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11月11日(火) 
今日は朝から京都で仕事なので6時にカミさんに起こされる。家を出る前に、移動時に読む本を探していたら少し遅くなってしまった。短い時間で読める短編小説は移動時間が短いふだんの日に読みたいのである。そういうことで、今日は移動中に「モニター上の冒険X」(渡辺浩弐:電撃文庫:→【amazon】)を読む。

これは近未来の…いや現実に起こりつつある、我々の感覚に変革をもたらすテクノロジーの数々についてのルポルタージュ、の形をとったフィクション(だよな?)である。この作品じたいが、どこまでが本当でどこからがウソかわからないような作りになっているのも巧い。さすがに12年前の作品だけあってレポートの内容が古くなっている部分もあるが、全体としてはそれほど古くなっていないのは偉いものである。

最初の「テクノ・ドラッグ」の章で描写される「ビデオ・ドラッグ」の説明を読みながら、リングの「例のビデオ」の描写を思い出していた。やはり、心の奥の方の部分に触れられるような落ち着かない感じ。本来、意味のないものに意味があるようなないような感覚。あれが、あの恐怖感の要素の一つでもあったのだろう。

まあ、最後の方はネタが尽きたのか、かなりトンデモの方に行ってしまってるような気もしたが…というか、わざとやって舌を出している作者の顔が見えるような気もする。リアルだからといって信じるんじゃないぞ、という。ひょっとすると、この作品に描かれていることがすべて真実であると誤解した読者がかなりいたんじゃなかろうか。そう深読みしてしまうくらいの出来である。

…あ、この人も1962年生まれであったか。

今日は通勤中に「KOYANAGI the COVERS PRODUCT 2」(小柳ゆき:→【amazon】)を聴いている。恋のフーガ」が良かったのでこのアルバムはチェックしておくべきでしょう。聴き始めて2曲目の「異邦人」が力の抜きすぎでちょっと気色悪い。らしくない。その他にも「キャンディ」とか、オリジナルに引きずられすぎのような気がする。原曲は気にしないで新曲のつもりで歌った方がいいと思うんだがな。でも、全体的には聴きごたえのあるアルバムでした。カバーだから、曲が揃わないといって悩むこともないしね。ただ、リミックスで3曲も水増しするのはやめてほしい。曲が足りないわけじゃないんでしょう。ラクしちゃいけない。これじゃ、全体としては高い点はつけられないなあ。

家に帰って食事をしてからパソコンをいじり、寝る前に息子にオシッコをさせるために妻子が寝ている部屋に入ってゆくと、カミさんが「7時?」と訊く。いやいや、まだそんな時間じゃないですよ…でも、娘はどこだ。さっきカミさんの隣の布団に寝かせたはずなのだが、そこにはいない。ベビーベッドの上にもいないのである。彼女は私に向かって「レイぽん(仮名)、こっちに連れてきて」と言う。おいっ、さっきアナタの横に置いていったじゃないですか。まさか、カミさんが食っちまったんじゃ…そう思って頭の中がパニックになっていると彼女は「あ、ここだった」と言って自分の布団をめくってみせる。そこには娘が両手を広げて寝息を立てていたのであった。どうやら、猫式授乳法で乳をやっていてそのまま眠ってしまっていたらしい。驚かせないでくださいよぉ。



11月12日(水) 
今日は通勤中に「てぃだ〜太陽・風ぬ想い〜」(夏川りみ:→【amazon】)を聴いている。デビューアルバムだそうである。いろいろなタイプの曲が入ってはいるが、何となく遠慮がちで、どれもこれも中途半端な印象がある。いちど挫折したうえでのデビュー作となると、こういうものなんだろうか。さすがに最後の「涙そうそう」は心への響き方が違うが。

またMicrosoftのパッチが。私は職場で4台、家で2台のマシンに当てなければならない。いいかげん、Microsoftにロス工数の損害買収請求をすべきだよな。今回はOfficeも対象で、パッチを当てるのにCD-ROMを要求される。これは不正使用しているユーザへの嫌がらせですか。てゆーか、CD-ROMを探し出してくるだけでも大仕事でしょう。ウチの会社みたいにライセンスをまとめて買っていてCD-ROMは1枚、なんて客は大変だよな。正規に買ったけど、CD-ROMなんて使わないからどこに行ったかわからないというユーザも多いんじゃないだろうか。

