2000年 9月上旬の日記
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9月1日(金)
昨夜も日記を書いていたら3時を過ぎてしまった。だから今朝も起きるのが辛い。だが起きねばならない。今日は月初なので早めに出勤しなければならないのである。昨日は出勤を予定していた時間にちょっと遅れたので課長に注意されちゃったしね。今朝は遅れるわけにはいかないのだ。しかし、起き上がったのは8時を過ぎていたりするのである。7時半過ぎに起こされた記憶はあるのだが、身体が動かなかったのだ。あと10分で家を出なければならない。とうぜん朝食なんぞ食っている暇はない。トイレで小用を足し、汚れ物を洗濯機に突っ込んで顔と口を洗い、着替えて家を出る。それだけのことをやるだけで10分を超えてしまった。ギリギリである。まだエンジンが暖まっていない身体を無理やり絞り上げるようにして自転車を飛ばす。これは身体に悪いな。空はどんより曇っているが、雨が降ってもそのまま行くしかない。大きな道路はうまいタイミングで横断できて、それほど時間的ロス無しで走れたのだが、ついに信号が赤に変わるところにブチ当たってしまった。この信号は変わるまでの時間が長いのである。一瞬の判断でそこを曲がって脇道に入る。このルートで行くと無料の駐輪場には停められないな。地下鉄の出入り口の近くに放置しておくしかない。今日が取り締まりの日でないことを祈るしかないな。もしも撤去されてしまったら、2駅先ま取りに行かねばならないのである。撤去の費用も1,500円払わねばならない。まあそのときはタクシーに乗ったと思ってあきらめよう。ちょうど電車が着いたところだったようで、大量に客が出てこようとしているため改札機は入り口専用の1つしか空いていない。入ろうとしている客が数人溜まっている。あー、鬱陶しい。そして下りると、ちょうど電車が出て行くところであった。うがー。あの電車に乗っていれば、まず確実に間に合うはずなのだが、次の電車だと乗り換えに走ってギリギリということろである。早い時間だから電車は混んでいる。それでも本は読むのである。乗換駅に着き、ダラダラ歩く奴らの群れに巻き込まれないように早足で前に出る。歩いていると向かいのホームに電車が入ってくるのが見えた。アレに乗らねば確実に遅刻である。向こうのホームに行くには1階下の通路を通らねばならない。階段を駆け下り、また駆け上る。左膝が悲鳴を上げる。頼む、保ってくれ。ホームに駆け上がり、電車から降りてきた人の波を避けながら電車に向かう。これに巻き込まれて電車に乗れなかったことも何度かあるのだ。いちばん後ろの入り口に、乗り込もうとする人が大量に群れている。見ると、駅員の人が車椅子を下ろしていた。これだけの人間が乗り込むにはかなり時間がかかりそうなので、一つ前の入り口に移動する。ホームが人でいっぱいなので、これだけの距離を移動するだけでも大変である。移動に時間がかかって乗り遅れることも無いとはいえない。最後尾の入り口にいる人数からして大丈夫であると判断した。何とか乗り込み、職場の最寄り駅で降りる。そして最後の難関はエレベーターである。現在、職場のビルのエレベーターの半分が工事中で使用不能なのである。全て使用可能だったときでも、定時出社するとエレベーターホールが満員で運が悪いと乗るまでに数分かかることもあったのである。ちょっとズルをして2つめに来た箱に乗ることができた。フロアに入ったところでチャイムが鳴り始めた。ホッ。落ち着くと猛烈に腹が減ってきた。夜食用に買い置きしているバランスパワーを囓って飢えをしのぐのである。

今日は通勤時間に「Virgin21-IN THE AIR TONIGHT」の2枚目を聴いていた。1枚目が「最新ヒット18曲」なのに対して、2枚目は「過去21年間の代表曲18曲」だということだったので1枚目よりは良いかと思っていたのだが、やはり私にはイギリスの音楽は合わないというのを再確認させられただけであった。まあBelinda Carlisleの「Heaven Is A Place On Earth」は好きなんだけどね。

今夜も仕事で遅くなる。地下鉄の駅から出ると、自転車が撤去された気配はない。雑然と自転車が並んでいる。よかった。これだったら駐輪場まで歩かなくていいので、いつもより帰るのはラクだ。撤去されていたら、またホームまで階段を下りねばならないところだったからな。



