2001年 3月下旬の日記
▲3月21日(水)▼
今朝も息子は機嫌が悪い。ヘロヘロである。カミさんが休まそうかと言ったくらいである。それでも、例によって朝食を口に入れるとマシになる。これなら保育所に行けそうかな。
今日も通勤中に「影が行く」を読む。タイトル作の「影が行く」(ジョン・W・キャンベル・ジュニア/中村融)を読み終えた。ちょっと文章は読みにくかったが、さすがに名作と呼ばれるだけのことはありますな。そして読んでいて思い出したのだが、たしかこの作品は読んだことがある。たぶん、中学生くらいの頃に図書室で借りて読んだような気がする。「敵」がもうちょっと暴れてくれたような記憶があるんだけどね。
今日までに資料を作って明日の午前中に東京に移動する予定だったのだが、どうにもこうにも今日中に資料が出来上がりそうにない。明日中に資料を作って夜に移動し、明後日の朝から東京で打合せをするように調整する。午前中に移動するんだったらラクだったのになあ。
今夜は22時過ぎまで仕事をしていたので、家に着くと真夜中近い。とうぜん息子はもう寝ている。それでも今日はカリ城のヴィデオソフトを借りてきて観ていたので寝かせるのが遅くなったそうである。カミさんと話していると、階上から泣き声が聞こえてきた。どうしたんだ。寝室に上がってゆくと、息子が泣きながら立ちつくしている。「おなか、いたいー」と言っている。まあ、そんなに酷い雰囲気ではない。押さえても痛がらないので医者に行くほどのことはないだろう。居間に連れて下りたが、母親の膝の上で落ち着いてきたので座布団を出してきてその上で横にする。すぐに眠ってしまった。これなら大丈夫だろう。
▲3月22日(木)▼
今日からまた東京に出張である。ThinkPadのデータをFIVAにコピーする処理は昨夜のうちに済ませている。しかし、いくらFIVAが小さいとはいっても着替えや出張セットを詰め込むと鞄がパンパンになる。重いのである。会社から先はさらに資料を入れた紙袋が増える。そんなことを言ってると、一泊ぐらいならパソコンなんて持って行かなくても、とか言われちゃいそうだな。まあ、ワシもそう思うけどね。
今日も大阪で仕事。昼休みに職場近くのビルの社員食堂に潜入して定食を食う。定食が野菜炒めだったのでそれにする。食ってると口の中がイヤな感じになった。脂身だ。やはり370円ではいい肉は使えないよな。でもまあ、高級な肉も霜降りとかいって脂肪が多いんだよな。あれはやはり柔らかいから高価いんだろうか。脂肪の旨味がいいということもあるのかなあ。柔らかいのがいいというのなら、脂肪が少なくて軟らかい肉というのは作れないだろうか。スポーツ選手でも柔らかい筋肉がいいと言うし、牛でもできそうな気がするんだけどなあ。運動させてその後にマッサージをするとか、運動をさせずに低周波で筋肉を刺激して脂肪を減らすとか。かなり高価くなりそうな気がするが、他に無ければ売れるんじゃないだろうか。価格で勝負できなければ特徴を出さなければ……こんな馬鹿なことを考えるということは、疲れているようだな>オレ。
通勤中に引き続き「影が行く」を読んでいる。今日は往きに「探検隊帰る」(フィリップ・K・ディック/中村融)を読み終えた。なかなか皮肉な作品でしたな。でもこれ、ホラーなのかなあ。確かにちょっちいやーんな感じではあるのだが、怖くはないでしょう。続いて東京への新幹線の中で「仮面」(デーモン・ナイト/中村融)読み終えた。これもなかなかスゴかったですね。生身の肉体を失うと、こういう風になっちゃうのかねえ。次の「吸血機伝説」(ロジャー・ゼラズニイ/中村融)は我々と異なる存在にとっての「魔物」の話なのだが、こういう話には私はまったくリアLィティを感じないのだ。「そーですか」で終わってしまうよなあ。そして新幹線の中では長編を読もうということで「アロマパラノイド」(牧野修:角川ホラー文庫)を読み始めたが、名古屋を過ぎたところで寝てしまった。今回はあの、精神を根こそぎ引っ張って行かれるような文章の魔力は感じられないかな。
◇ ◇ ◇
どうにもこうにも資料が完成しない。定時以降までやってもまだ整合性の取れていないところがある。これだけの期間でこれだけの資料をそろえるのは不可能だよな。仕方がないので、ある程度の完成度で送って職場を出る。新幹線が東京駅に着いたときには22時過ぎであった。私はギッシリと並んでボーっと待っているのが嫌なので、こんな時間でも出入り口のところが空くまで座っているのである。早く立ち上がって並んだって、前に人が詰まってるんだから一緒だと思うんだがなあ。後から出てもすぐ追いついちゃうし。網棚に乗せていた荷物を取ろうとして立ち上がると、座席の上に分厚い財布が落ちているのを見つけた。忘れ物か。カードとかも入っているようである。しかし、拾って関わり合いになるのも鬱陶しいので放っておく。前に課長が拾ったときも手続きにかなり時間がかかったし、その後も落とし主に会社まで訪ねてこられたりしてかなり時間を使ったようだったからね。私は早くホテルにチェックインしなければならないのだ。掃除の人が見つけて適当に処置してくれるだろう。振り返ると、反対側の席に座ってこっちを見ているにーちゃんと目が合った。彼も見つけてたんだろう。
ギリギリまで仕事をしていて帰りの新幹線も予約していないので、JRから地下鉄に乗り換えるのに遠回りしてみどりの窓口のある駅で降りる。しかし、窓口が開いてないのであった。22時までとか書いてある。うがー、明日は金曜日だから直前だと予約できないんだぞー。
