、すぐに止んでしまった。そして、帰るときも降らなかったのだった。なんだか、ずいぶん損をしたような気分である。やはり今日はついてない。



■6月4日(金)
現在、通勤中に
谷甲州氏「VALERIA FILE」を読んでいるのだが、主人公二人の掛け合いが面白い。女性の方にまくしたてられて男性側がタジタジになってしまうというのは…やっぱり、男女が一緒に行動していると、女性の方が年下であってもああいうふうになってしまうんだよな。まあ、ウチの夫婦もそうだから、というだけの話なんですけど(苦笑)。でも、あの「他人には見えないウィンドウ」というのはアイデアですね。ああいうことは普通のディスプレイでも可能なんだろうか?

森高千里さんが結婚ですか。うう、ファンだったのに…いや、音楽ぢゃなくて容姿の(おいおい)。デビューして最初に「夜のヒットスタジオ」に出たときには、「いいバックバンドつけてるな」ということ以外何も感じなかったんですけど(こらこら)、その直後に島田紳助氏がホストをしている深夜番組にゲストとして出演してたのを見て、そのときの化粧っ気なしの姿によってフニャフニャに溶けてしまったのだった(ああ、途中からでも録画しておくべきだった)。熊本出身というのも理想的だったし(性格的には熊本の女性がいちばん好き…性格と言うより「文化」か)。で、その後に「17歳」でブレイクする直前にレコード屋で見たポスターにおけるミニスカ姿の脚の美しさに完全にノックアウトされてしまったのだった。…なんてことを思っていると、朝日のサイトに「今井美樹さんが結婚」なんてニュースが出てるし。やはり、ジューンブライドのせいなんだろうか。今井美樹さんもけっこう好みだったんだよなあ。しかし、朝日で速報しますかね、芸能人の結婚を。……あ、でも私が現在もっとも愛してるのはウチのカミさんですからね、と最後にフォローしておこう(これこれ)

今日、カミさんのところに編集部から「対なる者の証」の感想のお手紙が転送されてきたらしい。3通ほど入っていたそうな。しかし考えてみると、カミさんの作品は何回か商業誌に載っているんだけど、感想が送られてきたのはこれが初めてだな。ウチの妹の作品が雑誌に載ったときには、けっこうな数が何回かに分けて送られてきたはずなんだが……やはり小説とマンガの違いかな。発行部数もずいぶん違うはずだしね。でも、まったく来なかったということは……あまり深く考えないことにしよう。

昨日、カミさんが「ヒカルの碁」を買ってきた。今日読んだが、やはり面白い。将棋マンガは、読んでてもあまり面白いのは無いんだけどねえ。やはり、知りすぎていると虚構の部分が見えてしまうせいなのだろうか。でも、あの作品の中で「『将棋の歴史上一番強い人は誰ですか?』『羽生さんです…』」とかいう台詞がありましたけど、それほど単純でもないと思うんですけどね。事実、大山名人は60歳を超えた年齢で羽生さんにけっこう勝っていたはずだし、江戸末期の天野宗歩という人も強かったという話ですから。この人に関しては面白い話があって、正確には覚えていないんですけど内藤九段(だったか?)が言っておられたのですが「天野宗歩の棋譜を並べていて、奨励会の三段の頃はプロの有段者くらいかなと思っていた。六段くらいの頃はプロになった(四段)くらいかなと思えた。九段になってみるとA級八段で十分通用すると…」というものです。自分が測っているつもりが逆に測られていたということなんですね。奥が深い。



■6月5日(土)
カイロに行ってきた……といっても海外旅行に行ってたわけじゃなくて(誰も思わないって)、カイロプラクティックなのである。
交通事故で側頭部を打って、腫れは引いたのだが顎関節の不調が治らないのだ。口を全開にできないのである。先日の送別会でも最後に丸い握り飯が出てきたのだが、それにかぶりつくことができずに愕然としたのであった。左の肋の痛みもまだ残っているし。くしゃみをすると非常にツライのである。