9月2日(土)
今日は私が息子を保育所に送っていった。確かに行った。うん、そうだ。出発する前に、カミさんにアンディ・フグのTシャツを着ていくように言われる。彼女はフグが亡くなった日にネット上でキャラクターグッズを大量に買い込んだようなのである。私なんかは、そういうことをしても供養にはならんだろうと思うのだが、まあそのへんは個人の考え方だろう。

息子は保育所に行きたくないようである。特に私とは行きたくないようである。強く言われて父親と行かねばならないとなると、泣きながら階段を下りる。保育所に着くまでずっと泣きっぱなしである。「あ゛ー、あ゛ー」と泣き続ける。サイレンを鳴らしながら走ってるようなもんだな。保育所の前でトンボが飛んでいるのを見つけて「トンボや」と言うと、「とんぼ?」と言って号泣は収まったが、しばらくするとまた泣き始める。保育所に入ってもまだ泣いている。他の男の子がやって来て彼の涙を拭いている。それでも泣く。しばらく抱き上げて、落ち着いた頃に保母さんに預けたが、またメソメソしているのである。

家に帰り、屋根の修理の契約をする。どうも数年前から窓の障子が変色してぺろっとめくれてきたり、壁が湿ってきて剥がれてきたりしているのである。どこか雨漏りしているようなので修理しなければならないとは思っていたのだが、屋根の状態も見ないで100万以上ふっかけるような業者ばかりだったのだ。さすがに妻子持ちのサラリーマンが気安く出せる額ではない。今回の業者は屋根の状態を見て半分以下の価格を提示してきた。それならばボーナスをブチ込めば何とか払える額だろう。近所の家でも次々に工事をしているので、それほど変な業者でもないと思われる。しかし、他の家では30万程度の価格だったらしい。ウチの家は形状が複雑なので高価くかかるとのこと。まあ、それは理解できます。土地が三角だから安かったんだからね。それを説明してくれるところも好ましい。まあ、これで最大の懸案事項が片づいて一安心だな。一戸建てだと自分ですべて決められるのがいいところだ。

例によって私が自分の用事をしていたらカミさんはお昼寝モードに入ってしまった。しかし、私が自分の用事の後始末をしていたらカミさんが起きてきて息子を迎えに行ってくれた。有り難いことである。

今日インターネットからデカいファイルをダウンロードしたのだが、見ていると常時100KB/秒以上出ている。やはり、1MBPS出ているか。さすがはケーブルテレビ。大したものである。

今日は私が息子を寝かせる。寝室に入ると彼の布団の上でシーツが丸まっていた。ちゃんと敷くのも面倒臭いので、彼に敷いておくように言いつけて3階の窓を閉める。寝室に入ると、彼はもう布団の上に広げて皺を伸ばしているところだった。なかなか上手くいかないが、一生懸命やっている。シーツの端を布団の下に押し込もうとまでしている。もう、たいていのことは一人でできるようになっているんだねえ。



9月3日(日)
今朝は3時に起きた。夜が明ける前にInternet Ninjaの体験版をダウンロードして、それを使って新聞社の記事データを丸ごと落としてこれないか試す心づもりなのである。しかし、さすがに1996年の半ばからの記事を全部管理しようとすると遅い。バカみたいにハードディスクをアクセスしにいっている。それに、落としてきたデータをHTMLには出力できないのか。こういう閉じた世界を作ってしまうソフトは好きじゃないなあ。まあ、ダウンロードした情報を他のソフトから見れないような形式で保存するからこそ、機能制限なしの体験版を配ってるんだろうけど。

9時過ぎになって妻子が起きてきたが、カミさんは「また寝る」と言って寝室に上がっていってしまった。息子には彼のために作ってやったリンクページ(表示してやったサイトに飽きるたびに「きんてつでんしゃ、みたいなー」とか「じゅーよんひき、みたい」とか言われるのが鬱陶しいので、彼の行きたいページを集めているのだ)を表示してパソコンの前に座らせ、カミさんを追いかけて寝室まで行ってイチャイチャする。息子は一人で遊んでいてくれたようだが、しばらくすると階段の下から呼ぶ声が聞こえた。変なページに行ってしまったらしい。見ると、彼のためのページを出す前に表示していたページになっていた。「戻る」ボタンを余計に押してしまったようだ。