今日は早めに仕事を終えて(といっても19時半になっていたが)息子の誕生日のプレゼントを買いにジュンク堂に行く。当初は宇宙に関する学習マンガでも買ってやろうかと思っていたのだが、どうもあんまり読んで面白くない。悩む。ひょっとするともう今週中にここに来ることができない可能性もあるからな。

悩みながら児童書や学習参考書のコーナーを廻っていたら学研のキットボックスシリーズがあるのを見つけた。これはいいかもしれない。どうせカミさんもプレゼントに本を買ってきそうだから本ばかりというのはバランスが悪い。それに、これを見てると自分が小学生の頃に「○年の科学」が好きだったことを思い出してしまったんだな。この日本が現在科学技術でやっていけてるのはあの雑誌の力もかなりあるんじゃないかと思うくらいに。それに、頭で覚える知識ばかりじゃなくて手も動かさないとダメだ。パッケージには「理科の成績が上がる!」とか書いてあるが、個人的にはそういうのはどうでもいい。逆にそういう目的を前面に出すのはイヤンな感じさえする。とにかく子供には科学的なものに興味を持ってほしいのである。

それで、このシリーズから何を選ぶかだな。まだ6歳(いや、これを手にするときには7歳か)だから、1回組み立てて動かしておしまい、というのでは困る。末長く楽しめないとな。それに、実験するのにいちいち説明が要るのもダメ。7歳児なりの思考力でも楽しめるものでないといけない。いちおう対象年齢は6歳からということみたいなんだが、それでもモーターとかはまだ早いような気がする。彼は手先が不器用なので壊れにくいという条件も必要だ。息子の興味も考慮して「じしゃく」を選ぶ。大阪市立科学館に行ったときに売店で磁石のオモチャを欲しそうにしてたからな。

そして、先日「残像」(星野之宣:ヤングジャンプCOMICS 1982)を古本屋で買ったときの日記を書いていて文庫版(→【amazon】:→【bk1】)が出ていることを知り、それを探していたら見つかってしまったので、ついフラフラと買ってしまう。同じ作品でもバージョンが違うものを欲しくなってしまうというのは人間として問題あるでしょうか。まあ、それだけ好きな作品だということで。

この作品を最初に読んだときはショックだった。よくこういうこと思いつくなというセンス・オヴ・ワンダー。そして、泣かせるドラマ。それがこの短い枚数の中に共存している。齢を取ってスレてしまった今読んでみると甘い部分も目につくのだが、それでもこれは歴史に残る傑作には違いない。いやー、文庫版のあとがきも泣かせますな。それだけでも買ってよかった

精算するとき、レジの上に「ジブリの無料冊子」というのが置いてあったので、それももらって帰る。1人1冊までだそうだ。店を出てパラパラと読んでみると、字ばっかりじゃねえか。しかも、書いてるのは外部の人ばかりみたいだし。この内容なら「ジブリファン必携」というわけでもないと思うな。熱風というんだそうだ。もう11号なのか。

家に帰って買ってきた本を机の上に置くとカミさんは「導きの星?」と訊く。いや違うんですよ。でも、そんなに楽しみですか。そして「熱風」の方の表紙を見て「あ、宮崎駿?」と言う。え、わかりますか。さすがですな。

OS抜きで8万9700円のノートですか。中古を買うくらいなら、これもいいかもしれない。OSは余ってるのとかLinuxを入れればいいんだし。ドライバは付いてるのかな。IEEE1394が付いてないようなのが少し残念だけど。それでも、ノートは買いたいけどWindowsは使いたくないというユーザのためにこういう製品はあってしかるべきだよな。

うーん、久々に物欲を刺激される製品が出てきたなあ。米粒に58個乗る部品F1マシンなどで利用されているカーボンファイバー積層素材ですか。ソニーはこういう製品を創るのが本当にうまい。しかしこの美しいマシンを私利私欲のためにこんなにも醜くしてしまうMicrosoftという会社は、なんと罪深いのであろうか。地獄へ堕ちろ