整形外科に行ってもいいのだが、事故直後にレントゲンを撮ったときには「骨に異常なし」という診断だったし、正規の(^^;)医者では、たぶんそれほど有効な治療はしてくれないと思うんだな。あと、お義母さんがここのセンセイに心酔していらっしゃって、先日電話があったときに身体の不調がまだ残っていると言ったら、ここに行くべきだという無言の圧力を受けてしまったというのもある。カミさんも身体の調子が悪くなると行ってるしね。あと、事故が「人身」になりそうなので、同乗者の治療費も保険から支払われることになりそうだというのが最大の理由かな(苦笑)。

このセンセイにはカミさんとお義母さんがお世話になっているので結婚直後に挨拶に行ったのだが、非常にアヤシイ世界なのである。カイロだけじゃなくて気功もやっているし(おお、「気功」が出た。おそるべしATOK11)。センセイが「気」を入れた水晶の玉、なんてのが置いてあったりする。手をかざせば「気」がもらえるそうなのである。まあ、効果のあるものは何でも取り入れようという考えなのでしょう。

それに、有名スポーツ選手も来ているという話だしね。今日も秋田から高校野球のピッチャーが来ていた。秋田からですか……そこまでするのかな、という感じですね。スポーツ選手にとっては闘いの場で結果が出るかどうかが全てのシンプルな世界だから、我々のような科学教の信者が外部から賢しらに「科学的じゃない」と言っても、理屈よりも結果が優先するのですね。その点において、彼らが選んでいるということは信用できると思うのである。まあ、彼らの場合「試合で結果が出せれば多少障害が残っても」ということもありうるので、その辺は注意しなければならないが(笑)。それに、高価い金を取っているということは治療を受ける側の目も非常にシビアにならざるを得ないので、それでこれだけ患者が押しかけているということは効果が何もないということはないと思われるのだ。

私は場所を忘れているのでカミさんに一緒に来てもらう。「一緒に治療を受けるのは何となく恥ずかしい」と言っていたんだけどね。まず受付で何で来たのかを訊かれる。職業や血液型まで訊かれるんですか。それからロッカーの鍵を渡されて時計や上着を脱いで入れる。そして、まず背中の写真を撮られた。背骨の歪みを見るのであろう。

今日は土日だけあって患者が多かった。他人の治療しているのを見ながら待っているのであるが、椅子が足りなくなるほどであった。他人が治療を受けている様子を見せることによって信頼度を高める効果もあるのだろう。あと、他人の気功治療をしているときに手をかざして「気」を受けるのも効果がある、ということらしい。まあ、休日のせいか若い女性も多かったので他人の治療を見るのもそれほど不快ではなかったが(おいおい)。こういうところだから「若い」といっても十代はいなかったんだけどね(これこれ)

室内は、かなり雑然とした感じである。壁には人体解剖図や何かの免許証らしきもの(たぶんカイロの)、それから施療中の写真などが所狭しと貼ってある。そして、座っている前には販売用の本、気功体操のビデオやカセットテープ、そして今話題の(らしい)アガリクスやお茶などの健康食品……室内には、たぶん有線放送でイージーリスニングのインストゥルメンタルが流れている。おや、この曲はBEATLESの「Golden Slumbers」じゃないか。ほとんど知られていないと思うのだが、好きなんだよな、この曲。こういう曲を選ぶセンスは好きである。(「SLUMBER」を辞書で調べていて「slumber party」という用法を見つけた。こういうのにはぜひ参加してみたいものである。私が参加したら別のものになってしまうか…)

サーモグラフィー(私としては「th」と「s」の区別ができないので「θァーモグラフィー」と表記したいのだが)の写真を撮られる。衆人環視の中で上半身裸になり、さらにお尻の割れ目近くまで見せたのである。女性の場合はそういうことはしないと言ってたようだが。それから、首の曲がる角度を測られる。分度器のようなものを首に当てられて首を左右に回すのである。