今日は家族3人、車で図書館に行って、酒の安売り店でビールを買いに行くことにする。ちょうど私も借りた本をすべて読み終えたところだったのだ。でも、7冊で2ヶ月かかったか。読めないもんだなあ。返却期限を1ヶ月半過ぎてるな。まあ、前回に比べれば可愛いものだろう。ビールも在庫がなくなったところだったのである。今までは1年に数本しか飲んでいなかったのだが、今年は猛暑に負けて毎日のように飲んでいるのだ。その前にパン屋に行く。カミさんが昨日買ってきたパンに虫が入っていたのだ。こういう時勢だから、かえって持って行きにくいな。店の人はかなり恐縮していたが、返金してもらうだけにする。あんまり騒ぐとニュースを見て思いついて因縁をつけているバカだと思われてしまうからねえ。

図書館に入り、まずは私が息子の相手をする。彼はまず「うえ、いきたい」と言いだした。前回、2階に上がって百科事典で電車の絵を見せたのを覚えているのだろうか。階段を上がるのも面倒臭いので「電車の本あるとこあるで」と言って交通関係の書棚のところに連れていく。そして、電車の写真が載った本を読んでやるのである。休日で人が多く椅子がふさがっているので、しゃがんで読んでいたら息子はしばらくして私の膝の上に座ってきた。まあ、いいんだけどね。しかし、写真を見ては何だかんだと喋るので、ちょっと迷惑っぽい。子供の読書コーナーに行くか。

酒の安売り店に着いたときには、息子はずいぶん疲れていたようである。エレベーターのボタンを押そうとするが、慣れないエレベータなので押していいものかどうか迷っているうちに両親に「早よ押せ!」と言われて泣く。まあ、違ったボタンを押してしまって母親に怒られたこともあったようだからね。その後も彼はグズグズ言っているのであった。

しかし息子は家に帰ると元気になる。私のThinkPadを見ながら「でんしゃ、みたいなー」というので、前に座らせて彼のためのリンクページを表示してやる。彼はWebブラウズに飽きると将棋をしたがる。柿木将棋IVのレベル1(いちばん弱いヤツ)に対して6枚落ち(飛車角桂香落ち)で指させる。もちろん彼が下手である。どうやら、歩は1つずつ前に進むものだというのはわかってきたようである。まずは並んでいる歩をランダムに一つずつ前に進める。それから玉を適当に動かすのが彼の「定跡」になっている。「駒」という物体を手でやり取りしているわけではないので、「駒を取る」という概念はまだはっきりしていないようである。

カミさんは息子を連れて寝室に上がっていった。私も眠いので、そろそろ寝ようかと思っていたら息子が下りてきた。「寝えへんか?」と言っても「ねーへん」と応える。仕方がないなあ。スーパーに野菜ジュースでも買いに行くか。

玄関を出ると息子は月のことを気にしだしたので、自転車置き場で月を観る。まだ細いし昼間なので彼はなかなか見つけることができない。雲もいくつか動いている。私が指を指して示してやるが、彼は自分の目から私の指先の延長上を探すので、まったく見当違いの方を見ているのである。他人が指している方向と同じ方向を見るということがまだできないのだ。私はしゃがみ込み、彼と頬をくっつき合わせるようにして指をさして、やっと見つけさせることができた。
「おつきさん、うごいてる?」
「いや、あれは雲が動いてるんや」
「はんぶん?」
「いや、半分よりちょっと細いやろ」
雲が流れ、月を隠す。
「おつきさん、かくれたん?」
「もうすぐ出てくるで」
しばらく、飽きもせず雲が月の上を通り過ぎるのを見ていた。大きな雲が月を隠したので出発することにする。彼は「かい」と言って脚を掻きだした。そうか、ここは蚊の溜まり場だったな。見ると、ヤブ蚊がゆっくり飛んできて息子の頬に止まった。ぺしっと軽く叩いて捕獲し、コンクリートの上に落として踏み潰す。