11月13日(木)
今日は通勤中に「インソムニア」(鬼束ちひろ:→【amazon】)を聴いている。なかなかテンションの高い内容だが、全編これで通されると年寄りはちょっと疲れる。個人的には「月光」だけで充分、という感じだな。

朝、満員電車に詰め込まれていると、胸の携帯がブルった。上司からである。以前サーバを設定したユーザでトラブっているという。それでそのまま客先に向かう。昼抜きで調べたのだが、よくわからない。ただSCSIのエラーが出ているのがちょっとイヤな感じ。けっきょくハードウェアを調べてもらうことにして帰る。昼飯を食い、本社に帰る途中で梅田駅前ビル地下の古書店街を通って、1冊100円の棚にSF系の文庫がまとめて出ていたので3冊ほど購入する。図書券も1枚477円になっていたので20枚購入。相場が下がったのかな。一時的なものじゃなければいいんだが。

3冊買った本の中に「太陽風交点」(堀晃:徳間文庫 1981:→【amazon】)があった。これも個人的にはベスト短編集のひとつなのに、自分で買ったものは実家に置いてあるはずなのだ。そして収録作品をSL-C700に入れている読了リストと照合してみると…ほとんど一致してない。すると、次に読むのはこの本だな。帰りに解説を読んでいたのだが…いやー、小松先生の解説、力が入ってます。この解説のためだけでもこの本を買う価値があると思うぞ。

引き続き「目を擦る女」(小林泰三:ハヤカワ文庫 JA:→【amazon】:→【bk1】)を読んでいる。今日は「未公開実験」を読み終えた。いやー面白い。理屈が通っているのに、いや理屈が通っているからこそおかしい…ってのは今まであまり読んだことのないタイプの作品だな。笑える作品にもかかわらず、緻密に論理的整合性が考慮されている。すげえハードだ。タイムパラドックスについて、これだけ真摯に考えた作品は意外に少ないんだよな。SF業界の人にファンが多いディックの作品でも私が突っ込んでしまえるくらいだからな。



11月14日(金)
今日は通勤中に「Please Please Me」(The Beatles:→【amazon】)を聴いている。Let It Beリミックスされて発売されるらしいので、この機会に一般教養のためビートルズのアルバムを一通り聴いてみようかと思ったのである。そういう気分になるところも老化現象かな。まずはデビューアルバムである。いやー、荒々しくて元気があるねえ。私ゃ小学校に入るかどうかの齢だったから当時の音楽事情はよくわからないんだが、これだけノリがいい音楽は画期的だったのかなあ。

会社でトイレに入り、個室で上着を脱ごうとして気がついた。なんか手触りがおかしい。それでよく見ると、上着とズボンが違うじゃないかぁ。うわーっ、やっちまったよ。前回は家を出たところで気づいたのだが、今日はぜんぜん気づかなかったな。しかも、上は夏服である。それも、「こういうコーディネートをしました」というような組み合わせならともかく、客観的に見てどうにも配色がヘンだ。こういう格好で1時間の道程を会社まで来てしまったとは、知らないということは恐ろしい…というよりも、格好を気にしなさ過ぎだよ>オレ。原因を考えてみるに、どうも新しい家の中が薄暗いせいのような気がする。前の家では明るかったからこういう経験はなかった。これは今日一日、あまり動かないようにしよう。帰りも寄り道せずに家に帰るべきだな。

今日も通勤中に「目を擦る女」(小林泰三:ハヤカワ文庫 JA:→【amazon】:→【bk1】)を読んでいる。今日は「予め決定されている明日」を読み終えた。これはタイトル通り決定論がテーマの作品だ。決定論の決定論たるところをより極端な形で提示しているところがSFである。これも前作と同じく、緻密に論理的整合性が考慮されている。こういう作品は好みだな。日本でいま最もイーガンに近いんじゃないかと思った私の直感は正しかった。ただ、何度も書くが作者本人の嗜好が別の方面にあるように見えるのが個人的には残念なところではある。