「自律神経の働きを調べる」というのをやる。電極らしきものを手に握って、手足のツボに別の電極らしきものを当てられるのである。経絡の電導度を測っているのであろう。これは最近の中国でもやっていることだったよな。結果はパソコン(5インチFD×2のPC−98だ!)の画面に表示される。ツボごとに「肝臓」とか「心臓」とかの働きを表しているらしい。そして、それは食生活によるものなんだそうである。でも、経絡からビタミンとかいう話になるのも突飛な感じがするんだけどね。漢方では食品の薬効は西洋医学とは別の概念で分類していたと思うんだが。で、結果は……ん〜、自覚症状と関係のないところも出た…というより、誰しも心当たりがあるような症状が出てきたという感じかな。占いと一緒だといえばいえないこともないか。まあ、「レバーと豆類が足りない」と言われたのは当たってるんだけどね。それから「無闇に薬は飲むな。飲む薬は、持ってくれば体質に合うかウチで評価する」という意味のことを言われた。ビタミン剤もいけないそうである。じゃあ、治療中はしばらくビタミン剤や漢方薬は控えましょうか。

そして問診である。「脚を組むのは厳禁」と言われてしまった。「脚を組むのは腰の筋肉のストレッチになる」と整形外科医が言ってるのも見たことがあるんだがなあ(この「見た」を「診た」と変換した。ATOK11は前に変換した言葉によって候補を選択しているということなのだな)。女性の横座りもいけないそうである。そうか、それでウチのカミさんは我が家で座るときは胡座をかいているのだな(こらこら)。京大の病理学の教授が治療を受けに来たとか、整形外科の院長が身分を隠して来たとか言っている。患者を信用させるためかもしれないが、あんまりくどいと逆に胡散臭くなると思うんだがなあ。

可動ベッドの上に乗せられてガチャンガチャンと衝撃を加えられる。これによって身体の歪みを矯正しようということなのであろう。私は極度の猫背なので、これを直してもらえるかなと思っていたのだが、まず腰からやるようだ。まあ、言われてみれば土台から直さなきゃいけないのは理の当然だわな。ただ、「ここを直したら脚の力が変わってくるでしょう」と言って、ガチャンガチャンするたびに脚を上げさせてそれを押さえつける、ということをやったのだが、「脚の力が弱い」と答えさせたいときと逆のときでは明らかに押さえ方が違うように感じる。うーむ。

物理的に身体の歪みを直したあとは、いよいよ気功治療である。結婚の挨拶をしに行ったときに、カミさんを含めた患者さんが後ろからの施術者の手の動きに合わせて身体を揺らしているのを見て、どういう按配か一度体験してみたかったのである。目を瞑って座っていたのだが、やはり後ろから引っ張られる感じがして、倒れてしまった。そんなに強い力じゃなかったから腹筋に力を入れて抵抗しようと思えば逆らうこともできたのだが、治療を受けてるんだからあえて抵抗することもないので身を任せた。確かにトリックではない。

施療後に再度首の曲がる角度を測られる。右に5度、左に10度、よく曲がるようになったそうである。まあ、ストレッチするだけでもそれくらいの効果はありそうだし。それに、とうぜん本人は目盛りを読めないので、その数値が正しいかどうかはわからない。疑おうと思えば、いくらでも疑える。次に、治療前後のサーモグラフィーの写真を比較して「これだけエネルギーの出方が変わってきてるんです」と説明される。身体に何かと刺激を与えてるんだから、体温が上がるのは当たり前だよな。まあ、私は思っているだけだからいいが、口に出すような患者がいたらさぞかしやりにくいことであろう(そういう人間は、こういうところには来ないって)。こういうことをしてもらわなくても、治療前後の身体の状態を冷静に比較すればいいのである。私としては、姿勢が良くなっているようには感じる。ただ、姿勢に関しては日常生活に不自由はなかったので、治療費が保険で支払われるということでなければ、続けるかどうかはわからないが(苦笑)。まあ、症状が出たときには手遅れ、ということは十分あると思うけどね。長年蓄積した身体の歪みだから。でも、月に8回も通ったら凄い金額になりますから、自分の金を使うのであれば医者に見放されない限り行かないような気はしますね。

