2000年 3月中旬の日記
▲3月11日(土)▼
今日も起きれない。二度ほどトイレに起きただけで、ずっと寝ていた。かなり寝汗をかいている。二度目にトイレに起きたとき「14時か、もう寝れないかな」と思いながら濡れたシャツを着替えて横になったら、すぐにカミさんが起こしに来た。「眠いの? 疲れてるの? それとも両方? …みたいね。もう5時半なんだけど。で、木根さん来てるわよ」と言われた。あら、あれからもう3時間以上経ってるのね。「おお、それはご挨拶しなければ…ゆるゆると起きます」と応える。着替え終えたところで、階段を上ってくる音が聞こえてきた。息子だな。入り口のところに忍び寄って、彼が戸を開けた瞬間に「わっ!」と声を出すが、まったく驚いた様子がない。うーん、もうちょっと想像力が働くようにならないと無理なのかな。
明日は大阪でイベントなので、木根さんが泊まりに来ておられるのである。居間に下りて、カミさんが食事の準備をしている間、木根さんと話していたのだが、いつのまにか一人でトイレに行っていた息子が、踏み台を抱えて戻ってきた。電灯を点けるのに使ったらしい。へえええ、もうそんなことができるのか。半信半疑で次に行くときに見ていたら、踏み台を抱えてトイレの前に置き、その上に乗って電灯のスイッチを入れている。「いちばん、したやねー」とか言っている。2階の廊下には電灯のスイッチが3つあって、そのうちの一番下がトイレの電灯のスイッチなのである。すごいなあ。もう一人で全部できるんだねえ。まあ彼自身は、そのことよりも外から帰ってきたときに洗面所でウガイができるようになったことの方が嬉しそうだったのだが。自分用のカップを取り、水道の蛇口をひねって水を注ぎ、口にふくんで上を向いてガラガラやっている。「すごーい」と言ってやると、すごく得意そうである。しかし、我々の年齢では信じられないくらいのスピードで、できることが増えていくねえ。
明朝息子に遅くまで寝ていてもらうために、今夜は遅くまで起こしている。23時を過ぎても彼はまだまだ寝る気配がない。テレホタイムになったので、私は通信を始める。カミさんと木根さんが喋っているのを邪魔しないように、息子に近鉄のサイトを見せてやった。車両の写真とかがいっぱい載っているのである。しかし、土曜の夜のテレホタイムだから遅い。息子に「おそいね」と言われて「はあ、すみません」と言って謝る。まだまだテレビのようにはいかないんですよ。でも彼は、車両の上の一部分が表示された段階で車種を言い当てるのである。鉄道マニアになっちゃうのかねえ、キミは。彼の指示に従って、いくつかページを見せてやったが、まだまだ彼は寝たがらない。このままだと翌日になってしまうので、嫌がったが母親がうながして寝室に連れていく。しかし、カミさんはすぐに下りてきた。「速攻で落ちてしまった」そうである。
カミさんは木根さんに「ICQ入れましょうよお。5分で終わりますからあ。私が横についてますからあ」とか言われている。しかし彼女はあまり積極的でない。「また明日ね」とか応えている。私が「オレは手伝わへんで」と言うと、しぶしぶながらも入れるつもりになったようである。いくつかトラブルはあったようだが、無事インストールできたようだ。インストール中にマウスポインタが手の形になって指を折っているのを見て、カミさんは「かわいー」とか言っている。木根さんが「そんなん、ネスケのインストールのときにも見れますやん」と言うが、彼女は応えて曰く。「えー、私、ネスケをインストールしてるとこなんて、見たことないもん」……「こんなん連れてやってまんねん」と、私は言うしかなかったのであった。
木根さんとカミさんが並んでネットサーフィンしている。ずいぶんと盛り上がっている。インターネットカフェというのは、こういう感じなんでしょうか。やはりこういうのは、趣味を同じくする友人といっしょに見るのも楽しいんでしょうねえ。
▲3月12日(日)▼
朝、寝ていると電話がかかってきた。カミさんは木根さんとすでにイベントに出かけている。携帯も鳴っていたようだから、カミさんからだろうか。昨夜は遅かったので起きられない。息子も昨夜遅くまで起こしていたので、まだ寝ている。しかし、しばらくすると起き上がって這いずり始めた。そのまま寝室の出口まで這ってゆく。おいおい、直立歩行できるようになったんだから、立って歩け。私が起き上がると、ついてくるなと言われる。う〜む、今日は母ちゃんはいないんだがなあ。案の定、居間に下りても母親がいないので「かーちゃーん」と泣き始めた。汗を吸ったパジャマを着替える間もなく下りていったのだが、「とーちゃん、いらん」と言われてしまった。「ほう、そうか」と言って扉を閉めて出てゆくと「とーぢゃーん、かえってきてー」と言って泣くのである。まったくもう。
