2001年 1月上旬の日記
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1月1日(祝)
新世紀である。エアカーはまだ飛び回っていないが、うちの会社の周囲では高層ビルの間を縫ってハイウェイが走っている光景が見られる。まあ、子供の頃に夢見た風景とはかなり違っているような気もするが、現実というのはそういうものだ。思えばこの半世紀は「単純に物質的欲望を満たせばシアワセになれるわけではない」ということを確認した時代だったかもしれないな。それを自らの身体で体験した我々は、ある意味幸運であったといえるんだろう。本能の欲求を満たしたその向こうにあるものを見てしまったのだから。しかし、もう2001年ですか。信じられませんねえ。2001年の元日と言えども、昨日の今日でしかないのは当たり前のことなんだけどね。21世紀を迎えたその瞬間、私が何をしていたかというと、コタツに入ってボーッとテレビを見ていたのだった。

昼前になって起きだして、おせちを食べる。それを片づけ終わると、カミさんはお昼寝に入ってしまった。そして息子が「おうち、かえりたい」とか言いだした。こりゃ大変だ。電車に乗せるしかないか。私の父母も孫と出かけたそうだったので、祖父母と息子・孫の4人で外出することにする。息子は今日もまだ「はんしんでんしゃ、のりたい」と言っている。うーん、運が良ければ乗れるかもしれないけどねえ。直通特急の、それも半分だろうから、確率的には四分の一くらいかな。往復だと、乗れる可能性は半分くらいか。

往きに乗ったのは山陽電鉄の特急だった。まあ、帰りに期待しましょうか。駅からショッピングセンターまでタクシーで移動したのだが、途中で私の通っていた小学校の側を通ったので息子に「父ちゃんの通てた小学校やで」と言ったが、彼にはまだ理解できないわな。校舎もすっかり建て替えられていて、当時の面影もまったくないしなあ。

私の両親は、私の妹の結婚式が今年の3月にあるので、そのときに私の息子が着る服を買うつもりなのである。ショッピングセンターに着いたが、子供服売り場に行くために人混みの中を歩いていると、早くも息子が「つかれた」と言いだした。売り場で服を着せてみようとしても愚図る。こういうときは気を逸らすしかないか。オモチャ売り場に行くことを提案する。そこでプラレールを見つけると急に元気になるのは予想通りである。息子は「らぴーと」や「そにっく」を一つずつ見ては手に取っていたが「のぞみさんびゃっけい」を見つけると、もうそれを放しそうにない雰囲気になってしまった。買うのに決めてしまったようである。実は以前に私の両親にレール付きのセットを買ってもらっていたのだが、遊びすぎたのか扱いが荒かったのか、先日壊れてしまったのである。それ以来ずっと欲しいと言っていたので、これで良かったのだろう。

息子の機嫌が直ったので、彼の服を選ぶ。ブレザーと半ズボンである。3月に半ズボンは寒いかもしれないが、ホテルに着いてから着せればいいじゃないかということになった。それより何より、1回だけのためにこれだけ高価い服を買うのも何だかなあ、と思うのだが(ウチの両親は七五三にも着せるつもりだったようだが、それは母方の祖母が作るそうなんである)まあそれが楽しみで生きてるようなもんだからな(おいおい)。

帰りに駅で待っていると、反対方向に向かう特急電車がやってきた。これが、阪神電車だったのですね。これに乗れれば息子は満足だったんだろうが、時刻も遅いので反対方向に行くわけにも行かない。そして、我々の待っているホームにやってきた特急は山陽電鉄の車両であった。けっきょく、息子は往復とも阪神電車には乗れなかったのだった。



1月2日(火)
今日は実家から我が家に帰るのである。息子は早くから「おうち、かえりたい」と言い続けている。そんなにウチがいいのかねえ。最初の食事をして早々に実家を出る。私の両親と地元の神社に詣でてから電車に乗った。私の両親は孫と一緒に街まで出たかったようだが、小雨が降ってきたので断念したのである。そして、そこにやってきたのは山陽電鉄の車両だった。

我が家の最寄り駅について、家まで歩き始めると息子が「しんどい」「あるけへん」と言いだした。おいおい、そんなに泣きわめいて飛び跳ねていて「疲れた」もないだろう。両親が「置いてくで」と言いながら歩くと、泣きながらもついてくる。けっきょく、泣きながら家までの道を歩き通したのであった。もちろん両親は笑いながら歩いていたのであるが。