そして「電気」を当てられる。強い光線を当てて患部を暖めるということであろう。いわゆる電気治療である。これはふつうの医者のリハビリでもやってることだな。ただ、一人一人症状によって調整しているとは言っていたが。最後に患部(私の場合は左肋)に薬を塗って終了である。スースーしたから、サリチル酸メチルあたりが入ってる薬であろうか。

治療の成果であるが、痛みはまだ残っているが、口を全開にはできるようになった。今朝までは痛くて全開にできなかったのだ。ただ、パソコンに向かっていて、気がついたら脚を組んでいたりする。もう無意識のうちに脚を組んでいるのである。20年以上この体勢で机に向かっているんだから矯正するのは大変だな。



■6月6日(日)
うがあー、
朝日のサイトの朝刊の記事が更新されている。まだ6時前だというのに。昨夜は息子を寝かしていて一緒に眠ってしまったのでインターネットできなかったのである。ともすれば、8時になっても更新されていないことがあるのになあ。ここは過去の記事は残してないしな。これで昨日の朝刊の記事は読めなくなってしまった。更新時間が一定しないのは困ったもんだ。紙の新聞だったら物理的な配送時間があるので決まった時間までに入稿しなければならないのだが、Web上だと気にしなくていいからねえ。向こうはラクかもしれないけれど。朝日は4ページ見るだけで一通りの記事が読めるので愛読してたのだが。仕方がない、昨日の記事は産經のサイトで読もう。でも「一日」の区切りが新聞社によって違ったりするのが嫌なんだけどなあ。いや、紙の新聞を取っていないということはないのだが、テキストデータにして保存しておくと後で検索したりして使えますから。

今日はカイロに行くので11時過ぎに家を出なければならない。仕事が忙しいので土日しか行けないのである。昨夜は息子と一緒に寝てしまって風呂に入れなかったので10時頃にはシャワーを浴びなければならない。朝食の準備とかを考えると9時頃には息子を起こさなきゃいけないな。ということで、9時に寝室に上がっていった。戸を開けると息子と目があった。眠っている母親の脇でニッコリ笑う。母ちゃんが起きないからじっとしてたんだな。さあ、一緒に下りよう。階段を下りるときに一段ごとに「いち、に、さん、し…」と数えながら下りていくと、彼も一緒に数えている。まだ数の概念はわからないだろうが、この一つ一つの言葉が集合の要素の一つ一つに対応する感覚というのを覚えてくれれば嬉しい。息子の相手をしながら昨夜のシチューを温めていたらカミさんが起きてきた。今朝は、パンにチーズを挟んで食っても大口を開けて食べられる。うん、まだ痛みはあるがいい調子だな。朝食後、息子に「ウンチするか?」と訊く。最初は「せーへん」と応えていたが「ホンマか?」と再度訊くと「するー」と言ったのでトイレに連れていく。便器に座らせると「う〜ん」と力んでお尻のあたりからメリメリと音がしはじめた。成功である。偉いぞ。

今日もカイロに行った。治療中に器具に頭をつけるときに当てるタオルを持参しなければならないのだが、忘れてしまった。ハンカチを使わせてもらうしかないかな、と思っていたらお義母さんがやってきたのでフェイスタオルを貸してもらった。有り難いことである。

今日も気功治療を受けたのだが、昨日は「引っ張られる感じ」と書いたけど、どうも違うような気もする。引っ張られるというよりも、何か支えられていたのを外されたような感じなのである。何かの力のバランスがくずれたような感じ、とでもいうのかな。