息子は、大量の鼻水が乾いて鼻の下がガサガサになっている。拭こうとしたが、痛いので嫌がる。目立つところだけ拭き取って中止する。彼は腹が減っているようで、パンを持たせると機嫌は直った。「着替えてくるな」と言って居間を出る。独りで置いておいても泣かなくなったのはラクだな。パンを渡しても、丸ごとひとつ食べ通せない。なだめながら食わせる。
今日はカミさんがイベントに行っているので、夜は心斎橋でお食事をするのである。早く起きれたので、早めに家を出て日本橋に寄ろうか。
食後に例によって昨日のヒッパレを観る。ふーん、今回は名場面集ですか。三宅裕司氏を泣かせたパフォーマンスのダイジェストをやっているが、やはりいですねえ。見終わってビデオを止めると、NHK教育の「NHK早指し将棋選手権」の感想戦をやっているところだった。息子はそれを見て「しょーぎ!」と叫ぶのである。続いて名古屋国際女子マラソンを見る。オリンピック代表選考方法が不透明で問題になっているようですからねえ。ただ人が走っているだけなのに、なぜか見続けてしまうのである。
息子はしばらく一人で絵本を読んでいたが、そのうちに「ぱん、かいに、いこ」と言いだした。まあ、ふだんの日課はそうなんだけど、今日は違うんだよ。「今日は電車乗るで」と言うと、彼はもうすっかりその気である。ことあるごとに「でんしゃ、のりに、いく」と口にする。「ちょっと待って」と言ってなだめるのである。今から行ったんじゃ、日本橋に寄っても時間が余っちまうし、まだ父ちゃんはしんどいんだよ。
マラソンで高橋尚子さんが独走態勢に入ったのを見届けて、息子の着替えを鞄に詰めて家を出る。いやしかし、大したものですな。「勝って当然」と言われる勝負できちんと勝ちきるというのは大変なことですよ。しかもそれが、失敗すると自分の人生の意味まで問われかねないようなプレッシャーを受けた上でのこととなると。
最寄りの駅まで歩く。家を出るときに、私が自転車の用意をしないのを見て息子は「あるいていくん?」と問う。そうだよ、そういうことも判断できるようになっているんだねえ。駅に着いたときに、踏切を特急電車が通ってゆくのが見えた。息子は大喜びである。途中の駅でも特急電車とすれ違った。彼は「とっきゅうでんしゃ、ひとつ、ふたつ、みたん」と言う。もう「2つ」という数字は完璧に認識できるようになっているな。それに、かなり時間をおいて体験したことについても、合わせて認識しているし。
日本橋駅で降りて、電器屋街まで歩く。ちょっと距離があるのである。歩いていると、息子がモジモジし始めた。オシッコのようである。困ったな。堺筋の道端で立ちションをさせるわけにもいかないし。開放的な雑居ビルに当たりをつけて飛び込む。思った通り、いちばん奥にトイレがあった。しかし、小便器の位置が息子の腰よりも高い。彼を持ち上げて用を足させたのだった。何とかこぼさずにすんだ。
歩いていると、息子が疲れたような様子を見せ始めた。「おんぶするか?」と訊いて、負ぶう。荷物を持っているのでなかなか大変である。電器屋街に入るところで、VAIOのキャンペーンをやっていた。風船を配っているようだ。息子にももらえるかと思って、負ぶっているのを下ろす。荷物を持っていたのでうまく下ろすことができず、彼は着地に失敗してひっくり返ってしまった。しかし、息子の手を引いて彼らの前を通り過ぎたのだが、風船は渡してくれなかった。ちぇっ、とか思っていたら、彼らの中でただ一人男性の兄ちゃんが「渡したったらよかったのに…」とか言っているのが聞こえる。信号待ちしていたら、ねーちゃんが走ってきて、息子にVAIO印の風船を渡してくれたのだった。
電器屋街は、相変わらず大変な人出である。荷物を持って息子を連れて歩くのは大変だ。息子よ、早くこういう状況に適応してくれ。カミさんからゲームソフトを買ってくるように頼まれていたのだが、ゲームソフト売場の混雑ぶりに子供連れでは無理だと早々にあきらめる。最低限、CDは買わねばならない。「as I am」(Harumi Tsuyuzaki)と「FREEDOM」(YUKI KOYANAGI)を買った。購入手続きをしていると、息子は「そと、でる」と言いだした。そうか、ここにはいたくないか。