といいながら今日、SL-C700でちょっとした空き時間に少しずつ読んでいた小松左京氏「迷い子」を読み終えた。道を歩いているとなぜか動物がついてくる少女。成長するにつれ、ついてくる動物がだんだん大型化してきた。そして、ある日彼女が連れてきたものは「空を飛ぶ機械」だった…うーん、こういう機械はもう現実になってるからなあ。それほどのインパクトはない。アイデアは面白いんだけど。

目を擦る女」を読み終えたので、昨日古本屋で買ってきた「太陽風交点」(堀晃:徳間文庫 1981:→【amazon】)を読み始める。まずは「イカルスの翼」であるが、のっけから細かい描写に気が配られているのに感心する。こういうちょっとした細かい描写で「宇宙にいるんだなあ」というリアリティが増すのである。でもこれ、月着陸から30年後の話なんだよな。ふつう月まで行ってから30年も経てば惑星間は航行できるようになってると思うよなあ。それが現在こういう状況であるというのもセンス・オヴ・ワンダーではある。

ロボット用のOSですか。面白そうだね…と思ってたら、それがデジカメや家電に入ってるんですか。ひえー、汎用のリアルタイムOSなんですな。TRONじゃなくて。へぇ〜。それに、こういう情報とか読むと、この時代に生まれてきてよかったと思うよなあ。宇宙に出て行けてないのは残念だけど。

気がつくと、今夜も食卓の前で倒れてしまっていた。これで3日連続である。かなり疲れが溜まっているようだ。娘を連れて2階に上がって一緒に寝たのだが、彼女はすぐに泣きはじめる。腹の上に乗せてあやしても泣きやまない。けっきょく、どうしようもないのでカミさんのところに戻すのであった。



11月15日(土) 
疲れている。昼過ぎまで寝ている。カミさんは午前中に妹さんとユニクロに行くということだったので娘は私の横に寝かされていたのだが、ずっといい子にしてくれていたようだ。有難いことである。カミさんが帰ってきて娘を回収していった。13時か。私も起きることにする。

階下に下りてゆくと、息子が見慣れないオモチャをいじっている。今日は彼の誕生パーティをするので、母親と一緒に出かけて私の両親からもらった金でゲームとかを買ってもらったらしい。「勝ち残り大作戦」、「ぐるるんローラータワー」というゲームにダーツ(矢ではなくてマジックテープ付きのボールを投げるもの)そしてキャッチボール用のボールと、もらった金は全部使ってきたらしい。これはまたしばらく相手が大変だな。

そういうことで今夜は息子の誕生パーティを開催する。カミさんの妹さんは外出しているということで、お義母さんも参加される。食事をしてからケーキのロウソクに点火して吹き消し、プレゼントの贈呈である。私からは先日買ってきたキットボックスシリーズの「じしゃく」、カミさんからはギアブロックである。彼女は自分のプレゼントが私のものよりも何倍も高価いと不満げであるが、こういうのは値段じゃなくていかに子供に喜ばれて成長に役立つか、なのですよ。その点には自信がある。思った通り息子はキットボックスの箱を開けて砂鉄が磁石に吸い付くのを見て喜んでいる。反発力で空中に浮くというのや複数の磁石が連動して動くというのも飽きずに何度も試している。選ぶときに悩んだ甲斐があったというものだ。

祖母からは「ザスーラ」(→【amazon】:→【bk1】)という絵本と、ことわざかるた。カミさんの妹さんからも後日渡されるらしい。すごい量だな。さすがは小皇帝。これじゃ使わないものも出てくるんじゃないかなあ。私らなんか、貧乏だったし両親の実家から遠かったんで、両親合わせて1個もらえればいい方だったんだよな。山のようにもらえるのが幸せかどうかはまた別問題だが。



11月16日(日) 
昨夜はビールを飲んで早く寝てしまったので、今朝は9時に目が覚める。階下に下りてゆくとすぐにカミさんが起きてきて、オンリーがあるので行っていいかと訊く。「萌えの種を拾いに」行くそうなのである。そんなことしなくても、萌えだったらアナタの脳からどんどん涌いてきてるような気がするんですけどねえ。まあ、娘も手がかからなくなってきたし、育児のストレスも負担になってるみたいだから、行けばいいんじゃないですか。これ以上家庭内の雰囲気が荒むのは避けなければ。

そう言いながらも、カミさんはまたすぐに寝てしまう。昼前になっても起きてこないので、行かないでいいのかと起こしに行く。大丈夫ですかー?

