2000年 5月上旬の日記
▲5月1日(月)▼
昨夜は、今日から私の実家に帰るので遅くまで通信していた。2時間くらいしか眠れないかと思っていたのだが、カミさんが起こしに来たときには眠ってから4時間近く経っていた。朝食を食べていると、カミさんが「寝違えたかも」と言う。首が痛いらしい。カイロに行くように勧める。これから実家に行って、翌日また東京に移動してイベントなのである。体調に不安があってはいけない。カミさんは昼近くに帰ってきた。今日は混んでいたらしい。
カイロに行く前に、カミさんが慌てて何かを探していた。何だか、通販の同人誌を封筒に入れて投函したら、代金として送られてきた為替もいっしょにポストに入れてしまったらしい。●●じゃなかろうか(●●は、筆者の生命の安全のため伏せ字)。郵便局に電話をかけている。どうも、今日は彼女の厄日のようである。
カミさんがカイロに行ったので、実家への出発は昼過ぎになる。途中でハンバーガーでも食うことにしようか。今日は平日だからマクドナルドは半額のはずだ。阪神の梅田駅で山陽電鉄への直通特急に乗るが、思ったより混んでいる。4人掛けのボックス席が取れない。三宮近くになって、ようやくボックス席に入れてハンバーガーが食べられたのだった。神戸高速鉄道に入って阪急の列車が見えると息子は「はんきゅーでんしゃ!」と叫ぶ。まあ、あの色は特徴があるからねえ。「ちゃいろい、はんきゅーでんしゃ」と言って母親に「茶色というより小豆色やで」と教えられている。彼は「あずき…いろ?」と反芻するのであった。山陽電鉄線に入って、新幹線が走っているのが見えた。何だか、見慣れない型である。カミさんによれば、あれがレールスターというヤツらしい。ほう、息子よキミはついてるね。
実家に着いて息子は祖父母に最近印象に残ったことを報告するのだが、どうにもとりとめがない。「れーるすたー、みたん」「かめさん、おきてたん」「ぞうさん、みたん」「ぞうさん、ごはんたべてたん」「じょんとじむ、みたん」…時系列的に無茶苦茶である。やはり3歳では、物事の起こった順番というのを意識するのは無理なんだろうか。頭に浮かんだことをそのまま口にしてるだけなんだろうけどね。まあ、私にしても日記を書いてて「これは、どっちが先だっただろう?」と思うことが多々あるからなあ。それに、最後の「じょんとじむ」というのは、彼が最近読んでいる絵本に出てくるペンギンの名前だ。これだけでは「ペンギンを見た」というのは伝わらないぞ。
彼のために祖母は、手乗りのセキセイインコのヒナを連れてきた。息子は掌の上にインコを乗せられて「いたい、いたい」と言う。爪が尖ってて痛いんだろうが実際はそれほど痛くないぞ、と言っても彼はそれ以降インコを手に乗せようとはしなかったのであった。母親が手に乗せたのを撫でさせてもらっている。ややもすると毛並みと反対の方向に撫でて、母親に注意されている。緊張してヨダレが垂れている。何かに気を取られると、口元まで神経が行き渡らなくなるのだ。
息子はカミさんが風呂に入るときには一緒に入らないといっていたので私が入れるつもりでいたのだが、カミさんが上がってくると「かーちゃんと、はいりたかった」と言ってゴネる。しばらく泣き叫んだあげく、私と入ることになる。タオルに石鹸を塗って息子を洗おうとすると、彼は「シンちゃん(仮名)が!」と言った。自分で身体を洗わせてみる。けっこうサマになっている。背中はまだうまく洗えないようだが、タオルを背中側に回して両端を両手に持たせてやると、それを動かして洗っている。ただ、それが終わったときにタオルを両手に持ったまま自分の頭越しに前に持ってこようとしたので頭に石鹸が付着してしまった。これは、頭を洗ってやるしかないか。息子の頭を洗うのは、自分の頭を洗うよりもはるかに気を遣うんだよな。自分の頭を洗うのも面倒臭いのに。
風呂から上がって息子を寝かせようとすると彼は「とーちゃんと、かーちゃんと、ねる」と言ったので、親子3人で寝室に入る。カミさんが、おろし立ての靴を履いたので足が疲れたと言っている。下僕の私は足の裏をお揉みする。なんせ、実家に来ていただいているのである。それでまた息子が元気になってしまった。寝ている私の上に立ち上がる。こら、早く寝ろ。
▲5月2日(火)▼