ホテルに行く途中のコンビニで明日の朝食を調達する。来週のモーニングに『ΠΛΑΝΗΤΕΣ(プラネテス)』が載るそうである。また買わねばならないな。ホテルに入り、部屋で日記を書く。書き終えて上げようと思ったら、通信できないのである。モデムの設定をいろいろ変えて試してみるが繋がらない。うがー、せっかく書いたのに〜。そうこうしていると、気がつくと4時である。何でこんなに遅くなるのかねえ。
▲3月23日(金)▼
昨夜はインターネットに繋げられなかったので、今朝は仕事場に行く途中の公衆電話からホームページの更新をした。ここまでしてやることもないと思うのだが、重たい思いをしてFIVAを持ってきて4時までかかって書いたものを上げずに持って帰るというのは悔しいのである。馬鹿みたいだけど、クセになるところがインターネットの恐ろしさだな(ホントか?)。
今日は帰りの新幹線を予約していないというのに遅くなってしまった。仕事を終えたのは18時頃である。毎週金曜日の夜の新幹線は出張帰りのビジネスマンで一杯で、当日では指定席を取るのが大変なのである。少しでも早く予約できるように、今日も遠回りして最寄りのみどりの窓口のある駅に行く。しかし、しかしっ、「もう最終便まで予約済みですよ」と、今さら何言ってるんだ、という感じでビジネス切符を突っ返されてしまう。「のぞみは?」と訊くと、1時間半先の便まで無いという。仕方がない、そのまま改札内に入る。東京駅に着いて再び自動販売機で予約を試みるが、やはり全滅である。1時間半先ののぞみの喫煙席が残っているだけである。これは自由席で帰るしかない。出発時間表示のパネルを見て、3本先のひかりに乗ることに決めホームで列に並ぶ。30分以上待つことになるが、本さえ読めれば時間はいくらでも潰せる。
列車が着き、無事座ることができた。東京駅で弁当を買おうとしたのだが人の多さに負けて断念してるので、もう本を読むか寝るしかない。並んでいるときから「アロマパラノイド」を読んでいたのだが、座るとすぐに寝てしまう。やはり疲れているのか。気がつくと車掌さんが検札に来ていた。自由席でも検札するんですか。検察を終えると、またすぐに眠りに墜ちてしまうのである。
京都駅に着いた頃に目が覚める。途中で名古屋と京都だけに停まる便なのである。出発時間だけで選んだのだが、我ながら良い列車を選んだものだ。京都でかなりの客が降り、空席ができたのでトイレに行く。自由席に座っていたら満員だと席を離れづらいからね。新大阪駅に着き、例によって他の乗客が降りてから列車を降りる。ホームを歩きながらポケットの中を確認すると……切符がない。えー、いつもこのポケットに入れているはずなんだが、どこに行ったんだ。他の全てのポケットや鞄の中まで探すが、やはり見つからない。落としたんだろうか。ホームに停まって回送になっている列車の1号車まで駆け戻る。まだ扉は開いている。中に入り、座っていた座席のあたりを探すが、やはり無い。今ここで扉が閉まったら大笑いだな、などという考えが頭の隅をよぎる。いや、一度そういう目に合ったことがあるんですよ。トイレまで行って探すが見つからない。急いで列車の外に跳び出す。閉じ込められては踏んだり蹴ったりだ。「改札で切符を無くしたと言うしかないなあ。どうなるんだろう。自腹を切って払わなきゃいけないんだろうか。いくらになるんだろう。そもそも、どこから乗ったかも証明できないよなあ」などとトボトボと歩きながら考える。またパソコンの買い換えが遅れるよなあ…しかしそのとき、思い出した。検札で切符を車掌さんから受け取ったとき、検札済みスタンプのインクが付いているままポケットに入れるのが嫌で持っていた「アロマパラノイド」に挿んだんだった。いつもなら乗車券と指定券の2枚なのでスタンプを押された面同士を合わせてポケットに入れるのだが、今日は指定券が取れなかったので乗車券だけだったのだ。はあ、ただでさえ遅くなってるのにまた時間を無駄にしたなあ。
家に着いたときには真夜中であった。とうぜん息子はもう寝ている。インターネットでニュースのサイトを廻る。ミール、落ちちゃいましたか。コロニー落としみたいなことにならなくて、とりあえずは良かったというところですか。でもねえ、あれだけの質量のものをあの高さに上げるために投入されたエネルギーの量を考えると勿体ないような気もするんだよなあ。でもあれ、放射性物質は積んでいなかったんだろうか。
そして、このニュースを見て開いた口が塞がらなくなる。61歳のスカートの中に手を入れたんかい、とか思って読んでいたら、現実は私の想像をはるかに超えていた。スゴいですねー。これが町長と市議ですか。
▲3月24日(土)▼
目覚めたら10時だった。昨夜も一昨日の仇とばかりに4時まで通信していたのである。馬鹿である。妻子はもう出かけている。土曜日くらいは私が息子を保育所に連れて行くべきなんだがな。朝食を食べようとするが、食パンがない。妻子はドーナツを食ったようである。1個だけ残っている。仕方がないなあ、食うか。高脂血症を宣告されてから脂肪を控えているので、かなり食い物の好みが変わってるんだな。歳を取ったせいかもしれないが(爆)。まあ、コレステロール過多が原因で死んでも、生命保険には入ってるから妻子が路頭に迷うことはないだろう。
カミさんは帰ってきて昼食を食べると、お昼寝に入ってしまった。私が1階の自分の部屋で自分の用事をしていると、カミさんが起きてきた。もう起きたのか、ずいぶん早いなあ…などと思っていたのだが、地震があったそうである。かなり長い間、大きく揺れていたらしい。そうだったのか。ぜんぜん知らなかった。1階の部屋で立って動いていたからね。それでもニブいですかそうですか。