今日は寝る前に息子は「となりのトトロ」を観せてもらっている。最近、半分ずつしか観せてもらっていないので、「さいごの、おうたまで、みていい?」などと何度も言いながら観ている。うーむ、途中までしか観せてもらえなかったことが、よっぽど哀しかったと見える。彼はネコバスが鉄塔から降りてくるシーンを観て「おへそと、おなかと、おちんちん、みえる」とか言っている。そうか、ネコバスってオスだったのね。どうりで女の子が乗ると嬉しそうだと思ったんだ(こらこら)。



1月3日(水)
一昨日の日記を読んだカミさんに、妹の結婚式は今年だったんじゃないかと言われてしまった。あ、そうだった。聞いたときには翌年だったのだが、息子の服を買いに行った時点では当年になってましたわね。訂正しておきましたのでよろしく。

今日は8時過ぎに目が覚めた。起きてみると、なぜか洗濯機が回っている。カミさんは寝てるのだが…さっきまで起きてたのか? だったら昼過ぎまで起きてこないよなあ。濡れたまま暗くて狭いところに放置しとくと雑菌が繁殖して逆効果だからなあ…ということで干すことにする。しかし寒いっすねえ。主婦も大変だ。

今日はカミさんの実家に挨拶に行くつもりだったのだが、疲れているなら後でいいと言ってくれたらしい。有り難いことである。明日から仕事なので、あちこち移動しまくってそのまま仕事に突入することになるかと思うと憂鬱だったのだ。私みたいな人間には、楽しみで移動する人間がいるということが信じられなかったりするのである。いろんな趣味嗜好の人間がいるということは分かっているんだけどね。

昨年、ゲイツ氏は510億ドルの損失を出したそうですが…日本円に換算すると約6兆円ですか。スゴイですねえ。私のような貧乏人には想像もつかない数字だな。だって、私の100万年分の稼ぎなんですもの(爆笑)。いや、冗談じゃなく。私も計算間違いじゃないかと思って検算してみたんだが、残念ながら合ってるみたいですね(激笑)。それだけ損したということは、その数倍のカネを持ってるということですからねえ。はあ。

薄着でウロウロしていたせいか、背中が凝ってノドが腫れている。これは、風邪を引いたかな。抵抗力が落ちているからねえ。明日から仕事なんだが。



1月4日(木)
今日から仕事始めである。今朝も自転車で走っていると交通量が異様に少ない。やはり、今日明日は休む人が多いんだろうな。ビルの同じフロアにある会社なんて、「9日より営業します」などと貼り紙がしてあった。こういう会社もあるというのにねえ。たまには「あーっ、そろそろ仕事がしたいっ!」と思ってしまうくらい休みたいものである。でも、入院して半月休んでも、仕事がしたいとか思わなかったからなあ(爆笑)。

出社して半日は、引っ越しした荷物の荷ほどきで半日潰れる。そして、いきなり東京の仕事の打合せがあるのである。おかげで先月の報告書などを書いていたら22時過ぎになってしまった。初日からコレかよ。

今日も昨年から引き続き通勤中に20世紀SF 2 1950年代 初めの終わり」を読んでいる。最後の「サム・ホール」(ポール・アンダースン広田耕三)を読み終えたが…うーん、読んでてダレてしまった。このネタでこんなに引っぱる必要はあったのかねえ。コレでこの本は読了だが、ワタクシ的には「1940年代」の方が圧倒的に面白かったなあ。1950年代の方がSFは盛んだったと書いてあるんだけど。



1月5日(金)
今日は東京の客先の仕事で電話会議の予定だったので、それが終われば早く帰れるかなと思っていたのだが、その後に大阪の客先に行かされて22時半まで仕事をしていた。年明け早々こんなに働かされたんじゃ身体が保たないよなあ。

昨日から祈りの海グレッグ・イーガン山岸真:ハヤカワ文庫)を読んでいる。まずは「貸金庫」を読み終えたが、これは素晴らしい。「こういう人間」(いや、「人間」じゃなくて「人格」か)を設定することにより、まったく違う「ものの見え方」を体験させてくれる。読んでいてゾクゾクする。ものすごく緻密に世界を構築しているように感じて、これほどスリリングな作品にはなかなかお目にかかれるものではないのである。帰りに次の「キューティ」を読み終えた。これはこんにちは赤ちゃん東野司)と同じく、バイオ技術で「後腐れのない」赤ちゃんを作っている世界の話だが…今の世の中の流れだとこういう話が出てくるのは必然なんだろうけど、なんだかやりきれませんなあ。