今日は実家で昼過ぎまで寝ていた。昨夜は日記を書いていたら遅くなってしまったのである。息子は彼の祖父母が喜々として世話をしているだろう。今年は別れるときに泣かれるのは嫌だということで、カミさんが東京に出発するときにも祖父が電車を見せに行っていたようだ。
祖父母はやはり孫には甘い。そろそろ昼飯を食わねばならないというのに、求められるまま菓子を与えている。飴を与えようとしていたのでやめさせたら、息子が拗ねてしまった。椅子の上で寝ころんで眠そうにしている。我々の寝室になっている2階の部屋に祖父が連れていって寝かせたのであった。
…と、書いていたら息子が起きてきた。一人でトイレに行く。実家のトイレは便器が高くてオシッコするときに届かないのだが、自分で踏み台を持ってきてその上に乗り、用を足している。「おじーちゃんは?」とか訊いているので、この家にもかなり馴染んだようだ。
彼は、手乗りのセキセイインコで遊ぶのがずいぶん気に入ったようである。段ボールの箱の中に入って、一緒にセキセイインコを入れてもらって遊んでいる。インコが自分の足元にやってくると、キャーキャー言って喜んでいる(のかな?)。まだそっと手で包み込むことができないので、祖母に「ギュッと握ったらあかんで」と言われている。
今日、息子は彼の祖母と風呂に入った。歯を磨いてやろうとすると「シンちゃん(仮名)が!」と自分で磨くという。自分で磨いただけでは不十分なので、私が磨こうとすると嫌がる。無理矢理押さえつけて磨いていたら、抵抗は無駄だと思ったのか立って大人しく磨かせたのだった。寝かせる前にオシッコをするように言うが「いやー」と言って階段を上がっていく。仕方がないなあ。二人で寝室に入ると、しばらくははしゃいでいたが、すぐに静かになった。今日も昼寝をしていないからねえ。
▲5月3日(祝)▼
昨夜は息子を寝かせていたら一緒に寝てしまっていた。気がつくと6時前である。朝日のサイトで昨日の朝刊をまだ読んでいないんだ。まだ更新されていないかもしれない。早く通信しなければ。部屋を出る前に確かめたが、息子はオシッコをしていなかった。偉いものである。
FIVAの電源を入れたが…画面が、画面が乱れている。ここしばらく、こういうことはなかったのに。何でこういうときに限ってこういうことになるかな。代わりのキカイはないんだぞ。家だったらどうとでもなるのに。何度か電源を切ってやり直してみたが、すぐに画面が乱れてしまう。あーあ、昨日のニュースは後で産經のサイトで読まざるを得ないか。
私はパソコンが使えないショックのあまり、また寝てしまった。私が寝ているうちに、両親は孫を連れて水族館に行ったようである。午になって起きたら誰もいない。暇だしパソコンが使えないので、弟の本が山になっている中から何冊か見つくろってきて読む。同じ環境で育って影響を与えあってる兄弟がいるというのは有難い。「面白いもの」「趣味に合うもの」を探す範囲が倍とはいわないまでも広がるのだから。そういや、彼にはクリキンとエア・サプライのCDを貸してくれと頼まれてたんだっけ。「ボーイな君」(佐々木淳子:別コミフラワーコミックス)はなかなか面白かったですね。ゴミ問題に関しては、まったくこの通りなんであります。この人の作品を読むのは久しぶりなんだよな。で、「聖14グラフィティ」(渡辺多恵子:小学館文庫)を手に取ったら、この作品はリアルタイムで読んでいたにもかかわらず止まらなくなってしまった。いや、いいですねえ。ネームも画もほぼカンペキだ。10年以上前の作品なのにぜんぜん古くない。まあ、ウチのカミさんは「AB型の作品はアクが無くて物足りない」とか言ってたりするんだけど(そういう意味では佐々木淳子さんもAB型だったっけ)。「オレは生きるのが苦手だが――それでもちゃんと生きてるぞ」なんて、名言だよなあ。今の気分にピッタリだ。ああ、奈月ちゃんみたいな美人なお姉ちゃんが欲しかった(私は長子)。あんな美人なお姉さんにいぢめられたいっ! ……オレって、マゾか? そういえば、高橋肛門科医院の院長夫妻の会話って、ウチの夫婦を見てるみたいだな。亭主の情けなさが他人事ではない。「暁の息子」(樹なつみ:アフタヌーンKC)も、なかなか楽しめた。「コドク・エクスペリメント」(星野之宣:ソニー・マガジンズ)は、書き込みの量のわりに内容が無かったような気がする。まあ、アレの凶悪さをビジュアルで描くのが目的なんでしょうけどね。「B級裏モノ探偵団」(唐沢俊一:大和書房)は…どうも著者がエラそうで、読んでいて楽しくない。「どうでもいいこと」について書くのにそんなに肩肘張らなくても、とか思ってしまった。最後に「怪獣王」(唐沢なをき:ぶんか社)を「うんうん、そうだよなあ」と言いながら読む。これは私も買わなきゃいけないよなあ。