今日は息子の迎えもカミさんが行ってくれた。今夜は私が息子を風呂に入れる。彼は私と湯船に入ると「えれべーたー、して」と言って私の両腕を身体の前に立てるように言う。そして、それをちょんと触って「あけてください」と言った。ボタンを押したつもりらしい。腕の間を広げてやると、膝の上に乗ってきて閉めろと言う。腕をエLェヴェイターのドアに見立ててるのね。まあ、「ごっこ遊び」というのはフィクションを楽しむことを覚えるためには必要なんだろう。湯船から出ると、彼は自分で身体を洗うと言う。要所で指示しながら自分でやらせる。「じょーず?」とか言っているが、まだ身体全体をまんべんなくは洗えていない。ま、これからだね。最後にビニールタオルを洗ってタオル掛けに掛けるように指示する。彼はタオルの端っこを横棒の上に持っていって向こう側から引っ張り、棒の両側で質量のバランスが均衡して安定した状態になるようにしている。ちょっと前まではタオルを棒に掛けることもできなかったんだけどね。
彼の頭を洗ってから、再度私が身体を洗ってやる。彼は「なんで、ふたつ、あらうん?」とか言っている。キミが洗ったんでは不充分だからだよ…とは言えないので「さっきシンちゃん(仮名)が洗うたから、今度は父ちゃんが洗うねん」と言う。まあ、何とか納得したようである。再度湯船に浸かってから浴室を出ると彼は、迎えに来た母親に「ふたつ、あらってもらった!」と言ったのであった。
今夜は借りてきた「カリ城」のヴィデオソフトを観ている。息子は結婚式のシーンで「●●ちゃん(私の妹)、けっこんしき、するん?」とか言っている。一週間後に私の妹の結婚式があるので、母親から事前にいろいろと言われているらしい。私が彼に「来週、●●ちゃんの結婚式やから、あんな黒くて尖ったん着たん、いっぱい来るで」とか言っていたら、カミさんに椅子を投げられそうになった。「何てこと教えるのよ!」と言っている。うぎゃー、暴力反対。
今夜は私が息子を寝かせたのだが、布団に入ってからも彼は「くるま、おちちゃったな」とか「ふーじこちゃーん」とか言っている。今度は「カリ城」の「なりきり」ですか? でも、泥棒が主人公のアニメなんて、教育上よろしくないような気もするなあ。
▲3月25日(日)▼
9時に目が覚めた。雨が降っている。例によって通信を開始する。今朝はなかなか妻子が起きてこない。嬉しいような心配なような…そして11時過ぎになって息子が起きてきた。かなり飢えているようである。まあ、当たり前だな。日記を書いていたので「ちょっと待って」とか言っていたら、自分で冷蔵庫を開けてキムチを持ってきた。「ぼく、らーめんときむち、たべるねん」とか言っている。はいはい、早く食べようね。
カミさんは13時過ぎになって起きてきた。今日は息子を連れてドラえもんの映画を観に行く予定なのである。今日は私が連れてゆくことになる。インターネットで映画館の場所と上映時間を調べる。ラクになったものである。割引券があったので、それもプリントアウトする。いやいや、すごい時代だ。
カミさんが外出するついでに隣の駅まで車で送ってもらう。目的地の駅に着き、階段を下りているとホームに伊勢志摩ライナーが入ってきた。出発するまで息子と一緒に見ている。ちょっと遅くなってしまった。息子の手を引いて映画館まで急いでいたら、「ゆっくりいって」と抗議された。映画館に入り、窓口に割引券を出す。すると、ねーちゃんが言った。「立ち見になりますけど」「え? …次は?」「6時20分です」うぁ…4歳児に2時間以上の立ち見は無理だろう。息子に伝えたが、そうゴネもせず納得してくれた。ちょっと物わかりが良すぎるような気はするんだけどね。
カミさんと合流し、スーパーに買い物に行く。今夜は映画を観た後に外食する予定だったのだが、惣菜を買って家で食べることになる。家に帰ってパソコンをいじっていたら、眠そうに見えたのかカミさんに押し倒されて眼鏡を取られてしまった。そのまま寝てしまうオレもオレだな。気がつくと息子が私を起こそうとしている。「とーちゃーん、おきてー」とか言っている。私の首を持ち上げようとしたり背中に乗ってきたりする。ううー、起きられないよー。そうこうしているうちに彼は父親が起きないといって泣き出したのであった。へいへい、起きますよって。
今日も私が息子を風呂に入れたのだが、湯船に入っていると彼の左の鼻から黒い血がトロッと出てきた。鼻血か。あんまり温めちゃいけないな。今日はシャワーで身体を流してすぐに上げるのである。
息子は寝る前に「えいが、おそかったん?」とか訊いてくる。「そうやな、行くん、ちょっと遅かったな」と応えるが、彼はさらに「ろくじやったら、おそかったん」とか言っている。あ、そうか。映画を6時から観るのは遅かったのかと訊いていたのか。それでも観たかったんですか。でもやっぱり6時からは無理だよ。母ちゃんが来週の平日に連れて行ってくれると言ってるから、そのときに行きなさいね。
▲3月26日(月)▼
今週末に結婚する私の妹だが、漫画家をしていたことがあるのである。はるか昔、高校時代に2作読み切りを描いてそれっきりだったのだが、試しに彼女のペンネームをサーチエンジンにぶち込んで検索してみると…見つかるのである。何てこった。15年以上前にデビューした作家のリストとかを作っている人がいらっしゃるんですねえ。インターネットおそるべし。
今日からまた一週間仕事である。息子は今朝、私が出て行くときに「行ってきます」と言っても無反応だったのだが、居間を出たところで追いかけてきて「はやく、かえって、きてね」と言う。そして、母親に「『はやくかえってきて』ゆーたよ」と報告しているのであった。そう言うように教えられているのか?