カミさんが出ていき、娘を寝かせてパソコンをいじっていると、息子が横にやってきて遊んでくれる人がいなくてつまらないと言う。それだったら友達と外で遊んでこいと言うと、「友達、おらへんもん」と応える。うーん、寂しいヤツめ。というか、オレは別に友達なんぞいなくても遊んでくれる人がいないとは思わなかったぞ…というのも人間として問題ありますかそうですか。

息子が外で遊んでほしいというのを、彼の妹の世話をしなければならないということで母親が帰ってくるまで待たせる。それで、カミさんが帰ってきてからキャッチボールである。生意気にも変化球を投げようとしているようである。昨夜、一緒に寝ていて変化球の種類と投げ方を訊いてきたのはそういうことだったか。こら、ストレートも真っ直ぐ投げられないくせにそういうことをするんじゃない。

歳のせいか白髪が増えてきた。もう自分で抜くのが間に合わないくらいである。それで夜寝る前に息子に白髪を抜いてもらう。抜き方を忘れているんじゃないかと思っていたのだが、最初は時間がかかったけれども抜きはじめるとけっこう順調に抜いていく。11本抜いたところでもう見つからないという。いくらでもあるはずなんだけどな。1本抜けば3円なので、33円の報酬である。53円渡して釣りを返すように言ったのだが、彼は釣り銭の意味を知らないようなのである。説明して20円を返してもらったが、まだ理解できてないようだ。買い物の経験もほとんどないようだからねえ。箱入りも過ぎれば良くないのである。



11月17日(月) 
今日は通勤中に「With the Beatles」(The Beatles:→【amazon】)を聴いている。当時の「エド・サリヴァン・ショー」とかを観ていてしのばれる当時のまったりとした音楽事情からみると、この破壊的なまでの荒々しさというのは衝撃的だったんだろうなあ。

昨夜息子に白髪を抜いてもらったのだが、職場に着いてから確認してみると、目立つところにある気になっていた白髪はほとん見えなくなっている。11本抜いただけなのに、偉いものである。

今日は通勤中に「太陽風交点」(堀晃:徳間文庫 1981:→【amazon】)巻頭の「イカルスの翼」を読み終えた。水星よりも太陽に近づく小惑星イカルスの上でいかに生き延びるか…なんだかアーサー・C・クラークがやりそうなネタですな。

続いて「時間礁」を読み終えた。銀河系から六千万光年。誰も来たことのないはずのこの星域で、超空間飛行から戻った通常空間でSOS信号を発していたのは、その船が積んでいるはずの連絡艇だった。そしてそこに乗っていたのは主人公の死体…なんと魅力的なシチュエイションであろうか。いやー、エンディングがいいですねえ。最後の3行が泣かせる。

帰りに「Hyper hybrid organization 01-03 通過儀礼」(高畑京一郎:電撃文庫:→【amazon】:→【bk1】)を買う。おおー、生きてましたか(こらこら)。前巻が出てからそろそろ1年になるから、いいかげん次のが出ないかなと思ってたところだったんだ。そう思って調べてたら、前巻が出たときも「生きてるんだろうか…などと気になってはいたんだが」と書いていた。これで生活していけてるんだろうか。いや、電撃hpにも連載してたはずなんだけど…あれは単行本化されないんだろうか。

おおっ、LANカードとUSB2.0が一緒になったすごいカードというのがあるのか(製品名もスゴイカードというらしい)。これだよこれですよ。これが使えるなら、ThinkPadのWindows2000化計画が実行に移せる。よし、今度の連休にやってみよう…って、本当に時間があるのか?