私が「気」によって後ろに倒されるのを見て、今日初診の親子連れが感心して小声で話しているのが聞こえる。私みたいに、いかにもインテリ然としたこういうことを信じそうにない人間がこういうふうになっているのを見れば、説得力はあるだろうねえ。ちなみにこの親子連れ、奥さんが患者だったのだが、娘が小学校中学年くらいで、パンツを見せても恥ずかしくないギリギリの年齢だったのが…(バキッ!)…

カイロから帰ってきたら妻子はいなかった。「今日は生駒に行こう」とか言っていたと思うんだがなぁ。仕方がないので日記を書いていたら妻子が帰ってきた。「もれなくお菓子プレゼント」につられてディーラーに車を見に行ってたらしい。「歩いていったので暑かった」そうである。息子は保育所で「歩く力が弱い」と言われているらしいので、なるべく歩かせた方がよいのである(本と音楽が好きなことは一番だそうだが)。カミさんは「Vitzはいいわあ。軽じゃないのに小さいし」と、ひどく気に入った様子である。息子は「ぴーぴーぴーぴー、ゆーたん」とか報告する。車がバックするところでも見たのかな。そのうちに「おーらい、おーらい」と言いながら腕を振りはじめた。カミさんによれば、試乗車が帰ってきて駐車場に入れているときの様子を描写しているようだということである。カミさんはVitzをかなり気に入ったようだが、サイズを数字で見てみるとやはりかなり大きいようである。我が家のガレージに入らないなら却下だな。妻子は水分を摂ってお菓子を食べてそのまま寝てしまった。

昨夜、息子は「お・は・な・し、お・は・な・し。うーれーしーい、おっはなし。しずかにききましょう」などと歌いながら絵本を引っぱり出してきて、そのへんに座って一人で読み始めた。保育所で本を読んでもらうときにこういう歌を歌っているんだろうな。絵本を読んでいるときも、覚えているセリフをペチャペチャ喋りながら読んでいる。一人で読めるようになったのでかなりラクである。早く字を読めるようになってくれればいいのだが。



■6月7日(月)
強い雨が降っている。息子は夜中に何度か起きてカミさんを悩ませたらしい。そのせいか、今朝は両親が起きても横になっている。雨戸を開けると目をこすりながら起き上がった。私はといえば、朝起きてまず傘の穴をガムテープで補修するのである。情けない。

私はカイロで「豆類の摂取が足りない」と言われたので、晴れて堂々と納豆が食べられるようになったのである。息子が納豆に気がつかずにご飯を食べているのに、カミさんが「納豆もあるで」と言ってしまう。すると息子は、それまで食べていたものを放り出して「なっと、ちょーだい」と言いだした。「それ食べてからな」とか言っても通じないのである。茶碗の中のご飯に納豆を混ぜたりして全部食べさせた。まったく手がかかるのである。

家を出る時間になっても雨は降り続いている。車がないので、息子を保育所に連れて行くには自転車を使わざるを得ない。事故が「人身」になれば、カミさんはしばらく免停になるだろうし。そうすると、梅雨の間は自転車で往復ということになりそうだな。雨は相変わらず強い。自転車の座席を拭いても、玄関から息子を連れてくるあいだにもうビショ濡れになっている。息子を乗せて傘を差して走るのはいかにも大変そうだ。息子を乗せる自転車は頑丈なものを選んだので重いのである。交通量の多い道路で転ばないことを祈りながら見送る。さて、私も出勤しなければ。

脚を組むのを厳禁されているので、仕事中にも脚を組まないように気をつけねばならない。今日は、だいたい脚を組む前にやめられるようになってきた。ただ、脚を組もうとして片足を上げてから気がつくので、横から見ているとマヌケかもしれないな。