今週の仕事の元になるデータが入手できるのが遅れるということなので、今日は早く帰る。日記のネタがないので帰りに堂島近辺の本屋を何軒か廻る。ジュンク堂で「E.G.コンバット 2nd」を見つけたのでカミさんのために買う。そして、あちこちで話題になっている(私の廻ってるところだけか?)「新世紀未来科学」も買ってしまう。ハードカヴァーは買わないはずなんだが、これは通勤時に読むような本ではないからね。でも、やっぱり一度は全部目を通しておくべき本だよなあ。特に私のような薄々の一般人は。それから「梶原一騎伝」(斎藤貴男:新潮文庫)を買った。私らの世代は少年時代にこの人の作品にどっぷり浸かって育ったようなもんだったからね。しかし、今日だけで図書券を10枚も使ってしまった。こんな、ローマ貴族のような金の使い方をしていいんだろうか?
「E.G.コンバット 2nd」は、ホワイトデーに何もできなかったのでその穴埋めにするのである。今年のヴァLェンタインデーにプレゼントはもらってないが、たしか昨年はお返しをしてなかったからね。しかしこの本、bk1でもamazonでも注文できなくなっているようである。私が買ったのは初版だったから、運良く在庫があったんだろうな。これほどの素晴らしい作品が入手できなくなるなんて、世の中間違ってるよなあ。
今夜はカミさんが息子を寝かせてくれる。しかし、二人で寝室に上がっていったのはいいが、しばらくすると息子が下りてきた。「おしっこ」だそうである。上がる前に済ませたんじゃないのか。案の定、少ししか出ない。用を足すと彼はまた上がって行ったのだが、しばらくするとまた下りてきた。いったい何なんだ。
▲3月27日(火)▼
今朝も息子は調子が悪い。シャキッとさせるために冷水で顔を洗わせるとか乾布摩擦とかやらせた方がいいのかなあ。それでも例によって朝食を食べ出すと普通の状態になってくる。で、食事をしていると、どうも異臭がする。古い家の床下のような、臭い。「すえたような臭い」というのかな。カミさんに言うと「この前の地震で家が壊れたということはないわよね」と言う。「そのへん、結露してるし」とも。うう、ひょっとするとあるかもしれない。この前まで雨漏りしてたらしいから柱が腐ってる可能性もあるしなあ。まだローンも残ってるというのに。修理するとなると百万単位で金がかかるだろうなあ。とてもそんな余裕はないぞ。しかし、壁のあたりを嗅いでみても、そういう臭いはしないのである。犬のようにそこら辺をクンクン嗅ぎ廻って発生源を突き止めた。台拭きである。こういうもので食卓を拭いていたんじゃ逆効果なんじゃないのかなあ。「たまには漂白剤で消毒したら」と言うと「手が荒れるもん」と言われてしまったのであった。そういや、我が家ではゴム手袋を見たことがないな。
しんどいので今日は昼から出社することにする。とか言いながらも、昼までWebを巡回してるのである。1〜2時間寝るのも半端だしなあ。そういえば第3回SFオンライン賞が発表になっていたんだった。けっきょく私の推した作品は一つも受賞していない。やはり私の趣味はフツーじゃないんだ。長篇は『猫の地球儀』ですか。ワタクシ的にはSFとしてはそれほどスゴいとは思わないんだよな。小説としては凄いですけど。まあ、そういう意味では私が投票した作品もSFとしてはそれほど新しいアイデアはないよな。中短篇のイーガンは惜しかったね。あの本に入ってる作品の票を集めればダントツだったのに。それでも私の評価がいちばん低かったタイトル作が最上位というのも私の趣味の異常さをものがたってるんだろうな。しかしスゲエな、あの短編集に入ってる作品のほとんどがランクインしてるってのも。まあそれで票が割れたというのが敗因なんですけどね。ゲーム部門はガンパレが圧勝ですか。順当なのかな。
宅配便が来た。カミさんの4月1日合わせの同人誌ができてきたそうである(結婚式の翌日に東京のイヴェントに行くそうなんですな)。彼女が読んでほしそうにしているようである。今回は自信があるんでしょうな。読まずに夫婦に亀裂が入るのも何なので読んだが、なかなか良かったっすね。タイムスリップ物だが、SFじゃないんでタイムスリップは設定として使ってるだけですけど。まあそれでも、時間モノというのは切なくなりますねえ。
宮崎駿先生の新作の製作報告会が行われたそうですが、「もののけ姫」からもう4年経ってるんですね。
官房長官が「政策に関心を持たずに投票する人が多い」」とか言ってるらしいが、票を金で売る方がよっぽど政策無視だと思うんだがなあ。それより何より、あんな首相の選び方しかできん政党の政策なんて信用できないというのが国民の総意なんでしょう。事実、選ばれたのがアレだし。
今日も早く帰ろうと思っていたのだが、退社する直前にゴタゴタがあって20時過ぎになってしまった。家に着いたのは21時過ぎである。しかし、今日は息子が玄関まで下りてきて出迎えてくれた。「ぼく、あたま、ちょきちょき、したねん」とか言っている。おお、結婚式に備えて散髪したのか。「おふろで」したとか言っているので母親に刈ってもらったのか。散髪屋に行くようなことを言ってたんだがなあ。まあ、そういうことにコストをかけることはないでしょう。「ここ、ぞりぞり、したねん」とかも言っている。ほう。「ちゃんと、じっとしてたか?」と訊くと「うん。かしこかったよ」と応える。そうか、偉いなあ、キミは。