今日は遠くのスーパーに行くことにして電車の線路沿いに往復する。帰りに息子は走ってきた電車を指差して「あたらしい、でんしゃ!」と叫んだ。確かに新型の車両である。その直後に反対方向から来た車両は色違いの新型車両であった。珍しいな。息子は大喜びである。「また、あたらしいでんしゃ、みたなー」と言っている。よかったな。帰ったら母ちゃんに報告するんだぞ。

最近息子は他人に本を読ませて、読んでもらっている間に何かと喋り出すので読み終わるまで静かにしているように注意した。しかし、寝る前に寝室で読んでやっているときにもそれをやったので読むのを中止する。彼はしばらくは「よんで、ほしいの」とか言っていたが、すぐに諦めたようである。しばらく自分で読んでいたが、やがては電灯を消して寝たのであった。



9月4日(月)
昨夜、息子を連れて寝室に入り、本を読んでやって電灯を消してから気がついた。「あ、明日聴くCDを録音するの、忘れた!」 CDを買いっぱなしで聴いていないものがあるというのも、MDに録音するのが面倒臭いというのが最大の原因だったりするんだな。

今朝はけっこう涼しかった。6時過ぎに寒くて目が覚めたくらいで。しかし、起きて通信する気は起きない。やはり疲れているんだなあ。

今日は「ひと夏の経験値」(火浦功:ログアウト冒険文庫 1995)を読み終えた。この人も名前をよく聞く人なのだが、まだ読んだことがなかったのである。薄々の一般人であることがバレバレである。名前をよく聞くとは言っても、作品の内容よりもその他のことでよく武勇伝を聞いているというのがちょっと情けないところではある。でも、そういう話が笑い話で済んでいるというのは、よっぽど面白いのだろうなどと思っていたのだ。この作品は某所で勧められていたこともあり、期待は大きかったのである。しかし、ノリはいいことはいいのだが、読み終わってみると何も残らない。こういう小説に読後感など期待してはいけないのかもしれないが、うーん、ちょっとなあ。

今日は昼間も涼しかったようである。仕事を終えて職場のビルを出た瞬間に、ムワッと熱っぽい湿った空気にまとわりつかれる感触がない。これだけでもかなり疲労度が違ってくるだろう。

今夜も午前様である。保育所に迎えに行ったとき、息子はヘロヘロだったらしい。熱を出したそうだ。昨日しんどそうにしていたのは、そのせいだったのかな。その前からも朝起きたときに自分で「へろへろー」とか言ってたりしたからなあ。明日は保育所を休ませることになるが、カミさんが歯医者に行かねばならないので午前中だけでも休めないかと言われる。まあ、半日くらいならいいんじゃないでしょうか。最近、夏バテ気味だし、帰るのも連日遅いし。といいながら、日記を書いていたら4時を過ぎてしまった。バカじゃなかろうか。



9月5日(火)
気がつくと息子が私を起こしていた。時計を見ると8時半である。今日は息子が体調を崩していて保育所を休ませるのだが、カミさんが歯医者に行かねばならないので私が午前中に休んで彼の世話をするのである。会社には9時前に連絡を入れればいいのでもう少し寝かせていてほしいのだが、息子には通じないからなあ。彼に引っ張られて起き上がる。しばらく呼吸を整えていたら、彼が眼鏡を持ってきてくれた。はいはい、起きますよ。

今日は保育所を休むというのに息子は妙に元気である。朝食もパンを2つにチーズ一切れをペロリと平らげる。いつもはこの半分以下しか食べないのにねえ。保育所を休むというと精神的に楽になるんだろうか。カミさんが出ていくときに彼は「とーちゃん、きらい」とか言っていたらしいが「14ひき、読まへんぞ」と言うととたんに態度が変わって「じゅーよんひき、よんで」と言って絵本を持ってくる。現金なヤツである。2冊読んで切り上げる。眠い。昨夜も遅かったからなあ。座椅子を倒して横になる。息子は一人で本を読んで、何だかんだと喋りかけてくるが、半分眠りながらテキトーに応える。いかんなあ、こんなことでは。