何だか、今日は妙にカミさんの愛想がよい。茶碗に入っているご飯を食べてしまったら自分で注ぎに行かなくても注いできてくれるし、食べ終わると甘いものを勧めてくる。どうしたんだろう。何だか気味が悪い。よく考えると、明後日にイベントがあって一日家を空けるんだった。オマケに夜は21時からイニDの映画の試写会があって帰ってくるのは真夜中過ぎになるそうなんだった。まあ、昨年暮れの冬コミが年末ギリギリになったので参加しなかったからねえ。楽しみなんだろう。



1月6日(土)
ある日(今日だけど)、たわむれに「www.yaoi.com」というURLをブラウザに入れてみて驚いた。うぎゃー、何じゃこりゃー。良い子は絶対に真似をしないで下さい。激しく後悔すると思いますので。

昨夜は、居間のコタツの中で寝てしまっていた。妻子が起きて下りてきたが起きられない。甘いものを食ってそのまま寝てしまったので、口の中が酷いことになっている。カミさんに食事をするのに邪魔だと言われても動けない。何だか、ずいぶんヒドイ言われ方をしているようだが、よく理解できない。やっとの思いで起き上がる。息子がやってきて、言った。
「さんびゃっけい、もらって、よかったね」
「誰にもらったん?」
「とーちゃん…」
こらー、それを買ってくれたのは、じーちゃんとばーちゃんじゃないか。恩を忘れちゃいけないぞ。

食後に息子は、タンスに掛けてあるマジックテープのダーツを指して言う。
「これ、もらったん」
「誰にもらったん?」
「たっきゅーびん…」
こらー、これもじーちゃんばーちゃんじゃないか。

私が起きたのを見て、カミさんは息子を保育所に連れて行くように言う。まあ普段息子の世話をしてないから仕方ないか。息子を自転車に乗せて保育所に向かう。今朝も寒い。しかし、ショウガ蜂蜜というのは効くねえ。息子は起きたときにはあんなに激しく咳をしていたのに、今はすっかり治まっている。医者からもらった薬では、なかなかこうはいかない。民間療法の方が効くことがあるのは体感的に真実である。

家を出るのが遅れたので、保育所に着くのも遅くなってしまった。しばらく休んでいたせいか、息子は今日も部屋に入ると私にくっついてくる。私が帰ろうとすると、しがみついて一緒に部屋を出てくる。けっきょく、今日も泣きながら別れたのであった。

今日はデジカメで撮った動画データをQuickTimeからMPEG4に変換していた。データ量は1割以下になるが、映像の品質は低下する。S-VHSの標準モードからVHSの3倍モードにダビングする以上の画質低下である。まあ、テープの場合は水平解像度が半分でテープスピードが3分の1になるだけだからね。

明日の大阪でのイベントに参加するために木根さんがいらっしゃった。カミさんにいろいろと「課題図書」を読まされているようである。そういえば前回、私も「次回は鉄コミを読まないと家に入れてやらない」とか言ってたような記憶があるのだが(笑)。bk1なら予約書籍が一冊でもあれば全て送料無料になるらしいですよ。

久しぶりに小松左京先生のホームページに行く。「今月の動静」のページに昨年の11月以降の情報が載っていない。何だか、ひじょうに不安である。不安なので、パピレス「小松左京短編全集【1】──地には平和を」「小松左京短編全集【2】──影が重なる時 」を買ってしまった。地には平和をお茶漬の味痩せがまんの系譜三界の首枷あたりって大好きなんだよな。こういう名作群をテキスト形式で「所有」できるなんて、何と幸せなことであろうか。そう、テキストデータで持ってると、本当に所有していると感じるんだよな。やっぱ、私ってちょっとヘンかしら? 本なんて、かさばるし探すのが大変だし、時間が経つと黄色くなっちゃうからねえ。まあ、電子データが将来的にも読み出し可能かどうかはわかったもんじゃないんだが。まあ、とりあえずZAURUSに入れて読もう。値段が1作ほぼ100円の短編が7〜11本で720円だったのもあって買ってしまったのである。「お安くなってます」というのに弱いんだよな、私ゃ(爆笑)。でも今よく見ると、【1】は1割安くなってるだけじゃないか。好きな作品をバラで買った方が安かったなあ。勢いがついちまったので地球文明人へのメッセージまで買っちまった。ああ、やってもーた。