あ、そうそう。SweBeの「Kiss」も録音させてもらったんだ。なかなか良い。著作権的には、家族だからたぶん大丈夫なんじゃないかと思うんだな。インディーズだからそのへんのレコード屋で買えるかどうかわからないしね。ディスクの空きが残ったので彼の「蔵書」の中から柳ジョージ&レイニーウッドとかDona Summer(ひょっとしてこのCD、アーチスト名が間違ってる?)やKOOL & THE GANGのCDからセレクトして余白を埋めたのだった。
カミさんから電話がかかってきた。昨夜遅く電話をかけてきたらしいが、私は息子と一緒に寝ていたのである。なかなか良いイベントだったようだ。「泣かなかった?」と訊かれて「ぜんぜん」と応える。「そう…嬉しいような寂しいような」とか言っているが、子供を置いてイベントに行ってそういうことを言われてもねえ。泣かれて困るのは我々なんですぜ。
夕方になって息子が水族館から帰ってきた。聞けば、帰りの電車の中で彼は寝てしまったらしい。疲れてたんだね。昼寝もしていないし。「あんなに好きな電車に乗ってたのにねえ」と言う祖父母であった。
今日も息子は祖母と風呂に入った。「慣れて、遊んで私に水をかけたりして大変やった」と祖母は言っていた。彼を寝かせなければならないので私は次に風呂に入ったが、出てみると彼はテレビを見ている祖父の膝の上で寝てしまっていた。彼はそのまま祖父母の部屋で寝たのであった。
▲5月4日(休)▼
今日は実家から我が家に帰るのである。昼過ぎに出発する予定なので、それまで「過去への旅人」(山田貴敏:小学館)を読む。こういう作品が多く出てくるということは、大人のためのマンガというジャンルが成熟してきたということですな。ああ、宏美ちゃん、キレイ。私もこんな美人の娘に文句を言われてみたいもんだ…って、こればっかりだな。
手乗りのセキセイインコを入れている籠の蓋を閉じようとしたら、息子が「シンちゃん(仮名)が!」と言った。何かと思ったのだが、しばらくして見てみると彼はセキセイインコに餌をやっていた。お湯で柔らかくした粟をスプーンですくって口元に持って行くだけなのだが、身体を固くしてスプーンを持っている。こういうのを見ると、何となく嬉しい。
14時前に出発した。息子はかなり眠そうであるが、MISIAのライヴをBSでやるので、早く帰らねばならないのである。駅に着くと、ちょうど阪神への直通特急が出たところであった。次の特急は10分後の三宮行きである。さらに15分も待てないので、三宮行きに乗ることにする。今日は駅のトイレでオシッコをさせてから乗る。電車に乗ると、思ったより人が多い。加古川を渡るところで、新幹線が走っていくのを見ることができた。今日もツイてるね、キミ。しばらくすると、彼の上半身がグラグラしはじめた。抱き寄せると、倒れてきて私の膝の上に頭を乗せる。やはり眠かったんだな。ただ、直通特急ではないので、神戸で乗り換えねばならない。息子は神戸に近づいても起きる気配がない。新開地で降りようと思ったが、高速神戸で乗り換えた方が確実だと思って通過する。見ると、阪急の梅田行き特急が停まっている。失敗したと思ったが、次の高速神戸で乗り換えればいいことだ。ずいぶん空いているし大丈夫だろう。高速神戸に着いて抱き上げると薄目を開けたが、またすぐに私の胸に頭を持たせかけて寝てしまった。両手に荷物を持ち、息子を抱いて阪急の特急に乗り換える。高速神戸で待っていた特急電車は、乗客がいっぱいで座るところがなかった。別の列車なのか。特急がこんなに続けて運行されてるはずがないと思うんだがなあ。そのまま息子を抱いて立っている。三宮に着けば、座席も空くだろう。立っていると、三宮に着く直前にオジサンが席を譲ってくれた。人の情けが身に沁みる。まあ、そのオジサン、三宮で降りたんだけれど。座席に座り、梅田まで息子を膝の上で横抱きにして過ごす。彼は梅田の直前になって、やっとぼんやりと目を開けた。