今日は通勤中に「GOSPEL」というCDを聴いている。「jazzworks」というレーベルから出ているものの輸入盤である。GOSPELの世界のことには詳しくないので、いろいろなアーチストの曲が入っているようだから勉強用に買ったものである。まあ一口にGOSPELと言ってもいろいろあるもんですなあ。私としてはやはり女性ヴォーカルの絶唱が好みなのである。クアイアとの絡みがあればさらによろしい。このアルバムの中ではTRAMAINE HAWKINSAMAZING GRACEが良かったっすね。私が今まで聴いてきたAMAZING GRACEの中でもベストの水準である。街の雑音の中で、ヘッドフォンで聴いているだけでも彼女の胸に蓄えられた空気が吐き出されるのを、喉が声を発するのを、声の圧力を、ビリビリと感じる。思わず拳に力が入ってしまうのである。

今日は疲れているので早めに仕事を終えて帰る。家に着いたときには21時過ぎだったが、玄関に入っても誰も出てこない。もう寝てしまったのかな、と思ったが、階上からはテレビの音が聞こえてくる。しばらくして、ドドドドッと何かが走る音が聞こえてきた。息子だ。「とーちゃん、……おかえりっ」あれはきっと、「おかえり」と言うべきか「ただいま」と言うべきか迷ったんだな。でも、正解だ。「なんか、ついてる」とか言っている。ああ、額に熱冷ましシートを貼られているのか。まだ熱があるのね。カミさんも熱があるらしい。大変だあ。

居間に上がると、彼は「しょーぎ」「しょーぎ」とうるさい。日曜日にPC相手に将棋をしたのにハマったらしい。例によって、柿木将棋IVのレベル1に対して六枚落ちでやらせる。カミさんは「今日一日ずっと一緒にいたから、だいぶ落ち着いたみたい」とか言っている。うーん、最近スキンシップが少なかったからなあ。父親は忙しくて起きてるうちに帰ってこないし、母親はイベント前後は気もそぞろだからねえ。

シャワーを浴びて上がってくると、息子が「しょーぎ、ふたつ」とか言って何かを訴えている。何のことだ。盤面を見てみると、いつの間にか飛車を取られて成り込まれ、香車を玉の側に垂らされている。「ふたつ」というのはこの2枚のことだったのか。でも、ルールも知らずによくここまで指せたもんだねえ。敵の戦力はその2枚だけなので玉の逃亡を企てる。息子も私の指示通りに駒を動かせるようになっている。何とか入玉して、さてこれから反撃という段階になって柿木将棋がフリーズしてしまった。Mac版でもそうだったけど、どうも入玉するとフリーズしやすいような気がする。「向こうが指せへんようになったからキミの勝ちや」と言っても彼は納得しないようである。「負けました」というダイアログが出れば勝ちだと教えた覚えはないんだがなあ。

夕食を食べ終えると、カミさんに私が息子を寝かせるように言われた。ひょっとして夜中に通信するつもりなのか。熱があるんじゃなかったのか。大丈夫なのか?

息子は寝室に入った後、今日は絵本を1冊読んだだけで立ち上がって電灯を消した。しかしすぐに「かい」と言って身体をボリボリ掻きはじめた。薬を塗ってやらんといかんか、と思っていたら彼は起き上がって電灯を点け、軟膏のチューブを開けて自分で痒いところに塗り始めた。もう、ほとんどのことは自分でできるようになっているんだねえ。まあ、自分でやってくれた方が痒いところを言葉でうまく伝えられなくてもどかしい思いをすることもないだろう。背中はまだ無理だろうけどね。



9月6日(水)
いまカミさんは歯の治療をしている。そういえば先日、彼女が最初に親知らずを抜いてきたときに「私は親知らずは全部残ってますわよ」と言ったら「見せて〜!」と言いながら両手の指で口を押し広げられて覗かれた。おかげで荒れていた唇が切れて出血してしまったのだった。しかし、無理矢理押し広げられて切れて出血するなんて、処女を奪われる乙女の気持ちというのはこういうものなのだろうかと思ったことであった。