先日の「生後4カ月と2歳の子供を放置して2泊した母親」の件ですけど、残っている記事を見つけたのでリンクしておこう。子供の虐待ってのは、被害者が抵抗できないので酷いことになりやすいんですよね。4月に八王子市で妻の連れ子の5歳の女の子を殺した事件などは「背中には、たばこの火を押しつけた跡が無数にあった。顔は青くはれ上がり、目はほとんど開かない」「頭に深さ約1センチの傷が3カ所あったが、傷口が開いたまま1週間放置していた」『両手足の指の第1関節から先は紫色に変わり、治療した医師は「ドアで挟むか足で踏んだような強い力を加えた」と推測する』(毎日新聞ニュースより引用)などと書いてあった。保護すべき人間が危害を加えるもんだから、やりたい放題ですな。相手の抵抗がないとわかってるとエスカレートしていくのかもしれないけれど、どうして途中でストップがかからないんだろうねえ。人間として。

カミさんは相変わらず「対なる者のさだめ」に苦しんでいる。ラランジャとシンをどうやって初エッチさせるかで悩んでいるんだそうで。「あー、次の話が書きたいー」とか吼えている。キミキミ、それは逃避だって。



■6月8日(火)
昨夜、改稿中の「対なる者のさだめ」を読んだ。けっこう推敲しているのか、誤字脱字は少ない。ただ、最初の事件が起きるまでが長くて少し退屈である。この作品を最初に読んだ人にも設定がわかるようにしなければならないのは理解できるが、もう少しツカミを工夫してほしいな。あと、雑誌掲載時に比べてアクションシーンが無くなっているので、ちょっと「引き」が弱くなっているような気がする。カミさんは「アクションを入れると薄くなるから」とか言っていたが、そうであればどのように内容を濃くしてゆくか期待させていただきましょう。

自分の部屋で
パソコンを扱いながらそろそろ寝ようかと思っていたら、カミさんが居間から寝室に上がっていった。寝ていた息子が泣き出したようである。あわてて歯を磨いて寝室に上がる。彼はカミさんに抱かれて泣いている。抱こうとすると「とーちゃん、いらんの」と言われてしまった。父はスネてフテ寝するのである。それからも長い間泣いていた。こんなに夜泣きするなんて珍しいね。

今朝は息子はパンを食べていた。しかし、今日も私が納豆を食べはじめると、納豆を欲しがるのである。食べかけのパンは、もう要らないと言う。しかし「パン食べ終わってからな」と言い聞かせて与えない。彼は泣いて欲しがるが無視するのである。泣けば望みが叶うと思ったら大間違いだ。泣いても無駄だということがわかったのか、納豆の残りが少なくなってくると大口を開けて口に詰め込みはじめた。無理矢理詰め込んでウエッとなっている。まあ、自分の望むことをするためには苦しいことも乗り越えねばならないということも覚えてくれ。

息子は食事を終えるとテーブルの上にオモチャの新幹線を手で持って走らせて遊びはじめた。「がたん、ごとん……ちしーーーっ」などと言っている。もうオノマトペも完全に日本語になってしまっているな。彼の頭の中はもう日本語の回路ができてしまっているのである。

今日は、職場近くの書店で米長邦雄氏・羽生善治氏「勉強の仕方」を買った。内容は対談集で、書いてあるのは将棋のことであるが、「真理」を見る目があればどういう分野にも応用がきくことだと思うのだ…と書いてたら、前書きで米長先生が同じことを書かれてますね。奥が深い。おお、夢枕獏氏「牙の紋章」が文庫になっている。これは面白いです。ぜひ買って読みましょう。私なんか、新書版を持っているのに文庫を買おうかと思ってしまったくらいですから。以前、カミさんにも読ませたのだが、読み終わったら早速カップリングを考えていたから、これは気に入ったということなのだろう(苦笑)。