「阪急に乗ってるで」と耳元でささやくと、身を起こした。阪急の梅田駅に着くと、停車している電車を指差して「はんきゅーでんしゃ!」と叫ぶ。どうやら歩いてくれそうだ。少し足元がおぼつかない。阪急の駅を出て、地下鉄への階段を下りようとしたところで「おしっこ」と言いだした。おいおい、こういうところでは駅に入らないとトイレはないぞ。急いで階段を下りる。どうもこれは間に合いそうにない。仕方ない、階段の踊り場でさせてもらうか……と思ったところで彼は「でてもーた」と言った。ズボンの股間が濡れてくる。脚を液体が流れだす。彼は、あんあん泣くばかりである。その場でズボンとパンツ、靴下を脱がせて、用意してあったズボンとパンツを穿かせる。靴は替えが無いので、そのままで我慢してくれ。その後も彼はずっとメソメソ泣いている。地下鉄に乗っても泣いている。淀屋橋駅で、ホームの反対側に電車が到着したのを見て、やっと泣きやんだ。
家に戻りビデオの予約をして、ファミレスで食事をする。カミさんは今夜遅く帰ってくるのである。息子は腹は減っていたようなのだが、しばらくするとすぐに食べなくなってしまった。やはり疲れているようである。今日も「デザート食べへんのか」と言いながら食べさせるのである。
家に帰って、彼が疲れた様子なのですぐにシャワーを浴びる。子供と一緒にシャワーを浴びるのは大変だ。まだ湯船の湯が沸いていれば、こちらが身体を洗っているときには息子を湯船に浸けておけるのだが、シャワーは一人しか同時に浴びることができないからね。。脱衣場に出て、私が身体を拭いているときも、彼は自分で身体を拭いている。手がかからなくなったものである。身体を拭きながら彼は「きもちいーねー」と言う。そうか、そう言われれば風呂上がりに乾いたタオルで身体を服というのは気持ちのいいことだね。
風呂から上がって歯を磨く。いつもは自分で磨くというのだが、今日は疲れているせいか自分で磨こうとしない。私が磨いてやる。最初のうちは素直に磨かせていたが、そのうちにふざけて口を開けなくなってしまった。口を開けろと言っても応じない。こっちも疲れているので、無理矢理歯ブラシを突っ込んで磨く。「おくち、いたいー」と泣く。素直に磨かせんからじゃ、馬鹿者。口をゆすがせて寝室に行く。彼は、どんどん階段を上っていく。「オシッコしなさい」と言うが、「せーへん」と言ってまた拒否である。階段から抱き下ろす。身体をよじって抵抗する。「オシッコせえ!」「せーへん」怒鳴り合いである。このままでは埒があかないので、私は居間に戻って戸を閉めた。天の岩屋戸戦術である。彼は「とーちゃーん、あけてー」と泣きながら開けようとするが開けさせない。何度か試みた後、彼は大声で泣きながらトイレに入った。最初からそうしてりゃいいんだよ。かなり咳が出ている。寝室に入り、抱きしめてやる。抱いたまま横になり、身体の上に乗せて背中をトントンする。なかなか泣きやまない。ずっとしゃくり上げている。落ち着いたようなので電灯を消すと、本を読んでくれとまた泣く。絵本を読んでやるが、いつもは3冊読むのが既定のコースなのに、今日は2冊で自分の布団の上に行った。やはり疲れているのか。すぐにでも寝ると思っていたのだが、なかなか寝ない。そのうちに起き上がってお茶を飲み始めた。今日はカミさんが上がってくるまでに寝かせようと思っていたのに。絵本を読んでいるときにカミさんが帰ってきているのである。その後もかなり暗い中、静かにしているが寝た気配がない。また水筒をいじっている気配がある。すると「ぱじゃま、ぬれた」と言いだした。こいつ、寝たままお茶を飲もうとしやがったな。着替えを取りに居間に下りる。カミさんが上がってきた。あーあ、カミさんの手を借りずに寝かせようと思ってたんだがなあ。彼はしばらく母親に抱かれていた後、オシッコをしに二人で下りていく。何か、母親に報告している。
「とーちゃんに、おこられたん」
「布団濡らしたからか?」
「おしっこ、せーへん、ゆーたん」
「そうか…」
「かなしかったん」
▲5月5日(祝)▼
昨夜は、日記を書きながら通信していたら徹夜になってしまった。昨日はいろんなことがあったからなあ。寝ようかと思って寝室に入っていくと息子が起きた。「ぬれてもーた」とか言っている。昨晩はいっぱい水を飲んだからねえ。触ってみると、ズボンどころか上着まで濡れている。居間まで下りて着替えさせる。しかし眠い。食事をして昼過ぎから昼寝をしたら、今日も19時まで寝てしまった。今日も、一緒に寝た妻子は眠れなかったようである。