二人ともコートにマフラーの防寒装備でやってきたのだが、歩いていると暑くなってきた。大手電器屋の休憩所で、息子のマフラーと帽子を外す。コートも脱ぐと言いだして持ち運ぶのが大変だなと思っていたのだが、何とか着てくれた。ありがたい。息子にペットボトルに入れて家から持ってきたお茶を飲ませる。「おいし」と言って飲んでくれたのだった。
恵美須町の駅に着いたときには、息子はもうヘロヘロであった。人混みの中を地下鉄の一駅分歩いたからねえ。しかし、階段を下りてゆくと、地下鉄に乗れるということがわかるのか急に元気になる。VAIO印の風船は、日本橋の電器屋街を歩いているうちにすっかりしぼんでしまった。うーむ、こんなに簡単に使えなくなってしまっては、VAIO自体にも好印象を持てないなあ。まあ、どうせ私ゃVAIOは買わないけど。
恵美須町から心斎橋まで行くには、3本の地下鉄を一駅ずつ乗り継がねばならない。面倒臭いが、息子はたくさんの電車に乗れるので目を輝かせている。千日前線の電車を待っているときに「これ、よつばしせん?」と訊くので「千日前線やで」と応えると、最初はうまく言えなかったが、2回言ったらちゃんと言えたのだった。好きだということは大変なもんだねえ。
店を予約している時刻の30分前、予定通りに心斎橋に着いた。地下鉄の改札の前で待ち合わせているのだが、カミさんたちはまだ着いていないようだ。電話をすると、あと20分くらいかかるという。飢えて疲れた3歳児を連れて、何とか時間をつぶさねばならない。仕事で持たされている携帯は、地下街だと圏外になるので、大丸の一階まで上がってかけたのだが、人が多くて移動するのも大変である。パン屋の前を通ると息子は「ぱん、かう」と言う。かなり飢えているな。そのうちに彼はモジモジしだした。オシッコのようである。たしか、前回ここに来たときに入ったトイレがあるはずだ。二人して走る。日本橋で8ミリのビデオテープを30本買ったため、荷物が両手いっぱいになっているので彼の補助ができない。しかし彼は、当たり前のように一人でズボンを下ろして用を足す。こういうところは楽になったねえ。地下鉄の改札口の前にいては、息子に券売機の方に引っ張っていかれるし、携帯が使えないので地上にいなければならない。しかし、こういう場所ではなかなか親子二人で休める場所がない。予約している店の前に、時間待ちのためのテーブルがあったはずなので、先に店の前まで行くことにした。
予約している店のあるビルまで歩く。外気が涼しくて気持ちいいくらいだ。もう3月だからな。息子は、目的のビルのエレベーターが上下しているのを見て「えれべーたー!」と叫ぶ。そう、このビルのエレベーターは外が見えるのである。エレベーターに乗って、彼は外を見て声を上げる。しかし彼は、目的の階の一つ下の階にあった噴水を見て、そちらの方により興味を引かれたようである。店の前のテーブルにはすべて先客がいたので、エスカレーターで下の階に下りる。噴水の縁に腰を掛けて休む。息子は、流れている水にちょんっと指を突っ込んで笑い声を上げるのであった。
予約していた店は湯葉と豆腐の店である。この店は見事に女性にターゲットを絞っている。料理としては非常に繊細な味覚で低カロリーなのだが、男性としては量が少なく感じる。「帰りに金龍でラーメンを食うぞお!」と宣言したのであった。まあ、素材はかなり吟味されていたようなのですけどね。お吸い物のお椀の蓋を取った瞬間など「ええダシ使てはりまんなあ」と思わず言ってしまったくらいで。あと、禁煙が徹底しているのが有難い。煙草の臭いがまったくしない。ふつう、禁煙席でも何かの拍子に煙草の臭いがするのが当たり前だったりするだけに。そういう意味では、私のように食事中に煙草の臭いがするだけで食べているものが不味くなってしまう人間にとっては空気の臭いも味のうちなのである。
食事の途中で息子が「うんこ」と言って、カミさんに連れられてトイレに行った。しばらくして彼は泣きながら帰ってきた。肛門洗浄機能つきのトイレにお尻を洗われて驚いたらしい。「おしり、あつい」とか言っている。「初めてだったのね」「ひとつ大人になったわね」…(将来ある息子のために以下略)…などと、木根さんとゲヒンな会話をするのであった。