11月18日(火) 
ビートルズばかり続けて聴くのも何なので、今日はユーミンのデビュー作「ひこうき雲」(荒井由実:→【amazon】)を聴いている。これも一般教養として一通り聴いておくべきでしょう。私の頭の中にある印象よりかなりぽっちゃりした歌い方だが、まあまだ若いからこんなものか。でも、デビューしたときは衝撃的だっただろうなあ。サポートメンバーにも人材が揃っていることがうかがえる。こういうのも才能が呼び集めてしまうんだろうな。

ただ、ずっと聴いていると、いくら天才が創ったものとはいえ、センスで勝負しているぶんだけ、今になって聴いてみると物足りない部分も耳についてくる。「空と海の輝きに向けて」などはやりたいことに基礎体力が追いついてないよなあ。

引き続き「太陽風交点」(堀晃:徳間文庫 1981:→【amazon】)を読んでいる。今日は「暗黒星団」を読み終えた。立方晶系状に配置されたブラックホールと、その中心に隠されている惑星系。その惑星の生態系の謎を解くため、主人公は重力潮汐の平衡線に沿って落下していく…

この作品と小松先生結晶星団とどちらが先だったんだろう。調べてみると、この作品の初出が1976年結晶星団」が1972年だから、やっぱり小松先生の方が先か。まあこっちは星団を構成するのがブラックホールになってたり遺伝情報の解析というテーマがあったり、新しいネタが付け加えられたりしているのだが、逆にそのために理論が強引になっているかなという気がした。これはさすがに大風呂敷を広げすぎかと思いながら読んでいたのだが、最後の1行が凄い。これだけですべて許せてしまうな。SFは「画」である。



11月19日(水)
今日は通勤中に「A HARD DAY'S NIGHT」(The Beatles:→【amazon】)を聴いている。すげえ。ちょっと聴いただけでも前の2枚より音楽的に一皮むけたというか、明らかに次元が違う。たぶん私がこの時代に生きていたとして、1枚目2枚目は単にうるさいだけと思ったかもしれないが、これを聴けば認識を改めざるをえないだろう。

引き続き「太陽風交点」(堀晃:徳間文庫 1981:→【amazon】)を読んでいる。今日は「迷宮の嵐」を読み終えた。今回は連星系である。その惑星には無数の横穴が走っており、次々に二分岐して迷路を形成しているという。そこで強風に吹き飛ばされた研究者を救出するため、主人公はその星に赴き迷路の中を探索することになる。まあ、途中でネタは割れるのだが、それでもこういう壮大な話はSFのキホンですね。この作品もラストで深く頷かせてくれる。

そして、この惑星は連星の共通重心に向かっているという。そういう不安定な軌道の惑星が存在し得るものだろうかと思ったのだが、最後まで読むとその回答も用意されていた。さすがである。

今週はいつもより早く退社できている。今日は帰りに乗り換えるためJR環状線のホームに上がってゆくと、ちょうど電車が発車するところだった。私のすぐ前を歩いていた数人が走りだすが、その前でドアは閉じかける。それで諦めたようだが、他のドアで客がつかえたのかまた開こうとする。それでまた飛び込もうとするが、入れない。それを2回くらい繰り返した。私も走らなくてよかったと思ったのだった。

それでホームの一番前で電車を待っていたのだが、何だか駅の中がざわついている。向かいのホームで、内回りの方が電車が少ないので反対回りでもそれほど距離が変わらない人は外回りに乗るようにとアナウンスされている。そういえば向かいのホームで待っている人も普段より多いようだ。

外回りでラッキーだと思っていたのだが、そのわりには電車が来ない。次に来た電車はこの駅止まりだった。それが車庫に入ってしまっても、また電車が来ない。いつもなら数分間隔で来るんだが。そのうちに後ろにはびっしりと人が立っている状態になってしまった。どうやらまた人身事故があったらしい。

次に来た電車はまたこの駅止まり。どうなっているんだ。ホームの上が人でいっぱいなので降りた客がうまく流れずに、最前列の私たちにぶつかってくる。その電車が発車するときに、白線の内側を歩くなと駅員が大声で叫ぶ声がスピーカーから響く。大阪の人間はそういうことは気にしない。かなり不穏な雰囲気である。私の横では爺さんが怒って虚空に向かって大声で文句を言っている。迷惑なことだ。