実家から帰ってきて時間に余裕ができたので、息子が寝た後新しいFIVAにデータを移す。1時間以上かかった。でも、ケーブルで繋いだだけでデータを移せるというのはラクではある。3ギガバイトのデータをフロッピーで移そうと思ったら…2000回以上かかりますからね。しかし、それからソフトを入れなおして設定をすべてやり直すというのは面倒くさい。考えるだけで気が遠くなる。インストールしたソフトや設定を自動的に移行してくれるソフトがあれば売れると思うんだがなあ。でも、こういうのはケースバイケースの部分が多いから、どうしても人手になっちゃいますねえ。
FIVA初号機のデータを丸ごとコピーしてもまだ3GB近く空いているので、世界大百科事典が入れられるのである。使ってみるのを楽しみにしていたのだ。まず、スーパー・ニッポニカと比べてなかなか動作が軽快だ。それに、起動も速い。操作性もWindowsの標準に近い。項目間のリンクも私が見た範囲内ではこちらの方が充実している。それから、フォントの大きさが変えられるのがいい。Windowsのソフトとしては当たり前だと思うんだけどね。フォントを小さくすれば、小さな画面でも多くの情報が表示されるので見やすいのである。あと、スーパー・ニッポニカは1行の途中で画面が切れたりしてとても読みにくかったのだが、こちらはちゃんと画面に合わせて改行してくれている。文字もシャープで読みやすい。スーパー・ニッポニカは「読みやすい」フォントを使ってると言っているのだが、T-Timeに付属しているフォントにしても、私には滲んだような感じがして読みにくいのだ。どうも、小学館は「読みやすさ」に対する感覚が私と正反対だな。どちらにするか迷っておられる方がいらっしゃれば、私は5000円高価くても世界大百科事典をお勧めしますです。
▲5月6日(土)▼
昨夜も、新しいFIVAの設定をしていたら徹夜になってしまった。そういえば、日記を書かねばならない。カミさんに「保育所に持っていく連絡帳の代わりにするから、連休中の日記を書いて打ち出しといてね」と言いつけられているのである。ただ、7時過ぎに階上で目覚まし時計が鳴ったが起きてこないので今日は保育所を休むのかと甘い期待を抱いていたのだが、妻子は8時過ぎになって起きてきた。まだ日記は完成していない。妻子が朝食を食べている横で必死でキーを叩く。カミさんの無言のプレッシャーを感じる。なんだか、締め切り前の小説家みたいだな。
息子は居間に入ってきてすぐ私が使っているPCを見て「あたらしいの、こーてきたん?」と言う。おお、よく気がついたな。父ちゃんのノートは新しくなったんだよ。
妻子が朝食を食べ終えた後にやっと日記を書き終わった。プリンタはMacに繋がっているのでデータを持って行かねばならない。フロッピードライヴを買ったので、そのあたりはラクになった。妻子は玄関先で出かける準備をして待っている。印刷が遅い。仕事で使ってるページプリンターが欲しくなるひとときであった。
印刷をしていると、息子が「とーちゃんと、いく」と言いだした。私はパジャマ姿なんだぞ。しかし、カミさんは私が送っていくことに決めたようである。印刷が終わって、あわてて着替えて出発する。自転車に乗って走っているときに、文中で彼の名前が「シンジ(仮名)」のままだということに気づき「あー、しもたー!」と叫んでしまった。息子は「なんでー?」と訊く。キミの名前を書かなかったんだと応えると「なんで、かかへんかったん?」と突っ込まれる。うーん、どう説明したもんかねえ。公の場に公開してるからあんまり本名を書きたくない、なんて。
息子は保育所に着くまではふつうの様子だったのだが、教室に入ると急に「とーちゃんの、ほうが、いい」と言って、泣きながら私に抱きついてくる。ううう、保育所は久しぶりだからなあ。保母さんに慰められても、私にしがみついて泣き続ける。しかしその時、窓の外をアーバンライナーが通るのが見えた。息子に「アーバンライナーやで」というと彼はころりと泣きやみ(それでも目に涙はためている)、「かいそーでんしゃかなー」と言いやがった。乗客が乗っていないと回送ではないかと判断するのである。でも、電車が見えなくなると、またその瞬間に「あー」と泣き出す。やはり、親よりも電車の方が優先度が高いのだな。