1月7日(日)
息子が起きた。眠い。カミさんはもう木根さんとイベントに出かけている。息子は独りで階下に下りてゆく。母親がいないので「かーちゃーん」と泣き声が聞こえてきた。うー、起きにゃならんか。まだ9時じゃないか。

起きて下りてゆくが、息子はもう父親嫌いモードに入ってしまっている。母親がいないと、恋しさのあまり父親が嫌いになってしまうのである。私が食事の用意を始めると、ラムネ菓子の袋のところに行っていじりだす。食べたいらしい。「ご飯食べてから!」と言うと拗ねる。2人分のパンを焼いて食卓の上に乗せても食べようとしない。けっきょく私が2人分とも食べてしまったのだった。

息子は私の側に寄ってきて「ぼく、ととろ、すきやねん」などと言う。「となりのトトロ」のビデオが観たいらしい。母親に私と一緒に見るように言われたなどというようなことまで言う。うー、カミさんてば家を空けるからといって息子にそういうことまで言ったのか(後で本人に確かめたら否定していたが)。そうなるとこっちも見せてやる気が失せる。「買い物に行くぞ」と言っても行かないと言う。私が外出する用意をしていても何もしようとしない。もう勝手にしろ。「大人しくしとれよ」と言い捨てて家を出てゆくのである。家の外に出てしばらく中の様子をうかがうが、泣く気配も追いかけてくる気配もない。そろそろ「意地」というのが出てきたかな。

ビタミン剤と野菜ジュースを買い大急ぎで家に戻ってくると、息子はケロリとして出迎えに出てくる。後腐れがないのはこの年頃のせいだろうか。しかし彼は私に向かって「おとなしく、してたよ」と言った。ううっ、こちらの言うことを聞かないのでトトロは見せるつもりはなかったのだが、そう言われると見せざるを得ないじゃないか。

トトロを見終わると、息子は腹が減ったと言いだした。パンを焼いて食わせる。けっきょく私は2食続けてパンを食うことになるのである。

雨が降っているので夕食は外に出ずに済まそうかと迷ったのだが、けっきょく近くのファミレスに父子で食べに行くことにする。傘を持って玄関を出ると、かなり小降りになっていた。息子は「あめ、やんだなー」と言って嬉しそうである。やはり外に出たかったのかな。帰りにコンビニに寄ってアイスクリームを2つ買う。ささやかな贅沢である。

今夜はカミさんは夜中まで帰ってこないらしいので、私が息子を風呂に入れて寝かせる。ちょっと寝るのが遅れたので息子が寝かけたところに帰ってこないだろうかと心配していたのだが、どうやらそういうことはなかったようである。



1月8日(祝)
ときどき、Windowsの起動時に「スタックオーバーフロー。System.iniのMinSPsの設定値を増やすか、最近インストールしたvxdを削除してください」というエラーが出る。しかし、System.iniの中を見てみても「MinSPs」という記述が無いのである。無いものは増やしようがないじゃないか。このOSを作ってる奴は馬鹿だよなあと思うひとときである。そもそも、いきなり説明なしで「System.ini」とか「vxd」とか言ったって、ふつうのユーザにはどこにあるかもわからないと思うぞ。私ゃここで調べたけど。

今夜も外食で焼肉を食うことになる。車で行くので、ついでに木根さんを駅まで送ってゆくが、終電までは余裕があるということで木根さんも焼肉食い放題に参加することになったのであった。途中で木根さんが帰りの切符を買うために安売りチケット屋の近くで降ろすが…その間に車を停めておく場所が無かったのでカミさんは有料駐車場に入れた。なんだか、全体的には得をしてるのか損をしてるのかわからないな(笑)。

焼肉を腹一杯に詰め込み、木根さんを駅の前で降ろして家路につく。カーステレオから永遠にゴスペラーズ)が流れてきた。カミさんが「シンジ(仮名)もこの曲、好きだって言ってたわよ」と言ったので「これもいいですけど、私はB面(とは最近は言わんが)の『夏風』の方が好きなんですけど…」と応える。家に着いて玄関に入ると息子は「わすれないー、いーとしーさもー、せーつなさもー」と歌いはじめた。「夏風」である。自分の子供が自分の好きな曲を好きになってくれるというのは嬉しいものだねえ。それで子供をスポイルしちゃいかんけど。すかさず上をハモリにいく。嬉しいのでちょっと声がうわずってしまう。早く親子でコーラスできるようになりたいものである。