今夜は私が息子を寝かせる。絵本を読んでやって電灯を消してしばらくすると、彼は「おしっこ」と言って起き上がる。「そうか」と応えると「とーちゃんと、いく」と言うのである。起きてトイレに連れて行く。寝室に戻ってしばらくするとまたトイレに行くと言う。いったい何なんだ。そのうちに彼は「ねられへん」と言って愚図りだした。そんなに目をこすってて、眠くないわけがないだろう。あんまりグズグズ言うので、「また本読もか」と言って2冊目の本を読む。読んでいる間もゴシゴシと目をこすっている。読み終えるとすぐに私の布団を出て自分の布団の上に横たわる。布団を掛けてやると、すぐに静かになったのであった。
▲3月28日(水)▼
今朝、目覚めたのは7時過ぎだった。インターネットを巡回しているとすぐに妻子が起きてくる。息子は「映画に行くぞ」と言われるとすぐに飛び起きたそうである。今日はカミさんが東京のイヴェントに行く切符を買うついでに、保育所を休んでドラえもんの映画を観に行くことになっているのである。やはり、そういうものか。私は早めに朝食を済ませ、妻子が食べている横で必死で日記を書く。息子は食事を終えるともう、着替えてリュックを背負って出発の体勢である。洗濯物を干すために階段を上がってきた母親をさしおいて、先に玄関に下りてゆく。楽しみなんだねえ。
今日は仕事からの帰りにやっと「アロマパラノイド」を読み終えた。読むのが遅いのでやはり長編は時間がかかるな。で、この作品、部分的には凄いのだが、読み終えたときには「何だったんだろう?」という感じでしたな。何か、全体的にまとまりがない感じ。
今夜も家に帰り着いたのは22時近くである。今夜はもう寝ているかなと思っていたのだが、玄関に入ってしばらくすると階上からドタドタいう音が響いてきた。「どなた?」とか言いながら下りてくる。後でカミさんと「なりきり」をしてるのを聞いていて気がついた。それ、クラリスの台詞だったのね。彼はなんだか凄くテンションが高い。私が食事をしている間も、そのへんを走り回っている。映画館でもらったキーホルダーやパンフレットの付録の万華鏡のようなオモチャ(内側に絵を描いた四角い筒の中で四角錐の鏡を動かすことにより絵が動いているように見える)を持ってきて見せる。少しは静かにしてほしいもんだが。
今日はカミさんが息子を寝かせてくれた。何とか寝るまでに日記を書いて上げるのである。
息子は私が夕食を食べている間に母親に連れられて寝室に上がっていった。夕食を食べ終え、台所のテーブルの上にイチゴがザルに入れて置いてあるのを見つけて食べる。なんだか、下になってた部分がふやけているような気がするなあ……などと思いながら食べ、3個目を手に取って持ち上げたときに気がついた。黴だ。白いのがビッシリと生えている。うげげ、いったい何日テーブルの上に放置してたんだ、こういうナマモノを。えーん、2個も喰っちまっただよー。
▲3月29日(木)▼
今朝は7時半過ぎに起きた。息子は母親に起こされても寝ている。私の布団の中に引きずり込むと目覚めて逃げ出すのである。母親が「父ちゃんと下りといで」と言って先に下りて行ってしまったので、彼は早く下りようと言い続ける。父ちゃんが着替えるまでちょっと待ってくれ。
今日からまた通勤中に「影が行く」を読んでいる。今日は「ヨー・ヴォムビスの地下墓地」(クラーク・アシュトン・スミス/中村融)を読み終えた。これはなかなかの力作でございましたね。
今日は昼休みに職場近くの書店でモーニングを買った。今週号は『ΠΛΑΝΗΤΕΣ(プラネテス)』が載っているのである。2冊積んであったうちキレイな方を選んだのだが、レジに持っていくと紐で括られていないのが出てきたのだった。あら、あれは見本だったのね。
やった! Ultra ATA/100に対応した48GBの2.5インチHDDが出る。これがInspiron 8000に内蔵されたら買うことにしようか。容量が4倍になるなら買い換えの理由としては充分だろう(ホントか?)。
もうすぐ期末で組織変更があり異動してゆく人や辞める人が何人かいるので、今夜はウチの部の納会なのである。イタ飯屋を借り切ったのだが、そこは土地が狭いので扉一枚隔てた外は道路。しかも戸を開けているので、すぐそこを車が走っているのが見えるという環境であった。まあ、なかなか美味かったからいいんだけどね。我々が食ってる間も何組か店内を覗きに来てたし。ワインが美味くて、ついついジュースのように飲んでしまう。そういや、明日も明後日も酒を飲むんだった。大丈夫なんだろうか。そして最後に白くて甘いピザが出てきた。あんまりイタリア料理は食べないので、こういうのは初めてだな。課長が「これじゃ酒のアテにならん」などと言っていたが。
みんなは2次会に行ったが私は帰るのである。家に着いたときには妻子は寝室に入っていたが、階上からカミさんの声が聞こえる。本を読んでいるようだ。寝室に上がってゆくと息子に「あとで、とーちゃんと、ねる」と言われたのでそのまま寝てしまう私であった。
▲3月30日(金)▼