息子が電車を見て気が紛れているうちに保育所を出る。そういえば、今日は月マガの発売日だった。帰りにコンビニに寄り、立ち読みする。読んだ後、私はカミさんに電話をかけ「あなたは、海皇紀の本を出すことになるでしょう」と予言した。すると「買ってきて!」と言いつけられたのであった。なるほど、その方が早いかもしれないね。昼寝前だったカミさんは、布団の上で寝ころびながら読む。かなり喜んでいる。やはり、本を出しそうな勢いである。
カミさんが昼寝をしている間にFIVAの設定の続きをする。調子に乗って広辞苑や大辞林やその他諸々の電子ブックなどを突っ込んでいたら、容量が足りなくなってしまった。でも、DDwinでは広辞苑や大辞林に入っている画像データも表示できるんですね。これだったら何かを調べるときは、まず広辞苑+大辞林+マイペディアを串刺し検索して、それで不十分なら世界大百科事典、それでもわからないときにスーパー・ニッポニカという順番で調べることになりそうだ。しかし6GBのハードディスクが半日で足りなくなってしまった。けっきょく地図データを削りに削っても500MBしか余らなかったのである。
これでめでたく、旧いFIVAはカミさんのところにお嫁入りである。質量が現在使っているPowerBookの三分の一以下で、Webの表示が速いので喜んでいる。こうやって、アップルはMacユーザーを減らしてゆくのかなあ。
カミさんは息子を車で迎えに行って、そのまま実家に預けに行く。明日はイベントなので、今日から木根さんが泊まりにいらっしゃった。そして、この機会に飲み会をするのである。しかし新しいFIVAをいじっていたら、けっきょく眠らずに行くことになってしまった。これでアルコールを飲んだら意識を保つことができるんだろうか。ちなみに飲みに行くメンバーは、冬樹蛉氏、木根尚子さん、宮本春日さんに我々夫婦の計5人である。冬樹氏とは知り合いなので、カミさんを含めて彼の日記のファンの友人たちのために話を通したのだが、実現したので少しは亭主の存在価値というものも認めていただけるだろう。知り合いといってもネット関係ではなくて生身の知り合いなんですけどね。ただ、同じ場所にいたというだけのことで。それも、遠心分離器にかけたように「濃い」人間が集まったところにいた、ということではなくて偶然なんだな。まあ、その話はあっちに置いといて、飲み会の話をしよう。けっきょく18時半に待ち合わせて23時近くまでずっと話してたから、4時間以上話し続けてたことになるか。その間、ほとんど誰も席を立たなかった。しかし私は他の皆さんの濃ゆさに圧倒されて、ほとんど何も話せなかったのだった。薄々の一般人は辛いのである。もっと勉強しなければ。
さて、ヤオイとSFの対決である。この組み合わせだと、どうしてもヤオイが「攻」になってしまうんだよな。昔はSFが他のジャンルを攻めまくっていたのだが、最近はヤオイに攻められっぱなしのような気がするのである。やはりジャンルの勢いというかワイルドさが違う。おおっ、木根尚子の強烈な一撃に、冬樹蛉、ダウン寸前であります!(敬称略) …でも、最終的にはヤオイとSFは生き別れの兄妹である、という結論になった…ような気がする。何のこっちゃ。
飲み会からの帰り、カミさんが私に言った。「ヒッパレ、録ってる?」……あ〜っ、今日は土曜日だったんだー。先週はRINGSを録るのを忘れたしなあ。
▲5月7日(日)▼
強風がうなる音で目が覚めた。13時過ぎである。昨夜は家に帰ってから日記を書こうとしたのだが、何度も失神してしまったのでそのまま寝たのである。何せ、30時間以上起きていたわけだからなあ。連休中にこんなに疲れてどうするんだ。それでも7時前に目が覚めて「通信しなきゃ」と言いながら起きたところが中毒である。そして、イベントに行くカミさんと木根さんを見送ってまた寝たんだっけ。
そういえば、雲行きがおかしい。今日は雨になると言っていたような気がする。洗濯物を取り入れなきゃ、というので起きる。しかし、身体がずいぶんと弱っているのを実感する。連休中もほとんど身体を動かしていないからねえ。