やっと、この駅止まりでない電車がやってきた。私は最前列だったのですぐに乗れたのだが、この先に行く電車が30分ばかり来なかったので客も殺気立っている。ものすごい力で押してくる。ホームの上では駅員が次の電車を待てと叫んでいるが、次の電車がいつ来るかわからないと思っている客たちには通じない。それ以上入れなくなってやっとドアは閉まったが、今度は残った客に電車から離れろと叫んでいる。騒然とした雰囲気の中、すし詰めの電車はゆっくりと動き始める。

途中の駅に着き、私たちが乗り込む前から乗っていた女性が「降ります」と声を上げるが、大きな荷物を持っているので荷物がついてこない。途中まで行ったところで人の動きが逆流してしまい、動けなくなってしまう。この駅で待っている客も強引に乗り込んでこようとするでしょう。近くにいるオバチャンが「降りられへんねえ。かわいそうに」とか言っている。次の駅で降りられたようだが、それからどうしたんだろうか。ここから戻るのも地獄だよな。

けっきょく、一人のストレスが限界に達するとこうやって多数の人間に圧力をかける。全体としては、鬱屈したものがどんどん溜まってゆく。破局は意外と近いのかもしれないぞ。

うがー、Microsoftのパッチにバグがあるってか? これじゃ安心してパッチなんて当てられないよなあ。じっさい、私もスクロールがうまくいかなくなって困っている。Webサーフィンしてるときは、ふつうスクロールするのにマウスを使うでしょう。しかも、このパッチをアンインストールする方法がよくわからないのである。「アプリケーションの追加と削除」を開いても、該当する番号のものはみつからない。いったいどうなってるんだよ馬鹿野郎。オレみたいな薄々の一般人でも簡単に元に戻せるようにしろってんだ。



11月20日(木) 
今日は昼から京都に移動するので曲数の多いものをということで「広瀬香美THE BEST“Love Winters”」(広瀬香美:→【amazon】)を聴いている。聴きはじめて、あらためてこの人はキャッチーな曲を数多く書いてきたのだなあと思う。この人の曲はサビが命。数多くCMに起用されているのもうなずける。ただ、聴いていて展開の予想がつかない。サビに入ってようやく「ああ、この曲か」と思う始末なのである。オープニングとサビが頭の中でつながらない。別々に作ってくっつけてるんじゃないだろうかという気さえする。

京都への移動途中にジュンク堂に寄って「ブラックジャックによろしく 7 がん医療編 3」(佐藤秀峰:モーニングKC:→【amazon】:→【bk1】)を買う。発売日は今日だったのだが、昨夜はまだ出てなかったのである。やはりこれは買っておくべきでしょう。

そしてタワーリング・インフェルノ明日まで1500円だということでポイントで買えないかとヨドバシにも寄ったのだが、見つけることができなかった。まあいいや、どうしても欲しいというもんじゃないし。DVD買っても観る暇がないからな。

今日は移動時間が長いので長編を読もうということで、「Hyper hybrid organization 01-03 通過儀礼」(高畑京一郎:電撃文庫:→【amazon】:→【bk1】)を読んでいる。「悪の組織」をリアルに構築しようとしているところが嬉しい。たしかに今までの正義の味方モノでは悪の組織の一員の日常生活なんてあんまり読んだことがないからな。

帰りに読み終えた。たしかに読ませてくれるが、まだまだ話は半ば。起承転結でいうと「承」くらいである。本格的な盛り上がりはまだまだ先。こんだけ待たされてこれじゃ、欲求不満も溜まるというものである。作者にはもうちょっと頑張ってほしい。

そろそろV9戦士が亡くなるような時代になったんだなあ。あの頃私は子供だったから、例に漏れずジャイアンツのファンだったんだ。今はアンチ読売、アンチ阪神なんだけどね。

うーむ、最新のロボットはこうなってますか。やっぱり今はロボットがいちばん面白いなあ。

新書館ウィングス文庫 狼谷辰之 
 対なる  【Amazon】
【bk1】
ISBN4-403-54021-X ¥620+税 



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