今朝、家を出たところでズボンにシミが付いているのに気がついた。昨夜の料理のオリーブ油だろうか。着替えなきゃいけないな。少し遅れることになってしまうのである。そして、今日も通勤中に「影が行く」を読んでいる。今日は「五つの月が昇るとき」(ジャック・ヴァンス/中村融)を読み終えた。今となってはこのテーマは古いように感じてしまうなあ。
明日は妹の結婚式なので遠方の親戚が今日から泊まりに来ているため、今夜は一緒にお食事をすることになっているのである。こういうことは滅多にないので私も参加するのである。息子も連れて行こうかと言ったらカミさんが途中の駅まで連れてきてくれるというので、父子で参加することになる。今日は定時で退社するつもりだったのだが、例によっていろいろあってギリギリの時間になってしまった。何とか待ち合わせの時間に着いたが、妻子は見えない。待ち合わせのホームを一周したところでPHSにメールが入った。いま家の最寄り駅に着いたそうである。携帯で通信できると、こういうときに便利だね。
無事に落ち合って息子の身柄を受け取る。歩いていると彼は駅の中で展示されている水槽を見つけて私を引っ張って行く。「おさかな、いてる!」と叫ぶ。大きな魚が水草の表面で口をバクバクさせている。食事をしているのだろう。彼は「おっきーなー」とか言って興味深げに見ている。まあ、少し時間があるからこのくらいはいいだろう。さてこれから御堂筋線で新大阪まで行かねばならない。よく考えると、今がラッシュのピークだよなあ。淀屋橋〜梅田間は関西でも最も混雑する区間のはずだ。千里中央行きは混むはずだから、それ以外の列車に乗るべきだな。端の車両も混むからそれは避けなければ…などと思いながらホームに下りて歩いていると中津行きがやってきた。途中で乗り換えなければならないが、これに乗るべきだろう。乗ってみるとギュウギュウというほどのこともなかったのでホッとするのであった。
新大阪に着き、ホームに下りると彼は「おしっこ」と言いだした。手近な階段を下りてトイレに急ぐ。何とか間に合った。またホームに上がってホテルに最も近い階段を探すのも面倒臭いので、そのまま改札を出る。方向さえ間違わなければ大丈夫だろう。しかし、駅の建物の中をそちらの方向に歩いていくと行き止まりになってしまった。ありゃ、何だか嫌な予感がするな。大回りして建物の外に出るが、行くべき(だと私が思っている)方向にはJRの駅が立ちはだかっているのであった。うが、どうすればいいんだ。向こうに行けるルートがないかとJR線に沿って歩いていたが、そういうものは見つからない。諦めてまた地下鉄の駅の方に曲がったが、建物の裏に出てしまったようで入り口がないのである。どうしようかなあ。私1人だったらまだ何とかなるけど、息子が一緒だからそんなに長い距離は移動ができないぞ。今はまだ元気だからいいけど、もう少しすれば疲れて愚図りだすに違いないからな。どうしようかと考えながら歩いていると、そのうちに雨が降ってきた。かなり大粒である。息子の手を引いているので、傘を出すのもままならない。最悪の状況だ…と思って見上げると、そこに目指すホテルの看板が見えたのだった。ああ、息子よアレがホテルの灯だ。
ホテルのロビーで私の両親や親戚と合流し、近所の寿司屋に行く。出来たての店なので建物も綺麗で店員も愛想がよい。部屋に入ると息子はまた「おしっこ」と言いだした。今日は私1人で彼の世話をしなければならないんだよな。トイレに入ると彼は「たかい」と口にする。確かに小便器の位置が高い。大便器が洋式だったので、そちらで用を足させるのである。洗面所で水を受けるところが焼物の皿でできているのを見て彼は「かわってるなー」とか言う。「なんで?」とか訊かれても、そういうデザインなんだとしか言いようがないよなあ。合理的な理由はないと思うぞ。
両親は父の実家の当主である従兄がまだ来ていないので連絡を取らなければと言っている。私のPHSを出し、ZAURUSで父の実家の番号を調べてダイアルして渡すが、室内では圏外になってしまう。母が公衆電話でかけようと出ていったが、店内には公衆電話が無いそうである。仕方がない。母親と一緒に店の入り口まで行って、PHSをダイアルして渡した。ちょうどホテルに着いたところだったようである。
部屋に帰ってくると、息子がいない。室内にいた人間は誰も気にしてくれてなかったようである。私の母親は真っ青になって仲居さんとかに訊いている。どこに行ったんだ? そのあたりを探すが、それらしき姿はまったく見えない。そうこうしていると、トイレから息子がひょっこりと顔を出した。1人でオシッコをしに行っていたらしい。はあ、1人で行けるのは頼もしいけど、驚かすんじゃないぜ。まあ、オシッコしたいときに父親がいないのが悪いんだけど。
私の従妹に連れられて娘さんが来ていたのだが、息子は彼より一つ年上の彼女のことが猛烈に気に入ったようである。彼女に向かって「だいすきやねん」とか言っている。おおおおーっ、口説いているぞ…とか弟と言っていたら、彼はさらに「ぼくの、おうちに、おいで」とか言いだした。す…すっげぇ。熱烈アタックですな。誰に似たんだ、いったい。断じて私ではないぞ。そのうちに彼は彼女の胸とか首筋をコチョコチョしだした。彼女がくすぐったがると、さらに手を膝に……おいおい、そのくらいで止めておきなさい。