息子はカミさんの実家だし、カミさんと木根さんはイベントなので、今日は一人なのである。自分の部屋を片づけねばならない。いま、私の部屋の真ん中には実家から送られてきた段ボール箱が3箱積んであるのである。弟が読み終わった本が送られてきているのだ。よくこれだけ買うもんだね。どうして私の周りにはこんなに読書家が多いのだろうか。とりあえずみんな目を通して、読むべき本をより分ける。選別がすんだところでカミさんと木根さんが帰ってきた。
今日はファミレスに夕食を食べに行く。初めてカミさんの新車に乗ったのだが、すごく大きい。先週やってきたのである。これで「軽」だってんだからねえ。
▲5月8日(月)▼
今日は午前中に医者に行ってから出勤する。予想通り、連休明けなので患者が多い。かなり待たされた。用意してきた「ハイ・フロンティア」(笹本祐一:ソノラマ文庫)を読む。おかげで待ち時間と会社への往復で1冊読破できた。しかし、やっぱり巧いなあ。キャラが立ってるし、みんなカッコいい。ただ、敵がアレだったら、あんな露骨な攻撃はしてこないと思うが。まあ、アレくらいを想定しないと協力して戦えないですからねえ。
前の仕事が終わって早く帰れるようになるかなと思ったのだが、今日は22時半まで仕事をしていた。5箱分の荷物を整理するのに夕方までかかったうえに、資料を作るのに時間がかかったのである。先月中に本年度の目標を書かなければならなかったんだそうだ。今度の部署は、なんだか鬱陶しそうな気がする。
今日は家に帰ると居間にいたのは木根さんだけだった。カミさんは息子を寝かせに行ってそのまま寝たようだ。
▲5月9日(火)▼
昨夜は、風呂から上がってきて日記を書いていたら意識を失っていた。座椅子に座ったまま物体になっていると、カミさんが下りてきた。もう外は明るくなりかけている。彼女は通信を始めた。私は隣で日記を編集し終えたが、彼女はまだ通信している。手が空くとまた一瞬にして意識が飛んでしまう。カミさんが通信し終えるまで、また物体になって時を過ごしたのであった。
今日も出勤時に「異形コレクション15 宇宙生物ゾーン」を読む。まず堀晃氏「時間虫」を読んだ。これは斬新なアイデアですね。これだけでもスゴイと思っていたのだが、最後のオチも効いている。空中で2回転したうえに、さらにひねるか!という感じですね。パチパチパチ。で、帰りに読んだ眉村卓氏「キガテア」は……うーん、普通ですね。
昼休みに職場近くの書店で「荒野に獣 慟哭す(4)」(夢枕獏:実業之日本社)を買った。ずいぶん久しぶりだなあ。もう、どういう話だったかくらいしか覚えていないぞ。これまでの巻は、すでに地層のはるか下だし。えーかげんに継続中のシリーズを増やすのはやめてほしいもんです。
会社で異動してパソコンの設定をやりなおしているのだが、なかなか大変である。システムを作る方の立場としても「組織変更の時にどうするか」というのが、どこのお客様でも問題になるんだよな。ネットワークにログインするときに、前の部署では社員番号でログインしていたのだが、今度の部署では名前でログインすることになっているのである。で、私のパソコンは必要もないのに「各ユーザーは独自に基本設定とデスクトップ設定を変更できる」という設定になっていたんですな。だから、名前でログインするとパソコンの設定がすべて初期設定に戻ってしまうのだ。まあ、他の設定はやり直せばいいのだが、ATOKが使えなくなっているのが困る。使えるようにする方法もその場ではわからなかった。そこで「すべてのユーザーが同じ」設定を使うようにして、社員番号でログインした時の設定を共通のところにコピーしてしまえばいいだろうと考えてしまったんですな。そういう情報はprofile配下にあるだろうということで、そこのファイルを共通のところにバックアップも取らずに上書きコピーしてしまった。で、名前でログインしてみると「レジストリが壊れています。バックアップから復元します」というメッセージが出て、そのまま固まってしまった。ひょっとして、レジストリとそのバックアップってあのファイルか。そうだったらバックアップも含めて上書きしてしまってるんだからどうしようもないよな。だが、この時点ではまだ私は楽観していたのだ。「各ユーザーは独自に基本設定とデスクトップ設定を変更できる」という設定に戻して社員番号で入り直せば済むことだと。しかし、社員番号でログインしようとして気がついた。