■6月9日(水)
昼休みに
谷甲州氏「VALERIA FILE」の下巻を買った。そろそろ上巻を読み終えるのである。これは面白い。高価くて分厚いが、貴重な時間と金を使っただけの価値があると思える作品であった。だから下巻を買うのだ。しかし、「VALERIA FILE」と「OKAGE」では第一印象と読後の感想が逆になってしまったな。でも、レティに罵倒されているMKを見ていると、なんだか自分が罵倒されているような既視感に襲われるのはなぜなんだろう(苦笑)。

今日の昼頃にアクセスカウンタが1600を超えたようだ。今回は100増えるのに6日だったな。ありがたいことである。

職場で夕食を食いに出たついでに本のディスカウントをしているところに入り、「トキワ荘青春物語」(手塚治虫&13人:蝸牛社)を買う。定価951円が650円か…3割ちょっと安かった計算になるか。しかし、何でこんなに懐かしいんだろう。私は実際のトキワ荘なんて見たこともないはずなのに。やはり、ここで過ごした人たちの作品を通じて断片的な情報を受け取っているんだろうな。そういう作品を山ほど読んで育ってきたわけだから、その断片が心の中で像を結ぶということもあるのかもしれない。そういう意味ではあそこは漫画好きの心のふるさとなのである。考えてみれば幸せな「場」だったよな。「場」にとっても、そこにいた人々にとっても。あれほど現在の日本の文化に影響を与えた「場」というのも無いんじゃなかろうか。当時の作品も載っていたりするのだが、やはり石森章太郎(あえてこう書く)は天才ですな。あの才能を見てくじけなかった人間が生き残っているんじゃないだろうか(笑)。

今日も昨日に続いて終電で帰ってきた。終電をギリギリで乗り継いで帰るのはなかなかスリルがあるのだ(「スリル」も「θリL」と表記したかったりする)。地下鉄の乗り換えの通路には駅員さんが出て乗り遅れが出ないか監視してるし。で、帰ってみると息子はいない。今日は前の保育所の集まりがあって息子を連れていけないのでカミさんの実家にお世話になっているのである。私の仕事がこういう状態じゃなければ、早く帰って世話をすることもできるのだがな。

帰路で「VALERIA FILE」の上巻があと僅かで読み終える状態になったので、家に帰ってからカミさんが幻想水滸伝II」をやっている横で残りを読んでしまう。重い本はなるべく持ち歩きたくないのである。うむうむ、また面白くなってきたぞ。また明日からが楽しみだ。



■6月10日(木)
ここ数日、咳が出ている。息子も咳が酷い。カミさんも咳をしている。何か外的な要因があるのだろうか。と思っていたら今日昼過ぎくらいから左鼻の奥が痛くなってきた。短い毛が鼻の奥(というより喉の上)に刺さっているような感覚なのである。これは風邪を引く前兆だな。注意しなければ……といっても仕事がねえ。今日も遅くまで仕事をしていたが、ぜんぜん進まない。ノドの奥がざらついて、痛みが広がってきた。

昼休みに
『「性愛」大論点』(小学館文庫)を買った。性に関する対談集みたいな感じである。内田春菊氏や代々木忠(とか言っても知らない人は多いかも)のように一癖も二癖もあるような人が参加しているのだな。で、毎回のことですけど、私はこの本をいつ読むつもりなのでしょう?

今週のモーニングに載っていたΠΛΑΝΗΤΕΣ プラネテス [地球外少女]』幸村誠)、良かったっすねえ。ちゃんとえすえふしてましたねえ。宇宙の「感覚」というのを感じさせてくれますねえ。大昔に(笑)堀晃さんの作品を読んだときのことを思い出してしまった。でも、これが2作目なのか…前作を読んでいなかったというのが残念である。これだけの品質の作品を量産するのは難しいだろうな。なんとか早くコミックスを出して、それが売れてほしいと願うものであります。粗製濫造が儲かるような世の中ではいけない。しかし……「グーで殴る」というフレーズが出てきたのだが、この人は無限壁の関係者なんだろうか?

狼谷辰之  新書館ウィングス文庫
なる
¥640+税  ISBN4-403-54008-2



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