息子は仲居さんにもチョッカイを出している。仲居さんが部屋の入り口のところで中腰になって料理の用意をしていると、その後ろからのしかかるようにして手足を広げて「とーしたらへーん」とか言っている。通せんぼをしているつもりらしい。私は弟と二人で「それをして許されるのは今だけやぞ!」と声を上げる。まるで負け犬の遠吠えである。そこで仲居さんが言った。「もう、シンちゃん(仮名)たら、そんなことをして…」おいお前、もう名前を覚えてもらっているのか(泣)。
息子はずっとハイテンションである。大勢の知らない人たちに臆することもなく、そのへんを走り回っている。そして「野性の花」を歌い出したと思ったら廊下の上にひっくり返ってクルクル回り始めた。おやじダンサーズの真似である。何でそんなモノを覚えてるんだ。
帰りはカミさんに車で迎えに来てもらう。彼女は「車、通れるかな?」とか言っている。なんでも、我が家の前の道路を工事しているそうなんである。今日もアスファルトを剥がしていたそうで、何をしていたのか分からないが、凄い振動だったらしい。「風呂の栓が緩んでお湯が抜けちゃった」そうである。そりゃ酷いな。風呂を沸かしてて、それで空焚きになって火事になったら補償してくれるんだろうか。
▲3月31日(土)▼
今朝は3時に目が覚めてしまった。別に妹の結婚式だから緊張しているわけではない。あくまで他人事だ。通信をしているとカミさんが起きてきて髪結い&着付けに行く。「10時までに帰ってくる予定だけど9時半には出かけられる用意をしておくように」と言っていたので息子を起こして食事をさせ、そろそろ用意を始めようかと思っていたら彼女は9時に帰ってきた。何だかずいぶん焦っている。いつの間にか9時半に家を出なければならなくなっているようである。会場で礼服に着替える予定だったのだが、着替えている余裕なんてないと言われたので慌てて着替えるのである。息子はカミさんに私の両親に買ってもらったネクタイ付きブレザーを着せてもらっている。
カミさんが和服を着ていて自由に動けないので家の近くまでタクシーを呼ぶ。待っていると、工事用の車が茶色い霧状の物質を昨日アスファルトを剥がした道路に噴霧しはじめた。我々は呆然とそれを見ている。工事のオッチャンが車は入ってこれないとか言っている。そのうちに、次のトラックが来て茶色く染まった道路の上に砂利を撒きはじめた。どうも、通行止めになっているらしい。タクシーを呼んだ場所まで行ってみたが来ていないようである。工事中の範囲の手前で待っているのだろうか。仕方がない。歩いていくしかないか。ゆっくりとしか歩けない和服姿の女性と余所行きを着た4歳児を連れてガタガタになった道を歩くのである。私もカミさんの荷物を持たされているし新品の靴を履いているので非常に歩きづらい。道には茶色い物質が附着しているので転んだら致命傷になる。数分かかって工事範囲を脱すると、タクシーが停まっていたが運転手が乗っていない。ひょっとして待ち合わせの場所に歩いて行ったのか。私はまたオフロードに乗り出してゆくことになるのである。また数分かけて工事現場を横断し待ち合わせの場所に行くと、やはり運転手さんが待っていた。大変ですねえ。そのとき、カミさんからPHSに電話が入った。「招待状を忘れたので取ってきて」だそうである。はいはい。雨が降りそうだったので傘を持っていたのだが、家に置いて出る。こんなに荷物を持って砂利道を歩いてられない。雨が降ったら運が悪かったとあきらめよう。
本町駅に着き、御堂筋線のホームに向かっていたら息子が「おしっこ」と言いだした。早く歩けないカミさんを残してトイレに急ぐ。トイレにはいって彼はズボンを下ろそうとしているが、下ろせないと言っている。あ、そうか。ズボン釣りをしているんだ。それじゃズボンを下ろすのは無理だ。前を外してズボンを半分だけ下げる。後ろも外す余裕がないのである。ズボンを引っ張ったままオシッコをさせると私の手も少し濡れてしまった。まあ、余所行きが漏れなくてよかったね。
新大阪に着いたが、オフロードを彷徨っていてタクシーに乗るのが30分も遅くなってしまったおかげでホテルから会場へのシャトルバスを利用している余裕は無い。タクシーで行くことにする。タクシー代を補償してほしいもんだな。タクシーの中で私のPHSが鳴った。弟からである。集合時間2分前なので確認してきたのだ。携帯を持ってるとこういうときに便利だね。
少し遅れて会場に駆け込み、向こうの家族とのあいさつもそこそこに家族写真を撮る。だいたい私は新郎に会うのも初めてなんだよな。私のときは事前に家族全員と食事の席を設けて顔合わせをしたのだけどねえ。やはり、私と会わせるとマズイという意識が妹にあったのだろうかねえ。
新婦側の控え室で休んでいると、介添人のオバサンがやってきて今後の予定を説明する。なんだかすごく事務的な口調である。演技でもいいから、もう少し違った言い方はできないものかね。こういうところで印象がかなり変わってくると思うんだが。そして、新郎側の親戚がこちらにやってきて互いに自己紹介をした。それほどアタマ悪そうなのはいないので安心する。とうぜん自分のことは棚に上げているのである。まあ、ウチの夫婦もそうだったが、だいたい両家の知能や性格のレベルというのは揃ってしまうもののようである。まあ、そういうところが違っていると一緒にいると疲れて仕方がないだろうからね。そういうのが刺激があって良いという人もいるかもしれないが、私らはラクなのがいいのである。まあそのへんも揃ってるんだろうな。