店を出て、座って食べられる日本橋近くの金龍の店まで歩くことにする。戎橋の上から道頓堀の噴水を息子に見せようとしたとき、カミさんが「バッグがない」と言いだした。豆腐屋に忘れたらしい。あんな大きなものを忘れるかね。それに、場合によっては亭主や子供よりも大事な同人誌が入ってるんだろうに。店に電話をして、カミさんは一人で引き返す。我々は先に金龍に行くのである。
金龍に入ってチャーシューメンを注文する。木根さんは「ダイエット中だから…」と迷っていたが「食べへんかったら後悔するで」とけしかける。最後に汁を飲もうとすると、キムチを入れているため汁に含まれるトウガラシが喉を刺激して咳込んでしまい、どうしても飲めない。まだまだ気管支の調子は悪いな。ずっとこのままだったらどうしよう。息子にも食べさせていたが、彼も途中で「からいー」と言って食べなくなってしまった。キムチ好きのキミでも辛いのね。もうちょっと控えめにするべきだったな。食べている途中で、また息子がモジモジし始めた。オシッコのようである。うう、こんな繁華街で…どうしよう。木根さんが「そこのパチンコ屋で使わせてもらったら」と言ってくれる。そうか。息子を連れて走る。かなり切迫している。ゲームセンターがあったのでそこに入った。トイレを出た息子は、とりあえずゲーム機の前に座ってレバーをガチャガチャいじってみるのである。でも、金は使わない。最悪の客だな。いや、客でもないか。
家に帰って、今日買ってきたCDをざっと聴いたのだが、結果は対照的であった。まず、「as I am」のパッケージを開けたのだが、作詞作曲がすべて本人のものであるのを見ていやな予感がした。アルバム一枚の曲をすべて一人で書くというのは、大変な才能が必要とされますからねえ。セルフプロデュースだからといって、そこまですることはないと思うんだがなあ。それに、先日のミュージックフェアで聴いたシングルカット曲の「snow」があまり良くなかったのも不安材料である。聴いてみると、案の定あんまり良くない。曲としての「引き」があまり感じられないのだ。それに、ちょっとラクに歌いすぎているような気がする。ぜんぜんアクセルを踏んでいないように感じる。自分で歌うからというのでラクな曲を作ったわけじゃないんだろうけど。まあそれでも、あの声は魅力的なのであります。続いて「FREEDOM」であるが、これはなかなか良かった。途中でカミさんが息子を風呂に入れたのでちゃんと聴けたわけではないのだが、それでも彼女のヴォーカリストとしての器の大きさがヒシヒシと感じられる。私も早く咳を治して歌えるようにならなければ、という気にさせてくれますね。
息子は風呂に入るのを嫌がっているのを無理矢理入れたので、かなり風呂の中でゴネているようだ。2階の居間まで泣き声がひっきりなしに聞こえてくる。よくあれだけ体力が続くもんだ。風呂から出て身体を拭くときにも泣きわめく。疲れてるんだろう、早く寝てくれ。
息子を寝かし終えたカミさんは木根さんとF1の放送を見ながら盛り上がっている。私ゃクルマにはまったく興味がないので、話についていけないのである。放送が終わると、彼女らは二人でパソコンを前にしてあちこちのサイトを廻りながら文学論などを語り合っている。いつまでも終わる気配がない。まあ、電話でさえぜんぜん終わらないんだから、電話代を気にしなくていいとなれば際限がないでしょうな。制限があるとすれば体力だけだ。私は明日からまた遠方に出張なので、先に寝たのであった。
▲3月13日(月)▼
朝、目覚まし時計が鳴ったが、誰も止めない。カミさんがいないようである。どうやら完徹したらしい。「電話代を気にせずに小説について語り明かせるってのはいいわね」とか言っている。はあ、電話でも2時間3時間はザラですからな。こうなるかもしれんとは思ってはいたんだけどねえ。木根さんは明け方になって寝たそうなのだが、カミさんは寝ると起きられなくなるというので起きていたらしい。息子を保育所に連れていったら昼寝をするそうだ。主婦や自由業っていいなあ、と思うひとときである。
今朝も息子の機嫌は悪い。昨日はかなり歩いたのに寝たのは遅かったからねえ。私も遅くまでカミさんと木根さんの話を聞いていたので眠い。少し遅れて出社するのである。今日からまた一週間、遠方に出張なのである。いつまで続く、泥濘ぞ。