今朝は7時前に目が覚めた。昨夜は日記を上げずに寝てしまったので起きて書かねばならない。私が起き上がるとカミさんが「まだ7時前よね?」と言う。そうだよ、まだ寝てなさい。日記を書き上げてアップしたときには7時半を過ぎていたが、妻子はまだ起きてこない。二人とも熱があったようだから、今朝も起こさないことにしよう。食パンを焼いてチーズと一緒に食い、野菜ジュースを飲む。着替えて玄関に下りたところで寝室の雨戸を開ける音が聞こえてきた。息子がグズグズ言う声が聞こえる。カミさんが下りてきたので「寝ててもよかったのに」と言うと「シンジ(仮名)、午前中だけでも保育所行ってもらうの。今日も歯医者行くから」と言われた。はあ、そうなんですか。

ああー、アスキーがGlossary Helpの構成を変えてしまっているー。今までの日記でパソコン用語を使うときはここにリンクしてたんだが、切れてしまっているぢゃないか。暇があったら直したいけど…無理なような気がするな。

今日は通勤中に「LOVE ON WINGS」(SAKURA)を聴いた。なかなか良いアルバムである。それにしても「君のために」は名曲だなあ。なにしろこの人との出会いは、有線放送でこの曲を聴いてシビレたのが始まりだったのだ。その場で歌本を開いて探しましたよ。ええもう必死で。こういう出会いをした好きな曲は多い。やはり真っ白な状態の自分の心に自然に入ってきた曲というのは、感性に響いてくるのである。

家に帰ったときには、妻子は寝室に入っていた。22時過ぎだったのだが、息子の声が聞こえるような気がする。どうも、寝かせているところのようだ。起こすといけないので居間で着替えてシャワーを浴びる。上がってくるとカミさんは電話をしていた。私が通信を初めて、日記を書いて、アップして、通信し終わってもまだ電話している。さて、相手は誰でしょう?



9月7日(木)
目が覚めると8時を過ぎていた。即座に緊急モードに入って飛び起きねばならないはずなのだが、しばらくボーッとしている。精神が起動しない。一呼吸あけて起き上がる。横で息子がゴロゴロしている。まだ完全に目覚めてはいないようだ。股間を触ると濡れていた。そういえば昨夜、私が寝る前に隣の部屋で電気を点けてズボンやワイシャツをハンガーに掛けていたら、彼が起き上がって水筒の水をゴクゴク飲んでいたのだった。「オシッコせえへんか?」と訊いたら「せーへん」と応えたのでそのまま寝かせたのだが、やはり無理に起こしてでもトイレに行かせるべきだったか。カミさんは微動だにしない。昨夜はいったい何時まで電話をしていたのやら。しかし、今朝はもう彼の面倒を見ている時間はない。彼を残して寝室を出る。息子よ、すまぬ。自分で何とかしてくれ。もちろん飯を食う暇もない。お茶をボトルに詰める時間さえもない。

今日は通勤中に「WONDER OF LOVE」(HARUMI TSUYUZAKI)を聴いた。「Believe Yourself」の前のオリジナルアルバムだが、なんだか聴いていてあまり感動がない。どうも、上手すぎるせいか余裕がありすぎて軽く歌っているように聞こえるのだ。「5ミリ差でかわしていてもぜんぜん危なそうに見えない」という感じ。上手すぎるというのも困ったものではあるなあ。まあ、余裕をもって歌いながら聴衆に訴えかける、というのも必要な技術なんだろうけど。あと、曲によってはブレス音が気になったな。

今日は家に着き自転車を停めて荷物を下ろしている時点で、家の中でドタドタいう音が聞こえてきた。息子である。もう私が帰ってきたのがわかったのか。居間に入っても、彼はずっと私にくっついている。シャワーを浴びていても私を呼びに来る。「おふろ、くずれるねん」などと穏やかでないことを言う。予知能力でもあるというのか。夕食を食べているときにも、私の膝の上に乗ってくるのでご飯が食べにくいくらいである。寝るのも私と一緒に寝たいと言う。今夜も月を観たがるので、一緒に月を観てから寝たのであった。

あ、そういえば昨夜カミさんは4時頃まで電話していたという。5時間くらい話していたことになるのか? よくそれだけ話せるネタがあるもんだな。来月の請求書が恐ろしいことである。一緒に暮らし始めたときに、市外で長電話したぶんは家計に入れるという約束になっていたはずなんだが、最近はなし崩しになっているような気がするな(笑)。いっそのこと、常時接続になったことだしインターネット電話でも使ってみてはどうかね?