結婚式は神式であった。儀式が形骸化してるよなあ、時間割で一日に何度もやってるだろうから仕方ないかなあ…などと、罰当たりなことを思いながら見ている。「不慣れだけれど心のこもった結婚式」というのはもう、今の日本の都会では望むべくもないのだろうなあ。ただ、新郎はガチガチになっているようで、誓いの言葉を読み上げるときに自分の名前もまともに言えないほどである。緊張しやすい性格のようですねえ。私なんて親のために式をしたような気分だったから殆ど緊張しなかったんだがなあ。ああいう性格だと癌になりやすいらしいから気をつけないといけないですね。しかし、男女で声を揃えて読んでいると「バルス!」とか言いそうで怖い…何だか、縁起の悪いことばかり考えてるな>オレ
親戚の記念写真撮影が済み、子供たちは新郎新婦入場に参加するので準備をするという。カミさんがトイレに行くと言うので私が息子を連れて行くが、途中で男子禁制だといって入るのを禁止されてしまう。カミさんをトイレに呼びに行く。しかし、彼女はなかなか出てこない。やっぱり和服は不合理なんだねえ。
披露宴の開始直前になってカミさんが会場に入ってきた。子供たちは新郎新婦と一緒に入場してくることになる。しかし、豪華な会場だなあ。必ずしも豪華だから心がこもっているとは限らないんだが…などと考えている。まあしかし、親もこういうところでしか愛情を示せないからなあ。そして、披露宴が始まった。子供たちが頭に花を付け、チリンチリンと鐘を振りながら先導している。息子は彼よりもかなり年下の女の子の手を引いて先頭を歩いている。しかし、スポットライトは新郎新婦に当たっているので彼はその外でまったく目立たないのである。まあ、彼らしいといえば彼らしいか。
食事がやってきた。大量に作っているわりには味はよい。自分の結婚式のときにはほとんど味わえなかったからゆっくり食べようと思うんだが、息子が何度もトイレに行きたがるので何度も席を立つことになる。ウンチをさせるときにはズボンとパンツを脱がせなければならないので、靴を脱いで歩けないところでは大変である。そういえば、従妹の結婚式のときも私はヴィデオカメラマンをしていたからバタバタしていてほとんど味わえなかったんだよな。やはりそういう巡り合わせになっているのだろうか。あのときはそれよりも撮ったヴィデオを編集するのが大変だったんだが。2日潰れたからな。あれ以来カメラマンはしていない。でも、やっぱり私はフォアグラは不味いと思うんだな。前からそうだったが最近、脂肪分を控えているのでさらにそう感じる。
息子がまた彼の又従姉妹と手をつないでいる。彼女もまんざらではないようである。まあ、あれだけ熱烈にアタックされれば女冥利につきるというものでしょうか。この二人が10年後に偶然出会って…というのが少女マンガでありがちな話だな。
最後の両親への花束贈呈は毎度さすがに盛り上がる。新婦から似顔絵の贈呈もあった。やはり得意なものを手作りして差し上げるというのが良いのだろう。ウチの結婚式のときには、新婦の言葉の朗読があったんだよな。司会の方が上手かったので、あれもなかなか盛り上がったなあ…などと思い出しながらデジカメでムーヴィーを撮っているのである。
帰りは疲れているのでタクシーで帰ろうかとカミさんが言っていたのだが、電車で帰ることになる。お義母さんが「5000円くらいで帰れたよ」とか言っておられたが、5000円稼ごうと思うとどんだけしんどい思いをするか…まあ、そのあたりのトレードオフなんだけどね。カミさんも疲れているので乗り換え時に私がついてきているのか確認もせずにどんどん歩いていく。何度か、はぐれそうになってしまったのだった。電車に乗ると息子も座席の上でグッタリとしている。それを見ていると私も眠くなってくる。気がつくとカミさんが私の肩を叩いていた。駅に着いたようである。息子も寝ている。揺り起こす。カミさんが彼に「切符は?」と訊いている。彼が手放したがらないので彼女の分を持たせていたのである。彼はまだ状況がよく理解できていないようである。切符は持っていない。彼を立たせて探すと、切符は壁とシートの隙間に落ちていた。また取りにくいところに…手を入れて取っていると電車のドアが開く。降りなければ。切符を拾い上げて荷物を持ち、車両から片足を踏み出したところで振り向くと、息子はまだ電車の中で呆然としている。早く来い! 何とか扉が閉まるまでに一家全員外に出られたのである。しかし、息子1人が社内に取り残されたらどうなるだろう。考えるだに怖ろしい。
家に帰って、息子が新郎新婦に花束贈呈をしたときに貰ったプレゼントを開けるとカシオペアの模型と、紙を組み合わせて路線図を作るオモチャであった。ははは。息子が鉄道オタクであることは妹にも知られているのである。
狼谷辰之 | 新書館*ウィングス文庫 |
対なる者の誓い |
¥620+税 | ISBN4-403-54021-X |
[ホーム] | [日記の目次へ] | [次の日記へ]