レジストリが壊れているので、システムがキーボードを認識してない。だから、ユーザー名を入力できないぢゃないか。顔からザーッと血の気が引いた。これは、再インストールしかないんだろうか。今まで入れてきたソフトやデータはどうなってしまうんだろう。…とりあえず、ログイン画面でキャンセルして対応策を考える。何とかマウスは使えるようだ。キーボードを認識させればいいんだろうということで、キーボードのコンパネを触っていると、「言語」としてATOKを選択できることに気がついた。なんだ、あのときにこうすればよかったんだ。ということで、ATOKを選択してみると…おおっ、キーボードを認識したぞ。よかった。いや、名前でログインしてみるまで安心はできないぞ…ああっ、見慣れた画面が。ううっ、助かったあ。おかげで、レジストリがどこに登録されているかがわかってしまった。それだけが収穫だったな。
この記事を読んでいて目から鱗が落ちた。そうか、パソコンっちゅうのは、あんまり宣伝しちゃいけないのね。そういう意味では、最近、大々的に宣伝している大手のメーカーというのはいい度胸しているといえるのだろうか。まあ、ああいう会社はかなり余剰人員を抱えていそうだから、それの活用(というより「整理」だったりして)という意味もあるんでしょうか。
実家から帰ってから、息子は顔が腫れている。眼も腫れて顔が非対称になっている。今日眼科に行って、アレルギーだと言われてきたらしい。家に帰ると、目薬を点されるのを嫌だと言ってゴネていた。以前は必死で耐えていたのだが、いまは拒否して逃げ回っている。母親に「もう知らん!」と言われて泣きながら膝の上に乗るが、それでも点されるときには抵抗する。母親との接触が少なかったストレスのせいだろうか。医者が今日はアレルギーの患者が多いと言っていたそうなので、気温が急に上がった影響もあるのかもしれない。
▲5月10日(水)▼
今朝、息子は起きると「ばーちゃんと、さんよーとっきゅう、のったん」と言っている。連休中に水族館に行ったときのことを言っているのだろう。祖父も一緒だったはずなのにな、と思って訊くと「じーちゃんと、ばーちゃんと、のったん」と言う。どこへ行ったのか訊くと「すいぞっかん」と応える。むう、かなり複数のことを関連づけて記憶できているし、それを整理して話せるようになってるな。
昨日で「異形コレクション15 宇宙生物ゾーン」を読み終わったので「リモコン変化 SFバカ本」(廣済堂文庫)に入れ替えたつもりだったのだが、駅に着いて鞄の中を見ると入っていない。ありゃ、入れ忘れたか。MDのディスクと本の両方を入れ替えようとしたから、片方を忘れてしまったんだな。これは老人ボケか。何かをすると、それまでやろうとしていたことを忘れてしまうというのは…
昼休みに職場近くの書店で「神戸新聞の100日」(神戸新聞社:角川ソフィア文庫)を買う。これは買っておかねばならないだろう。まあ、いつ読めるかは別にして。
今日は19時過ぎに仕事が終わったので、梅田を廻って帰ることにする。まずはジュンク堂に行く。連載中の夢枕獏氏の餓狼伝を立ち読みし、息子への土産に「私鉄の特急電車」(カラーブックス:保育社)を買った。彼は「近鉄 I」が大のお気に入りなので、これも喜ぶだろう。読んでくれと言われるのでカミさんは嫌がるだろうけどね。それから帰りに読むために「星ぼしの荒野から」(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 著/伊藤典夫・浅倉久志 訳:ハヤカワ文庫)を買った。「SFが読みたい!」で評価が高かったからねえ。「リモコン変化」よりもこちらを先に読むことになるか。さて、どうなりますか。私ゃ「アルジャーノンに花束を」に「あまり感銘を受けなかった」と言ったヒトですからねえ。
家に帰ると息子はもう寝ていた。お土産を渡すのは明日以降になるか。カミさんは塩沢兼人氏が亡くなられたことを知って衝撃を受けているようである。まだ40歳台ですか。家の中での事故というのは、ショックでしょうな。
狼谷辰之 | 新書館*ウィングス文庫 |
対なる者の誓い |
¥620+税 | ISBN4-403-54021-X |
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