今夜は息子が母親と寝ると言ったのでカミさんが寝かせるつもりだったようだが、風呂から上がる「とーちゃんと、ねる」と言いだしたので、けっきょく私が寝かすことになる。寝室に入り、布団の中で絵本を読み終えて電灯を消すと「かーちゃんが、いいも!」と言いだした。何だよいったい。なんか、ここ2日で嫌なことを思い出したか? そのうちに「おしっこ」と言って階下に下りていってしまった。母親を連れてくるかと思ったが、彼は一人で戻ってきた。まだグズグズ言っているので、彼の布団に寝かせて掛け布団を掛ける。その後もしばらくクスンクスン言っていたのであった。



1月9日(火)
今日も朝から東京である。昨日は休日だったので、先日と同じく今朝も5時に起きねばならない。いちおう5時に起きたことは起きたのだが、カミさんに「お姐さんのページ、引っ越ししてたわよ」と言われて見に行ってたりしたら家を出るのが6時直前になって、けっきょく乗った電車は先日と同じだった(爆笑)。まあ、間に合うことはわかっていたからいいんだけどね。新大阪では走ったけど。

今日も移動中に引き続き祈りの海グレッグ・イーガン山岸真:ハヤカワ文庫)を読んでいる。まず「ぼくになることを」を読み終えた。いやー、これも凄かったっすねえ。永遠の生命を得ようと単純に考えればこうなっちゃうんだろうけど、作者はそういう無邪気で楽観的な考えを粉々に打ち砕いてくれる。「自分とは何か?」──この哲学的な問いを見事に描いている。やっぱSFと名乗るならこれくらいやらないといけないっすよお。何でみんなこういう作品を描かないんだろうかと思ってしまったくらいでございました。(描かないんじゃなくて描けないんだろうけど)

続く「」を読んでいて「やられたー」と思ってしまいましたな。そういうネタだったのか。確かにアレの原因が現在考えられているようにこういうことならば、科学的手段を用いてそれを制御することも考えられますわな。そうすると、関係者にとってはアイデンティティの問題になってしまう。目のつけどころがクールである。それに、私ごときが言うのも何だが、最新の動向を多方面にわたってよくフォローしてますよねえ。SF作家を名乗るなら当たり前だけど。

帰りの新幹線に乗っていると、窓の外でパラパラと音がしはじめた。雨が降ってきたようである。しかし、窓に水滴は見えない。たしかに地面は濡れているし雨の当たる音はするのだが。しかし名古屋駅に近づいてスピードを落とすと、窓に水滴が現れはじめた。時速200km以上の速度のもとでは、雨は水滴として存在し得ないのであろうか。

家に帰ると妻子は寝ていた。着替えるために寝室に入っていくとカミさんが小声で「いま寝たとこ」と言う。しかし、私が入っていくと息子が「びっくりした」と声を上げた。ああ、なんてタイミングの悪い。寝室を出て下りてゆくときに、背中で「早よ寝ろ!」というカミさんの声を聞くのである。

息子は保育所の同世代の子供達に弟妹ができることが多くなっているせいか、母親に「かーちゃん、あかちゃん、できへんの?」と訊いたりするそうである。しかし彼女が「そしたら母ちゃん、1週間くらい2回病院に行かなあかんで。その間、父ちゃんと二人で居てくれるか?」と言うと、小声で「シンちゃん(仮名)もいっしょに、いく」言い「それは無理やな」と応えられるとベソをかいて「あかちゃん、いらへん」と言ったそうである。まあ、キミとしては賢明な判断でしょう。でも将来、本人に何か言われたときのためにここに記録しておくのである(苦笑)。



1月10日(水)
今日は人間ドッグ…じゃなくて人間ドックの日なのである。よく間違えるのである。「人間犬」ってのは問題あるよなあ。ウチの会社の人間は時間にルーズで遅刻が多いことに対して検査機関からクレームが来たと総務からお達しがあったので、遅れないほうがいいだろう(笑)。しかしそれでも問診票には記入してこないし、便は2回採取してこなければならないのに1回分しか採ってないし、悪い客であるな。問診票は検診の合間に記入すればいいのだが(いつも暇だからね)、便は後日採取して郵便で送ることになった。