9月8日(金)
今朝は6時前に目が覚めた。もう少し寝るつもりだったのだが、息子が起き上がってお茶を飲み始めた。「オシッコするか」と訊くと「する」と言って立ち上がる。「といれで、おしっこ、する」と言いながら階段を下りる。オマルではしたくないという意味なのか。寝室に戻ってもう少し寝ようとするが眠れないので起きて通信することにする。息子はついてこない。まだ眠いのね。

日記をアップしたときには7時半を過ぎていたが、妻子は起きてこない。疲れているようなので、今日も独り寂しく食パンを焼いてチーズと一緒に食べる。食べ終えて出発の準備をしていたら階上で雨戸の開く音が聞こえた。ありゃりゃ。寝室に上がっていくと、カミさんが息子を起こしているところだった。しかし彼は起きない。私が揺すっても起きない。ところが、カミさんが「シンジ(仮名)!」と言うと目を開けたのだった。母の声には反応するのね。

今日は通勤中に「SONGS」(KEIZO NAKANISHI)を聴いている。「他人に提供した曲のセルフカバー」を集めたアルバムのようだ。やはりこの人のメロディメーカーとしての才能を再確認させてくれますね。

そして今日の往路で図書館から借りてきた凍月グレッグ・ベア小野田和子:ハヤカワ文庫)を読み終えた。これも星雲賞を獲ったのか。読んでいてSF的なガジェットやイメージはなかなかのものだと思うのだが、これもドラマの部分に感情移入できない。政治ドラマだからねえ。私自身も、この作品で描写される月の人々のように(そして、アメリカのSF&ファンタジー作家がそうであると著者がいうように)「政治ははぶけ」という人間だからだろうか。いやしかし、この作品で書かれている政治的駆け引きというのが読んでいてもまったく理解できないのだ。なんでこの程度のことで「罠にはまった」と思ってしまうんだろうか、などと思いながら読んでいたのだった。やはりオレの頭が悪いせいなんだろうな。

帰りには「赤い涙」(東野司:ハヤカワ文庫 1988)の「任務(ベスト・ミッション)」を読んだ。これは良かったっすね。ちょっと情景描写がうまく伝わらずにもどかしいところもあったし、途中で先が読めちゃったんだけど、それでも、ええ話や。あと少しで終わりのクライマックスのところで最寄り駅に着いたので、ベンチに座って最後まで読んだ。これは、私のこの作品に対する最大級の賛辞である。こういうことは滅多にしないんでね。

帰りの電車の中でMDプレーヤーを出して聴こうとすると、すでに音楽が流れている。あらら。調べてみると、本体の操作ロックが外れていた。バッテリーの残量はかなり少ない。困ったな。これじゃ、来週の月曜日も同じアルバムを聴くことになるか。

今夜、家に帰ったのは昨日とほぼ同じ時刻だったのだが、息子は下りてこない。しかし、階上から彼の喋る声が聞こえてくる。どうやら今、寝かせようとしているところのようである。まずは居間で着替えてからシャワーを浴びる。今日は暑かったな。再び居間に上がるとカミさんが起きていた。そして、彼女が点けたテレビでERが始まった。今週も、目が釘付けになって離せない。凄いなあ。



9月9日(土)
いやあ、やってくれますハルキ文庫これだけの作家の作品を一気にリリースするとは。また読むべき本が増えてしまうじゃないか。

カミさんも「もうすぐハリー・ポッターの2巻が出るしシーフォートも出るし、楽しみだわ」とか言っている。「ハリー・ポッターは2巻が良かったら3巻は英語版を買って読もうかしら」とまで言っている。ううむ、私の方に厄介事が飛び火してこなければいいのだが。英語に関しては、前にもあったからねえ。

今朝は妻子が先に起きて階下に下りていったので、息子を保育所に送っていかねばならないかと思って私も下りてゆくとカミさんに「朝ご飯2人ぶんしかないんだけど」と言われてしまった。有り難くそのまま寝るのである。次に起きたのは昼前である。カミさんは入れ替わりにお昼寝モードに入ってしまった。