今日は往きの電車の中でFIVAを広げて日記を書く。本を読むような受動的な行為だと眠くなってしまうが、日記を書くような能動的な行為だと何とか眠らずにすむのである。電車の中で寝ても、あんまり疲れは取れないしね。
▲3月14日(火)▼
昨夜はホームページを更新して日記を書いていたら背中がガチガチに凝ってきて、べッドに引っくり返ってそのまま寝てしまっていた。そういえば今日はホワイトデーだが、何も買ってない。今週もずっと仕事漬けだしなあ。
▲3月15日(水)▼
今日も一日中、朝から晩まで仕事である。楽しみといえば昼休みに本を立ち読みするくらいだとは、面白味のない人生よのう。とてもじゃないが、他人様に日記をお見せできないぞ。
今月中にトラブルの残件をなくして成果物を発注元に引き継いでしまいたい当社上層部の意向により、以前ここの仕事をしていた人間が週末まで応援にやってきた。けっきょく、私のテストの手間は倍になるのである。
▲3月16日(木)▼
おかしい。毎日仕事を終えてホテルに帰ってから日記を書いているのだが、書いても書いても日曜日のぶんが全く終わらない。なぜなんだろう。
▲3月17日(金)▼
今月末でこの仕事に区切りをつけねばならないということで、私だけ明日出勤してテストの残件を片付けることにする。今週も金曜日には帰れないのである。
▲3月18日(土)▼
今日も家に帰れなくなってしまった。大量にテストを行ったのでリリースする物件が多くなってしまい、整理して資料を作るのに想像以上に時間がかかってしまった。最終の急行の次の各停にギリギリの時間だったのだが、資料や作業に間違いがあると発注元から文句を言われるので、今夜も泊まって余裕をもって作業することにする。しかし、仕事場を出た頃から急激に気分が悪くなってきた。ホテルにチェックインしてからコンビニに食事を買いに行ったのだが、気分が悪くてホテルへの5分足らずの道程を歩いて帰れるか不安になる。背中が強張っている。頭が痛い。口の中が気持ち悪い。たぶん、顔面蒼白であろう。重い身体を引きずるようにして部屋に帰り、食事の用意をするが、口に入れても喉を通らない。ラーメンに入っているゴマの香りが鼻について吐きそうになる。耐え切れずベッドに倒れ込み、そのまま意識を失ったのだった。
▲3月19日(日)▼
目が覚めると、ホテルの部屋のテーブルの上に昨夜のカルビクッパとラーメンがそのまま残っていた(当たり前だ)。ラーメンは麺がカップ一杯に膨張し、汁が無くなっている。数ヶ所にエクボ状の窪みができている。飯盒で炊いた飯なら理想的な出来なんだがな…などと意味のないことを考える。昨夜の食事はもう食べられないのでトイレに流す。何かを腹に入れなければ身体が保たない。昨日の夜に朝飯用に買ってきたパンなら何とか食えそうだ。野菜ジュースで胃に流し込む。
少しは体力は回復している。何とか家には帰れそうだ。体調が悪いので、難波の本屋で本をヤケ買いする。まずは 「週刊ピーシー・サクセス」第6号「宇宙へのフロンティア」である。これは、付録のCD-ROMのためだけに買ったんだな。続いて「SFが読みたい!」(早川書房)と「SF Japan」(徳間書店)。それから、「孤高の棋士/坂田三吉伝」(岡本嗣郎:集英社文庫)である。これは良い本ですよ。ただ、前の版はハードカバーだったので買ってなかったのだ。で、阪田三吉と関根金次郎、あなたはどちらが「受」だと思いますか(こらこら)。しかし、今日だけで図書券を10枚も使っちまったぜ。
家に帰って玄関に入ると、息子が階段を下りてきて抱きついてきてくれる。うう、嬉しいねえ。買ってきた「SFが読みたい!」と「SF Japan」はカミさんに取られてしまった。「これ、トイレに持ち込んじゃダメよねえ」などと言っている。ううう。息子が便意を訴えてトイレに連れていったのだが、最近我が家で使っているトイレットペーパーが不必要に柔らかいので息子のお尻を拭いたときに破れてしまい、ナマ指でウンチを拭いてしまったのだった。
やはり体調は悪い。38度台の熱が出た。また風邪をこじらせたか…
▲3月20日(祝)▼
今日も一日中、何もせずに寝ていたが、体温は37度台から下がらない。いったいどうすればいいのだろうか。
狼谷辰之 | 新書館*ウィングス文庫 |
対なる者の誓い |
¥620+税 | ISBN4-403-54021-X |
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