しかし、最近は洋式トイレばかりになったので便が採りにくいですよねえ。そう思いませんか。ふつうに出すと水の中に沈没してしまう。みんなどうしているんでしょうかね。前後反対にまたがって用を足せ、などと書いてある説明書も見たことがあるが、ちょっとねえ。肛門洗浄機能のコントロールパネルなどが便器の横についていると無理だし。

毎度ストレスが溜まるのが採血と胃のX線検査である。今回は採血がちょっと痛かった。例年は針がほとんど抵抗なくスッと入ってくるのだが、今回は容器を取り替えている間もずっと針が刺さっているのを意識していた。早く終わってくれー。

胃の検査では、今日はずいぶんゲップをこらえるのが苦しいな…などと思っていたら、さらに「胃を膨らませる薬、もう一回飲んでください」と言われる。「胃下垂の人は胃がよく伸びますからねえ」と言われてしまった。うがあー。その状態で、検査台の上で何回も身体を回転させられたり、検査台を倒されたり立てられたりひっくり返されたりするのは非常に辛い。それに、飲んだバリウムを無理矢理排泄しなければならないというのもストレスである。身近では検査が苦しかったという話ばかりで、あんまりこの検査のおかげで助かったという話は聞いたことがないのだが、果たしてこの検査は受診者全員に与えるストレスの総量と病気を早期発見できることのメリットとどちらが大きいのであろうか。そのへんを総合的に判断してやるかやらないか決めてほしいものである。検査をやっている側は経営の問題になるから絶対に止めようとはしないだろうからね。

オプションの体力測定にも参加したが、予想していたこととはいえ体力が落ちている。ほぼ暦年齢と同じ体力年齢になってしまった。筋力などは「やや劣っている」である。この2年間で10歳くらい老け込んだことになってしまうなあ。この間にやらされた仕事の無茶さを考えると仕方がない部分はあるのだが。しかし、それよりもショックだったのは高脂血症だと言われたことである。いままで血液検査で異常値が出たことはほとんど無かったので、これは予想外だった。渡された小冊子によると、喫煙・肥満・運動・食事・ストレスがイカンらしい。うーむ、最後の3つに関してはバリバリに該当してるよなあ。ここ数ヶ月、朝から夜の22時23時まで仕事で座りっぱなしの生活をしてたし(休日も無かったし、あっても疲れて動く気がしない)、ストレスが溜まって夜中にチョコレートのヤケ食いをしてたのが致命傷ですねえ(憫笑)。もう1ポイント数値が高ければ治療の対象だと言われてしまったのだった。

会社に帰って仕事をしていると、腹筋が痛くて痛くてどうしようもない。「30秒で腹筋を何回できるか」というのをやったせいである。やはり、ここ数ヶ月ほとんど運動をしていないのがたたっているよなあ。なんとか運動しなければいけないのだが、今度は東京の仕事が3月くらいまで地獄の状況になりそうだからなあ。大阪の仕事もまだ残ってるし。

今夜も東京の仕事で23時過ぎまで仕事をしていた。地下鉄の時間が怪しいし、フロアで最後になると戸締まりをしなければならないので慌てて会社を出る。しかし、ビルを出てしばらく歩いたところで気がついた。「あー、傘、忘れたー」次にいつ会社に戻ってこれるかわからないのに。

昨日、東京から帰ってくる途中から「ビヨンド ザ ビヨンド」(牧野修:ログアウト冒険文庫 1995)を読み始め、今日読み終わった。あの鬼才牧野修氏によるゲームのノベライズである。これは読んでみるべきでしょう。あの秋山瑞人氏もノベライズをやっていたくらいだからね。しかし、どうも面白くない。あの、魂をあっちの世界へ引き込んでしまうような文章の魔力が感じられない。そのかわり、あとがきがスゲエ面白いんですな(笑)。やはりこの人はワクがあるとダメなタイプなんだろうか。そういう意味では、ノベライズで実力を満天下に知らしめた秋山瑞人氏の実力というのは大変なものではありますな。

狼谷辰之  新書館ウィングス文庫
なる
¥620+税  ISBN4-403-54021-X



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