私が自分の用事をしていると、窓の外でバラバラッという音が聞こえた。雨のようである。慌ててベランダに上がり、洗濯物を入れる。かなり大粒の雨だったので、少し濡れてしまった。今日は息子を保育所に迎えに行くのは私がやる予定だったのだが、雨が降っているのでカミさんに車で行ってもらう。有り難いことである。

家に帰ってきたカミさんは上機嫌である。「早売りのヤンマガに載っていたイニDが美味しかった」そうである。なんでも、京一から涼介への「ホットライン」というのがタイトルだったそうで。「車の中で読んでて踊っちゃった」そうである。まさか、走りながらは読んでいないだろうな。

今日は私が息子を寝かせる。寝るときは私が良いようなのである。彼は寝室に入ると、積み重ねてあるカミさんの同人誌を見て「はだかや」とか言っている。ううっ「なんで、みんな、はだかなん?」などと訊かれても、父ちゃんは答えかねるのだよ。



9月10日(日)
今日も早起きして通信する。以前書いた天野宗歩について面白い記事を教えてもらった。ううむ、こういうサイトがあるとは、ネットは広い。

階上で息子が目覚めた気配がしたので起こしに行く。彼の第一声は「りゅーが、さんのとこ、いったなー」であった。昨日もThinkPadで将棋を指させたのだが、3一龍で彼の勝ちになったのを覚えているのである。よくそんなことを覚えているもんだね。その後も彼は「おうが、ふたつ、あったなー」とか「シンちゃん(仮名)のと、むこうのと、あったなー」とか続ける。昨日、指しながら教えたことが(かなり歪んだ形とはいえ)頭に入っているのね。

居間に下りて、息子がPCを触りたがるので遊ばせる。かなりの間遊んでから、彼は空腹を訴えた。「パン買いに行こか」と言って用意をしていると、彼は「しんどいー」と言って愚図りはじめた。ガス欠かと思ってチーズを食わせても状態は変わらない。熱は無いようなんだがなあ。仕方がないのでお茶を飲ませて寝室に上がる。布団の上に横にして頭を撫でていても、ずっとグズグズ言い続ける。彼が泣きながらカミさんにくっついていったので、彼女が起きてしまった。彼女がホットケーキを焼き、食わせる。彼はグズグズいいながらも食べていたが、野菜ジュースを飲むと「シンちゃん(仮名)、げんきになった」と言って立ち上がった。やっぱりガス欠だったのか?

私が自分の部屋に入っていると息子が下りてきて「れーる、だして」と言う。先日、カミさんがプラレールを出して遊んでやったのに味をしめたらしい。これだけの細々した部品を組み立てるのは面倒臭いなあ。できないと言うと、彼はビービー泣く。カミさんに聞くと、彼女が昨日、今日これで遊ぶ約束をしたらしい。何で私がそれをやらなきゃいけなんだよ。カミさんは私を「苦手なことはやらへんのやから…」と責める。いや、苦手じゃないんだよ。面倒臭いだけなんだ。誰かさんみたいに、パソコンの設定ができないからやらないというのとは違う…と言おうかと思っていたら、彼女は「じゃ、私、出かけるから」と言って出ていってしまったのだった。彼は泣き止まない。うーん、しゃーないなあ。けっきょく私が出して組み立てるのである。カミさんの思いのままの結果になってしまうのだ。

同じ軌道の上を繰り返し電車の模型が走っているのを見ていると、眠くなってきた。疲れているときに単調な刺激というのは禁物である。思わず気を失う。まあ、「思わず」じゃなくて気を失うというのはあまりないと思うのだけどね。カミさんが帰ってきて、寝るように言われる。しかし動けない。彼女は息子に、私を寝室に連れていくよう指示する。私は彼に手を引かれて寝室に行くのである。布団の上に横になって、息子に「一緒に寝よ」と言って抱き寄せようとしたが、彼は逃げて行ってしまったのであった。

気がつくともう夕方である。雨は上がっているが、またいつ降るかわからない状況である。これでは買い物に行けない。考えてみると、この土日も一歩も外に出なかったな。これは「引きこもり」というやつなんだろうか。

狼谷辰之  新書館ウィングス文庫
なる
¥620+税  ISBN4-403-54021-X



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